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145. 解決
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「何?なんて描いてあるんだ?」
僕はサンバックから離れると壁画に近付く。驚くことに血文字で描かれていることに気付いた。
ひとつだけ後悔したことがある
それは関係のない人を殺めてしまったこと
謝って済むことではないけれど本当にごめんなさい
ごめんなさい
トルー・バルサム
彼女は死ぬ間際、キチンと反省していたんだ。こんな小さな字で誰に見つからなくても自分の非を認めていた。
もしかしたら最初に発見した文章はここに入れられてまだ心の整理がつかないまま描き殴ったものだったのかもしれない。そしていつか自分で死ぬつもりだったからあの文章を残した…。
「ここにバイオレット様が今までしたことを謝罪している文章があります。」
僕は彼女の為に嘘をついた。彼女は許されないことをした、それは事実だ。しかし、これ以上、彼女を悪人にはできない。
「そうか…彼女も自分の非を認めていたんだな…。」
それから僕達は地下牢から出るとルート様にバイオレットの残した壁画の内容を文章として伝え、屋敷を後にした。
馬車に揺られながらサンバックに肩を抱かれる。
「今日は色んなことがあって疲れただろう?ゆっくり休め。」
「うん、皆にも報告しないとね。僕は両親に話した後、イモーテルに話をするよ。」
「ああ…すまないな、嫌な役回りをさせてしまって。」
「ううん、これは僕の責任だから。キチンと説明して判断はイモーテルに委ねるよ。」
僕はこれからイモーテルにサンバックと結婚したことを告げる。それによって彼が僕の従者を辞めることがあるかもしれない。それを覚悟で伝えるのだ。
家に着くと早速、サンバックと2人で両親の部屋に行き、僕達が結婚したことを告げた。当たり前だが2人共、事前の相談がなかった為「えっ…?」と理解に時間がかかっていた。しかし母様が「おめでとう!」と言ってくれたことで父様も「おっ…おめでとう。」と繰り返した。
そしてサンバックが一歩前へ出る。
「父さん、母さん。事前に相談もなく勝手に動いて申し訳ありませんでした。しかし、トルーの気持ちが変わらない内に…ということと早く自分が安心したかったという気持ちから事を急いでしまいました、申し訳ありません。そしてもう一つ、2人には了承して頂きたいことがあります。俺は父さんと血の繋がりはありません。だからこの家を継ぐ資格はないかもしれませんが、トルーと共にこの家を守って行きたいと思っています。今更なことを言っているのは十分理解しています、でも、どうかこの家を継ぐことを許してはもらえないでしょうか?」
そう言って頭を下げる。
すると父様が「頭を上げろ。」と告げた。
「サンバック…私は元々、お前がこの家を継ぐことに反対などしていない。お前の言う血の繋がりなど私にとっては些細なこと、お前は私とリナの大切な息子だ。それにお前が気を遣ってトルーにその座を譲ろうとしていたことも知っている。何がどうなってそう思ったか分からないがお前はこの家の長男だろう?身体も丈夫で何の心配もないお前に跡を継がせないなんてそんな選択肢、私にはないぞ?」
「では、俺はこのままココにいてもいいんですか?」
「当たり前だろう。トルーと共にこの家を守って貰わなければ。それにお前にはこれからやってもらわなければならないことがたくさんある。覚悟しておくことだな。」
父様は微笑むとサンバックの肩をポンポンッと叩く。それにサンバックは「ありがとうございます。」と顔を覆い静かに涙した。
僕はサンバックから離れると壁画に近付く。驚くことに血文字で描かれていることに気付いた。
ひとつだけ後悔したことがある
それは関係のない人を殺めてしまったこと
謝って済むことではないけれど本当にごめんなさい
ごめんなさい
トルー・バルサム
彼女は死ぬ間際、キチンと反省していたんだ。こんな小さな字で誰に見つからなくても自分の非を認めていた。
もしかしたら最初に発見した文章はここに入れられてまだ心の整理がつかないまま描き殴ったものだったのかもしれない。そしていつか自分で死ぬつもりだったからあの文章を残した…。
「ここにバイオレット様が今までしたことを謝罪している文章があります。」
僕は彼女の為に嘘をついた。彼女は許されないことをした、それは事実だ。しかし、これ以上、彼女を悪人にはできない。
「そうか…彼女も自分の非を認めていたんだな…。」
それから僕達は地下牢から出るとルート様にバイオレットの残した壁画の内容を文章として伝え、屋敷を後にした。
馬車に揺られながらサンバックに肩を抱かれる。
「今日は色んなことがあって疲れただろう?ゆっくり休め。」
「うん、皆にも報告しないとね。僕は両親に話した後、イモーテルに話をするよ。」
「ああ…すまないな、嫌な役回りをさせてしまって。」
「ううん、これは僕の責任だから。キチンと説明して判断はイモーテルに委ねるよ。」
僕はこれからイモーテルにサンバックと結婚したことを告げる。それによって彼が僕の従者を辞めることがあるかもしれない。それを覚悟で伝えるのだ。
家に着くと早速、サンバックと2人で両親の部屋に行き、僕達が結婚したことを告げた。当たり前だが2人共、事前の相談がなかった為「えっ…?」と理解に時間がかかっていた。しかし母様が「おめでとう!」と言ってくれたことで父様も「おっ…おめでとう。」と繰り返した。
そしてサンバックが一歩前へ出る。
「父さん、母さん。事前に相談もなく勝手に動いて申し訳ありませんでした。しかし、トルーの気持ちが変わらない内に…ということと早く自分が安心したかったという気持ちから事を急いでしまいました、申し訳ありません。そしてもう一つ、2人には了承して頂きたいことがあります。俺は父さんと血の繋がりはありません。だからこの家を継ぐ資格はないかもしれませんが、トルーと共にこの家を守って行きたいと思っています。今更なことを言っているのは十分理解しています、でも、どうかこの家を継ぐことを許してはもらえないでしょうか?」
そう言って頭を下げる。
すると父様が「頭を上げろ。」と告げた。
「サンバック…私は元々、お前がこの家を継ぐことに反対などしていない。お前の言う血の繋がりなど私にとっては些細なこと、お前は私とリナの大切な息子だ。それにお前が気を遣ってトルーにその座を譲ろうとしていたことも知っている。何がどうなってそう思ったか分からないがお前はこの家の長男だろう?身体も丈夫で何の心配もないお前に跡を継がせないなんてそんな選択肢、私にはないぞ?」
「では、俺はこのままココにいてもいいんですか?」
「当たり前だろう。トルーと共にこの家を守って貰わなければ。それにお前にはこれからやってもらわなければならないことがたくさんある。覚悟しておくことだな。」
父様は微笑むとサンバックの肩をポンポンッと叩く。それにサンバックは「ありがとうございます。」と顔を覆い静かに涙した。
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