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第1章
25. 成人の儀
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そんなことを行きの馬車の中で思い出した僕は小さく溜息を吐いた。しかし、それを目敏く見つけたお兄様に「大丈夫?」と話しかけられ、エッ…と声を上げてしまう。まさか見られていたとは…。流石にお兄様やお姉様に指定された姿絵のことで思い悩んでいるとは言えず結局「はい、緊張しているだけです…。」と僕は曖昧に微笑んだ。
そして漸く成人の儀が行われる会場に辿り着いた。
「うわぁ…。」
やはり王城は一味違う。何人収容出来るのかという程のホールに足を踏み入れると思わず天井を見上げる。
映画の世界みたい…。
僕は周りをキョロキョロ見渡しながら最後かもしれない光景を目に焼き付けた。
キラキラ光るシャンデリアや照明、貴金属をふんだんに使った内装は国の財政が潤っていることを証明している。周りには15歳を迎える男爵以上の位を持つ貴族達が今から始まる儀式に胸弾ませている様子が窺えた。
皆、嬉しいんだろうなぁ…僕は正直、複雑だけど…。ううん!今はジャック様を拝まないと!最後かもしれないんだから!
僕はそう被りを振り今から始まる儀式に集中することにした。お兄様とお姉様も僕の後ろに腰掛け始まりを待っている。
そして少し待っているとファンファーレの音と共に王様とジャック様が登場した。
あっ!ジャック様!!!推しがこんな近くに…!
指定された座席は爵位順に前列となっている為、子爵の自分はそこまで近くないのだがいつも双眼鏡で見ていた自分の推しが肉眼で視界に入る事に感動する。
あっ!ジャック様が手を振って…!カッコいい~!
僕も思わず振り返した。背後からの視線はイタイが今はそんなことを気にしてられない。
「…静粛にお願い致します。只今より成人の儀を執り行います。まず始めに国王様からのお祝いの言葉を頂きます。」
そう言って司会を進めるのは王子様気質のルイ様だ。国王様の挨拶が滞りなく終わり、次は念願のジャック様の番。
「本日はご子息、ご令嬢の成人を心よりお祝い申し上げます。成人を迎えた君達はご両親やお友達などたくさんの人の支えがあったからこそ今があるのだということを忘れずに今後は責任ある行動を取るようにして下さい。そしてこれからは、その支えになってくれた人たちの恩を忘れず立派な貴族として努めていくことを心に留めておいてください。」
彼はそう言い終えると静かに着席した。ジャック様にしては簡素な挨拶ではあったが、こんなものだろうと納得する。
そういえば僕ってジャック様と従兄弟になるんだ…。
そして漸く成人の儀が行われる会場に辿り着いた。
「うわぁ…。」
やはり王城は一味違う。何人収容出来るのかという程のホールに足を踏み入れると思わず天井を見上げる。
映画の世界みたい…。
僕は周りをキョロキョロ見渡しながら最後かもしれない光景を目に焼き付けた。
キラキラ光るシャンデリアや照明、貴金属をふんだんに使った内装は国の財政が潤っていることを証明している。周りには15歳を迎える男爵以上の位を持つ貴族達が今から始まる儀式に胸弾ませている様子が窺えた。
皆、嬉しいんだろうなぁ…僕は正直、複雑だけど…。ううん!今はジャック様を拝まないと!最後かもしれないんだから!
僕はそう被りを振り今から始まる儀式に集中することにした。お兄様とお姉様も僕の後ろに腰掛け始まりを待っている。
そして少し待っているとファンファーレの音と共に王様とジャック様が登場した。
あっ!ジャック様!!!推しがこんな近くに…!
指定された座席は爵位順に前列となっている為、子爵の自分はそこまで近くないのだがいつも双眼鏡で見ていた自分の推しが肉眼で視界に入る事に感動する。
あっ!ジャック様が手を振って…!カッコいい~!
僕も思わず振り返した。背後からの視線はイタイが今はそんなことを気にしてられない。
「…静粛にお願い致します。只今より成人の儀を執り行います。まず始めに国王様からのお祝いの言葉を頂きます。」
そう言って司会を進めるのは王子様気質のルイ様だ。国王様の挨拶が滞りなく終わり、次は念願のジャック様の番。
「本日はご子息、ご令嬢の成人を心よりお祝い申し上げます。成人を迎えた君達はご両親やお友達などたくさんの人の支えがあったからこそ今があるのだということを忘れずに今後は責任ある行動を取るようにして下さい。そしてこれからは、その支えになってくれた人たちの恩を忘れず立派な貴族として努めていくことを心に留めておいてください。」
彼はそう言い終えると静かに着席した。ジャック様にしては簡素な挨拶ではあったが、こんなものだろうと納得する。
そういえば僕ってジャック様と従兄弟になるんだ…。
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