悪役令嬢の弟

ミイ

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124. 前世

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僕の説明を聞いたサンバックはポツリと「そうだったのか…。」と零す。

説明といってもゲームのことは伝えにくいので似たような物語があったと伝えた。更に没落ルートのことなど伏せなければならない内容も多々あり、かなり脚色することになってしまった。

「うん…今まで黙っててゴメン…。それにイモーテルもコールもゴメンね、こんなこと言っても信じてもらえないと思ってたから…。僕がいなかった2年間…僕にとっては数日だったんだけど、なんで姉さんが知ってたとか、どうやって姉さんがこの世界へ戻してくれたかとか全然分からないんだ。ただ、姉さんがもう一度この世界に導いてくれたのは事実で、僕を戻るように背中を押してくれたんだ。だから今となってはその理由を知ることよりも皆と共に過ごせることの方が僕には重要なんだ。」

僕の言葉に3人は嬉しそうに微笑む。

「トルー…俺達を選んでくれてありがとう。」

「ううん、元々僕はコッチの人間だよ。いくら転生して前世の記憶があるとしてもトルー・バルサムとして生まれたんだからコッチを選ぶのは当たり前だし、それに大切な皆がいる。きっともうアッチには行けないと思うから死ぬまでコッチだよ。」

そう言って皆に笑顔を向ける。

「トルー様…これまでそんな行動をとられていたなんて…私はそれさえ気付かず共に過ごしていたのですね…。申し訳ございませんでした。」

「いや、イモーテルにはいつも感謝していたから謝らないで。それに…あの約束もゴメンね?」

するとイモーテルは一瞬、哀しそうな表情をしたが「いえ、トルー様の幸せが私の幸せですから。」と笑った。

それからヒロインの話に戻り、僕は口を開く。

「それで…僕はその壁画を見ることは出来そう?」

僕の問いにサンバックは少し考えると「はっきりと出来るとは言えないが、ルート様に相談してみよう。王族権限でどうにかしてもらえるかもしれん。」と告げる。

是非、そうして頂きたい…そう切実に願った。
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