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第1章
43. 母
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「そうか…王位を継ぐ事に興味はないのか…。」
アーサー様が何故僕の答えに落ち込んでいるのかは分からないが数ヶ月前まで働きたくないと思っていた自分からすれば王太子なんて考えたくもないし選択肢にもない。それよりも情報を!と彼を見るとアーサー様はハァ…と溜息を吐き「では…。」と話し始めた。
「フレディーとは10歳まで通う王都の学院で一緒だった、いわゆる幼馴染みだ。学院を卒業してからは私は騎士団へ、彼は家業を継ぐといって進学はしなかった。」
「家業ですか?」
「ああ、彼の家は男爵家で商いもしていたが画家を多く輩出していた家だったから彼もそれで画家を目指していたのだろう。」
「しかし、もしフレディーさんが画家になっていたとしてもお母様とどう繋がるのか分かりません。」
言い方は悪いかもしれないが画家という職業の人は当時でもたくさん居たはずだ、だったらフレディーさんがお母様と会う確率なんて滅多にない。
「うむ…流石に私もそこまでは分からない。しかしオリビア様はよく街中にお忍びで出て来られる様な方だったと聞いたことがある、その時もしかしたら会ったのかもしれん。」
「そう…ですか。あっ、それで今フレディーさんが何処にいるのかご存知ないですか?」
「いや現在の所在地は知らないんだ。私と彼が連絡を取っていたのは学院を卒業して暫く経った頃までだ。今から何十年と前の話で申し訳ないが。まさか彼に息子がいるとは…それも相手はオリビア様でこうやって訪ねてくるとは…。」
彼は再び僕をマジマジと見つめると「君は母親似だな。」と零す。
あれ…でもオリビア様の存在って無いものとされていたはずなのに何故アーサー様は知ってるんだろう…。
「アーサー様はお母様のことをご存知なのですか?」
「…ああ、私は騎士団に入った後、ある功績を認められ王国騎士団に異動になったのだ。その時、オリビア様のことは何度か見たことがある。」
「母は…!お母様はどんな方だったのですか?」
僕は少しでも母のことが知りたかった、今は文献にも残されず姿絵さえ見たことのない母のことを。
「快活な方だった…お転婆といえば聞こえは悪いが王族らしからぬ出で立ちで毎日をイキイキと過ごしていた様に思う、私が見かけるときは何時も笑顔で暗い表情など見たことはなかった。」
そっか…お母様は幸せだったんだ、良かった。
アーサー様が何故僕の答えに落ち込んでいるのかは分からないが数ヶ月前まで働きたくないと思っていた自分からすれば王太子なんて考えたくもないし選択肢にもない。それよりも情報を!と彼を見るとアーサー様はハァ…と溜息を吐き「では…。」と話し始めた。
「フレディーとは10歳まで通う王都の学院で一緒だった、いわゆる幼馴染みだ。学院を卒業してからは私は騎士団へ、彼は家業を継ぐといって進学はしなかった。」
「家業ですか?」
「ああ、彼の家は男爵家で商いもしていたが画家を多く輩出していた家だったから彼もそれで画家を目指していたのだろう。」
「しかし、もしフレディーさんが画家になっていたとしてもお母様とどう繋がるのか分かりません。」
言い方は悪いかもしれないが画家という職業の人は当時でもたくさん居たはずだ、だったらフレディーさんがお母様と会う確率なんて滅多にない。
「うむ…流石に私もそこまでは分からない。しかしオリビア様はよく街中にお忍びで出て来られる様な方だったと聞いたことがある、その時もしかしたら会ったのかもしれん。」
「そう…ですか。あっ、それで今フレディーさんが何処にいるのかご存知ないですか?」
「いや現在の所在地は知らないんだ。私と彼が連絡を取っていたのは学院を卒業して暫く経った頃までだ。今から何十年と前の話で申し訳ないが。まさか彼に息子がいるとは…それも相手はオリビア様でこうやって訪ねてくるとは…。」
彼は再び僕をマジマジと見つめると「君は母親似だな。」と零す。
あれ…でもオリビア様の存在って無いものとされていたはずなのに何故アーサー様は知ってるんだろう…。
「アーサー様はお母様のことをご存知なのですか?」
「…ああ、私は騎士団に入った後、ある功績を認められ王国騎士団に異動になったのだ。その時、オリビア様のことは何度か見たことがある。」
「母は…!お母様はどんな方だったのですか?」
僕は少しでも母のことが知りたかった、今は文献にも残されず姿絵さえ見たことのない母のことを。
「快活な方だった…お転婆といえば聞こえは悪いが王族らしからぬ出で立ちで毎日をイキイキと過ごしていた様に思う、私が見かけるときは何時も笑顔で暗い表情など見たことはなかった。」
そっか…お母様は幸せだったんだ、良かった。
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