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本編
26.知らなければいけないこと
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ジュードを傷付けてしまったことに気が付いて、それが分かって、エルフリーデは夜這いした自分の行動を死ぬほど後悔した。そんなエルフリーデの扱いを持て余して謝罪を続けるジュードに必死で貴方が悪いんじゃないと伝えたかった。自分から挑発して怒って泣いて。自業自得なのにそんなに謝らないでと。なんとか元気になってほしくて自分に出来る最大限の行動で示すと、逆に優しくされてしまって。そうして最後はジュードに甘えてしまった。
結局、朝までジュードはエルフリーデを胸元に抱えたままベッドの上で二人、静かに静寂の中を過ごした。背中や頭を優しく撫でながらジュードは子守歌代わりに時々額や頬に唇を落として寝付きが悪い子供をあやす要領で、エルフリーデの傍に寄り添い続けてくれた。
普段から相当にジュードはエルフリーデと接するとき手加減して触れていてくれたことを、あの時エルフリーデはようやく気が付いた。振りほどけないほどの強い力。あのしなやかな指先の何処にそんな力があるのだろうと思うくらい、ジュードは男の人で強くて怖かった。
今までだってちゃんとジュードのことを男だと認識してきたはずだったのに……と。つまるところエルフリーデはジュードに男の部分を感じて、知らなかったジュードを知って、怖くなって逃げだそうとしてしまったということだった。それを最終結論としてエルフリーデはようやく理解した。
「お嬢さま。初めての時は誰もが怖いと思うものですわ。ですがそれを恥じる必要など少しもないのですよ?」
「あのね、実はマリアそのことなんだけど……わたしちゃんと知りたいの何をするのか」
「……お嬢様本当にお知りになりたいんですか?」
「うん、わたしジュードが何をしたいのか知らなきゃいけない気がするの。じゃないとまた怖くなってその……」
逃げ出したくなるかも知れない。知っても逃げ出したくなりそうだけど、知っていれば少しはジュードを理解することが出来るかも知れない。もっと上手に受け入れることが出来るかも知れない。
「分かりました。そうまでお嬢様がおっしゃるのなら」
「ありがとうマリア」
こうしてエルフリーデは知らなかったことをちゃんとマリアに教えてもらった。
◇◇◇◇
マリアは愛する行為についてエルフリーデに説明しながら、大人の階段を少しずつエルフリーデのペースでゆっくりと上っていけばいい。焦らなくてもいいのだとエルフリーデに言い聞かせた。
そうでもしないと目の前で顔を真っ赤にさせながらマリアの説明を聞いているエルフリーデが、何かを思い立っていつものように突っ走り怪我でもしそうで心配だったからだ。
「そっ、そんなことしなくちゃいけないのっ!?」
「はい、夫婦となるからにはみんなしていることですわ」
「……と、言うことは、わたしそんなことしてって今までジュードに迫っていたわけ?」
「そうですわね」
手出しさせてやろうじゃないの! と、そう意気込んでいた自分が恥ずかしい。エルフリーデは恥も外聞もないこれまでの行動を思い出して、顔がますます赤くなっていくのを感じながらものすごく落ち込んだ。
「じゅ、ジュードもわたしとそういうことしたいのかな……?」
「当然ですわ。お嬢様、ジュード様は確かに殿方にしては大変お綺麗ですけれど、いくら綺麗でもジュード様も男ですから、お嬢様にそうなさりたいと当然お思いになっていらっしゃるに決まっています」
「…………」
ジュードがずっと綿菓子のように甘く、ふわふわした優しい揺り籠の中にエルフリーデを沢山の愛情で包んで、大事に大切に接し続けてくれていたことにエルフリーデはようやく気が付いた。
結局、朝までジュードはエルフリーデを胸元に抱えたままベッドの上で二人、静かに静寂の中を過ごした。背中や頭を優しく撫でながらジュードは子守歌代わりに時々額や頬に唇を落として寝付きが悪い子供をあやす要領で、エルフリーデの傍に寄り添い続けてくれた。
普段から相当にジュードはエルフリーデと接するとき手加減して触れていてくれたことを、あの時エルフリーデはようやく気が付いた。振りほどけないほどの強い力。あのしなやかな指先の何処にそんな力があるのだろうと思うくらい、ジュードは男の人で強くて怖かった。
今までだってちゃんとジュードのことを男だと認識してきたはずだったのに……と。つまるところエルフリーデはジュードに男の部分を感じて、知らなかったジュードを知って、怖くなって逃げだそうとしてしまったということだった。それを最終結論としてエルフリーデはようやく理解した。
「お嬢さま。初めての時は誰もが怖いと思うものですわ。ですがそれを恥じる必要など少しもないのですよ?」
「あのね、実はマリアそのことなんだけど……わたしちゃんと知りたいの何をするのか」
「……お嬢様本当にお知りになりたいんですか?」
「うん、わたしジュードが何をしたいのか知らなきゃいけない気がするの。じゃないとまた怖くなってその……」
逃げ出したくなるかも知れない。知っても逃げ出したくなりそうだけど、知っていれば少しはジュードを理解することが出来るかも知れない。もっと上手に受け入れることが出来るかも知れない。
「分かりました。そうまでお嬢様がおっしゃるのなら」
「ありがとうマリア」
こうしてエルフリーデは知らなかったことをちゃんとマリアに教えてもらった。
◇◇◇◇
マリアは愛する行為についてエルフリーデに説明しながら、大人の階段を少しずつエルフリーデのペースでゆっくりと上っていけばいい。焦らなくてもいいのだとエルフリーデに言い聞かせた。
そうでもしないと目の前で顔を真っ赤にさせながらマリアの説明を聞いているエルフリーデが、何かを思い立っていつものように突っ走り怪我でもしそうで心配だったからだ。
「そっ、そんなことしなくちゃいけないのっ!?」
「はい、夫婦となるからにはみんなしていることですわ」
「……と、言うことは、わたしそんなことしてって今までジュードに迫っていたわけ?」
「そうですわね」
手出しさせてやろうじゃないの! と、そう意気込んでいた自分が恥ずかしい。エルフリーデは恥も外聞もないこれまでの行動を思い出して、顔がますます赤くなっていくのを感じながらものすごく落ち込んだ。
「じゅ、ジュードもわたしとそういうことしたいのかな……?」
「当然ですわ。お嬢様、ジュード様は確かに殿方にしては大変お綺麗ですけれど、いくら綺麗でもジュード様も男ですから、お嬢様にそうなさりたいと当然お思いになっていらっしゃるに決まっています」
「…………」
ジュードがずっと綿菓子のように甘く、ふわふわした優しい揺り籠の中にエルフリーデを沢山の愛情で包んで、大事に大切に接し続けてくれていたことにエルフリーデはようやく気が付いた。
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