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第三章~新妻扱編~
♀077 子作り期間が終わった後で
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子作り期間が終わった後も続くエッチの合間にやっと身体の繋がりが解かれて、解放されたと思っていたら。またフェルディナンが私の花弁に指先を滑り込ませて、その中をぐちゅぐちゅと掻きまわし始めた。
「ひっ……フェルディナンだめぇっ!」
私の秘所で蠢くフェルディナンの武骨な大人の男の手を両手で押さえて、私は必死に止めた。そうしてフェルディナンの手を押さえても、私の力など少しも通用していないようで、フェルディナンは指の根元まで深く埋め込みながら出し入れを繰り返す。
「……あっ……だめだって……やぁんっ! ……っ……ん~!」
すると少ししてフェルディナンは私の秘所からゆっくりと埋め込んでいた指を引き抜いた。その頃にはぬったりとした透明な液体が私の股間を濡らして尽くしていて艶めかしく鈍い光沢を放っていた。
「んん~っ! ひぅっ……やっ、やだってばぁ!」
ズルッと私の秘所から引き抜かれたフェルディナンの指先は既に私の身体から溢れ出していた愛液でずっぷりと濡れていた。それも、引き抜いた場所から糸を引いて出てきた指をフェルディナンは口に含んでしまう。
「やっぱり月瑠は甘いな……」
「うー……フェルディナンのエッチっ! きらい! だいっきら――」
「――指だけでこんなに此処を濡らしているのに嫌いなのか?」
そういってフェルディナンはふっと優しく笑うと、私の秘所に顔を埋めた。温かい舌の侵入に身体が痙攣するようにビクッと反応する。花弁から滴る愛液がシーツを濡らしていくのにも構わずにフェルディナンは愛撫を続けた。
「あっ! だからだめだって……あっあぁっ!」
フェルディナンの口でいかされて私はベッドの上でぐったりと動けなくなってしまった。
「月瑠……」
私の名前を愛おしそうに呼んで近づかれたときにフェルディナンの身体の中心にそそり立つ巨大なモノが見えてしまって、私は思わず顔を赤らめた。その反応を見たフェルディナンが揶揄うような顔をして私の耳元に口を近づけると、そっと耳に響く低い男の声で囁いた。
「今まで数えきれない位これを入れられて、見てきたモノなのに未だに恥ずかしいのか?」
「っ……!」
今日のフェルディナンは子作りの許可が私から下りて自由に出来る分(といっても、もう子作り期間は終わっている)理性が利かなくなっているようで、妙に意地が悪い。多分このままいけば泣いて許しを乞うパターンまっしぐらだろう。それも何時間コースなのか。終わりの見えない行為の連続に疲れているのに、私の身体は現金にもそれを想像するだけで期待に熱くなってしまう。
そんなことを考えてフェルディナンの問いかけに答えず黙っていたら。汗でしっとりと濡れた身体をフェルディナンが私の上に重ねてきた。
「こうして君の反応を見ているのもなかなか楽しいな」
本当に楽しそうに笑って。フェルディナンはその巨大なそそり立つ一物を私の花弁の入り口にヌチャッと擦り付けてくる。
「ひゃんっ! ふぇ、フェルディナンっ! どうしてそういうことを毎回言うの!」
「君がどうしても抵抗して逃げようとするからだろうな」
「……だって、フェルディナンがあんまりエッチだから恥ずかしくなるんだもの……」
「ではどうすれば君は逃げないで大人しく抱かれてくれるんだ?」
まだ行為を止めず続けるつもりらしい。確かに秘所に当てられている一物は力強くドクンドクンと脈打っていて、まだまだ元気だった。むしろまだやり足りないとでもいうように、さらにその厚みを増して挿入の許可が下りるのを待っている。
「ゆ、ゆっくりしてくれるなら逃げない……よ?」
「分かった……」
仕方ないなとフェルディナンが頷いて、その用意されていた一物を花弁に押し当てた。そして私が言った通りゆっくりと花弁を押し広げて中に入ってくる。いつもよりも丁寧に遅すぎると感じるくらいゆっくりと入れられて。まるでこちらが焦らされているような気分になる。
「……ふぁっ……あっ」
膣内の粘液を絡ませながら入り込んできた巨大なモノを最深部まで到達させた後も、フェルディナンは腰の動きを緩やかに時間をかけて突き上げていく。その優しい動きが嬉しくて私はフェルディナンの背中に手を回してギュッと抱きついた。
「月瑠? どうした?」
「んっ……気持ち、いいの。大丈夫だからもっとして?」
「……君は本当に困った人だな」
私の様子を心配して聞いた後も、フェルディナンは絶えず優しく愛撫と挿入を繰り返して。私を愛し続けてくれた。
*******
気付けば早朝――
フェルディナンは満足した顔で私の隣ですやすやと穏やかな寝息を立てている。深い眠りに落ちているその綺麗な顔は、普段の起きている時にはあまり見られない無防備な顔を曝け出していた。こんなフェルディナンの姿を見られるのは私だけだと、内心ふふっと笑って私はその喜びを噛締めた。
フェルディナンの金の髪に触れて撫でると、見た目よりも柔らかい感触に愛しさを感じて私は思わず金の髪に口づけた。
「……好き」
私は何時もこうやって、行為の後に同じ言葉を同じように何百回も繰り返し続けている。フェルディナンの意識がない時を狙って何故愛を語るのか。自分自身でもいまいち理解していない。すでに日課になりつつあるこの行為をフェルディナンが気付く時が来るのだろうか? と私は内心ちょっとだけワクワクする気持ちを止められないでいた。
「……っ……る……?」
そうしてフェルディナンの髪を撫でていた時、フェルディナンが何かを呟いた。
「フェルディナン……?」
何と言ったのか聞こえなくて、私がフェルディナンの口元に耳を近づけて聞き取ろうと試みた時、フェルディナンの逞しい二の腕が私の身体ごと強く引き寄せた。
「えっ? フェルディナン!?」
私とフェルディナンは今服を着ていない状態だった。直接触れ合う形になってしまい。フェルディナンの肌の熱さとその触れる感覚の心地よさを生々しく感じてゾクッと身体が泡立つ。その腕の中で強靭な厚い胸板に頬を当てながら、私はフェルディナンの方へと顔を向けた。
「……起きてたの?」
聞いても返事は返ってこない。とするとこれは……
「まさか……フェルディナン寝ぼけて――きゃっ!」
フェルディナンは私を仰向けに押し倒すと、私の首筋に唇を押し当てて強く吸い付いた。そこは、私がフェルディナンのものだという印のキスマークがある場所。寝ぼけながらもマーキングをしてくるあたり、フェルディナンは相当に独占欲が強い。
「フェルディナン! 起きて! フェルディナンっ!」
私の呼びかけにも反応しないフェルディナンは首筋から唇を離すと、今度はぼんやりとした表情で私を見下ろしてきた。薄っすらと目を開いて不思議そうに何度か瞬きを繰り返すと、その綺麗な紫混じった青い瞳をジッと私に向けたまま動かなくなる。
「どうしたの? フェルディナン起きたの?」
確認のため私は再度話し掛けたが、一向に私の声に反応がないところを見るとまだ寝ぼけているようだ。
そうして寝ぼけているフェルディナンを相手にながらも、身長が180㎝以上ある大柄の軍で鍛え抜かれた筋骨隆々の肉体の檻が、どうしても目に入って来てしまう。またフェルディナンが欲しくなって身体が少し疼き出す。格好いいにも程があるというものだ。
――って……わたし、寝ぼけている相手に何を興奮しているんだろう……
と、少し自制しつつ。私は自分の邪な考えを忘れようと首を横に振ってなんとか平常心を保った。とはいえ、まだぼんやりとした表情で私を見下ろしているフェルディナンの美しさに、私は思わず感嘆の溜息を付いてしまう。やっぱりどう見てもとても46には見えない。
朝の日差しがカーテンの隙間から差し込むのみの薄暗い室内で、私を見下ろして少し身体を浮かせているフェルディナンに、薄ら外から入って来た光が掛かって肉体の凹凸が浮き上がる。そうして朝っぱらから艶めかしく幻想的な肉体美を見せつけられた上、顔もとんでもない美形の美丈夫となれば、もう私は降参するしかない。
とりあえず、目が覚めるまではこのままでいるしかないよね……?
そうして大人しく寝ぼけたフェルディナンの肉体の檻の中に囚われているのも悪くない。何だか可愛いし――と、私はそう楽観的に考えていた。
*******
フェルディナンは朝の眩しい日差しが差し込む中、ぼんやりと私を眺めていた。それも私を仰向けに押し倒したあともその肉体の檻に閉じ込めたまま、小一時間程が経過しようとしているのだが寝ぼけたまま目を覚ます様子を見せないでいる。
紫混じった青い瞳を薄っすらとあけて身体を少し浮かせた状態でフェルディナンは現在に至るまでずっと私を見下ろし続けている。そして見られている私はというと、それにしてもフェルディナンの顔は相変わらず綺麗で目の保養になる。と呑気に考えていた。
何時間この状態が続いても全然平気ね……
まったく嫌だとかそう言った感情は湧いてこない。むしろフェルディナンのこんな姿が見られた事をラッキーだと思ってしまう位、寝ぼけているフェルディナンの美貌と色気は凄まじかった。
とはいえ、この小一時間私はずっと大人しくしていたのだが、流石に我慢の限界が訪れようとしていた。
どうしよう、触りたくてウズウズする……!
フェルディナンの綺麗な顔に触りたくて、実はずっと我慢していたのだ。でも寝ぼけている彼に触れてしまったら、何が起きるか分からないという恐れから静かに囚われの身でおさまっていた。
「……フェルディナン?」
我慢の限界が近いからそろそろ起きてほしいのですが?
と、切実な思いで私はフェルディナンを見上げるも、やはり反応はない。ぼんやり私を見下ろしているだけだ。寝起きはあまり良くない方だという事は知っていたが、寝ぼけた時に此処まで妖艶な姿になるとは知らなかった。
……そしてついに、私は自分の欲望に負けてそっとフェルディナンの頬に疼く指先を伸ばしてしまった。軽く撫でてみると思っていたのと違う反応が返って来た。フェルディナンは私の伸ばした手に自身の顔を押し付けて、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のように気持ちよさそうにスリスリしてきたのだ。
何これ! 何なのこの可愛い生き物はっ!?
私は頬擦りされている手を引っ込めるべきか、それともそのままにしておくべきか、かなり真剣に悩んでしまう。
「フェルディナン……?」
「……ん」
私の声に僅かに反応したものの、未だに寝ぼけたままのフェルディナンに私はどうしたものかと戸惑っていた。綺麗な野生の獣のようなフェルディナンの動きにときめいてしまう。
そんな自分に苦笑しつつ。もう夫婦の間柄でその綺麗な顔も見慣れている筈なのに、何度見てもフェルディナンにときめいてしまうのだから不思議だった。
「フェルディナン、愛してる……」
だからきっと、この先に待ち構えている未来もフェルディナンと一緒なら乗り越えられる。そんな気がしてもう一度思いを言葉にした。
「貴方を愛してる……」
フェルディナンは寝ぼけているからきっと、私が今言っている事を理解はしていない。そう、思っていた。
彼が突然私の唇に唇を重ねてくるまでは。
「……っん! ……ふぁっ……フェル、……っディナ……ちょっ! まっ……んっ」
寝ぼけて襲ってきたフェルディナンに口腔内を強く吸われて、口を完全に塞がれてしまう。深く唇を合わされて舌を絡め取られること数分間、フェルディナンは私の唇を一頻り堪能して満足したのか、ようやく唇を私の唇から離した。
「……俺も愛してる」
返ってこない筈の返事に、私はびっくりして思わずフェルディナンの頬を触る為に伸ばしていたままの手を引っ込めようとして、逆にフェルディナンにガシッと掴まれてしまった。
「起きて、たの?」
「……途中から起きていた」
「途中っていつから?」
フェルディナンはくすっと笑って悪戯を仕掛けて成功した子供のように楽しそうな顔をした。
「何時だと思う?」
「……まさか、最初から起きていた、何て言わないよね?」
「頭はボウッとしていたが、君が何を言っているのかはちゃんと聞こえていた。……君を抱かずに、たまには鑑賞して眺めたままでいるのも悪くない」
「…………」
それって、最初から起きていたってことじゃない!
寝ぼけながらも今までの言動を全てフェルディナンの意識下で見られていたのかと思うと、あまりの気恥ずかしさに私はフェルディナンの顔を真っ向から見る事が出来なかった。
「ひっ……フェルディナンだめぇっ!」
私の秘所で蠢くフェルディナンの武骨な大人の男の手を両手で押さえて、私は必死に止めた。そうしてフェルディナンの手を押さえても、私の力など少しも通用していないようで、フェルディナンは指の根元まで深く埋め込みながら出し入れを繰り返す。
「……あっ……だめだって……やぁんっ! ……っ……ん~!」
すると少ししてフェルディナンは私の秘所からゆっくりと埋め込んでいた指を引き抜いた。その頃にはぬったりとした透明な液体が私の股間を濡らして尽くしていて艶めかしく鈍い光沢を放っていた。
「んん~っ! ひぅっ……やっ、やだってばぁ!」
ズルッと私の秘所から引き抜かれたフェルディナンの指先は既に私の身体から溢れ出していた愛液でずっぷりと濡れていた。それも、引き抜いた場所から糸を引いて出てきた指をフェルディナンは口に含んでしまう。
「やっぱり月瑠は甘いな……」
「うー……フェルディナンのエッチっ! きらい! だいっきら――」
「――指だけでこんなに此処を濡らしているのに嫌いなのか?」
そういってフェルディナンはふっと優しく笑うと、私の秘所に顔を埋めた。温かい舌の侵入に身体が痙攣するようにビクッと反応する。花弁から滴る愛液がシーツを濡らしていくのにも構わずにフェルディナンは愛撫を続けた。
「あっ! だからだめだって……あっあぁっ!」
フェルディナンの口でいかされて私はベッドの上でぐったりと動けなくなってしまった。
「月瑠……」
私の名前を愛おしそうに呼んで近づかれたときにフェルディナンの身体の中心にそそり立つ巨大なモノが見えてしまって、私は思わず顔を赤らめた。その反応を見たフェルディナンが揶揄うような顔をして私の耳元に口を近づけると、そっと耳に響く低い男の声で囁いた。
「今まで数えきれない位これを入れられて、見てきたモノなのに未だに恥ずかしいのか?」
「っ……!」
今日のフェルディナンは子作りの許可が私から下りて自由に出来る分(といっても、もう子作り期間は終わっている)理性が利かなくなっているようで、妙に意地が悪い。多分このままいけば泣いて許しを乞うパターンまっしぐらだろう。それも何時間コースなのか。終わりの見えない行為の連続に疲れているのに、私の身体は現金にもそれを想像するだけで期待に熱くなってしまう。
そんなことを考えてフェルディナンの問いかけに答えず黙っていたら。汗でしっとりと濡れた身体をフェルディナンが私の上に重ねてきた。
「こうして君の反応を見ているのもなかなか楽しいな」
本当に楽しそうに笑って。フェルディナンはその巨大なそそり立つ一物を私の花弁の入り口にヌチャッと擦り付けてくる。
「ひゃんっ! ふぇ、フェルディナンっ! どうしてそういうことを毎回言うの!」
「君がどうしても抵抗して逃げようとするからだろうな」
「……だって、フェルディナンがあんまりエッチだから恥ずかしくなるんだもの……」
「ではどうすれば君は逃げないで大人しく抱かれてくれるんだ?」
まだ行為を止めず続けるつもりらしい。確かに秘所に当てられている一物は力強くドクンドクンと脈打っていて、まだまだ元気だった。むしろまだやり足りないとでもいうように、さらにその厚みを増して挿入の許可が下りるのを待っている。
「ゆ、ゆっくりしてくれるなら逃げない……よ?」
「分かった……」
仕方ないなとフェルディナンが頷いて、その用意されていた一物を花弁に押し当てた。そして私が言った通りゆっくりと花弁を押し広げて中に入ってくる。いつもよりも丁寧に遅すぎると感じるくらいゆっくりと入れられて。まるでこちらが焦らされているような気分になる。
「……ふぁっ……あっ」
膣内の粘液を絡ませながら入り込んできた巨大なモノを最深部まで到達させた後も、フェルディナンは腰の動きを緩やかに時間をかけて突き上げていく。その優しい動きが嬉しくて私はフェルディナンの背中に手を回してギュッと抱きついた。
「月瑠? どうした?」
「んっ……気持ち、いいの。大丈夫だからもっとして?」
「……君は本当に困った人だな」
私の様子を心配して聞いた後も、フェルディナンは絶えず優しく愛撫と挿入を繰り返して。私を愛し続けてくれた。
*******
気付けば早朝――
フェルディナンは満足した顔で私の隣ですやすやと穏やかな寝息を立てている。深い眠りに落ちているその綺麗な顔は、普段の起きている時にはあまり見られない無防備な顔を曝け出していた。こんなフェルディナンの姿を見られるのは私だけだと、内心ふふっと笑って私はその喜びを噛締めた。
フェルディナンの金の髪に触れて撫でると、見た目よりも柔らかい感触に愛しさを感じて私は思わず金の髪に口づけた。
「……好き」
私は何時もこうやって、行為の後に同じ言葉を同じように何百回も繰り返し続けている。フェルディナンの意識がない時を狙って何故愛を語るのか。自分自身でもいまいち理解していない。すでに日課になりつつあるこの行為をフェルディナンが気付く時が来るのだろうか? と私は内心ちょっとだけワクワクする気持ちを止められないでいた。
「……っ……る……?」
そうしてフェルディナンの髪を撫でていた時、フェルディナンが何かを呟いた。
「フェルディナン……?」
何と言ったのか聞こえなくて、私がフェルディナンの口元に耳を近づけて聞き取ろうと試みた時、フェルディナンの逞しい二の腕が私の身体ごと強く引き寄せた。
「えっ? フェルディナン!?」
私とフェルディナンは今服を着ていない状態だった。直接触れ合う形になってしまい。フェルディナンの肌の熱さとその触れる感覚の心地よさを生々しく感じてゾクッと身体が泡立つ。その腕の中で強靭な厚い胸板に頬を当てながら、私はフェルディナンの方へと顔を向けた。
「……起きてたの?」
聞いても返事は返ってこない。とするとこれは……
「まさか……フェルディナン寝ぼけて――きゃっ!」
フェルディナンは私を仰向けに押し倒すと、私の首筋に唇を押し当てて強く吸い付いた。そこは、私がフェルディナンのものだという印のキスマークがある場所。寝ぼけながらもマーキングをしてくるあたり、フェルディナンは相当に独占欲が強い。
「フェルディナン! 起きて! フェルディナンっ!」
私の呼びかけにも反応しないフェルディナンは首筋から唇を離すと、今度はぼんやりとした表情で私を見下ろしてきた。薄っすらと目を開いて不思議そうに何度か瞬きを繰り返すと、その綺麗な紫混じった青い瞳をジッと私に向けたまま動かなくなる。
「どうしたの? フェルディナン起きたの?」
確認のため私は再度話し掛けたが、一向に私の声に反応がないところを見るとまだ寝ぼけているようだ。
そうして寝ぼけているフェルディナンを相手にながらも、身長が180㎝以上ある大柄の軍で鍛え抜かれた筋骨隆々の肉体の檻が、どうしても目に入って来てしまう。またフェルディナンが欲しくなって身体が少し疼き出す。格好いいにも程があるというものだ。
――って……わたし、寝ぼけている相手に何を興奮しているんだろう……
と、少し自制しつつ。私は自分の邪な考えを忘れようと首を横に振ってなんとか平常心を保った。とはいえ、まだぼんやりとした表情で私を見下ろしているフェルディナンの美しさに、私は思わず感嘆の溜息を付いてしまう。やっぱりどう見てもとても46には見えない。
朝の日差しがカーテンの隙間から差し込むのみの薄暗い室内で、私を見下ろして少し身体を浮かせているフェルディナンに、薄ら外から入って来た光が掛かって肉体の凹凸が浮き上がる。そうして朝っぱらから艶めかしく幻想的な肉体美を見せつけられた上、顔もとんでもない美形の美丈夫となれば、もう私は降参するしかない。
とりあえず、目が覚めるまではこのままでいるしかないよね……?
そうして大人しく寝ぼけたフェルディナンの肉体の檻の中に囚われているのも悪くない。何だか可愛いし――と、私はそう楽観的に考えていた。
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フェルディナンは朝の眩しい日差しが差し込む中、ぼんやりと私を眺めていた。それも私を仰向けに押し倒したあともその肉体の檻に閉じ込めたまま、小一時間程が経過しようとしているのだが寝ぼけたまま目を覚ます様子を見せないでいる。
紫混じった青い瞳を薄っすらとあけて身体を少し浮かせた状態でフェルディナンは現在に至るまでずっと私を見下ろし続けている。そして見られている私はというと、それにしてもフェルディナンの顔は相変わらず綺麗で目の保養になる。と呑気に考えていた。
何時間この状態が続いても全然平気ね……
まったく嫌だとかそう言った感情は湧いてこない。むしろフェルディナンのこんな姿が見られた事をラッキーだと思ってしまう位、寝ぼけているフェルディナンの美貌と色気は凄まじかった。
とはいえ、この小一時間私はずっと大人しくしていたのだが、流石に我慢の限界が訪れようとしていた。
どうしよう、触りたくてウズウズする……!
フェルディナンの綺麗な顔に触りたくて、実はずっと我慢していたのだ。でも寝ぼけている彼に触れてしまったら、何が起きるか分からないという恐れから静かに囚われの身でおさまっていた。
「……フェルディナン?」
我慢の限界が近いからそろそろ起きてほしいのですが?
と、切実な思いで私はフェルディナンを見上げるも、やはり反応はない。ぼんやり私を見下ろしているだけだ。寝起きはあまり良くない方だという事は知っていたが、寝ぼけた時に此処まで妖艶な姿になるとは知らなかった。
……そしてついに、私は自分の欲望に負けてそっとフェルディナンの頬に疼く指先を伸ばしてしまった。軽く撫でてみると思っていたのと違う反応が返って来た。フェルディナンは私の伸ばした手に自身の顔を押し付けて、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のように気持ちよさそうにスリスリしてきたのだ。
何これ! 何なのこの可愛い生き物はっ!?
私は頬擦りされている手を引っ込めるべきか、それともそのままにしておくべきか、かなり真剣に悩んでしまう。
「フェルディナン……?」
「……ん」
私の声に僅かに反応したものの、未だに寝ぼけたままのフェルディナンに私はどうしたものかと戸惑っていた。綺麗な野生の獣のようなフェルディナンの動きにときめいてしまう。
そんな自分に苦笑しつつ。もう夫婦の間柄でその綺麗な顔も見慣れている筈なのに、何度見てもフェルディナンにときめいてしまうのだから不思議だった。
「フェルディナン、愛してる……」
だからきっと、この先に待ち構えている未来もフェルディナンと一緒なら乗り越えられる。そんな気がしてもう一度思いを言葉にした。
「貴方を愛してる……」
フェルディナンは寝ぼけているからきっと、私が今言っている事を理解はしていない。そう、思っていた。
彼が突然私の唇に唇を重ねてくるまでは。
「……っん! ……ふぁっ……フェル、……っディナ……ちょっ! まっ……んっ」
寝ぼけて襲ってきたフェルディナンに口腔内を強く吸われて、口を完全に塞がれてしまう。深く唇を合わされて舌を絡め取られること数分間、フェルディナンは私の唇を一頻り堪能して満足したのか、ようやく唇を私の唇から離した。
「……俺も愛してる」
返ってこない筈の返事に、私はびっくりして思わずフェルディナンの頬を触る為に伸ばしていたままの手を引っ込めようとして、逆にフェルディナンにガシッと掴まれてしまった。
「起きて、たの?」
「……途中から起きていた」
「途中っていつから?」
フェルディナンはくすっと笑って悪戯を仕掛けて成功した子供のように楽しそうな顔をした。
「何時だと思う?」
「……まさか、最初から起きていた、何て言わないよね?」
「頭はボウッとしていたが、君が何を言っているのかはちゃんと聞こえていた。……君を抱かずに、たまには鑑賞して眺めたままでいるのも悪くない」
「…………」
それって、最初から起きていたってことじゃない!
寝ぼけながらも今までの言動を全てフェルディナンの意識下で見られていたのかと思うと、あまりの気恥ずかしさに私はフェルディナンの顔を真っ向から見る事が出来なかった。
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