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本編
11.似た者同士
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──それからまたも数分後、
「マ、マリア~!? これはなんか違うと思うのよぉ~」
「何をおっしゃっているんですかお嬢様! これくらい愛し合う男女の間では普通です」
「普通!? こんなひらっひらした布きれ一枚が普通!?」
「布きれではありません。れっきとした勝負服です」
「しょ、勝負服……で、でもね? これはあまりにもあんまりな気がするのよ~」
エルフリーデは魅惑のボディーで誘惑スタイル(勝負服)の格好で、胸とお尻に手をやって隠しながら涙目でマリアに訴えた。何故なら今エルフリーデが着ている服は、服とはとても呼べない代物だったからだ。
肌の色が透けるくらい薄手のすけすけの生地に、気持ちばかり肩に引っかけられた細い肩紐。それに丈は膝上よりもかなり上で、下手をするとパンツが見えてしまうくらい短い。辛うじて胸の辺りには繊細な作りの刺繍が施されていて少しは肌が隠れるから胸が丸見えにはならないけれど。身体のラインがもろに出ている裸同然の姿にエルフリーデは思わず悲鳴を上げてしまう。そういう経験のないエルフリーデにとってこれはあまりにも刺激的すぎた。
「駄目ですお嬢様。これくらいしないとジュード様の心には響きませんわ」
「でもこんな破廉恥な格好でジュードの前に立ったりなんかしたらむしろわたしジュードに嫌われそうなんだけど……というよりも、自分で選んだバニーガールの格好の方がまだましな気が……」
「それは絶対、ありえません」
「うっ……」
そうしてマリアに泣きついたところでにべもなくバッサリと切られて息が詰まる。
「その格好でお嬢様に抱きつかれでもしたら、ジュード様がお嬢様にムラムラすることはあっても、嫌われる何てそれこそありえませんわ。そもそもそういった格好を嫌う殿方などこの世に存在しません」
む、ムラムラって……あの、マリアさん? と、エルフリーデは自分付きのメイドの言葉に始終困惑させられていた。まさかあの真面目でしっかり者のマリアがこんなにエッチだったとは!
「それと、お嬢様がお選びになったあのバニーガールの格好ですが。一部のそういう趣味の方を除いて、ジュード様の場合はまず間違いなく吹き出されることはあっても、そういう目で見て頂けないのは確かだと思われます」
「……そ、そうなの?」
「はい、コレばかりは間違いありませんわ。わたくしが保証致します」
「…………」
保証されてもね。と、頭の中で突っ込みつつエルフリーデは正直なところどうすればいいのかすごく悩んでいた。
結婚するまで手を出さないジュードに、手出しさせてやろうじゃないの! と心の中で息巻いたものの。どうやらことの大変さがあまり分かっていなかったようだ。こんな恥ずかしい格好をしてジュードの前に出るくらいなら、今までの関係のままの方がましなんじゃないかと次第に思い始めていたところだった。
「お嬢様? まさか、今までの関係のままでいいと思い始めていらっしゃいませんか?」
「はうっ」
さすがはエルフリーデ付きのメイドだけのことはある。マリアはエルフリーデが考えていそうなことなどとっくに見抜いていた。
「別にお嬢様がそれでいいとおっしゃるのなら、わたくしも無理強いはいたしませんわ。ただここで諦めてもお嬢様が後悔なさらないのなら、ですけど」
「…………」
後悔は絶対にする。それは分かりきっていた。このままジュードに手出しされないままでいたら。結婚後もしかしたら本当に、自分の身体に興味がないのではないのだろうか? と、これが原因で悩むことがあるかもしれない。ジュードを心の底から愛しているエルフリーデにはきっとそんなこと耐えられない。
「……やる」
「お嬢様?」
「マリア、わたし頑張る!」
「はい! それでこそわたくしがお世話するお嬢様ですわ!」
両手をグッと握り締めてガッツポーズをきめる二人。このご令嬢にしてこのメイドあり。
エルフリーデのバニーガール姿といい。マリアが選んだこの魅惑のボディーで誘惑スタイル(勝負服)といい。思い切りがよすぎるこの二人は詰まる所、似た者同士ということだった。
「マ、マリア~!? これはなんか違うと思うのよぉ~」
「何をおっしゃっているんですかお嬢様! これくらい愛し合う男女の間では普通です」
「普通!? こんなひらっひらした布きれ一枚が普通!?」
「布きれではありません。れっきとした勝負服です」
「しょ、勝負服……で、でもね? これはあまりにもあんまりな気がするのよ~」
エルフリーデは魅惑のボディーで誘惑スタイル(勝負服)の格好で、胸とお尻に手をやって隠しながら涙目でマリアに訴えた。何故なら今エルフリーデが着ている服は、服とはとても呼べない代物だったからだ。
肌の色が透けるくらい薄手のすけすけの生地に、気持ちばかり肩に引っかけられた細い肩紐。それに丈は膝上よりもかなり上で、下手をするとパンツが見えてしまうくらい短い。辛うじて胸の辺りには繊細な作りの刺繍が施されていて少しは肌が隠れるから胸が丸見えにはならないけれど。身体のラインがもろに出ている裸同然の姿にエルフリーデは思わず悲鳴を上げてしまう。そういう経験のないエルフリーデにとってこれはあまりにも刺激的すぎた。
「駄目ですお嬢様。これくらいしないとジュード様の心には響きませんわ」
「でもこんな破廉恥な格好でジュードの前に立ったりなんかしたらむしろわたしジュードに嫌われそうなんだけど……というよりも、自分で選んだバニーガールの格好の方がまだましな気が……」
「それは絶対、ありえません」
「うっ……」
そうしてマリアに泣きついたところでにべもなくバッサリと切られて息が詰まる。
「その格好でお嬢様に抱きつかれでもしたら、ジュード様がお嬢様にムラムラすることはあっても、嫌われる何てそれこそありえませんわ。そもそもそういった格好を嫌う殿方などこの世に存在しません」
む、ムラムラって……あの、マリアさん? と、エルフリーデは自分付きのメイドの言葉に始終困惑させられていた。まさかあの真面目でしっかり者のマリアがこんなにエッチだったとは!
「それと、お嬢様がお選びになったあのバニーガールの格好ですが。一部のそういう趣味の方を除いて、ジュード様の場合はまず間違いなく吹き出されることはあっても、そういう目で見て頂けないのは確かだと思われます」
「……そ、そうなの?」
「はい、コレばかりは間違いありませんわ。わたくしが保証致します」
「…………」
保証されてもね。と、頭の中で突っ込みつつエルフリーデは正直なところどうすればいいのかすごく悩んでいた。
結婚するまで手を出さないジュードに、手出しさせてやろうじゃないの! と心の中で息巻いたものの。どうやらことの大変さがあまり分かっていなかったようだ。こんな恥ずかしい格好をしてジュードの前に出るくらいなら、今までの関係のままの方がましなんじゃないかと次第に思い始めていたところだった。
「お嬢様? まさか、今までの関係のままでいいと思い始めていらっしゃいませんか?」
「はうっ」
さすがはエルフリーデ付きのメイドだけのことはある。マリアはエルフリーデが考えていそうなことなどとっくに見抜いていた。
「別にお嬢様がそれでいいとおっしゃるのなら、わたくしも無理強いはいたしませんわ。ただここで諦めてもお嬢様が後悔なさらないのなら、ですけど」
「…………」
後悔は絶対にする。それは分かりきっていた。このままジュードに手出しされないままでいたら。結婚後もしかしたら本当に、自分の身体に興味がないのではないのだろうか? と、これが原因で悩むことがあるかもしれない。ジュードを心の底から愛しているエルフリーデにはきっとそんなこと耐えられない。
「……やる」
「お嬢様?」
「マリア、わたし頑張る!」
「はい! それでこそわたくしがお世話するお嬢様ですわ!」
両手をグッと握り締めてガッツポーズをきめる二人。このご令嬢にしてこのメイドあり。
エルフリーデのバニーガール姿といい。マリアが選んだこの魅惑のボディーで誘惑スタイル(勝負服)といい。思い切りがよすぎるこの二人は詰まる所、似た者同士ということだった。
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