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29. 合同授業
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僕はその後ランドモスと別れ、教室へと向かう。
席に着くなり隣の席のヒロインが「バルサム様!」と話し掛けてきた。
「はい?どうかされましたか?」と惚けたフリをすると「あっ…あの!ランドモス様とどういうご関係なのですか!?」と鬼気迫る表情で聞いてくる。
その様子に「(ヒロインってランドモスも狙ってるの?てか、この際、誰でも良いのかな…。)」と感じる。
「…ランドモス様とは友人ですよ。ここに入る前から顔見知りだったので今日も昼食に誘って下さったのです。」と敢えて嘘を吐く。
しかし、ヒロインはそれで納得しなかった。
「でも"子猫ちゃん"って言われてましたよね?それに唯の友人という雰囲気ではなかったですが…。」
「…あぁ!あれですか!あれはランドモス様の冗談ですよ。前から冗談が過ぎる方なんです、だからバイオレット様はお気になさらないで下さい。」と微笑む。
僕は反論を受け付けないとばかりに無言で圧力をかけた。
ヒロインはその空気を察してか「そうですか…。」と呟き、それ以上何も言わなかった。
僕は午後の授業で入学してから数回目の風魔法の授業を受けている。
そして今回はなんと火魔法の人達+隣のクラスと合同で授業を受けることとなった。
火魔法というと姉のブルーマリーがいる。
案の定、一緒に授業となると僕の方を睨んできた。しかし、前の一件があったからか心無しかその表情はいつもより優し気だ。
「では、今から風魔法と火魔法の合同授業を始める。自分と違う能力者とペアを組み、風魔法は火魔法のサポートをしなさい。」
そう先生から声を掛けられ僕は周りを見渡し、ペアになってくれそうな人を探す。
その時、パチっと目が合ったのは隣のクラスの眼鏡をかけた物静かそうな"少女"だった。
少女といっても年齢は僕よりは年上のはずだが、身長は僕とそう変わらない。彼女はオドオドとした雰囲気を持ちつつも僕と目が合った瞬間、ニコッと微笑んでくれた。
僕は彼女に近付くと「僕とペアを組んでくれますか?」と誘う。
彼女は一瞬、戸惑ったが「私で良ければ。」と快く了承してくれた。
最初にお互いに自己紹介しあい、彼女の名前がサフランということを知る。
彼女は僕がトルー・バルサムだと名乗ると途端に恐縮し「本当に私が相手で宜しいのですか?」と聞いてくる。
僕は誰が相手でも気にしないのだが、相手はそうではない。家名がないということはサフランは平民の出で、さらに僕は公爵家だ。彼女が萎縮してしまうのも無理はない。
僕は彼女の為に変に繕った言い訳ではなく、ストレートに伝えようと口を開いた。
「気にしないで下さい。僕は心の優しそうな貴方とペアを組みたいです。」
彼女は少し顔を赤くすると「ありがとうございます。」と応えた。
授業でいう風魔法のサポートとは火魔法の得意とする攻撃魔法に対し、攻撃力を増幅させるのが得意な風魔法を放出、そしてそれを火魔法に纏わりつかせ、攻撃力を更にパワーアップさせるというものだ。
これの難しいところは火魔法と風魔法をバランス良く放出しないと増幅どころか下げさせてしまう恐れがあり、どちらか一方だけが強過ぎても弱過ぎてもダメだ。
サフランは僕の成績を知っているらしく自分はBクラスの真ん中くらいの成績なので僕と釣り合うか考えているようだった。
「サフランさん、僕の魔力は大したことないですよ。成績も…座学の方で点を取ってるだけですし…。」
「えっ…でも私は…。」
「大丈夫。何があっても僕がサポートしますから。」
「…はい、わかりました…宜しくお願い致します。」
サフランは最後まで僕と組むことに不安そうだったが、なんとか説得に成功し、そのまま僕とペアを組んでくれることになった。
席に着くなり隣の席のヒロインが「バルサム様!」と話し掛けてきた。
「はい?どうかされましたか?」と惚けたフリをすると「あっ…あの!ランドモス様とどういうご関係なのですか!?」と鬼気迫る表情で聞いてくる。
その様子に「(ヒロインってランドモスも狙ってるの?てか、この際、誰でも良いのかな…。)」と感じる。
「…ランドモス様とは友人ですよ。ここに入る前から顔見知りだったので今日も昼食に誘って下さったのです。」と敢えて嘘を吐く。
しかし、ヒロインはそれで納得しなかった。
「でも"子猫ちゃん"って言われてましたよね?それに唯の友人という雰囲気ではなかったですが…。」
「…あぁ!あれですか!あれはランドモス様の冗談ですよ。前から冗談が過ぎる方なんです、だからバイオレット様はお気になさらないで下さい。」と微笑む。
僕は反論を受け付けないとばかりに無言で圧力をかけた。
ヒロインはその空気を察してか「そうですか…。」と呟き、それ以上何も言わなかった。
僕は午後の授業で入学してから数回目の風魔法の授業を受けている。
そして今回はなんと火魔法の人達+隣のクラスと合同で授業を受けることとなった。
火魔法というと姉のブルーマリーがいる。
案の定、一緒に授業となると僕の方を睨んできた。しかし、前の一件があったからか心無しかその表情はいつもより優し気だ。
「では、今から風魔法と火魔法の合同授業を始める。自分と違う能力者とペアを組み、風魔法は火魔法のサポートをしなさい。」
そう先生から声を掛けられ僕は周りを見渡し、ペアになってくれそうな人を探す。
その時、パチっと目が合ったのは隣のクラスの眼鏡をかけた物静かそうな"少女"だった。
少女といっても年齢は僕よりは年上のはずだが、身長は僕とそう変わらない。彼女はオドオドとした雰囲気を持ちつつも僕と目が合った瞬間、ニコッと微笑んでくれた。
僕は彼女に近付くと「僕とペアを組んでくれますか?」と誘う。
彼女は一瞬、戸惑ったが「私で良ければ。」と快く了承してくれた。
最初にお互いに自己紹介しあい、彼女の名前がサフランということを知る。
彼女は僕がトルー・バルサムだと名乗ると途端に恐縮し「本当に私が相手で宜しいのですか?」と聞いてくる。
僕は誰が相手でも気にしないのだが、相手はそうではない。家名がないということはサフランは平民の出で、さらに僕は公爵家だ。彼女が萎縮してしまうのも無理はない。
僕は彼女の為に変に繕った言い訳ではなく、ストレートに伝えようと口を開いた。
「気にしないで下さい。僕は心の優しそうな貴方とペアを組みたいです。」
彼女は少し顔を赤くすると「ありがとうございます。」と応えた。
授業でいう風魔法のサポートとは火魔法の得意とする攻撃魔法に対し、攻撃力を増幅させるのが得意な風魔法を放出、そしてそれを火魔法に纏わりつかせ、攻撃力を更にパワーアップさせるというものだ。
これの難しいところは火魔法と風魔法をバランス良く放出しないと増幅どころか下げさせてしまう恐れがあり、どちらか一方だけが強過ぎても弱過ぎてもダメだ。
サフランは僕の成績を知っているらしく自分はBクラスの真ん中くらいの成績なので僕と釣り合うか考えているようだった。
「サフランさん、僕の魔力は大したことないですよ。成績も…座学の方で点を取ってるだけですし…。」
「えっ…でも私は…。」
「大丈夫。何があっても僕がサポートしますから。」
「…はい、わかりました…宜しくお願い致します。」
サフランは最後まで僕と組むことに不安そうだったが、なんとか説得に成功し、そのまま僕とペアを組んでくれることになった。
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