悪役令嬢の弟

ミイ

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62. 尋問

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昼休みになり、流石に戻ってこないヒロインが心配になってきた。職員室に行ってみてもヒロインの姿は見当たらず、僕は校舎内を探す羽目となった。

「(ヒロインは何処に行ったのかな~。)」

こんな展開、ゲームにあったのかと疑いたくなる。

そして生徒会室の前を通りかかった時、ヒロインの叫び声が聞こえた。

「ですから!私じゃありません!」

「しかし、君が持って行く姿を見かけた者がいる。」

「そんなの言い掛かりです!私の姿を見たという者がいるならここに連れて来て下さい。」

なんの話をしているんだろう…?ヒロインと話しているのは会長かな…?

僕がその声に耳をそばだてていると肩をポンッと叩かれる。ビクッとして振り返ると笑顔のコールが立っていた。

「なんだ…コールか…。」

「トルー様はここで何を?」

どうしよう…素直に言うべきか…。

「隣の席のニア・バイオレット様が朝から先生に呼ばれて戻って来ないから心配で…。探し回ってたら、この部屋でバイオレット様の声がしたから入るタイミングを見計らってたんだ。」

と僕が告げるとコールは「お優しいのですね。」と微笑む。

ちょっと違うけどね…と思いながら、苦笑いになると「ニア・バイオレットは中に居ますよ。でも今はトルー様にはお会いできません。」と言う。

「どうかしたの…?」

「…他言無用でお願いします。先日の新入生歓迎会の宝箱が1つ行方不明となったのです。その犯人がニア・バイオレットだと匿名の知らせがありまして…。」

「(えぇ!?ヒロインがそんなことを!?)
えっ…でもバイオレット様のグループは棄権になったんじゃ…?」

「そうなんです。それなのに待機場所からいつの間にか消え、暫く経ってから皆と合流したという証言がありました。よって今、会長が尋問中なのです。」

そうだったんだ…でもなんで…?宝箱の中身は食堂の1ヶ月チケットなはず…そんなに要るものなのか…?ヒロインの意図がわからない…。

「そういうことなので、トルー様は心配されなくても大丈夫ですよ。どうぞ教室にお戻りください。」

「…うん、分かった。あの…コールお願いがあるんだけど…。」

「はい!なんでしょうか!?」

コールのその勢いに押される…。

「…もし良かったら、この尋問がどうなったか教えてくれる…?」

「…?えっ…ええ、それは構いませんが、何故トルー様がニア・バイオレットのことを気にするのです?」

確かにコールの疑問も分かる。

「ん~…色々ね、理由があるんだ。今はまだ言えないけどいつか言うから、今はまだ聞かないで。」

そう言うとコールは納得したように「分かりました。結果が出次第、お知らせします。」と答えた。
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