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31. 餌付け

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「ヨウさんは私の種族の特徴をご存知で?」

「…はい、店主に伺いました。」

「そうですか…しかし、いくらなんでも娼夫に対してそんな軽率な真似はしませんよ。相手が番ではない限り。」

「そっ…そうですよね、失礼致しました。
(そうだよね、そんな軽はずみに噛んでたらいっぱい番がいることになっちゃうし。)」

「勿論、ヨウさんが私の番である可能性はありますが、今のところまだ分かりません。これからじっくり身体に慣らしていけばわかるかもしれませんがねっ…!」

とアジョワン様は再び勃ち上がった自身を突き入れると僕の中でゴリゴリと動かす。

「あっ…あんっ…はぁ…。」

「…ココが私の形を覚えるまで咥えましょうね?」

そう言ったアジョワン様の笑顔は今まで見た中で1番綺麗だった。







次の日の朝7時頃、アジョワン様はお店を後にした。なんでも今日もまた仕事があるらしい。僕はそれを見送り、ベッドに突っ伏した。身体はアジョワン様のお陰で痛くはないが心労がハンパない。

「(うぅ~…アジョワン様ってドSだったんだ…言葉攻めが凄いし…恥ずかしいけど興奮しちゃった…!それに久しぶりにバックでされて僕も興奮してイきまくっちゃったし…。あの後、終わるまで何回中に出されたんだろう…?数える余裕もなかったしなぁ…とりあえず僕の中で受け止めきれず溢れるくらいにはヤッちゃったな…。けどアジョワン様、最後はキチンと僕のことイかせてくれる人で良かった~!これが鬼畜な人だったらイかせてもらえないままとかあり得るし…。はぁ~…どうか最後の1人は鬼畜じゃありませんよーに!あっ…そういえば身体中アジョワン様の噛み跡だらけになったんだけど、これ次までに消えるの…?"首には噛みませんが他のところはいいですよね?"って至る所噛まれたんだけど…。)」

僕は休憩もそこそこにアジョワン様のことを報告しにナックスさんの元へ行くことにした。

受付にいたナックスさんに声を掛けると向こうも上機嫌に「お疲れ様です。」と言う。

「ヨウさん、良い仕事をしたみたいですね、アジョワン様がまた来る、と申していましたよ。」

「あっ…そうですか、それは良かったです。
(言葉攻めは良いんだけど焦らされるのがな~…。)」

「あと予約の方も1人ですね、頑張って下さい。ルート様は3人の中では1番お喋り上手な方ですよ。きっと優しくして下さいます。」

「そうなんですね…出来れば朝までしない方だとありがたいです…。」

僕は彼らの魔法によって身体は全て綺麗になっているが、精神的に長時間はしんどいと思っている。

「どうでしょう…1番身体つきがしっかりしてるので体力はありそうですが…まぁその辺りはお客様とお話下さい、それと次にルート様が来られるのは1週間後です。」

その言葉に「よっ…良かった。」と思わず安堵の溜息が出る。

ナックスさんはフフッと笑うと「体力がいる仕事ですからね、しっかり食べてしっかり休んで下さい。」と励ましてくれた。

「ルート様が来られるまでの1週間ですが、また雑用などを手伝ってもらうことになります。なので、前にお渡しした制服を着て明後日9時にまた受付に来て下さい。それと今日と明日はゆっくりと休んで下って構いませんよ。」

「はい…ありがとうございます。」

僕はそう挨拶をすると部屋へと戻り再びベッドに突っ伏した。

「(はぁ~…暫く寝よ…。)」






次に僕が目を覚ましたのは夕方4時頃。

「ふぁ~よく寝た。」

僕はうーんと背伸びをするとゆっくりと身体を起こす。

「(もうすぐお店もオープンか。今の内に晩御飯でも作っちゃお。)」

僕は材料を持ち、キッチンへ行くと珍しく先客がいたのでキョトンとなった。その人は僕が初めてここでカレーを作った時、無視した人だった。

僕は一応「こんにちは。」と声を掛ける。しかし、今回もその人はこちらを見ても無言だった。

「(えぇ~…僕、何もしてないけど嫌われてるのかな…?)」

僕はそれ以上何も言えず、とりあえず材料をテーブルに置き、料理を始める。

「(野菜炒めでいっか。)」

僕はある材料から適量取り、切っては炒めていく。完成品を見ながら「(ホントは白米と食べたい…!)」と思いながらパンと共に口に運ぶ。僕が黙々と食べていると強い視線に気付いた。

さっきの彼が野菜炒めをガン見している。

「あの…食べますか?」

と野菜炒めを指差しながら言うとコクッと頷く。

「(えぇ~それは食べるんだ…。)」と微妙な気持ちになりながら、野菜炒めを差し出す。しかし、フォークが僕の物しかないので、どうすればいいか困ってるようだ。僕は仕方ないな…と自分のフォークに野菜炒めを取り、彼の口の前に差し出す。彼は一瞬驚いた表情となったが、恐る恐る口に含んだ。ゆっくりと咀嚼し、食べ物を嚥下すると彼が無言で口を開いた。

「(えっ…食べさせろってこと…?)」

僕がどうすればいいか固まっていると彼は目線で野菜炒めと僕を交互に見る。暫くその攻防をし、先に観念したのは僕の方だった。僕は結局、彼が満足するまで食べさせ続けることになる。
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