悪役令嬢の弟

ミイ

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27. 食堂にて

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食堂らしき場所に着くと皆とは少し離れた半個室の様な場所に案内される。

僕は状況確認の為に無言で成り行きを眺めていた。

するとランドモスは僕の髪に刺したバラを取ると机上に用意してあったワイングラスに刺す。

僕はその瞬間「(あの大衆の中、僕はバラを刺したままだったのか…。)」と再び羞恥で顔を赤くした。

その様子にランドモスはフッと笑うと「赤くなった顔も可愛いね、子猫ちゃん。」と告げる。

僕は居ても立っても居られず「ランドモス様!その子猫ちゃんって言うのやめて下さい!」と叫んだ。

するとランドモスは僕に反論されると思ってなかったのか目を丸くすると「ゴメン、ゴメン。」と笑う。

「じゃあトルーと呼ばせてもらうね。」

「はっ…はい…それでお願いします。」





その後、僕は不審に思いながらも何故あの時、僕に声を掛けたのかランドモスに尋ねた。

「えっ?だってあの時、僕のことを見つめていたでしょう?」

「あっ…いや、確かに見つめてましたが、貴方はその後、バイオレット様に微笑み掛けていましたよね?」

「まぁ…確かに。えっ?ヤキモチ焼いてくれたの?」

「いや!違います!そこは否定させて下さい。僕はてっきりバイオレット様をお誘いすると思ってたんです。」

「あぁ…まぁ彼女も僕のことを見つめていたのは事実だしね。だから、ウィンクで返したよ。でも、その後、君にもウィンクで返したんだよ?そしたら君は彼女を見ていてね…。」

とランドモスは落ち込みながら告げる。

「(あっ…あの時はヒロインの反応を見るために横向いてたんだった…!)
そっ…そうだったんですか…。」

「彼女は微笑み返してくれたから、皆と同じ反応だったけど…。僕が目線を逸らされるなんて初めてのことだったから面白く感じてね…だから僕は彼女より君に興味を持ったんだ。」

ランドモスそう言って妖艶に微笑んだが、僕はそれに対し目線を外すように下を向く。

「(えぇ~…これ乙ゲーなんだよね…なんで僕にフラグが立つの?僕としてはヒロインがルート様を選ばなければ何でもいいけど、僕にいく理由が分からない…!)」

僕はランドモスの答えになんて返そうか迷った結果、こう返した。

「ランドモス様、僕に興味を持って頂けたのはありがたいのですが、僕は特に突出するべきものはありません。成績は少しいい方だとは思いますが、決して顔が整っているわけでもありませんし、面白みがあるわけでもありません。なので、ランドモス様の期待に添えるような人物ではないかと思います。僕は、もっと見目の良い方がランドモス様に相応しいと思います。是非、その様な方をお選びください。」

しかし、ランドモスは暫く考えると

「正直言うと見た目に関してはトルーよりバイオレットの方が優れているね。」

「でしょう?
(だから、ヒロインを選んでくれ!)」

「…しかし、僕はトルーがいいな。」

「(いや、だからなんで!?)」

「…なんて言ったらいいのかな?トルーといると空気感?って言うのかな?それが凄く良くて、一緒にいると居心地がいいんだ。」

「(…いや、それは僕が元々このゲームにいない人物だから、空気みたいに存在感が無いってことなんだよ!)」
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