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第1章
36. 馬車
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「はっ、はい~…。」
最後はもう諦めたように返事するしかなかった。
結局、僕がなんの反論も出来ずにいるとノア様は「さぁ出発しよう、準備はいいね。」と僕の腕を掴む。
しかし本当にそれでいいのだろうか。未だに僕は信じられない、こんな将来有望な人を一緒に連れて行っていいのかどうか。
「あっあのノア様、本当に僕と同行するのですか?」
最後の賭けでそう彼に声を掛けたが、ノア様は凛々しい顔で「ああ。」と肯定した。
…そこまで言われたら諦めるしかないのかな…。
そんな想いから僕は彼と共に旅に出る事を決意した。
「オリバー、隣街行きの馬車乗り場はコッチだよ。」
「はい、ノア様。」
僕はノア様に手を引かれながらあれだけ一緒に行くのを渋っていたのが嘘のようにそれを受け入れていた。
最初から認めてしまえば何の弊害もないんだな…。ノア様は僕のことを守ってくれると言うし、最悪ノア様に何かあれば僕が身を呈して守ればいいかと元々楽観的な思考が幸いし特に問題も無く目的地を目指すことが出来た。
それからノア様の助けもあり難なく隣街行きの馬車に乗車する。
「オリバー、お腹が空いたでしょう?さっき露店で買っておいたよ。」
そう言って彼は僕にホットサンドを差し出す。
うわっ、なんて気の利く人なんだ!やっぱりこんな人がモテない筈ない、それなのになんで僕なんだろう…。
やや疑心暗鬼になりながらお礼を言ってそれを受け取る。
「ありがとうございます、遠慮なく頂戴します。」
僕は早速それにパクつくとニコニコ笑っているノア様に笑顔で返した。
それから暫く馬車に揺られていると御者の声により小休憩に入る。
「ノア様、僕はお手洗いに行って参りますがノア様は如何なさいますか?」
「ああ、私も行くことにしよう。」
そう言って二人でお手洗いに行くと入口近くの木の根元で旅の商人らしき人物が商売をしているのが見えた。その男性はこちらに気付くと和かに話し掛けてくる。
「おやおや先程、馬車でご一緒だった旅のお方ではありませんか。どうですか、少し見ていきませんか?」
こんなところでも商売しているのかと驚きつつも指差された商品を見ていくと少し気になるものがある。ジッとそれを見つめているとノア様に「何か欲しい物でもあるの?」と聞かれる。
「あっいえ、ちょっと気になっただけですので大丈夫です。さぁ馬車に戻りましょう。」
僕は何か言おうとするノア様を遮ってその背中を押した。
最後はもう諦めたように返事するしかなかった。
結局、僕がなんの反論も出来ずにいるとノア様は「さぁ出発しよう、準備はいいね。」と僕の腕を掴む。
しかし本当にそれでいいのだろうか。未だに僕は信じられない、こんな将来有望な人を一緒に連れて行っていいのかどうか。
「あっあのノア様、本当に僕と同行するのですか?」
最後の賭けでそう彼に声を掛けたが、ノア様は凛々しい顔で「ああ。」と肯定した。
…そこまで言われたら諦めるしかないのかな…。
そんな想いから僕は彼と共に旅に出る事を決意した。
「オリバー、隣街行きの馬車乗り場はコッチだよ。」
「はい、ノア様。」
僕はノア様に手を引かれながらあれだけ一緒に行くのを渋っていたのが嘘のようにそれを受け入れていた。
最初から認めてしまえば何の弊害もないんだな…。ノア様は僕のことを守ってくれると言うし、最悪ノア様に何かあれば僕が身を呈して守ればいいかと元々楽観的な思考が幸いし特に問題も無く目的地を目指すことが出来た。
それからノア様の助けもあり難なく隣街行きの馬車に乗車する。
「オリバー、お腹が空いたでしょう?さっき露店で買っておいたよ。」
そう言って彼は僕にホットサンドを差し出す。
うわっ、なんて気の利く人なんだ!やっぱりこんな人がモテない筈ない、それなのになんで僕なんだろう…。
やや疑心暗鬼になりながらお礼を言ってそれを受け取る。
「ありがとうございます、遠慮なく頂戴します。」
僕は早速それにパクつくとニコニコ笑っているノア様に笑顔で返した。
それから暫く馬車に揺られていると御者の声により小休憩に入る。
「ノア様、僕はお手洗いに行って参りますがノア様は如何なさいますか?」
「ああ、私も行くことにしよう。」
そう言って二人でお手洗いに行くと入口近くの木の根元で旅の商人らしき人物が商売をしているのが見えた。その男性はこちらに気付くと和かに話し掛けてくる。
「おやおや先程、馬車でご一緒だった旅のお方ではありませんか。どうですか、少し見ていきませんか?」
こんなところでも商売しているのかと驚きつつも指差された商品を見ていくと少し気になるものがある。ジッとそれを見つめているとノア様に「何か欲しい物でもあるの?」と聞かれる。
「あっいえ、ちょっと気になっただけですので大丈夫です。さぁ馬車に戻りましょう。」
僕は何か言おうとするノア様を遮ってその背中を押した。
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