悪役令嬢の弟

ミイ

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87. 病床

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「兄様、僕は中に入れないのかな?」

僕はヒロインの様子から、これがシナリオにあるものなのか確認したかった。

「…どうかな。関係者以外は立ち入り禁止だと先生方から言われているから流石にトルーでも無理なんじゃないか。」

そっか…なら中に入るのは無理だよね…。

ガッカリしながら保健室を見つめていると扉が開きルート様が出てきた。何故かその表情は優れない。

「ルート様!」

僕の呼びかけに俯いていた彼はこちらを向いて「…トルーも来てたのか。」と呟く。

「バイオレット様の様子は…?」と窺うと彼は静かに首を横に振る。

「えっ…ルート様でもダメだったんですか?」

おかしい…ゲームのシナリオならルート様が目覚めさせることで好感度が上がるはずなのに…。

「うん…私の出来る限りはやったんだけど、何故か目覚めないんだ…。身体を巡る魔力も正常値だし内部の損傷もない。とりあえず今日はもう手の施しようがないからまた明日様子を見に来るよ。」

「ルート様でもダメなんですね…それなら僕もまた今度、様子を見に来ることにします。今は立ち入り禁止というのも聞きましたし、目覚めないのならきっと明日は欠席ですもんね。」

「そうだね…。はぁ~明日は大事な会議があったのに…。」

そう言って彼は溜息を吐く。
ご愁傷様としか思えないが、オール様の時といいルート様の時でもキャラクターなのにこんな風に思うんだと少し驚いた。

てっきりヒロイン相手だから喜ぶと思ってたのに…。








次の日ー。



やはりヒロインは学校を欠席した。僕は隣の空席を見つめながら学校帰りに男爵家に様子を見に行くことにする。

「(また先生からプリントを預かったとかで持っていけばいいか。)」

教室内は昨日よりは皆の様子は落ち着いてるものの、やはりいつも通りの光景ではない。少なからず彼女が出席してないことで平穏は保たれていないようだ。

「なぁ聞いたか?昨日ルート先生がバイオレット様を診察したが目覚めなかったらしいぞ。」

「えっ!そうなのか⁉︎それってかなりヤバイんじゃ…?」

「ああ…これが明るみになれば、この学校の信用問題にもなる。」

「…どうするんだよ、俺達そんな学校に通ってるぜ?昨日、たまたま親に学校の様子を聞かれて焦ったところなのに…。卒業したら俺達きちんと就職できるのか?」

「う…うん…どうかな…?」

そんな会話が聞こえてくる。
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