悪役令嬢の弟

ミイ

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4. かくれんぼ

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イモーテルの反応を不思議に思いながらも腰を抱いててもらう。

「(ん~何もないなぁ…それより…。)
イモーテル…そんなにガッチリ掴んでなくてもいいよ?」

イモーテルはこれでもか!というくらい僕の腰を鷲掴みにしている。

痛くはないのだが、腰を持っててくれるだけで良いのに腕全体で腰を持ち、イモーテルの頰がほとんど僕の背中に付いてしまっている状態だ。

「いえ!トルー様に何かあってはいけませんから!」とイモーテルはハッキリとそう告げたが、池を探している僕よりもイモーテルの方が心無しか興奮している。時より「スンッスンッ」と鼻をすする音がして匂いを嗅がれているようだ。

僕は少し気味悪くなり「もうそろそろ良いよ。」と声を掛け、池の淵に腰掛ける。イモーテルを見ると若干ガッカリとした顔をしていた。

「(いや、だからなんで!?)」





それからイモーテルと中庭を散歩し、部屋へ戻って来た。

「(なんにも手掛かりはなかったかぁ…まぁ5歳の僕に何かあるとは思ってなかったけど…でもなんで僕がこの世界に転生したのか理由が知りたい…。だって転生したのなら僕、日本で死んだってことだよね?その時の記憶が一切無いんだけど、それも不思議だ…。生きてる時の姉さんとの会話とか色々覚えてるのに死んだ時のことが思い出せないなんて…。何か意図的に思い出させないようにしてるとか…いやいやなんかそれホントに漫画みたいだし…。まぁ取り敢えずこの世界に来てしまったんだったら仕方ない…没落ルートだけ回避出来るように頑張りますか…。)」

と1人考える。

僕はふと今日からのことを日記に書くことにした。

「(僕が覚えてる限りのゲームのことも書き残しておこう!)」






それから暫く経ち、ブルーマリーとの約束の時間となった。僕は早速ブルーマリーの部屋を訪ねる。

「姉様、トルーです。開けても宜しいですか?」

「はーい。」

扉を開けると椅子に座るブルーマリーと30代後半からくらいの男性が立っていた。

「(この人誰だろ…?さっきまで勉強してたから歴史の先生かな?)」と僕がその男性を見つめているとパチっと目が合う。

その瞬間、その男性は穏やかに微笑み「初めまして、トルー様ですね。私はブルーマリー様に歴史学を教えていますキャロットと申します。以後お見知り置きを。」と自己紹介してくれた。

僕も慌てて「あっ…初めまして、僕はトルー・バルサムです。宜しくお願い致します。」と返す。

「トルー様がもう少し大きくなられましたら私が歴史学をお教えします、こんな可愛らしいお二人を教えることとなるとは…嬉しい限りです。」と笑顔で告げた。

僕がなんて返そうか迷っているとブルーマリーがピョンと立ち上がり「トルー!私と遊びましょ!」と僕の手を取る。

「あっ…はい、姉様。」

僕はキャロット先生にペコッと頭を下げるとブルーマリーと共に部屋を飛び出した。




ブルーマリーはそのまま僕の手を引いて「何から遊びましょうか?かくれんぼ?鬼ごっこ?」とアクティブな遊びを提案してくる。

乙女ゲームの中では既に悪役令嬢としての立場が出来上がっていたので、こんなアクティブなブルーマリーは当たり前だが初めてである。

「じゃあ、かくれんぼは?」と提案すると「いいわよ!」と肯定の返事が返ってきた。

僕としてもこの広い屋敷を探検してみたかったのでちょうど良い。始めに僕が鬼になり、ブルーマリーに隠れてもらうことにした。

「じゃあ10を5回数えたら探しに来てね!」と告げるとブルーマリーは何処かに行ってしまった。

「(5歳児だから、まぁそうか。)」とブルーマリーの申し出に納得し、50まで数える。数え終えると早速、手前のドアから確認を始めた。

ここにブルーマリーが居ないことは既にわかっているが、万が一、人が居ても「かくれんぼしてるんだ。」と言えば大概は許してくれるだろう。

僕は手前のドアをガチャガチャと回し、開いているかどうか確かめる。

しかし、割と扉が開いている部屋は少なく、開いてたとしても倉庫のような扱いしかしていない部屋が多かった。

「(何か面白いモノはないかな~?)」と扉を開けて行く。すると扉を開ける前に廊下に賑やかな笑い声が漏れている部屋があった。

静かに扉を開くと複数の女性が休憩中のようだった。服装からして従者の人達だろう。彼女達の会話に耳を澄ませてみると意外なことが判明した。
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