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第二部
34 全部君にあげる
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程なくして、ルーカスはラーティからクーペを受け取ると、共に円卓に戻った。何事もなかったように二人揃って着座する。
悲惨な状態となった客間を、大勢の使用人たちが忙しなく行き交い、片付けに追われている。
円卓の上はまるで何年も掃除をしていない、埃を被った廃墟のテーブルのように、白い粉状の砂塵が飛散し。ルーカスの膝に座っているクーペが、楽しそうに卓上に手形をつけて遊んでいる。
ルーカスたちの背後には、ガロンを筆頭とした勇者パーティーのメンバーがずらりと並び控え。向かいに座るロザリンドを注視している。
先刻までのルーカスたちのやり取りに、参加できなかったガロン以外のメンバーたち。ドリス、フェリス、そしてバルバーニは特に、警護役として遅れを取ったと責任を感じたようだ。普段から無口で硬質な彼の顔がさらに硬さを増し、二メートルを越える褐色の巨体から、なにやら不穏な念を放っている。
背後に整然と並ぶ、油断すまいと押し黙った彼らの有無を言わさぬ威圧。一片の隙もない。
まるで敵を相手にするようだ。ロザリンドを睨みつける雰囲気の彼らに、やり過ぎてしまった自覚のあるルーカスが「どう関係を修復したものか」と内心冷やついていると、向かいの彼女は穏やかに話し出す。
「元より私は、その子に手を出すつもりはありませんでした」
「というと?」
すると、ルーカスの問い掛けに答えようとしたロザリンドと、卓上にペタペタ手形をつけているクーペの目が合った。途端、息子のおめめが好意的にみるみる大きくなっていく。
お耳がピンとして、目蓋を二、三パチパチしている。
それからジーっと様子を見ている息子に、対するロザリンドはクスリと笑って卓上に手を当てた。
同じく手形をつけた彼女が、その砂塵で白くなった手の平を挨拶代わりにヒラヒラ振ったのを見て、息子は彼女を仲間と思ったようだ。
「きゅいっ」と砂塵で白くなったおててを片方、敬礼するようにビシッと凛々しく、やや斜め上に上げた。また挨拶をしたところからして、彼女をいたく気に入ったらしい。
もしくは初めての友達ができたと思っているのかもしれない。
元気の良い子に育ってくれている。社交性が芽生えてきた息子の頭を、ルーカスは撫でた。
「……そういえば、お前はなかなか大きくならないな」
火山の噴火口で拾ったときは人間の新生児サイズだった。それがここニ年ほどでナディルと同じ二歳児サイズまで成長した。
人間であれば順当に成長していると喜ぶところだ。けれどガロンが独自に調べた古文書の一節によると、クーペの成長はドラゴンにしては遅く、身長もほとんど伸びていないに等しいという。
ましてクーペはカオスドラゴンだ。
本来の成長速度ならば、将来は超重量級のドラゴンとして、既に身の丈三メートルは超えていても不思議ではないそうだ。
最近では二歳児サイズが頭打ちのように、ほとんど成長が止まってしまったようにすら見える。
言われて本人も気になったようだ。「何でだろう?」と、ルーカスの膝で不思議に首を傾げている。
少しして、クーペは頭の角に手をかけた。両のおててで伸ばすように引っ張っている。
成長して身長を伸ばすでなく、力技で身長を高くすることにしたらしい。息子の角が抜けないか心配をしながら見守っていると、角は伸びないと理解したようだ。今度は背中の羽を広げる我が子に、「それは横幅だな」と告げる。
言われて少し混乱したらしい。もう一度角を縦に伸ばしてみたりしている。
そしてとうとう、尻尾の先をルーカスの膝上につけて、体を浮かし、ゆらゆらと尻尾の先っちょだけで器用に立って見せた。
まるで同じ竜系の魔獣タツノオトシウゴのような我が子に「それは全長だな」そう遠慮がちに言うと、クーペはぴょんっと膝から降りた。そしてボロボロになった客間からトコトコ歩いて出ていった。
──しばらくして。いったいどこから引っ張りだしてきたのか、姿を消した息子は大きな麦わら帽子を片手に、引きずりながら戻ってきた。
地面にズリズリと引きずられている帽子に、皆の視線が集中している。後方から「あ、僕の帽子……」とガロンの声がした。
そういえば魔獣小屋で飼育をするときに、彼は汚れてもいい簡素な服に着替えていた。
まるで田舎の農夫のような格好をして、四本爪のフォークで藁を掻き集め、黙々と作業をする。彼の周りには子供の魔獣が集まり、遊びたいと戯れているのを手際よくどかしながら、淡々と掃除と食事の準備を進めていた。そのとき被っていた帽子だと思い出す。
息子はぴょんっとルーカスの膝上に戻ると、その麦わら帽子を頭に乗せた。
得意げにこちらを見上げ、これならきっと母親に褒めてもらえると期待に胸を膨らませる嬉しげな表情……見つめ合い、ルーカスは決断した。何か色々間違ってはいるが、嵩上げを覚えた可愛い息子の努力は認めたい。
そして、一度クーペに持っていかれたものはおそらく返ってこないことを理解しているガロンの、切なく帽子を見る目。「いったいどこに隠していたんだよ」と嘆いている。相当探していたらしい。後で彼に帽子を返さなくては。
「そうか、大きくなったなクーペ」
言うと、クーペは零れ落ちそうなくらいおめめを輝かせ、ガロンが「いやぜんぜん全く大きくなってないから」と首を横に振り。周りのメンバーたちは一様に沈黙を通しているが、事の成り行きに目が離せない様子だ。
ラーティはいつも通り淡々とこちらのやり取りを見ている。荒れた客間であろうと、折り目正しく座るこの人は、滅多に動じることがない。静かなものだ。
けれども常に包容力を感じる。背後を守られているような心地よさに、揺らぐことのない信頼を覚えて彼を見る。すると、腕を組んで考えるようにしながら、顔だけこちらに向けていたラーティが、腕を解いた。
「前々から思っていたのだが……」
「ラーティ様には何か心当たりがおありなのですか?」
沈黙を破り「ああ、」と頷くラーティが、帽子を被ってご機嫌の息子を向く。話し掛けた。
「クーペ、お前……竜の玉はどうした」
ビックリしてクーペがその大きなおめめをみるみる見開いている。
嵩上げしていた帽子をポロリと落とした。帽子がコロコロと床を転がっていく。
それをさり気なくガロンが回収しているのにも気付いていないようだ。そしておそるおそる己の下の方を見た。もしや、大切なものが無くなってしまったのか……と、
「すまない。私の言い方が悪かった。竜玉はどうしたのかと聞いたのだ」
先程から人間くさいクーペの反応を見ても、冷静そのもので受け応える父親と、己の下を見る息子。反応の薄いラーティに代わり、頬をほんのり熱くしながらルーカスが咳払いすると、クーペはようやく視線を上げた。
「それではない」と首を横に振る。クーペはまるで人間の子供のように、「そっか、良かったー」と安心に胸を撫で下ろす。
誤解が解けたようで何よりだ。けれど、よっぽど不安だったのか、クーペは視線をまた自らの下に向けてしまう。
「竜玉はドラゴンにとって力の根源そのものだと聞いたことがあります。どの種類のドラゴンも必ず持っているものだという話ですが……」
両親から注がれる視線に、クーペはラーティからの質問を思い出したようだ。「きゅいっ?」と首を傾げた。これは「竜玉って何?」の反応だ。
ラーティと共に一周ぐるりと傾くクーペを見る。
「ないな」
「ないですね」
もう一度見ようとしたら、クーペも自身を確認することにしたようだ。
両親のすることを真似て、その場で自らの体を調べようとぐるぐる回りだす。
短いおててをいっちにいっちにと振って、掛け声でもかけられているように、短い足でペタペタと。
リズミカルに何周か終えたところで、ただ回っていることに気付かない息子を、ラーティがやんわりと止めた。彼はそのままクーペの両脇の下に手を入れ、持ち上げる。
羽の下、脇の下、足の裏、最後は尻尾を持ち上げてお尻の下。丁寧に、念のため見られるところは全部見る。しかしないものはない。
隣で一緒に確認していたルーカスも、ラーティ同様難しい顔をした。
そもそも竜玉とはどのような玉なのだろうか。サイズは? 形は? 本当に丸いものなのか。
「ないな」
「ないですね」
「ないね」とは言っていないものの、ルーカスたちに合わせて、わかった顔をするクーペをラーティが持ち上げたままでいると──
少し考え事をしていたラーティが、「ん?」と抱き上げている息子を見た。
かいかいかいかいかいかいかいかいかいかい。
「…………」
クーペが頭を後ろ足でかいかいしている。ノミがいるのではなく、最大級に寛いでいるときに、クーペはこの癖が出る。あとは暇だったり、遊びに興味をなくしたときやガロンをからかうときにも、わざとすることがある。
父親に抱き上げられているのに半眼にならないと思っていたら、後方のガロンがやっぱりなという顔をしている。
犬の姿でいた時期が長かった影響だろう。最近は人間のような言動が増えたとはいえ、幼い頃の癖はなかなか抜けるものではない。
息子のかいかいを無言で見つめるラーティ。寛ぐ父子の交流を置いて、息子のペースに呑まれていたロザリンドが口を開く。
「私は昔一度、手を伸ばせば触れられるほど近くで、竜玉を目にする機会に恵まれたことがあります。竜玉は判然たる球体でした。それも個体によって大きさは比例するように見受けられました。おそらくこの子くらいとなるとかなり小さな……手の平サイズのものではないでしょうか」
彼女の話に耳を傾けながら、ルーカスは考えを巡らす。手の平サイズの球体など、クーペが持っているのも遊んでいるのも、やはり見たことはない。
「つまり元よりこの子は竜玉を持っていないと?」
「その可能性がないとも言い切れませんが、普段竜玉は表に出さず、体内にしまい込んでいるそうです。ですのでないと断言するのは早計かと」
となると、あの柔らかそうな腹にしまい込んでいる可能性が高いと、皆思ったらしい。クーペの腹に無言の圧が集中する。
「しかし貴方がたはいつもこうしたやり取りをされていらっしゃるのですか?」
「ん? ああ、基本的にはそうだが」
「そうですか」
「ロザリンド?」
「いいえ、なんでもありませんわ。無粋なことをお訊きしました」
にっこりと爽やかにロザリンドが答える。気のせいか、優しく見守るような目を向けられている気がする。
そこへ、どうやら確認作業に飽きたらしい。ラーティに抱っこされながら、クーペが「きゅーきゅー」鳴きだした。
ルーカスの方を見て、遊びたいと訴えている。クーペは遊び盛りの子供だ。身体検査などつまらないものに意味を見出せる年ではなかった。
……そういえばこの訴えるような鳴き声。
前にも、もっと切羽詰まった声を聞いた覚えがある気がした。
引っ掛かりと疑念を抱えながらラーティから息子を受け取る。
ずっと味方でいてくれた。短いおててで抱きついてくる、出会った頃からあまり変わらない重みを腕に抱いて、よしよしとあやしているうち。鳴き声に、ふと懐かしい記憶が蘇る。
……ああ、そうか。これは。
「ラーティ様……」
「心当たりがあるのか?」
クーペと出会った頃の記憶と、鳴き声の正体が重なり、ルーカスは頷く。
「はい、思い出したのですが。クーペを拾って間もない頃、私が高熱を出して体調を崩したおり、この子がくれたのです」
*
高熱というところでラーティがピクリとしたけれど、ルーカスは気付かない振りをした。あまりその辺りのことを話して、徒に彼の心を傷つけたくない。
「指の先ほどの大きさで一見は白くて丸い……綺麗な果実のように見えました。見覚えのない食べ物でしたが、とにかく飲み込めと促されたもので口にしたのです」
きゅーきゅー必死に鳴く赤ちゃんドラゴンを心配させまいと食したはいいが、高熱で視界は霞み、意識は朦朧としていたのだ。あれが果たして食べ物だったのか、正常な判断が出来ていたかどうか怪しい。
寝込んでいるルーカスの枕元には、毎日甲斐甲斐しく赤ちゃんドラゴンによって食べ物が運び込まれていた。だからてっきり食べ物だと思い込んでいた。
あのときは竜玉だとは夢にも思わなかったが……
「飲み込むとすぐ熱も下がり、体調もよくなりました。ですのでドラゴンが知っている薬草の一種か何かだと思っていたのです」
そういえば産後に治療に当たってくれた腕利きの治療師であるフェリスにも、治りが早いと驚かれた覚えがある。それも竜玉による影響かもしれないとラーティに話しながら、背後に控えるガロンの隣に立つフェリスへ視線を送る。
しかし何故か彼はラーティへ許可を求め、ラーティが「話して構わない」と返答する。
「フェリス? ラーティ様?」
普段は気の強い姉の陰に隠れて、あまり自ら話を振りたがらないフェリスが珍しく前に出た。
「ルーカス、実は俺は産後の治療をほとんど行っていないんだ」
「!」
「若返った貴方の体はこれまで見てきたどの患者とも違う。特異な体質と言うにはその……治りが早すぎるんだ。自力で治したというより、まるで外部から何かしらの支援を受けているように見えた。それに今回の妖精貴族から受けた手傷も、俺が治療するまでもないようだし……」
フォルケにやられた頬や首筋にできた痣が、だいぶ治りかけていることに、言われて気付いた。
戦士を引退して、大怪我とはほぼ無縁に過ごしていたせいもあるのだろう。けれど己の体だというのに、その変化をほとんど感じていなかった驚きにルーカスは目を瞬く。
「俺がしたのは本当に軽く血流を良くした程度で……」
言葉を濁したフェリスに代わり、ラーティが先を続けた。
「ルーカス。フェリスから報告を受けて、出産してすぐのお前に負担をかけない方がいいと彼に黙っているよう命じたのは私だ」
「ラーティ様が……?」
硬い声色に振り向くと、頬をそっと撫でられた。こちらを労る夫の澄んだ瞳が、一心にルーカスへと注がれている。そこで、やにわにロザリンドが呟くのが聞こえてそちらへ視線を移す。
「竜玉を飲み込んだ……」
彼女は変わらずシャンとした姿勢で上品に席に着きながら、しばらく考え耽っていたが、やがて「なるほど」と一呼吸するとルーカスを見た。結論に至ったようだ。
「ルーク、貴方の病を感知させたのが竜玉の力ならば納得できます。呪いが発動していないのは、おそらく全て竜玉の力でしょう」
「しかし最初は大人の拳ほどの玉だったように記憶している。私が食せないと分かると千切って小さく丸め直していたようだが……」
「竜玉を千切って小さく丸め直したあっ!?」
それまで大人しく話を聞いていたガロンが、驚愕に目を剥く。
「クーペは最初、まるごと食べさせようとしていた」そういうと、「だとしても泥団子じゃあるまいし、そんな規格外のやり方聞いたことも見たこともない」と、益々ガロンの顔面が崩か……怖いことになっていく。隣の双子が気遣っているものの、それも届かないようだ。
どのようにしても大きすぎてルーカスが飲み込めなかったので、クーペは「食べないね」と困った末に千切って与えたのだ。
それだけで十分効いたのであとのものはきっとロザリンドの言うとおり、体内に戻したのだろう。
「竜玉はドラゴンの核そのもの。成長と力の源でもあるそれを一部とはいえ失ったということは……まずいな」
魔獣使いのガロンの見解に、ルーカスは思い当たる。
「まさか……この子はもうこれ以上成長できないというのか」
言葉を失う。
深刻な顔をした母親の異変に、クーペは何かを感じたのだろう。甘えるのをやめて、ルーカスの膝から降りた。
円卓に戻された焼き菓子を盛った先程の皿のところへパタパタ飛んでいくと、再び焼き菓子の盛られた皿ごと両手で掴んでルーカスの膝に戻る。そして皿を自身の頭上へ「よいしょ」と持ち上げた。
「全部、くれるのか?」
こちらへ自分の好きなものを全部差し出しながら、クーペはたくさん首を縦に振っている。
火山の噴火口で出会ってからずっと、もはや親と信じて疑わない様子で、母親を慰めようと皿を持ち上げている息子を見る。
知らぬうちに、身を削って助けてくれていた。それも出会ってすぐの段階で、どれだけ信用してくれているのか。
「真名のみにあきたらず、そんな大事なものまでくれていたのかお前は……」
聞くとクーペは焼き菓子のことと勘違いしたようだ「きゅいっ」と鳴いて、さらに持ち上げた。
「すまない」と出そうになるのを辛うじて堪えて、ルーカスは焼き菓子の皿を持ち上げる大切な我が子をギュッと強く抱き締めた。
悲惨な状態となった客間を、大勢の使用人たちが忙しなく行き交い、片付けに追われている。
円卓の上はまるで何年も掃除をしていない、埃を被った廃墟のテーブルのように、白い粉状の砂塵が飛散し。ルーカスの膝に座っているクーペが、楽しそうに卓上に手形をつけて遊んでいる。
ルーカスたちの背後には、ガロンを筆頭とした勇者パーティーのメンバーがずらりと並び控え。向かいに座るロザリンドを注視している。
先刻までのルーカスたちのやり取りに、参加できなかったガロン以外のメンバーたち。ドリス、フェリス、そしてバルバーニは特に、警護役として遅れを取ったと責任を感じたようだ。普段から無口で硬質な彼の顔がさらに硬さを増し、二メートルを越える褐色の巨体から、なにやら不穏な念を放っている。
背後に整然と並ぶ、油断すまいと押し黙った彼らの有無を言わさぬ威圧。一片の隙もない。
まるで敵を相手にするようだ。ロザリンドを睨みつける雰囲気の彼らに、やり過ぎてしまった自覚のあるルーカスが「どう関係を修復したものか」と内心冷やついていると、向かいの彼女は穏やかに話し出す。
「元より私は、その子に手を出すつもりはありませんでした」
「というと?」
すると、ルーカスの問い掛けに答えようとしたロザリンドと、卓上にペタペタ手形をつけているクーペの目が合った。途端、息子のおめめが好意的にみるみる大きくなっていく。
お耳がピンとして、目蓋を二、三パチパチしている。
それからジーっと様子を見ている息子に、対するロザリンドはクスリと笑って卓上に手を当てた。
同じく手形をつけた彼女が、その砂塵で白くなった手の平を挨拶代わりにヒラヒラ振ったのを見て、息子は彼女を仲間と思ったようだ。
「きゅいっ」と砂塵で白くなったおててを片方、敬礼するようにビシッと凛々しく、やや斜め上に上げた。また挨拶をしたところからして、彼女をいたく気に入ったらしい。
もしくは初めての友達ができたと思っているのかもしれない。
元気の良い子に育ってくれている。社交性が芽生えてきた息子の頭を、ルーカスは撫でた。
「……そういえば、お前はなかなか大きくならないな」
火山の噴火口で拾ったときは人間の新生児サイズだった。それがここニ年ほどでナディルと同じ二歳児サイズまで成長した。
人間であれば順当に成長していると喜ぶところだ。けれどガロンが独自に調べた古文書の一節によると、クーペの成長はドラゴンにしては遅く、身長もほとんど伸びていないに等しいという。
ましてクーペはカオスドラゴンだ。
本来の成長速度ならば、将来は超重量級のドラゴンとして、既に身の丈三メートルは超えていても不思議ではないそうだ。
最近では二歳児サイズが頭打ちのように、ほとんど成長が止まってしまったようにすら見える。
言われて本人も気になったようだ。「何でだろう?」と、ルーカスの膝で不思議に首を傾げている。
少しして、クーペは頭の角に手をかけた。両のおててで伸ばすように引っ張っている。
成長して身長を伸ばすでなく、力技で身長を高くすることにしたらしい。息子の角が抜けないか心配をしながら見守っていると、角は伸びないと理解したようだ。今度は背中の羽を広げる我が子に、「それは横幅だな」と告げる。
言われて少し混乱したらしい。もう一度角を縦に伸ばしてみたりしている。
そしてとうとう、尻尾の先をルーカスの膝上につけて、体を浮かし、ゆらゆらと尻尾の先っちょだけで器用に立って見せた。
まるで同じ竜系の魔獣タツノオトシウゴのような我が子に「それは全長だな」そう遠慮がちに言うと、クーペはぴょんっと膝から降りた。そしてボロボロになった客間からトコトコ歩いて出ていった。
──しばらくして。いったいどこから引っ張りだしてきたのか、姿を消した息子は大きな麦わら帽子を片手に、引きずりながら戻ってきた。
地面にズリズリと引きずられている帽子に、皆の視線が集中している。後方から「あ、僕の帽子……」とガロンの声がした。
そういえば魔獣小屋で飼育をするときに、彼は汚れてもいい簡素な服に着替えていた。
まるで田舎の農夫のような格好をして、四本爪のフォークで藁を掻き集め、黙々と作業をする。彼の周りには子供の魔獣が集まり、遊びたいと戯れているのを手際よくどかしながら、淡々と掃除と食事の準備を進めていた。そのとき被っていた帽子だと思い出す。
息子はぴょんっとルーカスの膝上に戻ると、その麦わら帽子を頭に乗せた。
得意げにこちらを見上げ、これならきっと母親に褒めてもらえると期待に胸を膨らませる嬉しげな表情……見つめ合い、ルーカスは決断した。何か色々間違ってはいるが、嵩上げを覚えた可愛い息子の努力は認めたい。
そして、一度クーペに持っていかれたものはおそらく返ってこないことを理解しているガロンの、切なく帽子を見る目。「いったいどこに隠していたんだよ」と嘆いている。相当探していたらしい。後で彼に帽子を返さなくては。
「そうか、大きくなったなクーペ」
言うと、クーペは零れ落ちそうなくらいおめめを輝かせ、ガロンが「いやぜんぜん全く大きくなってないから」と首を横に振り。周りのメンバーたちは一様に沈黙を通しているが、事の成り行きに目が離せない様子だ。
ラーティはいつも通り淡々とこちらのやり取りを見ている。荒れた客間であろうと、折り目正しく座るこの人は、滅多に動じることがない。静かなものだ。
けれども常に包容力を感じる。背後を守られているような心地よさに、揺らぐことのない信頼を覚えて彼を見る。すると、腕を組んで考えるようにしながら、顔だけこちらに向けていたラーティが、腕を解いた。
「前々から思っていたのだが……」
「ラーティ様には何か心当たりがおありなのですか?」
沈黙を破り「ああ、」と頷くラーティが、帽子を被ってご機嫌の息子を向く。話し掛けた。
「クーペ、お前……竜の玉はどうした」
ビックリしてクーペがその大きなおめめをみるみる見開いている。
嵩上げしていた帽子をポロリと落とした。帽子がコロコロと床を転がっていく。
それをさり気なくガロンが回収しているのにも気付いていないようだ。そしておそるおそる己の下の方を見た。もしや、大切なものが無くなってしまったのか……と、
「すまない。私の言い方が悪かった。竜玉はどうしたのかと聞いたのだ」
先程から人間くさいクーペの反応を見ても、冷静そのもので受け応える父親と、己の下を見る息子。反応の薄いラーティに代わり、頬をほんのり熱くしながらルーカスが咳払いすると、クーペはようやく視線を上げた。
「それではない」と首を横に振る。クーペはまるで人間の子供のように、「そっか、良かったー」と安心に胸を撫で下ろす。
誤解が解けたようで何よりだ。けれど、よっぽど不安だったのか、クーペは視線をまた自らの下に向けてしまう。
「竜玉はドラゴンにとって力の根源そのものだと聞いたことがあります。どの種類のドラゴンも必ず持っているものだという話ですが……」
両親から注がれる視線に、クーペはラーティからの質問を思い出したようだ。「きゅいっ?」と首を傾げた。これは「竜玉って何?」の反応だ。
ラーティと共に一周ぐるりと傾くクーペを見る。
「ないな」
「ないですね」
もう一度見ようとしたら、クーペも自身を確認することにしたようだ。
両親のすることを真似て、その場で自らの体を調べようとぐるぐる回りだす。
短いおててをいっちにいっちにと振って、掛け声でもかけられているように、短い足でペタペタと。
リズミカルに何周か終えたところで、ただ回っていることに気付かない息子を、ラーティがやんわりと止めた。彼はそのままクーペの両脇の下に手を入れ、持ち上げる。
羽の下、脇の下、足の裏、最後は尻尾を持ち上げてお尻の下。丁寧に、念のため見られるところは全部見る。しかしないものはない。
隣で一緒に確認していたルーカスも、ラーティ同様難しい顔をした。
そもそも竜玉とはどのような玉なのだろうか。サイズは? 形は? 本当に丸いものなのか。
「ないな」
「ないですね」
「ないね」とは言っていないものの、ルーカスたちに合わせて、わかった顔をするクーペをラーティが持ち上げたままでいると──
少し考え事をしていたラーティが、「ん?」と抱き上げている息子を見た。
かいかいかいかいかいかいかいかいかいかい。
「…………」
クーペが頭を後ろ足でかいかいしている。ノミがいるのではなく、最大級に寛いでいるときに、クーペはこの癖が出る。あとは暇だったり、遊びに興味をなくしたときやガロンをからかうときにも、わざとすることがある。
父親に抱き上げられているのに半眼にならないと思っていたら、後方のガロンがやっぱりなという顔をしている。
犬の姿でいた時期が長かった影響だろう。最近は人間のような言動が増えたとはいえ、幼い頃の癖はなかなか抜けるものではない。
息子のかいかいを無言で見つめるラーティ。寛ぐ父子の交流を置いて、息子のペースに呑まれていたロザリンドが口を開く。
「私は昔一度、手を伸ばせば触れられるほど近くで、竜玉を目にする機会に恵まれたことがあります。竜玉は判然たる球体でした。それも個体によって大きさは比例するように見受けられました。おそらくこの子くらいとなるとかなり小さな……手の平サイズのものではないでしょうか」
彼女の話に耳を傾けながら、ルーカスは考えを巡らす。手の平サイズの球体など、クーペが持っているのも遊んでいるのも、やはり見たことはない。
「つまり元よりこの子は竜玉を持っていないと?」
「その可能性がないとも言い切れませんが、普段竜玉は表に出さず、体内にしまい込んでいるそうです。ですのでないと断言するのは早計かと」
となると、あの柔らかそうな腹にしまい込んでいる可能性が高いと、皆思ったらしい。クーペの腹に無言の圧が集中する。
「しかし貴方がたはいつもこうしたやり取りをされていらっしゃるのですか?」
「ん? ああ、基本的にはそうだが」
「そうですか」
「ロザリンド?」
「いいえ、なんでもありませんわ。無粋なことをお訊きしました」
にっこりと爽やかにロザリンドが答える。気のせいか、優しく見守るような目を向けられている気がする。
そこへ、どうやら確認作業に飽きたらしい。ラーティに抱っこされながら、クーペが「きゅーきゅー」鳴きだした。
ルーカスの方を見て、遊びたいと訴えている。クーペは遊び盛りの子供だ。身体検査などつまらないものに意味を見出せる年ではなかった。
……そういえばこの訴えるような鳴き声。
前にも、もっと切羽詰まった声を聞いた覚えがある気がした。
引っ掛かりと疑念を抱えながらラーティから息子を受け取る。
ずっと味方でいてくれた。短いおててで抱きついてくる、出会った頃からあまり変わらない重みを腕に抱いて、よしよしとあやしているうち。鳴き声に、ふと懐かしい記憶が蘇る。
……ああ、そうか。これは。
「ラーティ様……」
「心当たりがあるのか?」
クーペと出会った頃の記憶と、鳴き声の正体が重なり、ルーカスは頷く。
「はい、思い出したのですが。クーペを拾って間もない頃、私が高熱を出して体調を崩したおり、この子がくれたのです」
*
高熱というところでラーティがピクリとしたけれど、ルーカスは気付かない振りをした。あまりその辺りのことを話して、徒に彼の心を傷つけたくない。
「指の先ほどの大きさで一見は白くて丸い……綺麗な果実のように見えました。見覚えのない食べ物でしたが、とにかく飲み込めと促されたもので口にしたのです」
きゅーきゅー必死に鳴く赤ちゃんドラゴンを心配させまいと食したはいいが、高熱で視界は霞み、意識は朦朧としていたのだ。あれが果たして食べ物だったのか、正常な判断が出来ていたかどうか怪しい。
寝込んでいるルーカスの枕元には、毎日甲斐甲斐しく赤ちゃんドラゴンによって食べ物が運び込まれていた。だからてっきり食べ物だと思い込んでいた。
あのときは竜玉だとは夢にも思わなかったが……
「飲み込むとすぐ熱も下がり、体調もよくなりました。ですのでドラゴンが知っている薬草の一種か何かだと思っていたのです」
そういえば産後に治療に当たってくれた腕利きの治療師であるフェリスにも、治りが早いと驚かれた覚えがある。それも竜玉による影響かもしれないとラーティに話しながら、背後に控えるガロンの隣に立つフェリスへ視線を送る。
しかし何故か彼はラーティへ許可を求め、ラーティが「話して構わない」と返答する。
「フェリス? ラーティ様?」
普段は気の強い姉の陰に隠れて、あまり自ら話を振りたがらないフェリスが珍しく前に出た。
「ルーカス、実は俺は産後の治療をほとんど行っていないんだ」
「!」
「若返った貴方の体はこれまで見てきたどの患者とも違う。特異な体質と言うにはその……治りが早すぎるんだ。自力で治したというより、まるで外部から何かしらの支援を受けているように見えた。それに今回の妖精貴族から受けた手傷も、俺が治療するまでもないようだし……」
フォルケにやられた頬や首筋にできた痣が、だいぶ治りかけていることに、言われて気付いた。
戦士を引退して、大怪我とはほぼ無縁に過ごしていたせいもあるのだろう。けれど己の体だというのに、その変化をほとんど感じていなかった驚きにルーカスは目を瞬く。
「俺がしたのは本当に軽く血流を良くした程度で……」
言葉を濁したフェリスに代わり、ラーティが先を続けた。
「ルーカス。フェリスから報告を受けて、出産してすぐのお前に負担をかけない方がいいと彼に黙っているよう命じたのは私だ」
「ラーティ様が……?」
硬い声色に振り向くと、頬をそっと撫でられた。こちらを労る夫の澄んだ瞳が、一心にルーカスへと注がれている。そこで、やにわにロザリンドが呟くのが聞こえてそちらへ視線を移す。
「竜玉を飲み込んだ……」
彼女は変わらずシャンとした姿勢で上品に席に着きながら、しばらく考え耽っていたが、やがて「なるほど」と一呼吸するとルーカスを見た。結論に至ったようだ。
「ルーク、貴方の病を感知させたのが竜玉の力ならば納得できます。呪いが発動していないのは、おそらく全て竜玉の力でしょう」
「しかし最初は大人の拳ほどの玉だったように記憶している。私が食せないと分かると千切って小さく丸め直していたようだが……」
「竜玉を千切って小さく丸め直したあっ!?」
それまで大人しく話を聞いていたガロンが、驚愕に目を剥く。
「クーペは最初、まるごと食べさせようとしていた」そういうと、「だとしても泥団子じゃあるまいし、そんな規格外のやり方聞いたことも見たこともない」と、益々ガロンの顔面が崩か……怖いことになっていく。隣の双子が気遣っているものの、それも届かないようだ。
どのようにしても大きすぎてルーカスが飲み込めなかったので、クーペは「食べないね」と困った末に千切って与えたのだ。
それだけで十分効いたのであとのものはきっとロザリンドの言うとおり、体内に戻したのだろう。
「竜玉はドラゴンの核そのもの。成長と力の源でもあるそれを一部とはいえ失ったということは……まずいな」
魔獣使いのガロンの見解に、ルーカスは思い当たる。
「まさか……この子はもうこれ以上成長できないというのか」
言葉を失う。
深刻な顔をした母親の異変に、クーペは何かを感じたのだろう。甘えるのをやめて、ルーカスの膝から降りた。
円卓に戻された焼き菓子を盛った先程の皿のところへパタパタ飛んでいくと、再び焼き菓子の盛られた皿ごと両手で掴んでルーカスの膝に戻る。そして皿を自身の頭上へ「よいしょ」と持ち上げた。
「全部、くれるのか?」
こちらへ自分の好きなものを全部差し出しながら、クーペはたくさん首を縦に振っている。
火山の噴火口で出会ってからずっと、もはや親と信じて疑わない様子で、母親を慰めようと皿を持ち上げている息子を見る。
知らぬうちに、身を削って助けてくれていた。それも出会ってすぐの段階で、どれだけ信用してくれているのか。
「真名のみにあきたらず、そんな大事なものまでくれていたのかお前は……」
聞くとクーペは焼き菓子のことと勘違いしたようだ「きゅいっ」と鳴いて、さらに持ち上げた。
「すまない」と出そうになるのを辛うじて堪えて、ルーカスは焼き菓子の皿を持ち上げる大切な我が子をギュッと強く抱き締めた。
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