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第二章~恋人扱編~
047 置き土産
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ソファーに座りながら私とイリヤは互いの身体に回した腕をゆっくりと離して、それから慣れ親しんだ親友の様な家族の様な感覚で背中合わせに座っていた。互いの顔を見ていなくても背中越しに伝わって来るイリヤの熱が緊張と不安で固くなった心を次第に溶かしていく。
「……次に来る異邦人はどういう人だろうってずっと思ってた。結良みたいに元気な子かそれとももっと大人で静かな人なのか……色々と想像していたけど」
「けど?」
「想像していたよりもずっと単純で素直で良い子でちょっと驚いたよ。まあ、たまに考え無しに突っ走るところがあるけどお祭り騒ぎみたいで楽しかったし。それに沢山笑わせてくれた。結良がいなくなってからあんなに笑ったのは久々だったよ」
「あのぉ~、イリヤさん? それって褒めてるのか貶されてるのか分からないのですが……」
「一応褒めてるつもりなんだけど」
「そう、ですか……」
何とも言えない複雑な顔で後ろにいるイリヤを振り返ると、それまでの陽気な風貌から真面目なものへとイリヤは表情を切り替えた。
「俺は君を……君達を守る為なら全てを壊しても構わないんだ」
――破壊者、私は以前そう神様から呼ばれた事がある。そして今度はイリヤがその役を担うと言っている。つまりはそう言うことだった。止まらない負の連鎖が続いているような。ずっと見続けている悪夢の中から抜け出せない感覚に気持ちが悪くなる。
でも、それを始めてしまったのは私だ……
「駄目だよイリヤ。貴方はそんな事に関わってはいけないの。これは私の問題でイリヤがそこまでする必要はないんだよ」
これは神様と私が始めた事。本来の乙女ゲーム世界での神様の役割がどういうものだったのかはゲーム初心者で基礎的な知識しか知らない私には分からないけれど。私は本来あるべきシナリオを壊した。今起きている事は本来の乙女ゲーム世界ではなかった筈の展開で未来だ。私が本来の乙女ゲーム世界で起こる予定だったシナリオを大きく逸脱したから今このような事態が起きている。それも最悪の方向へ。
「あのさ、関わってはいけないって何? 私の問題って月瑠は何でも全部背負い過ぎじゃないかな?」
今更そんなこと言われても、とイリヤの顔にしっかり書いてある。
「……それ多分一番言えないのはイリヤの方だと思う」
「俺はいいんだよ」
「えっと、あの良くないですよ……?」
「まったく、大分減らず口を叩けるようになったみたいだね。安心したよ。さっきまでは俺がいなくなったショックで借りてきた猫みたいにしょんぼりしてたのにさ」
「しょ、しょんぼりって……」
「この王室に課せられたものから異邦人を解放する。それが結良の願いでもある。時が止まってしまったかのような時代錯誤の悪政が何時までも蔓延っている何ておかしいだろ? それで大切な人が苦しむのならそんなものはいらない。それを守ろうとする奴等もね。その為に俺は今迄生きてきたのかもしれない」
「私の代わりにイリヤが破壊者を演じるっていうの?」
「……何それ? 何処の言葉?」
あっ、不味い。この世界が乙女ゲーム世界だってこと皆には内緒なのに!
私は18禁乙女ゲームを16歳なのにこっそりやろうとしていたことがバレてエッチなお子様だと思われたくなかった事と、攻略対象キャラを攻略する方法を知っていてそれを実行したのだと濡れ衣を着せられたくなくて隠していた事を一気に思い出した。ゲーム初心者で基礎的な知識しか知らないのにあらぬ誤解を受けたくない。最近この手の話題が少なかったから完全に油断していた。
「……あの、ちょっと思ったんだけど。その王族の制約に結婚したら縛られるってことは、ようは結婚しなければいいんじゃない? 結婚しなくてもそれと同等の生活は出来ると思うのだけど」
内心かなりハラハラしながらも何とか話を誤魔化す為に私はもう一つ疑問に思っていた事をイリヤにぶつけた。
「そう思うよね。でもそうもいかないんだよ」
「どうして?」
「子供を成してしまった場合、王族に連なる者となるべき義務が発生するからね。といっても一般人が王族との間に子供を作ってもこれは当てはまらない。愛人とか妾とかそういう分類に分けられてしまう」
「どうしてなの?」
「釣り合う身分関係じゃなければ王族には入れないからね。王族かそれに近い者。異邦人は身分こそないけど、その存在だけで価値がある。それも世界規模でね。だから王族に入れると認められているから無視はされないってことだよ。価値あるものは取り込むけどそれ以外は排除する。本当に悪政による産物以外の何物でもない制約だよ」
「じゃあ、子供を作らなければ……」
「そう上手くいくと思う? 愛し合ってて好き合ってるのに子供作らないとかさ」
「た、確かに……お互いにいらないっていうなら兎も角。そうじゃないとなかなか気持ちの面では難しいかも」
「だろ?」
「うん……」
何だかちょっと気恥ずかしい会話をしたところでイリヤがソファーから腰を上げた。
「それじゃあ俺はそろそろ行かないと。フェルディナンが帰ってくる頃合いだからね」
「えっ? あっ、あのちょっと待ってイリヤ!」
「んっ?」
イリヤは何時もと同じ気軽な様子でもう行くと言っているけれど本当ならそんな軽口でお別れを言えるような簡単な状況ではない。もう二度と会えなくなる可能性だってある。それなのに……
――どうしてそんな普通でいられるの?
何と言って引き止めればいいのか分からなくて結局はありきたりの言葉しか出てこなかった。
「……イリヤ行かないで、お願い」
「月瑠、ごめんね。でもそれは無理なんだよ」
「どうしても駄目なの? イリヤ、あのね。さっき嫌い何て言ったけどあれ嘘だよ? 本当はすごく好き。だから……」
「俺も月瑠が好きだよ。何度も言ってるでしょ?」
「うん……分かってる。分かってるけどでも」
「ごめん。もう行かないとフェルディナンが帰って来る」
「イリヤっ!」
思わず全力でイリヤにヒシッと抱きついてしまった。
「月瑠、頼むから手を……」
「やだっ!」
言葉に出来ない感覚的な思いばかりが胸中に響いて思わず唸り声を上げながら放すもんか、とイリヤに抱きつく腕に力を入れる。
「……仕方ないな」
フルフルと首を振って涙ぐんでイリヤを見つめる私にイリヤは苦しそうに顔を顰めながら頬を撫でて来る。此処に留まってくれる気になってほしくて必死にイリヤを見つめているとイリヤは私の方を心底困った顔をして見返した。
「月瑠――ごめん」
「イリヤ? 何? どうし……ん――っ!」
何に対してイリヤが謝っているのかその意味が分からなくて伺うような表情を向けると、次の瞬間イリヤは私の唇に自身のものを重ねてきた。
イリヤの胴体に両腕を回していたから反応するのが完全に遅れてしまった。イリヤの唇が私の唇をこじ開けて何かの液体を無理やり飲まされる。息が出来ない位に強く後頭部と腰を掴まれながら唇を押し付けられていては抵抗したくてもどうする事も出来ない。私は殆ど無抵抗に近い状態でコクリと喉を鳴らした。
「……ふぁっ……やぁっ……」
唇の端から漏れる吐息と甘い声ごと飲み込んでイリヤはグッと唇を深く重ねて私の唇を大きく開かせた。液体を飲み切るまでイリヤは無理やり重ねた唇を離さないつもりらしい。暫くしてイリヤの口から移された液体を完全に飲み切るとようやくイリヤの熱い唇が薄っすらと唾液の糸を引きながらゆっくりと離れた。
互いの唇を唾液で濡らしながら切なく瞳を交錯させる。そうしてやっと息が出来るようになったと思ったら、今度は酷い眠気の様な症状に襲われて視界がぐらりと傾いて立っていられなくなる。イリヤの胴体に回している両腕に力の入らない。イリヤは何の苦も無く私の両腕を解くと力なく頽れる私の身体を抱えてそっとソファーの上に横たえた。
「……いり、や、なに……のませ、たの……?」
喉を通った液体の正体が分からないまま次第に意識が遠のいていく。イリヤはぐったりしている私の口の端から飲み切れなくて零れた液体を指先でそっと拭った。
「……これは置き土産だよ」
イリヤは黒い忍び装束のような衣装から白い小瓶を取り出すとソファーの前にあるテーブルにコトンと置いた。テーブルに置かれた時に立った音が少し鈍い。どうやら何か中に入っているようだった。
「それ、は……?」
「フェルディナンが帰って来た時に渡してくれれば分かるよ」
「どう……いう、こ……と?」
不思議そうに尋ねる私にイリヤは口に指を立てて秘密だと暗に示した。
「それともう一つ。これを見てもしフェルディナンが俺を追って来ようとしたら止めてほしいんだ。そうしないと俺はフェルディナンも巻き込んでしまうかもしれないからね。そんなの嫌だしさ」
ソファーに横たわる私を見下ろしているイリヤの表情はとても穏やかで。そこからは怖い位不安や恐怖といった負の感情がない。どことなくスッキリしたような爽やかな印象すらある。
「い、り……や……いかな、……で……」
「本当にごめん……」
そう言って私の額に唇を落とすとイリヤは部屋を出て行った――
*******
私は自分の頬を優しく撫でる大きくて温かい感触にふと目が覚めた。見なくてもそれが誰なのかは分かる。その人の手が触れて来る感触の心地よさにすりすりと頬を寄せながらキュッと両手で掴んで自分の懐に引き寄せた。
「……ん」
「起きたか?」
「……っ? 私……確かソファーにいたはずじゃ……?」
寝惚け眼を擦りながら起きた場所はベッドの上。少し混乱して数度瞬きを繰り返してパチパチしているとチュッと額を形の良い唇で口づけられた。
「どうしたんだ?」
「あっ……フェルディナンお帰りなさい」
「ただいま」
とりあえず挨拶を済ませてから私は重い頭を横に振って瞼を無理やりこじ開けた。私はフェルディナンの武骨な大人の手を両手に掴んで胸元に抱えていた。透けるように薄くて軽い素材の夜着を着てベッドで横になっている私を、フェルディナンがベッドの端に腰を下ろして見下ろしている。
そのとても甘い情景に更なる拍車を掛けているのがフェルディナンの恰好だった。フェルディナンは屋敷を出て行った時に着用していた黒い甲冑とマントを脱いで簡易的な就寝用の服へと着替えを済ませていた。それも長い布を腰と片腕に巻いただけの簡易的過ぎる服装は色気があり過ぎて見る度にこちらの方が赤面してしまう始末だ。下半身は足首辺りまで布で隠れているからいい。問題は上半身だ。片腕を剥き出しにした半ばまで分厚い胸板が見える中途半端な露出は逆にエロい。
私は必死にもう一度頭を振って何とか妄想を鎮めるように心掛けた。
「えーっと、わたし、そういえばどうしたんだっけ? あれっ? 確か私……」
さっきまでイリヤと一緒にいたのに……
その言葉を口にするのは躊躇われて思わず口を閉ざして静かにしているとフェルディナンは私が寝ぼけていると思ったらしい。私に掴まれていない方の手で頬にもう一度触れて来る。
「どうした?」
「あの……」
辺りが薄暗いのは変わらず。濃い闇の中から漂って来る夜の冷たい空気はイリヤがいた時と同じもので――多分、イリヤがいた時の時間帯とそう変わらない。蝋燭に灯された炎も消える事なくそのまま室内を照らしているし、芯の長さもそこまで短くなっていなかった。
イリヤに飲まされたのは効きが弱い眠り薬か何かだったのだろう。そうでなければこんなに早く目が覚めるはずがない。イリヤが屋敷を出てからそんなに時間は経っていないことが何となく分かってきてその大きな喪失感に心が痛くなる。
フェルディナンがもう直ぐ帰って来るって気付いたからイリヤはあの時……
「月瑠?」
フェルディナンに名前を呼ばれても応えられなくて彷徨わせていた視界の端に、ソファーの前にあるテーブルの上に置かれた白い小瓶が入ってきて凍り付いたように身体が動かなくなる。恐れるようにイリヤが残していった白い小瓶を見つめているとフェルディナンが私の視線を辿って同じ処に行きついた。
「あれがどうかしたのか? 屋敷ではあまり見たことのない物のようだが……」
「あのね。フェルディナン怒らないで聞いてくれる?」
「……君がそういう言い方をする時は大抵ろくでもない事がある時だけの様な気がするのだが」
――気のせいか? とフェルディナンは目で問いかけて来る。
「ろ、ろくでもないっ!? はうぅっ~、いえ、あの、でもねフェルディナン。不可抗力というか私の意志ではないというか。何故かそういうことになっちゃって……その、だからね」
「分かったよ。怒らない。だから話してくれないか?」
たどたどしく言い訳を延々と口にしているとやがて諦めたようにフェルディナンが溜息交じりに先を促した。
「本当に怒らない?」
「ああ」
「本当の本当に?」
「本当だ」
念を押すようにしつこい位繰り返し聞いているとフェルディナンが痺れを切らしてベッドから立ち上がった。フェルディナンの重みを失ったベッドがギシッと音を立てながら反発して上下する。その振動が浮遊感と共に伝わって私の身体を少しだけ揺らした。
フェルディナンはスタスタとソファーの前に設置されているテーブルまで行くとその白い小瓶を掴んで私の処に戻ってきた。
「それでこれは何なんだ?」
徐に手にした白い小瓶をスッと私に手渡して問い質す様な厳しい口調で話しながら、その紫混じった青い瞳を逸らすことなく一心に向けて来る。
「中身は私も分からないの。ただイリヤが……」
「イリヤ、だと?」
「はわぁっ! ……あの、その、……うん……そうなんです」
イリヤの名前を聞いた瞬間――フェルディナンの声が怒りを含んだものになる。整い過ぎた美貌に怖い位に影を落としてその上低音で迫力のある声を出されては緊張で声が上擦ってしまう。
「……つまり王城の兵が総出で捜索しても一向に行方の掴めなかったイリヤが、君の前にはあっさりと現れてそれを託して去って行った。そういう事か?」
「はい……」
「先程の君が起きた時の反応からして君はどうしてベッドで寝ていたのか腑に落ちない様子だったが何故だ?」
「それは……」
ううっ、それは私も知りたいです。
厳しい口調で続く詰問にも似た質問に涙が出そうになる。
イリヤに口移しで何かの液体を飲ませられて意識がなくなって気が付いたらこうなっていた。イリヤが私を運んでくれたというのは説明が無くても明らかだ。薬を盛られたような気分で意気消沈していると、フェルディナンに顎を上向かされて互いの目線を合わせられてしまう。
「フェ、フェルディナン?」
「イリヤが今度は君に何をしたんだ?」
「あのぉ~、フェルディナン? ちょっと怖いですよ?」
「小馬鹿にした様に兵士達を煙に巻き。翻弄して。散々好き勝手に動き回り挙句情報を操作して現場を混乱に陥れ。後始末が終わって帰ってきたと思ったら――君の前にあっさりと姿を現していて君に何かしたと言われればな。怒りたくもなる」
お、怒らないって言ったのに――っ!
と、心の中では思ったもののフェルディナンが話すイリヤの所業を聞いていると私は何も言えなくなってしまった。
「い、イリヤは他にも何かしたの?」
「色々とな」
「いろいろって……?」
「イリヤは味方の内は心強いが敵に回すと厄介だからな。そんな事よりも今は君の方が問題だ」
「あ、あのっ!」
「何だ?」
「その話は一旦置いておいて、先にこの小瓶の中身を見ませんか?」
「……月瑠」
「に、逃げませんっ! はぐらかしたりしないからっ! 私がイリヤに何をされた何てことよりも先に……」
「やはり何かされたのか?」
「……く、薬を飲まされて眠ってしまっただけだから大丈夫です」
「薬?」
「うん、液体状のものを飲まされたんだけどでもただの眠り薬とかだと思うから……」
平気だと言い切ろうとしたところでフェルディナンが怖い顔をして近づいてきた。
「液体? 何故そうだとはっきり分かる? それにそれを君はどうやって飲ませられたんだ?」
至極当然の疑問にギクリと身を強張らせてフェルディナンから目を逸らしているのにフェルディナンは遠慮なく核心を突いて来た。
「まさかとは思うが……」
「~~~~っっ!」
フェルディナンの手が唇に伸びてきて私は反射的に口に手を当てて後退してしまった。これでは認めたも同然だ。私の過剰な反応にフェルディナンは紫混じった青い瞳を大きく見開いた。
「彼奴……!」
「あっ! あの! とにかく今は私の事よりもこっちの方が優先!」
物騒な単語を吐き出し兼ねないフェルディナンの追及を振り切って手にした白い小瓶の蓋に手を掛けた。女の私の手にもすっぽり収まるサイズの白い小瓶は大きさの割に少し重みがあるようだ。
「それじゃあ、開けるよ?」
「……ああ」
強引に話を打ち切ってしまった私の問いかけにフェルディナンが仕方なく追及を断念して了承を口にしたのを聞いて、私は白い小瓶の蓋を開けてベッドの横に付いているサイドテーブルの上にトントンと少し出してみた。そうして出てきたのは真っ白な粉だった。
「白い粉? 何これ? お砂糖、な訳ないよね……イリヤはフェルディナンに渡せば分かるって言ってたんだけど……」
手触りはサラサラしている。でも食べ物のようには見えない。なにかもっと別の物質のような感じかして不思議そうに白い粉を眺めている私の横で、フェルディナンがぽつりと呟く声が聞こえてきた。
「遺灰だ……」
「えっ?」
フェルディナンにしては珍しくはっきりと驚きと困惑の入り混じった声に耳を疑う。
「これは結良の遺灰だ」
「!?」
フェルディナンの声が頭の中で静かに響いていくのを私は呆然と聞いていた。
「結良さんの、遺灰……」
色々なショックがいっぺんに襲ってきて頭が何だかグラグラする。白い小瓶をサイドテーブルに置いたまま、私とフェルディナンは少しの間一言も喋らずにそれを眺めていた。
「……次に来る異邦人はどういう人だろうってずっと思ってた。結良みたいに元気な子かそれとももっと大人で静かな人なのか……色々と想像していたけど」
「けど?」
「想像していたよりもずっと単純で素直で良い子でちょっと驚いたよ。まあ、たまに考え無しに突っ走るところがあるけどお祭り騒ぎみたいで楽しかったし。それに沢山笑わせてくれた。結良がいなくなってからあんなに笑ったのは久々だったよ」
「あのぉ~、イリヤさん? それって褒めてるのか貶されてるのか分からないのですが……」
「一応褒めてるつもりなんだけど」
「そう、ですか……」
何とも言えない複雑な顔で後ろにいるイリヤを振り返ると、それまでの陽気な風貌から真面目なものへとイリヤは表情を切り替えた。
「俺は君を……君達を守る為なら全てを壊しても構わないんだ」
――破壊者、私は以前そう神様から呼ばれた事がある。そして今度はイリヤがその役を担うと言っている。つまりはそう言うことだった。止まらない負の連鎖が続いているような。ずっと見続けている悪夢の中から抜け出せない感覚に気持ちが悪くなる。
でも、それを始めてしまったのは私だ……
「駄目だよイリヤ。貴方はそんな事に関わってはいけないの。これは私の問題でイリヤがそこまでする必要はないんだよ」
これは神様と私が始めた事。本来の乙女ゲーム世界での神様の役割がどういうものだったのかはゲーム初心者で基礎的な知識しか知らない私には分からないけれど。私は本来あるべきシナリオを壊した。今起きている事は本来の乙女ゲーム世界ではなかった筈の展開で未来だ。私が本来の乙女ゲーム世界で起こる予定だったシナリオを大きく逸脱したから今このような事態が起きている。それも最悪の方向へ。
「あのさ、関わってはいけないって何? 私の問題って月瑠は何でも全部背負い過ぎじゃないかな?」
今更そんなこと言われても、とイリヤの顔にしっかり書いてある。
「……それ多分一番言えないのはイリヤの方だと思う」
「俺はいいんだよ」
「えっと、あの良くないですよ……?」
「まったく、大分減らず口を叩けるようになったみたいだね。安心したよ。さっきまでは俺がいなくなったショックで借りてきた猫みたいにしょんぼりしてたのにさ」
「しょ、しょんぼりって……」
「この王室に課せられたものから異邦人を解放する。それが結良の願いでもある。時が止まってしまったかのような時代錯誤の悪政が何時までも蔓延っている何ておかしいだろ? それで大切な人が苦しむのならそんなものはいらない。それを守ろうとする奴等もね。その為に俺は今迄生きてきたのかもしれない」
「私の代わりにイリヤが破壊者を演じるっていうの?」
「……何それ? 何処の言葉?」
あっ、不味い。この世界が乙女ゲーム世界だってこと皆には内緒なのに!
私は18禁乙女ゲームを16歳なのにこっそりやろうとしていたことがバレてエッチなお子様だと思われたくなかった事と、攻略対象キャラを攻略する方法を知っていてそれを実行したのだと濡れ衣を着せられたくなくて隠していた事を一気に思い出した。ゲーム初心者で基礎的な知識しか知らないのにあらぬ誤解を受けたくない。最近この手の話題が少なかったから完全に油断していた。
「……あの、ちょっと思ったんだけど。その王族の制約に結婚したら縛られるってことは、ようは結婚しなければいいんじゃない? 結婚しなくてもそれと同等の生活は出来ると思うのだけど」
内心かなりハラハラしながらも何とか話を誤魔化す為に私はもう一つ疑問に思っていた事をイリヤにぶつけた。
「そう思うよね。でもそうもいかないんだよ」
「どうして?」
「子供を成してしまった場合、王族に連なる者となるべき義務が発生するからね。といっても一般人が王族との間に子供を作ってもこれは当てはまらない。愛人とか妾とかそういう分類に分けられてしまう」
「どうしてなの?」
「釣り合う身分関係じゃなければ王族には入れないからね。王族かそれに近い者。異邦人は身分こそないけど、その存在だけで価値がある。それも世界規模でね。だから王族に入れると認められているから無視はされないってことだよ。価値あるものは取り込むけどそれ以外は排除する。本当に悪政による産物以外の何物でもない制約だよ」
「じゃあ、子供を作らなければ……」
「そう上手くいくと思う? 愛し合ってて好き合ってるのに子供作らないとかさ」
「た、確かに……お互いにいらないっていうなら兎も角。そうじゃないとなかなか気持ちの面では難しいかも」
「だろ?」
「うん……」
何だかちょっと気恥ずかしい会話をしたところでイリヤがソファーから腰を上げた。
「それじゃあ俺はそろそろ行かないと。フェルディナンが帰ってくる頃合いだからね」
「えっ? あっ、あのちょっと待ってイリヤ!」
「んっ?」
イリヤは何時もと同じ気軽な様子でもう行くと言っているけれど本当ならそんな軽口でお別れを言えるような簡単な状況ではない。もう二度と会えなくなる可能性だってある。それなのに……
――どうしてそんな普通でいられるの?
何と言って引き止めればいいのか分からなくて結局はありきたりの言葉しか出てこなかった。
「……イリヤ行かないで、お願い」
「月瑠、ごめんね。でもそれは無理なんだよ」
「どうしても駄目なの? イリヤ、あのね。さっき嫌い何て言ったけどあれ嘘だよ? 本当はすごく好き。だから……」
「俺も月瑠が好きだよ。何度も言ってるでしょ?」
「うん……分かってる。分かってるけどでも」
「ごめん。もう行かないとフェルディナンが帰って来る」
「イリヤっ!」
思わず全力でイリヤにヒシッと抱きついてしまった。
「月瑠、頼むから手を……」
「やだっ!」
言葉に出来ない感覚的な思いばかりが胸中に響いて思わず唸り声を上げながら放すもんか、とイリヤに抱きつく腕に力を入れる。
「……仕方ないな」
フルフルと首を振って涙ぐんでイリヤを見つめる私にイリヤは苦しそうに顔を顰めながら頬を撫でて来る。此処に留まってくれる気になってほしくて必死にイリヤを見つめているとイリヤは私の方を心底困った顔をして見返した。
「月瑠――ごめん」
「イリヤ? 何? どうし……ん――っ!」
何に対してイリヤが謝っているのかその意味が分からなくて伺うような表情を向けると、次の瞬間イリヤは私の唇に自身のものを重ねてきた。
イリヤの胴体に両腕を回していたから反応するのが完全に遅れてしまった。イリヤの唇が私の唇をこじ開けて何かの液体を無理やり飲まされる。息が出来ない位に強く後頭部と腰を掴まれながら唇を押し付けられていては抵抗したくてもどうする事も出来ない。私は殆ど無抵抗に近い状態でコクリと喉を鳴らした。
「……ふぁっ……やぁっ……」
唇の端から漏れる吐息と甘い声ごと飲み込んでイリヤはグッと唇を深く重ねて私の唇を大きく開かせた。液体を飲み切るまでイリヤは無理やり重ねた唇を離さないつもりらしい。暫くしてイリヤの口から移された液体を完全に飲み切るとようやくイリヤの熱い唇が薄っすらと唾液の糸を引きながらゆっくりと離れた。
互いの唇を唾液で濡らしながら切なく瞳を交錯させる。そうしてやっと息が出来るようになったと思ったら、今度は酷い眠気の様な症状に襲われて視界がぐらりと傾いて立っていられなくなる。イリヤの胴体に回している両腕に力の入らない。イリヤは何の苦も無く私の両腕を解くと力なく頽れる私の身体を抱えてそっとソファーの上に横たえた。
「……いり、や、なに……のませ、たの……?」
喉を通った液体の正体が分からないまま次第に意識が遠のいていく。イリヤはぐったりしている私の口の端から飲み切れなくて零れた液体を指先でそっと拭った。
「……これは置き土産だよ」
イリヤは黒い忍び装束のような衣装から白い小瓶を取り出すとソファーの前にあるテーブルにコトンと置いた。テーブルに置かれた時に立った音が少し鈍い。どうやら何か中に入っているようだった。
「それ、は……?」
「フェルディナンが帰って来た時に渡してくれれば分かるよ」
「どう……いう、こ……と?」
不思議そうに尋ねる私にイリヤは口に指を立てて秘密だと暗に示した。
「それともう一つ。これを見てもしフェルディナンが俺を追って来ようとしたら止めてほしいんだ。そうしないと俺はフェルディナンも巻き込んでしまうかもしれないからね。そんなの嫌だしさ」
ソファーに横たわる私を見下ろしているイリヤの表情はとても穏やかで。そこからは怖い位不安や恐怖といった負の感情がない。どことなくスッキリしたような爽やかな印象すらある。
「い、り……や……いかな、……で……」
「本当にごめん……」
そう言って私の額に唇を落とすとイリヤは部屋を出て行った――
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私は自分の頬を優しく撫でる大きくて温かい感触にふと目が覚めた。見なくてもそれが誰なのかは分かる。その人の手が触れて来る感触の心地よさにすりすりと頬を寄せながらキュッと両手で掴んで自分の懐に引き寄せた。
「……ん」
「起きたか?」
「……っ? 私……確かソファーにいたはずじゃ……?」
寝惚け眼を擦りながら起きた場所はベッドの上。少し混乱して数度瞬きを繰り返してパチパチしているとチュッと額を形の良い唇で口づけられた。
「どうしたんだ?」
「あっ……フェルディナンお帰りなさい」
「ただいま」
とりあえず挨拶を済ませてから私は重い頭を横に振って瞼を無理やりこじ開けた。私はフェルディナンの武骨な大人の手を両手に掴んで胸元に抱えていた。透けるように薄くて軽い素材の夜着を着てベッドで横になっている私を、フェルディナンがベッドの端に腰を下ろして見下ろしている。
そのとても甘い情景に更なる拍車を掛けているのがフェルディナンの恰好だった。フェルディナンは屋敷を出て行った時に着用していた黒い甲冑とマントを脱いで簡易的な就寝用の服へと着替えを済ませていた。それも長い布を腰と片腕に巻いただけの簡易的過ぎる服装は色気があり過ぎて見る度にこちらの方が赤面してしまう始末だ。下半身は足首辺りまで布で隠れているからいい。問題は上半身だ。片腕を剥き出しにした半ばまで分厚い胸板が見える中途半端な露出は逆にエロい。
私は必死にもう一度頭を振って何とか妄想を鎮めるように心掛けた。
「えーっと、わたし、そういえばどうしたんだっけ? あれっ? 確か私……」
さっきまでイリヤと一緒にいたのに……
その言葉を口にするのは躊躇われて思わず口を閉ざして静かにしているとフェルディナンは私が寝ぼけていると思ったらしい。私に掴まれていない方の手で頬にもう一度触れて来る。
「どうした?」
「あの……」
辺りが薄暗いのは変わらず。濃い闇の中から漂って来る夜の冷たい空気はイリヤがいた時と同じもので――多分、イリヤがいた時の時間帯とそう変わらない。蝋燭に灯された炎も消える事なくそのまま室内を照らしているし、芯の長さもそこまで短くなっていなかった。
イリヤに飲まされたのは効きが弱い眠り薬か何かだったのだろう。そうでなければこんなに早く目が覚めるはずがない。イリヤが屋敷を出てからそんなに時間は経っていないことが何となく分かってきてその大きな喪失感に心が痛くなる。
フェルディナンがもう直ぐ帰って来るって気付いたからイリヤはあの時……
「月瑠?」
フェルディナンに名前を呼ばれても応えられなくて彷徨わせていた視界の端に、ソファーの前にあるテーブルの上に置かれた白い小瓶が入ってきて凍り付いたように身体が動かなくなる。恐れるようにイリヤが残していった白い小瓶を見つめているとフェルディナンが私の視線を辿って同じ処に行きついた。
「あれがどうかしたのか? 屋敷ではあまり見たことのない物のようだが……」
「あのね。フェルディナン怒らないで聞いてくれる?」
「……君がそういう言い方をする時は大抵ろくでもない事がある時だけの様な気がするのだが」
――気のせいか? とフェルディナンは目で問いかけて来る。
「ろ、ろくでもないっ!? はうぅっ~、いえ、あの、でもねフェルディナン。不可抗力というか私の意志ではないというか。何故かそういうことになっちゃって……その、だからね」
「分かったよ。怒らない。だから話してくれないか?」
たどたどしく言い訳を延々と口にしているとやがて諦めたようにフェルディナンが溜息交じりに先を促した。
「本当に怒らない?」
「ああ」
「本当の本当に?」
「本当だ」
念を押すようにしつこい位繰り返し聞いているとフェルディナンが痺れを切らしてベッドから立ち上がった。フェルディナンの重みを失ったベッドがギシッと音を立てながら反発して上下する。その振動が浮遊感と共に伝わって私の身体を少しだけ揺らした。
フェルディナンはスタスタとソファーの前に設置されているテーブルまで行くとその白い小瓶を掴んで私の処に戻ってきた。
「それでこれは何なんだ?」
徐に手にした白い小瓶をスッと私に手渡して問い質す様な厳しい口調で話しながら、その紫混じった青い瞳を逸らすことなく一心に向けて来る。
「中身は私も分からないの。ただイリヤが……」
「イリヤ、だと?」
「はわぁっ! ……あの、その、……うん……そうなんです」
イリヤの名前を聞いた瞬間――フェルディナンの声が怒りを含んだものになる。整い過ぎた美貌に怖い位に影を落としてその上低音で迫力のある声を出されては緊張で声が上擦ってしまう。
「……つまり王城の兵が総出で捜索しても一向に行方の掴めなかったイリヤが、君の前にはあっさりと現れてそれを託して去って行った。そういう事か?」
「はい……」
「先程の君が起きた時の反応からして君はどうしてベッドで寝ていたのか腑に落ちない様子だったが何故だ?」
「それは……」
ううっ、それは私も知りたいです。
厳しい口調で続く詰問にも似た質問に涙が出そうになる。
イリヤに口移しで何かの液体を飲ませられて意識がなくなって気が付いたらこうなっていた。イリヤが私を運んでくれたというのは説明が無くても明らかだ。薬を盛られたような気分で意気消沈していると、フェルディナンに顎を上向かされて互いの目線を合わせられてしまう。
「フェ、フェルディナン?」
「イリヤが今度は君に何をしたんだ?」
「あのぉ~、フェルディナン? ちょっと怖いですよ?」
「小馬鹿にした様に兵士達を煙に巻き。翻弄して。散々好き勝手に動き回り挙句情報を操作して現場を混乱に陥れ。後始末が終わって帰ってきたと思ったら――君の前にあっさりと姿を現していて君に何かしたと言われればな。怒りたくもなる」
お、怒らないって言ったのに――っ!
と、心の中では思ったもののフェルディナンが話すイリヤの所業を聞いていると私は何も言えなくなってしまった。
「い、イリヤは他にも何かしたの?」
「色々とな」
「いろいろって……?」
「イリヤは味方の内は心強いが敵に回すと厄介だからな。そんな事よりも今は君の方が問題だ」
「あ、あのっ!」
「何だ?」
「その話は一旦置いておいて、先にこの小瓶の中身を見ませんか?」
「……月瑠」
「に、逃げませんっ! はぐらかしたりしないからっ! 私がイリヤに何をされた何てことよりも先に……」
「やはり何かされたのか?」
「……く、薬を飲まされて眠ってしまっただけだから大丈夫です」
「薬?」
「うん、液体状のものを飲まされたんだけどでもただの眠り薬とかだと思うから……」
平気だと言い切ろうとしたところでフェルディナンが怖い顔をして近づいてきた。
「液体? 何故そうだとはっきり分かる? それにそれを君はどうやって飲ませられたんだ?」
至極当然の疑問にギクリと身を強張らせてフェルディナンから目を逸らしているのにフェルディナンは遠慮なく核心を突いて来た。
「まさかとは思うが……」
「~~~~っっ!」
フェルディナンの手が唇に伸びてきて私は反射的に口に手を当てて後退してしまった。これでは認めたも同然だ。私の過剰な反応にフェルディナンは紫混じった青い瞳を大きく見開いた。
「彼奴……!」
「あっ! あの! とにかく今は私の事よりもこっちの方が優先!」
物騒な単語を吐き出し兼ねないフェルディナンの追及を振り切って手にした白い小瓶の蓋に手を掛けた。女の私の手にもすっぽり収まるサイズの白い小瓶は大きさの割に少し重みがあるようだ。
「それじゃあ、開けるよ?」
「……ああ」
強引に話を打ち切ってしまった私の問いかけにフェルディナンが仕方なく追及を断念して了承を口にしたのを聞いて、私は白い小瓶の蓋を開けてベッドの横に付いているサイドテーブルの上にトントンと少し出してみた。そうして出てきたのは真っ白な粉だった。
「白い粉? 何これ? お砂糖、な訳ないよね……イリヤはフェルディナンに渡せば分かるって言ってたんだけど……」
手触りはサラサラしている。でも食べ物のようには見えない。なにかもっと別の物質のような感じかして不思議そうに白い粉を眺めている私の横で、フェルディナンがぽつりと呟く声が聞こえてきた。
「遺灰だ……」
「えっ?」
フェルディナンにしては珍しくはっきりと驚きと困惑の入り混じった声に耳を疑う。
「これは結良の遺灰だ」
「!?」
フェルディナンの声が頭の中で静かに響いていくのを私は呆然と聞いていた。
「結良さんの、遺灰……」
色々なショックがいっぺんに襲ってきて頭が何だかグラグラする。白い小瓶をサイドテーブルに置いたまま、私とフェルディナンは少しの間一言も喋らずにそれを眺めていた。
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