147 / 154
147. 説得
しおりを挟む
暫くして落ち着いたイモーテルは「私より…。」と話し始める。
「…私はある程度覚悟はしていましたが、マリタイム様とオール様のお二人が心配です…。お二人の説得はスムーズにいくのでしょうか…?」
彼の言葉に「あぁ…そうだった…。」と思い出す。
「そう…だね。不安しかないけどどうにかするよ…。」
僕は不安しかない未来に溜息を吐いた。
まず僕が動いたのは二人に手紙を書くことだった。
イモーテルの予想通り二人に手紙が届く頃、二人が屋敷に押しかけて来る。
「どういうこと⁉︎トルー君!」
「何故ですか⁉︎トルー様!」
僕は二人に落ち着いてもらい、順番に説明する。最後まで話を聞いた二人は「重婚は⁉︎重婚は出来ないの⁉︎」と告げる。しかし、この国は重婚が許されていない。それを説明しても二人は引き下がらず「重婚が出来る国に行こう!」と言ってきた。
流石にそれは出来ないと再び説得すると漸く諦めたようにガックリと項垂れた。
「申し訳ありません…勝手に決めてしまって。言い訳もありません。」
そう頭を下げると二人に謝られる。
「あっいや、こっちこそゴメンね…トルー君の気持ちも考えずに自分の気持ちを押し付けてしまって…。」
「私も残念ですが…そこまで話が進んでるのなら諦めるしかありません…。」
コールだけは半泣きである。分かっていたことだが罪悪感が半端ない。気まずい雰囲気が流れる中、コンコンッというノックと共にサンバックが入ってきた。
「話しは済んだのか?」
「うん、今ちょうど終わったところだよ。」
僕は助かった…と思い微笑む。
サンバックはスッと二人の前に立つと「二人共すまない、先々決めてしまって…。各々がトルーを想っているのは知っていたがトルーの気持ちを知った後、早くどうにかしなくてはという気持ちが優ってしまった。」と頭を下げる。
するとオール様が慌てて「いいえ!僕達もサンバック様の同じ立場なら同等のことをしていたはずです!」とフォローする。さらにコールまで「トルー様…お幸せに…。」と泣き出してしまった。
僕はコールの様子におろおろしてしまったが、サンバックは「…そう言ってもらえたらありがたいが…。」と気恥ずかしげに視線をさ迷わせている。
僕はこの雰囲気にホッとしつつ、これでなんとか結婚について報告が出来たかな、とコールを慰めたのだった。
「…私はある程度覚悟はしていましたが、マリタイム様とオール様のお二人が心配です…。お二人の説得はスムーズにいくのでしょうか…?」
彼の言葉に「あぁ…そうだった…。」と思い出す。
「そう…だね。不安しかないけどどうにかするよ…。」
僕は不安しかない未来に溜息を吐いた。
まず僕が動いたのは二人に手紙を書くことだった。
イモーテルの予想通り二人に手紙が届く頃、二人が屋敷に押しかけて来る。
「どういうこと⁉︎トルー君!」
「何故ですか⁉︎トルー様!」
僕は二人に落ち着いてもらい、順番に説明する。最後まで話を聞いた二人は「重婚は⁉︎重婚は出来ないの⁉︎」と告げる。しかし、この国は重婚が許されていない。それを説明しても二人は引き下がらず「重婚が出来る国に行こう!」と言ってきた。
流石にそれは出来ないと再び説得すると漸く諦めたようにガックリと項垂れた。
「申し訳ありません…勝手に決めてしまって。言い訳もありません。」
そう頭を下げると二人に謝られる。
「あっいや、こっちこそゴメンね…トルー君の気持ちも考えずに自分の気持ちを押し付けてしまって…。」
「私も残念ですが…そこまで話が進んでるのなら諦めるしかありません…。」
コールだけは半泣きである。分かっていたことだが罪悪感が半端ない。気まずい雰囲気が流れる中、コンコンッというノックと共にサンバックが入ってきた。
「話しは済んだのか?」
「うん、今ちょうど終わったところだよ。」
僕は助かった…と思い微笑む。
サンバックはスッと二人の前に立つと「二人共すまない、先々決めてしまって…。各々がトルーを想っているのは知っていたがトルーの気持ちを知った後、早くどうにかしなくてはという気持ちが優ってしまった。」と頭を下げる。
するとオール様が慌てて「いいえ!僕達もサンバック様の同じ立場なら同等のことをしていたはずです!」とフォローする。さらにコールまで「トルー様…お幸せに…。」と泣き出してしまった。
僕はコールの様子におろおろしてしまったが、サンバックは「…そう言ってもらえたらありがたいが…。」と気恥ずかしげに視線をさ迷わせている。
僕はこの雰囲気にホッとしつつ、これでなんとか結婚について報告が出来たかな、とコールを慰めたのだった。
33
お気に入りに追加
3,924
あなたにおすすめの小説
目覚めたそこはBLゲームの中だった。
慎
BL
ーーパッパー!!
キキーッ! …ドンッ!!
鳴り響くトラックのクラクションと闇夜を一点だけ照らすヘッドライト‥
身体が曲線を描いて宙に浮く…
全ての景色がスローモーションで… 全身を襲う痛みと共に訪れた闇は変に心地よくて、目を開けたらそこは――‥
『ぇ゙ッ・・・ ここ、どこ!?』
異世界だった。
否、
腐女子だった姉ちゃんが愛用していた『ファンタジア王国と精霊の愛し子』とかいう… なんとも最悪なことに乙女ゲームは乙女ゲームでも… BLゲームの世界だった。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる