悪役令嬢の弟

ミイ

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47. 目的地

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すると「まぁまぁ…。」とマリタイムが場の空気を止める。

「立ち入り禁止の場所じゃなければ特に問題もないんだからとりあえず今はこの問題をどうするかだよ、もし何かあっても生徒会権限で私がどうにかするから。」

それにイランはホッとした様子で「さっ!あともうちょっとだからコッチに来てくれ。」と案内を始める。

それから暫く歩いていると小さな池のようなものが現れ、地下からゴポッゴポッという水泡が湧き出ていた。

「これが湧水?触っても大丈夫なのか…?」

「大丈夫です。俺、前に触って大丈夫だったので。」

「そうか…じゃあ…。」とビリーが池に手をつける。途端に「おぉ!」と感動したように声を上げた。

「温かいぞ!シャワーのように温かい!」

「えっ!そうなんだ、じゃあ私も。」

「私も失礼します。」

その声に皆、手をつけ始めた。僕も好奇心から池に手をつけてみる。

「(あっ…これって…温泉?イラン様…目の付け所が凄いな、これなら商売できるかも…。)」と僕は感心した。





それから少ししてこの先にあるという神殿に向かって歩き出した。

「俺もこの先は1人ではなかなか難しくて行ったことないんだ。」とイランは言いながら歩いていく。「今日は皆がいるから先に進めて嬉しいよ。」とも。

暫く歩くと神殿…ではなく教会が建っているのが分かる。しかし、もう何十年も使われていないのか建物全体は蔦に覆われ、正直入るのを躊躇する。

「…これが目的地か。正直入りたくはないが…。」

「何?ビリー、怖いの?」

「バカ言え!こっ…こんなの怖くもなんともない!怖さなど、気持ち次第でどうにかなる。」

とビリーは言いながらズンズンと前へと進む。

マリタイムはその様子をクスクス笑いながら後ろを付いていった。

ビリーが扉に手を掛けると「開いてるな…。」と呟く。

すると後ろからイランが「あっ!ビリー様!光がどうとか書いてませんでしたっけ?」と声を上げる。

「ああ、そうだな。光か…とりあえずイラン、火で明かりをつけてくれ。」

「わかりました。」

イランはそう言って指先に炎を灯す。

「ビリー様、僕も隣にいますから。」

「あっ…ああ。」

その明かりを頼りにようやく一歩を踏み出した。

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