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12. 先輩
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それから暫くナックスさんと話し、僕を猿として登録、そして僕の源氏名は「ヨウ」という話で落ち着いた。
「ヨウさん、これからヨウさんの少し前に入ったチモールを紹介します。何か分からないことがあったらチモールに聞いて下さい。」
「はい、わかりました。
(先輩娼夫ってことね。)」
ナックスさんは1階の一室の扉の前で止まった。
「チモール、起きてますか?ちょっと出てきて下さい。」
「はぁーい。」
と扉の向こうから男の声にしては高い声が聞こえる。
「お客様ですかぁ?」
と扉を開けたのは僕より少し背が高いくらいの可愛らしい少年だった。扉を開けるなり僕と目が合い、コテッと首を傾ける。
「オーナー、お客様ではないですよね?」
「はい、この子は今日入ったヨウです。貴方の後輩になりますからきちんと面倒見てあげてください。」
「へぇ~そうなんですかぁ。わかりました!先輩としてキチンと指導します!」
と敬礼するとナックスさんにニコニコと笑いかける。
「では、お願いしますね。」
そう言ってナックスさんは去っていった。
チモールさんはこちらをパッと見ると「初めまして!」と熱烈なハグをしてくる。
「ん~!僕より小さい子、初めて見た!可愛いね、ヨウ!僕はリスのチモールだよ。宜しくね。さぁ部屋に入って!」
と背中を押される。
中に入るとチモールさんの可愛いらしい雰囲気そのままのレースたっぷりのファンシーな世界が広がっていた。
思わず「うわぁ…。」と言ってしまう。
「どう?ヨウ?可愛いでしょ?僕、昔から可愛いもの好きでさ、集めてたらこんなんになっちゃった!特にコレなんかさ…!」
と暫くチモールさんの可愛い物話に付き合わされ、僕が娼夫の話を聞けたのはこの部屋に入室してから1時間ほど経った頃だった。
「ゴメンね~ヨウ。久しぶりにこの可愛い物達の話が出来ると思うと舞い上がっちゃって。始めにオーナーに説明しようとしたら、どんどん言葉を被せられちゃって説明できなかったんだ~。」
「(ナックスさん…逃げたな。)
いえ、僕も可愛いと思いますよ。流石に集めたりはしないですけど…。」
その瞬間「分かる!?」とチモールさんに両手を握られ迫られた。
「皆、この可愛さを分かってくれないんだよね~、こんなに可愛いのに…。」
とチモールさんは自分のフリフリの服装を見つめる。
「まぁ…なかなか理解されなくても自分がいいと思ったらそれでいいんじゃないですか。」
「そうだよね!ありがとう、ヨウ!そう言ってもらえるとこれからも可愛い物達を集めようって思うよ!ヨウはなんていい後輩なんだろう…あれ?そういえば、僕まだこの娼館のこと説明してないよね?」
「はい…だいたいはナックスさんに聞きましたが、細かいことはチモールさんに聞けと言われました。」
「そっか…わかった。分からないことはその時に逐一教えていくようにするね。ちなみに今知りたいこととかある?」
「そうですね…ナックスさんからこのお店の1番人気の人の情事を見学する、って聞いたんですけど、それってどういうことですか?」
「ああ…それはね、性技が教えてもらえないって言われたでしょ?だから技を盗んで身につけろってことなんだけど、ヨウが知りたいのは見学についてだよね?見学っていっても横で見るわけにいかないから隣の部屋から見るんだよ。その部屋には覗けるように穴が開いてるんだ、だからそこから覗くってこと。あっ、そういえばヨウって経験アリなの?」
「はい。あります。」
「それなら見学もそんなにしなくていいかもね。僕は経験無しでここに来たからよくお世話になったよ。」
「(チモールさん、ここで初めてだったんだ…。)
あの大丈夫でしたか?」
「ん?…ああ、初めての時?凄い違和感があったけど、最後は後ろでもイけたからね、正直才能があるのかと自分でも驚いたよ。」
と笑っている。
「チモールさんはここに来てどれくらいなんですか?」
「僕はここに来て半年くらい。あの可愛い物達を集めたくてお金を借りてたら借金まみれになってた。でも後悔はしてないよ、可愛い物達が大好きだし新たな扉を開いたと思えば軽いもんだよ。」
「(チモールさん…凄いな…。)」
「ヨウはなんでここに?」
「実は事情があって身を隠したくて…。勿論、身を隠すならずっと旅をしてる方がいいって分かってるんですけど、そんな勇気僕にはないですし…。それなら限られた人数しか会わない、それも身を隠せる場所は何処かなって思った時に娼館が浮かんだんです。
(本当は性欲を満たしたいだけだけど…。)」
「そっかぁ…誰に追われてるかは分からないけど、ヨウの身に危険が及ばないことを願うよ。
あとは!食事について説明するね。食事は1階の奥に共同で使える台所があってそこで自炊をするか外食、もしくはお客様と食べに行ってもいいよ。指名がつくとお客様に連れて行ってもらえることが多くなるし。僕もそれで月の半分くらいはお客様と食事してるかな。」
「わかりました。
(これは自炊決定だな…この世界の食事に合わせてたらブクブク太って肥満になりそう…。)」
「あっ!それと1ヶ月間はお手伝いさんみたいに、各部屋の使用済みシーツとか洗濯したりベッドメイキングとかもしないといけないからね!大変だけど、ヨウは辞めないでね!」
とまたしても両手を握られる。
「ヨウさん、これからヨウさんの少し前に入ったチモールを紹介します。何か分からないことがあったらチモールに聞いて下さい。」
「はい、わかりました。
(先輩娼夫ってことね。)」
ナックスさんは1階の一室の扉の前で止まった。
「チモール、起きてますか?ちょっと出てきて下さい。」
「はぁーい。」
と扉の向こうから男の声にしては高い声が聞こえる。
「お客様ですかぁ?」
と扉を開けたのは僕より少し背が高いくらいの可愛らしい少年だった。扉を開けるなり僕と目が合い、コテッと首を傾ける。
「オーナー、お客様ではないですよね?」
「はい、この子は今日入ったヨウです。貴方の後輩になりますからきちんと面倒見てあげてください。」
「へぇ~そうなんですかぁ。わかりました!先輩としてキチンと指導します!」
と敬礼するとナックスさんにニコニコと笑いかける。
「では、お願いしますね。」
そう言ってナックスさんは去っていった。
チモールさんはこちらをパッと見ると「初めまして!」と熱烈なハグをしてくる。
「ん~!僕より小さい子、初めて見た!可愛いね、ヨウ!僕はリスのチモールだよ。宜しくね。さぁ部屋に入って!」
と背中を押される。
中に入るとチモールさんの可愛いらしい雰囲気そのままのレースたっぷりのファンシーな世界が広がっていた。
思わず「うわぁ…。」と言ってしまう。
「どう?ヨウ?可愛いでしょ?僕、昔から可愛いもの好きでさ、集めてたらこんなんになっちゃった!特にコレなんかさ…!」
と暫くチモールさんの可愛い物話に付き合わされ、僕が娼夫の話を聞けたのはこの部屋に入室してから1時間ほど経った頃だった。
「ゴメンね~ヨウ。久しぶりにこの可愛い物達の話が出来ると思うと舞い上がっちゃって。始めにオーナーに説明しようとしたら、どんどん言葉を被せられちゃって説明できなかったんだ~。」
「(ナックスさん…逃げたな。)
いえ、僕も可愛いと思いますよ。流石に集めたりはしないですけど…。」
その瞬間「分かる!?」とチモールさんに両手を握られ迫られた。
「皆、この可愛さを分かってくれないんだよね~、こんなに可愛いのに…。」
とチモールさんは自分のフリフリの服装を見つめる。
「まぁ…なかなか理解されなくても自分がいいと思ったらそれでいいんじゃないですか。」
「そうだよね!ありがとう、ヨウ!そう言ってもらえるとこれからも可愛い物達を集めようって思うよ!ヨウはなんていい後輩なんだろう…あれ?そういえば、僕まだこの娼館のこと説明してないよね?」
「はい…だいたいはナックスさんに聞きましたが、細かいことはチモールさんに聞けと言われました。」
「そっか…わかった。分からないことはその時に逐一教えていくようにするね。ちなみに今知りたいこととかある?」
「そうですね…ナックスさんからこのお店の1番人気の人の情事を見学する、って聞いたんですけど、それってどういうことですか?」
「ああ…それはね、性技が教えてもらえないって言われたでしょ?だから技を盗んで身につけろってことなんだけど、ヨウが知りたいのは見学についてだよね?見学っていっても横で見るわけにいかないから隣の部屋から見るんだよ。その部屋には覗けるように穴が開いてるんだ、だからそこから覗くってこと。あっ、そういえばヨウって経験アリなの?」
「はい。あります。」
「それなら見学もそんなにしなくていいかもね。僕は経験無しでここに来たからよくお世話になったよ。」
「(チモールさん、ここで初めてだったんだ…。)
あの大丈夫でしたか?」
「ん?…ああ、初めての時?凄い違和感があったけど、最後は後ろでもイけたからね、正直才能があるのかと自分でも驚いたよ。」
と笑っている。
「チモールさんはここに来てどれくらいなんですか?」
「僕はここに来て半年くらい。あの可愛い物達を集めたくてお金を借りてたら借金まみれになってた。でも後悔はしてないよ、可愛い物達が大好きだし新たな扉を開いたと思えば軽いもんだよ。」
「(チモールさん…凄いな…。)」
「ヨウはなんでここに?」
「実は事情があって身を隠したくて…。勿論、身を隠すならずっと旅をしてる方がいいって分かってるんですけど、そんな勇気僕にはないですし…。それなら限られた人数しか会わない、それも身を隠せる場所は何処かなって思った時に娼館が浮かんだんです。
(本当は性欲を満たしたいだけだけど…。)」
「そっかぁ…誰に追われてるかは分からないけど、ヨウの身に危険が及ばないことを願うよ。
あとは!食事について説明するね。食事は1階の奥に共同で使える台所があってそこで自炊をするか外食、もしくはお客様と食べに行ってもいいよ。指名がつくとお客様に連れて行ってもらえることが多くなるし。僕もそれで月の半分くらいはお客様と食事してるかな。」
「わかりました。
(これは自炊決定だな…この世界の食事に合わせてたらブクブク太って肥満になりそう…。)」
「あっ!それと1ヶ月間はお手伝いさんみたいに、各部屋の使用済みシーツとか洗濯したりベッドメイキングとかもしないといけないからね!大変だけど、ヨウは辞めないでね!」
とまたしても両手を握られる。
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