イケメンは観賞用!

ミイ

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第1章

26. 視線

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未だに信じ切れない事実を思いながらジャック様を見つめる。するとふと目線を下に向けていた彼がこちらをチラッと見た。えっ⁉︎と驚きに目を見開くと彼と目があった…気がする。

えっ…今…。

目が合ったような気もしたが、そう思ったのは僕だけではない、周りにいる子達も同じだったようだ。

「今、ジャック様と目が合ったわ!」
「違うわよ、私よ!」
「いや、俺だって!確かに目が合った!」

そんな声が聞こえてくる。少しだけ僕の周りが騒がしくなっていると再び「静粛に。」という声が響いた。その途端に静寂が包む。

やっぱりそう思ったのは僕だけじゃなかったんだ…それにわざわざこんな遠い場所なんてジャック様が見ないよね…。

期待なんかしてはいけない、期待した分そうじゃなかった時が辛い。

そう自分に言い聞かせて再びルイ様の声に耳を傾けた。




それから小一時間ほどして無事、成人の儀を終える。

はぁ~…これで僕はこの街を出るのか…。

自分で決めたこととはいえ、なかなか気が乗らないものだ。何ヶ月も前から決まっていたことなのに今更後悔の念が湧いてくる。

今更やっぱり行きませんとか言い出したらお父様、ガッカリするだろうな…。反対にお兄様とお姉様は喜びそうだけど…。

そんなことをグダグダ考えながら馬車に揺られていると「オリバー、お疲れ様。」とお兄様が声を掛けてくる。

「うん、ありがとうお兄様。無事終わって良かったね。」

するとお姉様も口を開いた。

「そうね、でも途中ジャック様がコッチを見たような気がしたけれど気のせいかしら?」

「あっ、それ私も思ったよ。オリバーのことを見ているのかと思って睨み返してやったけど。」

えっ⁉︎お兄様、なかなかチャレンジャーだな…。

「流石、お兄様ね!私も何か?と見つめ返したけれど。」

お姉様もやめてよ…。

僕は内心、二人の勇気ある行動に溜息を吐きつつオリバーが一番可愛かったという耳の痛い話を聞かされながらようやく帰宅した。






「はぁ~!疲れたー!」

部屋に着くなりベッドにダイブした僕は今日のことを思い返していた。

ジャック様がコッチを見てたのは間違いない気がする…だってお兄様もお姉様も目が合ったみたいなこと言ってたし。でも偶然ってこともあるからなぁ…こんな平凡な僕をジャック様が見るはずないし…。

そんなネガティブな気持ちになりそうなっているとコンコンッと扉がノックされる。
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