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8. 説得
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「リナロエさん、冷静になって下さい。僕はまだ20歳です。
(本当はこの世界で言うと40歳だけど。)」
「分かってる、でも私は将来、番いを選ぶなら料理が美味くて家を護ってくれる人がいいと思っていた。それに私は…ヨッ…ヨースケの裸まで見てしまったし、責任を取らねば…。」
「(えぇ?料理はともかく裸については気にしてないのに…。)
えっ…そんないいですよ!裸を見られたことは不可抗力ですし、気にしてません。それにリナロエさんにはきっと僕なんかより相応しい人が現れますよ。」
しかし、リナロエさんは僕の言ったことはスルーなのか話を続ける。
「ヨースケ…そんなに自分のことを卑下しないでくれ、私はそんな奥ゆかしいところも好きだが…もっと自分に自信を持って欲しい。ヨースケは将来もっと綺麗になるだろうし、私はヨースケが成人するまで待つつもりだ。もし、それまでヨースケが望むなら清い関係を貫いていこう。」
「(えっ…それはそれで僕がマズイんだけど…そんなの耐えれないし…!)
あの…そんなこと急に言われても僕、困ります。それに僕はロータスさんに保護されてる身ですし…。」
なんとか僕は相手を怒らせないようにやんわりと断りの返事をする。
「ああ…そうだったな。じゃあ今日にでもロータスに交渉しよう。ヨースケの保護は私が引き受ける。」
そう言ってリナロエさんは僕の手を握りしめたまま立ち上がった。
あっという間に話が進んでしまう。しかし、そうなると困るのは僕だ。僕は慌てて口を開いたが突然グゥゥゥ~という音が部屋に鳴り響いた。その音は僕のお腹からで、僕が恥ずかしさで顔を赤くしているとリナロエさんが「すまない、まだヨースケは昼食を食べていなかったな。」と咳払いして場の雰囲気を払拭してくれた。
「ご馳走様、ヨースケ、私は仕事に戻る。」
そう告げた彼は空へ飛び立って行った。
僕はそれを見届けるとリビングのソファーに腰掛ける。
「(どうしよう…なんか勝手に話がすすんじゃったんだけど…まぁロータスさんは僕がヒトだってことを知ってるからリナロエさんに僕を保護することを譲るのは無さそうだけど…。てか、僕、この街から出ようと思ってるのにリナロエさんがいたらすぐ見つかっちゃうんじゃ…?)」
その日の夕方、ロータスさんが慌てて帰って来た。
「ヨースケ、無事か!?」
「あっ…ロータスさん、おかえりなさい。はい、大丈夫です。」
「今日、リナロエに会ったのか?急にヨースケを自分のところで保護するって言いだして驚いたぞ。粗方、事情はリナロエから聞いたが、ヨースケから話を聞きたい。」
僕はそう言われ、一緒にソファーに腰掛ける。まず洗濯をしていたらリナロエさんに声を掛けられたこと、裸を見られたこと、お昼をご馳走したことを話し、自分にも何処でリナロエさんのスイッチが入ったのかわからないということを告げた。
「だいたいはリナロエと同じだな…。しかし、アイツはヨースケと結婚する気満々だったぞ。何故だ?」
「いや、それは僕にもよく分かりません…お断りはしたんですが、ハッキリ言わなかったのがダメだったのかも…。」
「そうか…じゃあ明日は俺が休みだから明後日また会った時に俺からハッキリ言っておく。ヨースケがヒトであることは他の人には言えないからな。」
「すみません…よろしくお願いします。」
そして次の日、僕はロータスさんと一緒に近くの街までやってきた。僕は一応、猿ということにしているので顔を隠す必要はないが、心配性のロータスさんは僕がローブを被らないと駄目だと言う。渋々ながらそれに従い、街を案内してもらうことになった。残り数日だが、ロータスさんが仕事に行ってる間、僕は家事全般をやることになり、買い物もその中に含まれている。なので、何処に何のお店があるか今日はそれを教えてもらいに来た。最初は外出することさえ良しとしなかったロータスさんだが、僕が「それならこの家を出て行く!」と半端、脅しのようなワガママを言ったことで了承してくれた。
「ヨースケ、今から食材などを売っている店を案内するが、決して知らない店には入らないこと、怪しい人には着いていかないことを約束してほしい。」
「はい、わかりました。
(まぁ僕、ここでは10歳の子供だしね…。)」
「良し。じゃあ先ず、魚屋から案内する。」
そう言ったロータスさんは魚屋、肉屋、八百屋、雑貨屋などを案内してくれる。
一通り案内し終わったところで僕達はある煌びやかな通りを横切った。
「ロータスさん、あそこは…?」と言うと途端にロータスさんが慌てだし「いいか、ヨースケ!あそこには絶対に近付くんじゃないぞ!」と言ってくる。
「…?はい。」
と僕は答えたが、多分あの辺一帯は娼館などが建ち並ぶ区域なんだろう。チラッとしか見えなかったが建物の入り口にキャッチをしている人やお相手を探す小綺麗な人がいた。
「(………。)」
僕はそのままロータスさんと家に戻り、夕食の準備を始めた。
(本当はこの世界で言うと40歳だけど。)」
「分かってる、でも私は将来、番いを選ぶなら料理が美味くて家を護ってくれる人がいいと思っていた。それに私は…ヨッ…ヨースケの裸まで見てしまったし、責任を取らねば…。」
「(えぇ?料理はともかく裸については気にしてないのに…。)
えっ…そんないいですよ!裸を見られたことは不可抗力ですし、気にしてません。それにリナロエさんにはきっと僕なんかより相応しい人が現れますよ。」
しかし、リナロエさんは僕の言ったことはスルーなのか話を続ける。
「ヨースケ…そんなに自分のことを卑下しないでくれ、私はそんな奥ゆかしいところも好きだが…もっと自分に自信を持って欲しい。ヨースケは将来もっと綺麗になるだろうし、私はヨースケが成人するまで待つつもりだ。もし、それまでヨースケが望むなら清い関係を貫いていこう。」
「(えっ…それはそれで僕がマズイんだけど…そんなの耐えれないし…!)
あの…そんなこと急に言われても僕、困ります。それに僕はロータスさんに保護されてる身ですし…。」
なんとか僕は相手を怒らせないようにやんわりと断りの返事をする。
「ああ…そうだったな。じゃあ今日にでもロータスに交渉しよう。ヨースケの保護は私が引き受ける。」
そう言ってリナロエさんは僕の手を握りしめたまま立ち上がった。
あっという間に話が進んでしまう。しかし、そうなると困るのは僕だ。僕は慌てて口を開いたが突然グゥゥゥ~という音が部屋に鳴り響いた。その音は僕のお腹からで、僕が恥ずかしさで顔を赤くしているとリナロエさんが「すまない、まだヨースケは昼食を食べていなかったな。」と咳払いして場の雰囲気を払拭してくれた。
「ご馳走様、ヨースケ、私は仕事に戻る。」
そう告げた彼は空へ飛び立って行った。
僕はそれを見届けるとリビングのソファーに腰掛ける。
「(どうしよう…なんか勝手に話がすすんじゃったんだけど…まぁロータスさんは僕がヒトだってことを知ってるからリナロエさんに僕を保護することを譲るのは無さそうだけど…。てか、僕、この街から出ようと思ってるのにリナロエさんがいたらすぐ見つかっちゃうんじゃ…?)」
その日の夕方、ロータスさんが慌てて帰って来た。
「ヨースケ、無事か!?」
「あっ…ロータスさん、おかえりなさい。はい、大丈夫です。」
「今日、リナロエに会ったのか?急にヨースケを自分のところで保護するって言いだして驚いたぞ。粗方、事情はリナロエから聞いたが、ヨースケから話を聞きたい。」
僕はそう言われ、一緒にソファーに腰掛ける。まず洗濯をしていたらリナロエさんに声を掛けられたこと、裸を見られたこと、お昼をご馳走したことを話し、自分にも何処でリナロエさんのスイッチが入ったのかわからないということを告げた。
「だいたいはリナロエと同じだな…。しかし、アイツはヨースケと結婚する気満々だったぞ。何故だ?」
「いや、それは僕にもよく分かりません…お断りはしたんですが、ハッキリ言わなかったのがダメだったのかも…。」
「そうか…じゃあ明日は俺が休みだから明後日また会った時に俺からハッキリ言っておく。ヨースケがヒトであることは他の人には言えないからな。」
「すみません…よろしくお願いします。」
そして次の日、僕はロータスさんと一緒に近くの街までやってきた。僕は一応、猿ということにしているので顔を隠す必要はないが、心配性のロータスさんは僕がローブを被らないと駄目だと言う。渋々ながらそれに従い、街を案内してもらうことになった。残り数日だが、ロータスさんが仕事に行ってる間、僕は家事全般をやることになり、買い物もその中に含まれている。なので、何処に何のお店があるか今日はそれを教えてもらいに来た。最初は外出することさえ良しとしなかったロータスさんだが、僕が「それならこの家を出て行く!」と半端、脅しのようなワガママを言ったことで了承してくれた。
「ヨースケ、今から食材などを売っている店を案内するが、決して知らない店には入らないこと、怪しい人には着いていかないことを約束してほしい。」
「はい、わかりました。
(まぁ僕、ここでは10歳の子供だしね…。)」
「良し。じゃあ先ず、魚屋から案内する。」
そう言ったロータスさんは魚屋、肉屋、八百屋、雑貨屋などを案内してくれる。
一通り案内し終わったところで僕達はある煌びやかな通りを横切った。
「ロータスさん、あそこは…?」と言うと途端にロータスさんが慌てだし「いいか、ヨースケ!あそこには絶対に近付くんじゃないぞ!」と言ってくる。
「…?はい。」
と僕は答えたが、多分あの辺一帯は娼館などが建ち並ぶ区域なんだろう。チラッとしか見えなかったが建物の入り口にキャッチをしている人やお相手を探す小綺麗な人がいた。
「(………。)」
僕はそのままロータスさんと家に戻り、夕食の準備を始めた。
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