悪役令嬢の弟

ミイ

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142. 報告

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サンバックは門番に顔を見せ、馬車ごと中へ通らせてもらう。馬車を降りた僕達は仕事中だというルート様を待って挨拶することにした。

「なんか緊張してきた…。」

「まぁ普通は入籍したら1番に親に言うものだからな。しかし、さっき届けを提出したばかりだし、あまり実感ないんじゃないか?」

「ううん、そんなことないよ。これでも沢山悩んで決めたんだから。兄様との将来のことだって…。」

「そうか、それでアレか?」

そう言ってサンバックはニヤニヤと笑っている。先程の僕の子供が欲しい発言を思い出したのだろう。

「アレは…!追々だよ、今すぐじゃない。それに…いや、なんでもない!」

僕は顔を赤くしながら否定すると身体ごとソッポを向いた。

サンバックのアレがすぐに挿入るとは思えない、など言えたもんじゃない…。

「なんだ?気になるじゃないか、はっきり言ってくれ。」

そう笑いながら僕の腰を掴む彼は僕の身体を自分の身体にくっ付けようとしてくる。恥ずかしさからやめてよ~と言いながらやり取りを繰り返していると「何、2人でいちゃついてるの~?」といつの間にか入室していたルート様に不機嫌そうに声を掛けられた。

僕は慌ててサンバックを押しやるとサッと立ち上がりルート様に挨拶をする。

「ルート様!お忙しいのにわざわざすみません!」

すると彼は笑顔で「いいよ。」と言ってくれた。しかしサンバックには鋭い視線を向ける。

「誰かさんの頼みなら後回しにするけど、緊急なんて言うし、トルーまで来てるってなったら行くしかないよね…それでわざわざ私を呼び出すって一体、何なのさ?」

ルート様の問いにさっきまでの表情が嘘のように真面目な顔つきになると彼は口を開いた。

「本日、私サンバック・バルサムはここにいるトルー・バルサムと結婚したことをお伝えしに参りました。そして今後はルート様の護衛を引退し、家業を継ぐことを許可して頂きたく参りました。ルート様、相談もなく勝手に事を進めてしまったことをお許しください。トルーのことを想うと急いで婚姻届を提出しなければならなかったのです…。」

サンバックの答えに今度はルート様が真面目な顔をする。

「…トルーはちゃんと了承してるの?」

「はい、共に教会へ行って参りました。」

「そう…結婚はお互いの気持ちがあってこそだからね、相手も了承してるなら喜ばしいことじゃないか。2人ともおめでとう。あと、護衛のことだけど引き継ぎをしっかりやってから引退してね、手抜きは駄目だから。」

「はい、抜け目のない様に行います。」

「うん、わかった。じゃあこれで難しい話は終わり。」

ルート様はそう言うと僕の方に目線を向ける。

「トルー、やっと決めたんだね。」

「はい、ルート様。アドバイスありがとうございます。」

「ううん、私は何も。決めたのは全部トルーだよ、今後は自分の発言と行動に気をつけてね。」

「はい、ありがとうございます。」

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