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109. 判決
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「僕の情報では近々、バイオレット様の処罰について裁判が行われるらしいです…バイオレット様を心配されていたトルー様にはお辛いかもしれませんが、その裁判、見に行かれますか?」
彼の提案に僕は二つ返事で了承する。
「うん、必ず行くよ。だから、いつ行われるか分かったら教えて。」
彼女がこれからどんな処罰を受けようと、もう僕にはどうすることも出来ない。しかし、僕には彼女の行く末を見届ける責任がある。だから、この世界とゲームの世界とを決別する為にしっかりとこの目に焼き付けようと決意した。
数日後、セイロンにヒロインの裁判の日取りを聞いた僕はルート様とサンバックと共に裁判所へ足を運んだ。
「バイオレットはこの中の一室で控えている。ここまで来て言うのもなんだが…トルー…本当に入るのか?相手はお前に何か危害を加えた相手かもしれないんだぞ?」
サンバックは心配そうにこちらを見つめ、僕を止めようとする。
「兄様…心配してくれてありがとう。この裁判を見届けたら僕はもう彼女に関わらないって誓うよ。だからこれだけは行かせて?」
「…まぁ仕方ないね。トルーは意外に頑固だから。」
そう言ってルート様が僕を援護するように口添え、頭を撫でる。
「はぁ~…仕方ない…行くか。」
サンバックは溜息を吐くと僕とルート様の後に続いた。
廷吏の「ご起立下さい。」という言葉でヒロインの裁判が始まった。裁判長が「被告人、前へ。」と言い、ヒロインが証言台に立った。
「ニア・バイオレットですね。」
「はい。」
ヒロインは憔悴した表情を浮かべていたが、眉間にシワを寄せている。きっと「なんで自分がここに。」と思っているのだろう。
「主文。被告人を懲役5年に処する。この判決確定の日から2年間、刑の執行を猶予する。次に判決の理由を述べます。被告人は無抵抗な人間に対し私的な魔法の使用、また謹慎処分の身で逃亡及び身分上位の者に対する来襲。そして窃盗の前科があることから有罪という判決が下りました。執行猶予の期間はこの街を出て、こちらが指定した街へ転居、奉仕活動を行なってもらいます。その活動を経て減刑を考慮します。しっかりとそれを肝に銘じて、自分の罪を償ってください。それでは閉廷します。」
裁判長はそう言ってそそくさと立ち上がる。
「(この時代は控訴はないのかな…不服でも判決が言い渡されたら従わないといけないなんて…。)」
「トルー、ほら行くぞ。」
サンバックに話し掛けられ、ハッとした僕は次々と法廷から人が出て行く中、それでも動こうとしないヒロインの後ろ姿を見つめる。しかし、長居しても仕方ない。僕も法廷から出ようと足を動かしたその時「どうしてよ!」と彼女が叫ぶ。
彼の提案に僕は二つ返事で了承する。
「うん、必ず行くよ。だから、いつ行われるか分かったら教えて。」
彼女がこれからどんな処罰を受けようと、もう僕にはどうすることも出来ない。しかし、僕には彼女の行く末を見届ける責任がある。だから、この世界とゲームの世界とを決別する為にしっかりとこの目に焼き付けようと決意した。
数日後、セイロンにヒロインの裁判の日取りを聞いた僕はルート様とサンバックと共に裁判所へ足を運んだ。
「バイオレットはこの中の一室で控えている。ここまで来て言うのもなんだが…トルー…本当に入るのか?相手はお前に何か危害を加えた相手かもしれないんだぞ?」
サンバックは心配そうにこちらを見つめ、僕を止めようとする。
「兄様…心配してくれてありがとう。この裁判を見届けたら僕はもう彼女に関わらないって誓うよ。だからこれだけは行かせて?」
「…まぁ仕方ないね。トルーは意外に頑固だから。」
そう言ってルート様が僕を援護するように口添え、頭を撫でる。
「はぁ~…仕方ない…行くか。」
サンバックは溜息を吐くと僕とルート様の後に続いた。
廷吏の「ご起立下さい。」という言葉でヒロインの裁判が始まった。裁判長が「被告人、前へ。」と言い、ヒロインが証言台に立った。
「ニア・バイオレットですね。」
「はい。」
ヒロインは憔悴した表情を浮かべていたが、眉間にシワを寄せている。きっと「なんで自分がここに。」と思っているのだろう。
「主文。被告人を懲役5年に処する。この判決確定の日から2年間、刑の執行を猶予する。次に判決の理由を述べます。被告人は無抵抗な人間に対し私的な魔法の使用、また謹慎処分の身で逃亡及び身分上位の者に対する来襲。そして窃盗の前科があることから有罪という判決が下りました。執行猶予の期間はこの街を出て、こちらが指定した街へ転居、奉仕活動を行なってもらいます。その活動を経て減刑を考慮します。しっかりとそれを肝に銘じて、自分の罪を償ってください。それでは閉廷します。」
裁判長はそう言ってそそくさと立ち上がる。
「(この時代は控訴はないのかな…不服でも判決が言い渡されたら従わないといけないなんて…。)」
「トルー、ほら行くぞ。」
サンバックに話し掛けられ、ハッとした僕は次々と法廷から人が出て行く中、それでも動こうとしないヒロインの後ろ姿を見つめる。しかし、長居しても仕方ない。僕も法廷から出ようと足を動かしたその時「どうしてよ!」と彼女が叫ぶ。
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