悪役令嬢の弟

ミイ

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137. 友情

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まっ…まさかの兄様…!

「あぁ~…サンバック様ですか…。僕とは体格が違いますね…。」

僕は彼女の言葉に驚いただけだったが、彼女には落ち込んでいるように見えたのだろう。慌ててフォローされる。

「いや!見た目だけの好みだからな⁉︎一度も話したこともないし、どんな方なのか私には分からない。だから、そんな落ち込まないでくれ。すまない…正直に言い過ぎた…。」

そんな彼女の気遣いにこちらが申し訳なくなる。

「…いえ、サンバック様が素敵なのは重々分かっておりますので僕のことは気にしないで下さい。それにこうやってペリドット様が正直に話して下さっているのに僕の方こそ黙っていたことがあるんです、先に謝らせて下さい。サンバック様と僕は兄弟なんです、黙っていてすみません。」

その答えに彼女は目を丸くすると「そうなのか…。」と呟く。

「僕はあまり爵位に拘らないのでお相手にもそういう方を望んでいます。なので、今回は家名を伏せてお伝えしていたんです。本当はもう少しお話が進んでからお伝えしようと思ったのですが、こんなに素直に応えて下さってるのに僕の方が黙っているのはどうかと思いまして…。僕はペリドット様がどんな立場の方でも気にしませんが、ペリドット様は如何ですか?」

「…う…ん、私は子爵家だから君のところに嫁ぐとなったら両親は喜ぶだろう。しかし…君がサンバック様と兄弟となると緊張してしまうかもしれないな、なんせ彼は私の憧れの人だから…。」

彼女の素直な答えに僕は頷く。

「そうですよね…困らせてしまってすみません。それに急な話で混乱してしまいますよね。」

「いや…まぁそうだな。君には悪いが正直言うとサンバック様がお相手なら…という気持ちが拭えない。まぁこんなことを言っているから婚期を逃しているのも自覚しているが…。すまないな、失礼なことを言っているのは分かっている。しかし、こうやって出逢ってお互いに本音が話せて有意義な時間だったと私は思う。」

本当に彼女は素直だ…というか正直な人だ。普通ならこんな初対面でそんなこと言わない。

「はい、僕もです。最初はこういう目的ではなかったのですが…ペリドット様のことを友人として好きになれそうです。良かったら僕とお友達になって頂けませんか?」

僕がそう言うと彼女はサッと手を出し「ああ…こちらこそ宜しく頼む。」と握手をした。






彼女を騎士団の寮まで送った僕はお見合いに失敗したものの良い友人が出来たことに喜びを感じていた。

「(まぁ最初からそんな上手くいくわけないよね…でも彼女が素直な人で良かった、あんまりズルズルいっても失礼だし…。それにしてもセイロンが言っていた"悪い人ではない"っていうのはこういうことなのかな?てことは、今後もそういう感じ?色んな事情がありそうだな…。)」

僕はフーッと息を吐くと家路を急いだ。
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