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51. 好感度
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「(うぅ…全身が痛い…特に左腕…。)」
やはり思うように身体は動かない。なんとか彼にゆっくりついて行くと「お前…歩くの遅いぞ!」と言われる。それにすみません、と返し必死について行った。
なんとか木陰に辿り着き、木を背もたれに腰掛ける。
「(はぁ~…やっと休める…。)」
そう目を瞑ったその時だった。
突然シトロに「なぁ…。」と話しかけられる。
「…えっ?」と彼の方を見ると何故か顔が赤い。彼は意を決したように「…この際だから聞くが、お前はあの女と仲良いのか…?」と聞いてくる。
「(いや…あの女って言われても…。)
…あの女とは一体どなたのことでしょうか?」
と僕が答えると更に顔を赤くする。
「…チッ!ニア・バイオレットのことだよ!あの女、俺のことは色々と聞いてくるくせに自分の話となるとお前の名前が所々出てくる。」
その発言に驚いた。
「(えっ!?なんで?なんで僕の名前が…。)
どっ…どうでしょうか…席が隣なので度々話をしますが、仲が良いのかって言われるとそうでもないと思います…。」
「そうか…では仲が良いわけではないのだな…俺はニアとクラスが違うから普段どんな様子か分からない…。お前…トルーと言ったな、お前の知ってる限りでいい、アイツのことを俺に教えろ。」
そう恥ずかしそうに告げるシトロは僕の目からでも可愛く見えた。そして、それと同時にヒロインにも上手く好感度を上げられているようで安心する。
それから僕は出来る限りヒロインの印象を良くしようと彼女の良い所を何個か挙げた。
それから少しして「トルー様!シトロ様ー!」とセイロンの声が聞こえる。助けが来たようだ。
シトロが「助けが来たぞ!」と立ち上がる。その時、僕の左腕を掴み立ち上がらせようと引っ張った。
「イッ…!!!」
と僕の声にシトロが驚いたように手の力を緩める。
「お前…左腕を怪我していたと言っていたが、そんなに痛いのか…?」
「(どうしよう…言うべきか…?)
あっ…まぁそうですね…骨折?してるかもしれないので…。」
そう告げると彼は途端に目を見開いた。
「おまっ…!なんでそれを早く言わない!?俺だって少しは治癒魔法を使えるんだぞ!?」
「あっ…そうだったんですか…ハハッ…それなら早く言えば良かったですね。」
「チッ!笑い事じゃないだろう!そもそもその怪我は俺が原因なのに…!」
「えっ…いや…そんなことは…ないです。大丈夫なので気にしないでください。
(まぁ元を正せばそうなんだけど、これ以上関わるのもどうかと思うし出来れば関わりたくない…。)」
「…いや!俺のせいでお前が怪我したのは事実だ!俺が最後まで責任を持って対処するから安心しろ!」
そう自信満々に告げる貴族様特有の性格に僕は呆気にとられた。
やはり思うように身体は動かない。なんとか彼にゆっくりついて行くと「お前…歩くの遅いぞ!」と言われる。それにすみません、と返し必死について行った。
なんとか木陰に辿り着き、木を背もたれに腰掛ける。
「(はぁ~…やっと休める…。)」
そう目を瞑ったその時だった。
突然シトロに「なぁ…。」と話しかけられる。
「…えっ?」と彼の方を見ると何故か顔が赤い。彼は意を決したように「…この際だから聞くが、お前はあの女と仲良いのか…?」と聞いてくる。
「(いや…あの女って言われても…。)
…あの女とは一体どなたのことでしょうか?」
と僕が答えると更に顔を赤くする。
「…チッ!ニア・バイオレットのことだよ!あの女、俺のことは色々と聞いてくるくせに自分の話となるとお前の名前が所々出てくる。」
その発言に驚いた。
「(えっ!?なんで?なんで僕の名前が…。)
どっ…どうでしょうか…席が隣なので度々話をしますが、仲が良いのかって言われるとそうでもないと思います…。」
「そうか…では仲が良いわけではないのだな…俺はニアとクラスが違うから普段どんな様子か分からない…。お前…トルーと言ったな、お前の知ってる限りでいい、アイツのことを俺に教えろ。」
そう恥ずかしそうに告げるシトロは僕の目からでも可愛く見えた。そして、それと同時にヒロインにも上手く好感度を上げられているようで安心する。
それから僕は出来る限りヒロインの印象を良くしようと彼女の良い所を何個か挙げた。
それから少しして「トルー様!シトロ様ー!」とセイロンの声が聞こえる。助けが来たようだ。
シトロが「助けが来たぞ!」と立ち上がる。その時、僕の左腕を掴み立ち上がらせようと引っ張った。
「イッ…!!!」
と僕の声にシトロが驚いたように手の力を緩める。
「お前…左腕を怪我していたと言っていたが、そんなに痛いのか…?」
「(どうしよう…言うべきか…?)
あっ…まぁそうですね…骨折?してるかもしれないので…。」
そう告げると彼は途端に目を見開いた。
「おまっ…!なんでそれを早く言わない!?俺だって少しは治癒魔法を使えるんだぞ!?」
「あっ…そうだったんですか…ハハッ…それなら早く言えば良かったですね。」
「チッ!笑い事じゃないだろう!そもそもその怪我は俺が原因なのに…!」
「えっ…いや…そんなことは…ないです。大丈夫なので気にしないでください。
(まぁ元を正せばそうなんだけど、これ以上関わるのもどうかと思うし出来れば関わりたくない…。)」
「…いや!俺のせいでお前が怪我したのは事実だ!俺が最後まで責任を持って対処するから安心しろ!」
そう自信満々に告げる貴族様特有の性格に僕は呆気にとられた。
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