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第三章~新妻扱編~
♀076 子作り期間中
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フェルディナンの肉棒に秘所を攻められ続けること小一時間ほどが経過して、私はフェルディナンの分厚い胸元に肩を上下させて荒く息をしながら火照る身体をぐったりと預けていた。
それでも私の腰を掴むフェルディナンの腕は絶えず動き続けていて、出し入れを繰り返されて押し広げられる花弁の熱と、その振動に全身をふるふると小刻みに揺らして汗ばんだフェルディナンの身体に局部をすりつけながら、私はひたすらフェルディナンの上に跨がった状態で喘ぎ声を上げさせられ続けていた。
「ふぇっ……ぁっ……やぁっ」
幸いまだ猫語混じりの言葉には戻っていないものの、私の下にいるフェルディナンの身体を流れる汗と、私の汗が混ざりあって密着している互いの肌を濡らして酷く熱い。互いの熱が高まっているのを直接繋がっている場所から嫌と言う程感じて私はフェルディナンの胸元からゆっくりと顔を上げた。
「フェル、ディナン……わたし、もう――」
「俺の上にいるのは疲れるか?」
「……うん」
両手で何とか震える身体を支えてお願いする。そして今更なのだが、どうにも気恥ずかしくて私はフェルディナンから視線を反らしてしまった。
「そうか、月瑠に見下ろされるのも案外悪くなかったんだが……仕方ないな」
フェルディナンは苦笑して私をキュッと抱きしめた。するとフェルディナンは繋がった状態のまま、私の身体を反転させて無理やり場所を交代してしまった。
「ひぁっ! あんっ……あぁっ……フェルディナンっ!」
非難の声を上げるとフェルディナンは楽しそうに私の唇にキスをした。互いの位置をまるまる交換させて、今では私が下にフェルディナンが上に、押し倒されている格好で身体を繋げたまま見つめ合っている。
「こちらの方が月瑠を思う存分抱ける。だが俺を攻めたい時は何時でも言ってくれてかまわないぞ?」
「ぜ、ぜったいに言わないっ!」
「そうか?」
47歳にはとても思えない綺麗な顔に、にっこりと極上の笑顔を浮かべてフェルディナンは私を見下ろしている。はにかむように笑うフェルディナンの楽しげな様子を見ていると、どうしても気が抜けてしまう。
「フェルディナン……お願いだから、わたしで遊ばないで!」
「遊んでなどいない」
「じゃあ何をしているつもりなの?」
呆れ顔で私はフェルディナンを見上げた。彼の頬から流れ落ちてくる汗の滴すら愛しくて、私はフェルディナンの頬に手を伸ばしていた。その伸ばされた私の手にフェルディナンは自身の手を重ねて優しく上から包み込むと、そっと唇を寄せて口づけた。
毎度のことながら、そんなちょっとした動作すら妙な色気と優雅さが合わさって絵になるフェルディナンの美しさに私は目を奪われてしまう。
「真剣に愛しているつもりだが?」
揶揄い口調でそんな事を言って来るフェルディナンの紫混じった青い瞳は軽い口調とは裏腹に真剣そのものだ。こんな台詞を吐いても許される程の美貌だと、地力が違うことをまざまざと見せつけられて、私はフェルディナンに少し嫉妬する。
まったくどうしてこれで47歳なの!? 女の私より色っぽいって何っ!?
思わず顔を赤くしてキッと睨みつけるようにフェルディナンを見上げると、彼は余裕の笑みで返してきた。そして……
「あっ……! フェルディナン!? どうして大きくなるの!?」
私の中にいたフェルディナンがその大きさを増していく。繋がっている部分に負荷が掛かり、より一層広がっていく感覚に私は思わず息を呑んだ。
「そんな顔をして怒っても俺を煽るだけだと月瑠は少し自覚した方がいい」
くすっと笑ってフェルディナンは腰を動かし始めた。
「あっ……まって! ……フェルディナン少し休み……きゃぁっ!」
フェルディナンは私と彼が繋がっている部分を更に深くする為に、私の腰に手を回してグイッと身体を引き寄せた。グチュッと卑猥な水音を立ててフェルディナンのモノがかつてないほど深く、私の中に入り込んでくる感覚と快感に私は鳥肌が立ってしまう。
「いやぁっ! こん、な深っ……い……おかし、く……なる、から……」
必死に声を振り絞る私をあざ笑うかのように、フェルディナンは制止を無視して更に深く突き上げた。
「ぁっ! フェルディナンやぁっ! 放してぇ!」
互いの股間が濡れそぼって、何時でも挿入が容易く出来てしまう状況でも私はフェルディナンから逃げ出したくて仕方がなかった。これ以上快感を身体が覚えてしまったら。ベッドから出られなくなるくらい、自由に生きられない身体にされてしまうのではと、そんなことすら想像して。そしてやっぱり怖くなる。それも、フェルディナンがそうなることを望んでいることが分かっているから余計にだ。
そんなことを思うくらいにフェルディナンの愛が深すぎて怖い。愛してくれるのは嬉しいのに。それでもやっぱり怖くなるなんて不思議だ。好きになればなるほど、不安が増していくなんて。と、不思議な感情に頭を悩まされる。
「お願い、フェルディナン放し――」
「俺はまだ月瑠を放すつもりはない」
「どうして? だってもう十分抱いたでしょ? 子作りっていってもこれだけすれば十分だし、そろそろあきて――」
フェルディナンは私の声に少し腰の動きを緩めた。
「俺にはまだ月瑠が足りないし、飽きてもいないんだが?」
「でも……」
「月瑠は何をそんなに恐れている? 俺から逃れようとしても無駄な事だと分かっているだろう? 逃げるなら無理やりでも身体を繋げて逃げられなくするようにするだけだ。それとも両手両足を縛って身動き出来ないようにしてから抱けばいいのか?」
「そんな!」
「嫌がっていても身体は正直だ。こんなに俺を欲しがっているのにどうして君は……」
フェルディナンが私に聞きたいことが何なのかは分かる。どうして何時までも逃げ出したくなる気持ちが消えないのか。一度はもうそういう感情もなくなったと思っていたのに。新たな不安がまた出てきた。
フェルディナンと愛し合うようになってからというもの。不安が消えてはまた新しい不安が発生して。それを繰り返している。それも、そういった不安が増すのは全部フェルディナンのせいだった。
……今更ながらにフェルディナンと私の年の差を考えると、彼を失う事の方が先だと思い知らされてしまう。
47のフェルディナンと18の私。29の年の差による現実――考えたくなくても、フェルディナンのいない未来を想像してしまって怖くなる。だから彼に全てを支配されないように抵抗してしまう。離れたくなる。
子どもっぽい考えだと思う。だけどそれでもフェルディナンで埋め尽くされてしまったらその後彼を失ったら私はもう生きては行けないとそう思うのだ。すでに心と身体の大部分を彼に埋め尽くされている状況で、逃げる事で彼を失う未来への不安を少しでも薄めることが出来るような気がして。そうして心を守ろうとしてしまう私の事をきっとフェルディナンは理解出来ていないし、知られたくない。そう私はずっと思っていた。
好きだからこそ怖くなって不安になる。どうしようもなく消えない感情が次から次へと出てくるのはきっと私がフェルディナンを愛しすぎているせいだ。
私はふるふると首を振って、涙目になりながらそれ以上は聞かないでほしいとフェルディナンを見つめた。
「月瑠が何を考えているのか、普段は手に取る様に分かるのにな……どうして肝心の部分ではこんなに君の気持ちが理解出来ないんだ……!」
苛立つようなフェルディナンの声とベッドをドンッと殴った音がして、私はハッとして彼を見上げた。何も答えない私の方をフェルディナンはジッと苦しみに耐えながら切ない顔をして見下ろしている。
「ごめんなさい……」
「どうして何も教えてくれないんだ?」
「…………」
「月瑠?」
「…………」
「……そうか、分かった。それなら俺も月瑠を思う存分抱くだけだ――」
「えっ、あの!?」
どうしてそう言う方向に結論が行くのか。何を言われても答えようとせず頑なに口を閉ざし続ける私に、フェルディナンは言葉通りにその激情を直接ぶつけてきた。
フェルディナンは腰の動きを再開させると、私の腰に回している手に力を入れて自身のものを強く突き上げた。ぐちっと秘所から音がして、ぬるっとした熱すぎるフェルディナンの肉棒が私の中を貫く衝撃に、私は思わず息を止めて身体を固くしてしまう。
「ひっ! ぁっやぁぁあっ! やだぁっフェルディナンぃやぁっ」
絶叫を上げながら、私は必死にフェルディナンの背中に手を回して抱きついた。ギュッと抱きついた彼の身体の鍛え抜かれた力強い筋肉の感触。その熱すぎる身体から感じるのは、私を愛することだけに専念しているような強い衝動だけで。その激しさに私は拠り所を求めて彷徨う迷子の子供のように、ヒシッとその背中に腕をからめて更に強く抱きついた。フェルディナンを求めるようにして自身の方へと引き寄せる。
「フェル、ディナン……やぁっ……ぁっ……あっ……やぁあっ……」
泣きながらフェルディナンの巨大なモノを全部受け入れるために、花弁を最大まで大きく開かせてそこへ必死に受け入れる。一杯一杯まで押し広げられてみっちりと一物を収めている局部を大量の愛液で濡らしながら、私は愛しい人の名前を呼んだ。
「フェルディナン、あっ……まっ、て……」
「月瑠そんなにピッタリと抱きつかれたら動けないぞ?」
涙で濡れた私の頬をフェルディナンは優しく指で拭ってから、私の頬に自身の頬を摺り寄せてきた。少し動きを止めて間近で、緩やかで穏やかな愛しい互いの視線を交錯させる。
「んっ、だってフェルディナンが好きなの。愛しているから。一緒にいたいのは本当なの。だから私――」
貴方を先に失うことを考えると怖くなる。だから逃げてしまうのは許して欲しい。
そう思っても、そんなことはやっぱり言えなくて。私はフェルディナンの顔を見つめることしか出来なかった。
「そうか……とりあえず当面はその答えだけでいいことにする。だが、いずれ必ず答えてもらうぞ?」
フェルディナンはそう言って私の中にある雄の印を擦り上げてきた。
「それは……――んんっ!」
フェルディナンは私の両手を彼の背中から引き剥がすと、ベッドに押さえつけてからパンパンと音が鳴るほど強く股間に衝撃を加えて、ベッドがギシギシと軋むほど強く激しい出し入れを繰り返し始めた。
「ひっ……あぁっ! ……まっ、て、まって……ひぅっ……あぁっ」
「何時も言っていることだが、待たない」
「……ああっ……やぁっそ、んな激しっあっ……壊れ……る、から……まっ」
「悪いが待たないし遠慮もしない。今度こそ君との子供を成すことに躊躇はしない」
「ふぁっ……や……ぁ……あっ……あっ……ぃやぁっ」
ぐちっぐちっと液体音が部屋の中に響いていて。繋がっている部分からは絶えず白く濁った液体が零れ落ちてベッドを汚していく。ベッドがギシギシと軋む音が絶え間なく続く程の激しさで、フェルディナンは自身のモノを私の中へ激しく出し入れするのを繰り返して。言葉の通り全く容赦無く抱き続けた。
そうして何度目かの射精を繰り返し、私の中を激しく突き上げながら、フェルディナンは愛おしい者を見る目で私を覘き込むようにして見つめてくる。
「……月瑠、愛してる……」
身体を強制的に押さえつけられて、秘所に彼を無理やり受け入れるような状況。でもそうでもしないと私がフェルディナンから逃げたがることを彼は知っている。何度も逃げないといって逃げ続けてきた実績はとても重い。けれど私がフェルディナンを愛していて、最終的には彼を受入れる事も彼は熟知していた。
「ぁっ……フェル、ディナ……ンって……ずるぃっ」
私が最終的には受け入れるって知っている癖に……
言葉に出せなかった部分を読みとったのか。フェルディナンは楽しそうに笑った。
「そうだな……俺は月瑠が俺に甘い事もよく分かっている。だから止めない」
すまない――そう言ってフェルディナンは私の中を強く突き上げながらこの後も長時間に渡ってずっと私の中で動き続けた。
雄の匂いを全身に漂わせて私を攻め続けているフェルディナンは、彼のモノを受入れた衝撃にピンと張り詰めた私の足を肩口に抱え上げると、私の秘所に彼の巨大で熱い肉棒を突き入れながら、激しく膣内を掻きまわして精液を私の中に注ぎ続ける。
恒例となりつつある私が泣いて許しを乞う事態を何度も繰り返しながら、それでもフェルディナンは私を抱く事を止めることなく、その彫刻のように均整の取れた綺麗な肉体を激しく動かして私を愛し続けた。
*******
――あれから、子作りの期間である一週間が丁度経っても私は未だにフェルディナンと床を共にしていた。離してくれないどころかますます酷くなる執着に目眩すら覚えて。国営は大丈夫なのかとか政治的な話を振っかけてもフェルディナンは平気だとしか答えてくれないし(多分本当に平気なのだろうけど)で、私はほとほと困り果てていた。
というか、前々から皆揃いも揃って。私とフェルディナンとの子供を切望している節があり、今回の件についても回りの人達が全員一緒にグルになっている気がしていた……
「どうして君はそんなに不機嫌なんだ?」
「だからっ! もういい加減わたしをベッドから下ろしてほしいの!」
「断る」
「こ、ことわるじゃないの――っ!」
行為が終わった後もずっとフェルディナンは服も着させてくれない。していないときは仕方なくシーツに包まっているか、身体に巻いてだらけているか。はたまたフェルディナンの腕の中で眠っているか。そんな現実的ではない生活が事実、ここ一週間が経過した今も続いている。
それも何もしていないときはお気に入りの場所と言わんばかりに、フェルディナンは私のお腹に頭を乗せて気持ちよさそうにひっついて離れないし。現に今もその体勢を維持してフェルディナンは私のお腹を枕に一緒にベッドの上で横になっていた。
本を読んでいる時ですら片時も回している腕を離してはくれないし。今まで以上の執着を見せられて本当に本気で私は困っていた。
そしてそんな夫婦喧嘩が繰り広げられる中で幸いなことと言えば、私の姿と言葉が元に戻ったことだった。
獣人化してしまうお酢、獣酢を飲用してから白いふわふわの毛を持つ猫の獣人になってしまった私は、同じ個体の精子を定期的に一週間摂取し続けなければならず。それも摂取する時間帯も決まっていて朝と昼と夜の三回に分けて行わなければ効果はない。とフェルディナンにいわれていた。しかもそれは異邦人との子作り期間とほとんど同じ要領のもので――つまり、獣人化を直す方法を了承するということは子供を作ると言うことでもある。
他にも獣人化を直すマタタビという植物をツェザーリから貰うことになっているので、それをもらってから直すことも出来た。けれど、私は子作り期間と同じ方法で直す方を選んだ。
そうしてようやく私は意地を張るのを止めて子供を作ることを承諾したわけだが……
「だからね? わたしの不機嫌はフェルディナンが手を離してくれれば解決するんだってばぁっ!」
あまりにもエッチをしている期間が長すぎる。それも子作り期間が終わった後もエッチするのが終わらないってどういうこと!? というか、いつまでする気なのっ!?
フェルディナンとのエッチは嫌じゃないしむしろ気持ちいいから好きだけど。あんまり長すぎると人間として何かがダメになりそうな気がして不安になるのを少しは分かって欲しかった。
私の感覚はお妃になったいまでも庶民的というか一般的だと分かってほしい。フェルディナンのようにモテて快楽が続く環境を当たり前としてきた人と違って私は生まれてからずっとモブキャラだった。だからこうしてずっと長く気持ちいいことを続けていると、その感覚に慣れていない分どうしても不安が伴うものなのだ。
「……俺の不機嫌は君を抱かせてくれれば解決するんだがな」
「なぁっっ!? ……というか、あの、ふ、不機嫌だったの? 分からなかった……」
だってフェルディナンは始終私の身体をふにふに触ってご機嫌な様子だったのに。まさかまだ抱き足りないのをそれで我慢していた何て言わないでしょうね? とギョッとしていたらフェルディナンがくすくす笑い出した。
「冗談だ……」
「……フェルディナンなんか嫌い。最近は嘘ばっかりつくんだもの。それに……」
「それに?」
「フェルディナンいつもエッチなことばかりするし」
「悪かった」
そう私が言うとフェルディナンは毎回謝罪こそするものの。少しも悪びれた様子もなく言葉だけで反省する気はないし、ちっとも懲りてはいなかった。というかエッチなことを止めるつもりはサラサラなさそうだ。
「そう言えば! ツェザーリ様と一緒にいた人! 確かフェルディナンの昔の婚約者? エレン様だっけ? 綺麗な人だからフェルディナンの趣味ってやっぱりそういう綺麗な人なのかなって思ってるんだけど……」
「急に何の話をしているんだ?」
「えっとね。何か急に思い出しちゃったから言ってみたの。というか聞いてみたかったの」
「……まあいい、君の話が突拍子もないのは何時もの事だ。気にしていても埒が明かないからな。それにその話は同じベッドの中にいる時にするような話じゃない」
「えっ? あ、あのっちょっとまっ……」
「君がどんなに逃げ出そうとしても、拒否して居直られても、捕まえて強制的に抱くだけだ。諦めてくれ」
私の話を聞いてフェルディナンは今度こそ本当に冗談ではなく不機嫌になってしまった。ツーンと素っ気ない態度で拗ねた子供のように返事を返されてしまう。
そして、その僅かに細められた紫混じった青い瞳はまるで獲物を前にした肉食獣のように鋭く光っている。明らかに私に欲情しているフェルディナンから、あまりにも強く雄の部分を感じて少し身体が震えてしまう。
「な、なにいって……フェルディナン……?」
またとんでもない台詞を吐き出して迫ってくる夫に、私がどうしても逃げ腰になってしまうのをフェルディナンは知っている。私が逃げ出す前にフェルディナンは私の腰に手を回すとそのまま身体を重ねてベッドの上に押し倒してしまった。
「あっ……」
私が身体に巻き付けていたシーツ取り払って、あっという間に一糸纏わぬ姿にさせられてしまう。
「フェルディナンまって! 私そういう気分じゃない!」
「君が気分じゃないのも何時もの事だな」
「な、なにを悟りきったようなこといってるの!? それに子作り期間ももう終わったんだから。妊娠してるかは分からないけど。いい加減もうそろそろ終わりに……」
「しない」
「し、しないじゃないの――っ!」
やっぱりフェルディナンはちっとも反省していなかった。
それでも私の腰を掴むフェルディナンの腕は絶えず動き続けていて、出し入れを繰り返されて押し広げられる花弁の熱と、その振動に全身をふるふると小刻みに揺らして汗ばんだフェルディナンの身体に局部をすりつけながら、私はひたすらフェルディナンの上に跨がった状態で喘ぎ声を上げさせられ続けていた。
「ふぇっ……ぁっ……やぁっ」
幸いまだ猫語混じりの言葉には戻っていないものの、私の下にいるフェルディナンの身体を流れる汗と、私の汗が混ざりあって密着している互いの肌を濡らして酷く熱い。互いの熱が高まっているのを直接繋がっている場所から嫌と言う程感じて私はフェルディナンの胸元からゆっくりと顔を上げた。
「フェル、ディナン……わたし、もう――」
「俺の上にいるのは疲れるか?」
「……うん」
両手で何とか震える身体を支えてお願いする。そして今更なのだが、どうにも気恥ずかしくて私はフェルディナンから視線を反らしてしまった。
「そうか、月瑠に見下ろされるのも案外悪くなかったんだが……仕方ないな」
フェルディナンは苦笑して私をキュッと抱きしめた。するとフェルディナンは繋がった状態のまま、私の身体を反転させて無理やり場所を交代してしまった。
「ひぁっ! あんっ……あぁっ……フェルディナンっ!」
非難の声を上げるとフェルディナンは楽しそうに私の唇にキスをした。互いの位置をまるまる交換させて、今では私が下にフェルディナンが上に、押し倒されている格好で身体を繋げたまま見つめ合っている。
「こちらの方が月瑠を思う存分抱ける。だが俺を攻めたい時は何時でも言ってくれてかまわないぞ?」
「ぜ、ぜったいに言わないっ!」
「そうか?」
47歳にはとても思えない綺麗な顔に、にっこりと極上の笑顔を浮かべてフェルディナンは私を見下ろしている。はにかむように笑うフェルディナンの楽しげな様子を見ていると、どうしても気が抜けてしまう。
「フェルディナン……お願いだから、わたしで遊ばないで!」
「遊んでなどいない」
「じゃあ何をしているつもりなの?」
呆れ顔で私はフェルディナンを見上げた。彼の頬から流れ落ちてくる汗の滴すら愛しくて、私はフェルディナンの頬に手を伸ばしていた。その伸ばされた私の手にフェルディナンは自身の手を重ねて優しく上から包み込むと、そっと唇を寄せて口づけた。
毎度のことながら、そんなちょっとした動作すら妙な色気と優雅さが合わさって絵になるフェルディナンの美しさに私は目を奪われてしまう。
「真剣に愛しているつもりだが?」
揶揄い口調でそんな事を言って来るフェルディナンの紫混じった青い瞳は軽い口調とは裏腹に真剣そのものだ。こんな台詞を吐いても許される程の美貌だと、地力が違うことをまざまざと見せつけられて、私はフェルディナンに少し嫉妬する。
まったくどうしてこれで47歳なの!? 女の私より色っぽいって何っ!?
思わず顔を赤くしてキッと睨みつけるようにフェルディナンを見上げると、彼は余裕の笑みで返してきた。そして……
「あっ……! フェルディナン!? どうして大きくなるの!?」
私の中にいたフェルディナンがその大きさを増していく。繋がっている部分に負荷が掛かり、より一層広がっていく感覚に私は思わず息を呑んだ。
「そんな顔をして怒っても俺を煽るだけだと月瑠は少し自覚した方がいい」
くすっと笑ってフェルディナンは腰を動かし始めた。
「あっ……まって! ……フェルディナン少し休み……きゃぁっ!」
フェルディナンは私と彼が繋がっている部分を更に深くする為に、私の腰に手を回してグイッと身体を引き寄せた。グチュッと卑猥な水音を立ててフェルディナンのモノがかつてないほど深く、私の中に入り込んでくる感覚と快感に私は鳥肌が立ってしまう。
「いやぁっ! こん、な深っ……い……おかし、く……なる、から……」
必死に声を振り絞る私をあざ笑うかのように、フェルディナンは制止を無視して更に深く突き上げた。
「ぁっ! フェルディナンやぁっ! 放してぇ!」
互いの股間が濡れそぼって、何時でも挿入が容易く出来てしまう状況でも私はフェルディナンから逃げ出したくて仕方がなかった。これ以上快感を身体が覚えてしまったら。ベッドから出られなくなるくらい、自由に生きられない身体にされてしまうのではと、そんなことすら想像して。そしてやっぱり怖くなる。それも、フェルディナンがそうなることを望んでいることが分かっているから余計にだ。
そんなことを思うくらいにフェルディナンの愛が深すぎて怖い。愛してくれるのは嬉しいのに。それでもやっぱり怖くなるなんて不思議だ。好きになればなるほど、不安が増していくなんて。と、不思議な感情に頭を悩まされる。
「お願い、フェルディナン放し――」
「俺はまだ月瑠を放すつもりはない」
「どうして? だってもう十分抱いたでしょ? 子作りっていってもこれだけすれば十分だし、そろそろあきて――」
フェルディナンは私の声に少し腰の動きを緩めた。
「俺にはまだ月瑠が足りないし、飽きてもいないんだが?」
「でも……」
「月瑠は何をそんなに恐れている? 俺から逃れようとしても無駄な事だと分かっているだろう? 逃げるなら無理やりでも身体を繋げて逃げられなくするようにするだけだ。それとも両手両足を縛って身動き出来ないようにしてから抱けばいいのか?」
「そんな!」
「嫌がっていても身体は正直だ。こんなに俺を欲しがっているのにどうして君は……」
フェルディナンが私に聞きたいことが何なのかは分かる。どうして何時までも逃げ出したくなる気持ちが消えないのか。一度はもうそういう感情もなくなったと思っていたのに。新たな不安がまた出てきた。
フェルディナンと愛し合うようになってからというもの。不安が消えてはまた新しい不安が発生して。それを繰り返している。それも、そういった不安が増すのは全部フェルディナンのせいだった。
……今更ながらにフェルディナンと私の年の差を考えると、彼を失う事の方が先だと思い知らされてしまう。
47のフェルディナンと18の私。29の年の差による現実――考えたくなくても、フェルディナンのいない未来を想像してしまって怖くなる。だから彼に全てを支配されないように抵抗してしまう。離れたくなる。
子どもっぽい考えだと思う。だけどそれでもフェルディナンで埋め尽くされてしまったらその後彼を失ったら私はもう生きては行けないとそう思うのだ。すでに心と身体の大部分を彼に埋め尽くされている状況で、逃げる事で彼を失う未来への不安を少しでも薄めることが出来るような気がして。そうして心を守ろうとしてしまう私の事をきっとフェルディナンは理解出来ていないし、知られたくない。そう私はずっと思っていた。
好きだからこそ怖くなって不安になる。どうしようもなく消えない感情が次から次へと出てくるのはきっと私がフェルディナンを愛しすぎているせいだ。
私はふるふると首を振って、涙目になりながらそれ以上は聞かないでほしいとフェルディナンを見つめた。
「月瑠が何を考えているのか、普段は手に取る様に分かるのにな……どうして肝心の部分ではこんなに君の気持ちが理解出来ないんだ……!」
苛立つようなフェルディナンの声とベッドをドンッと殴った音がして、私はハッとして彼を見上げた。何も答えない私の方をフェルディナンはジッと苦しみに耐えながら切ない顔をして見下ろしている。
「ごめんなさい……」
「どうして何も教えてくれないんだ?」
「…………」
「月瑠?」
「…………」
「……そうか、分かった。それなら俺も月瑠を思う存分抱くだけだ――」
「えっ、あの!?」
どうしてそう言う方向に結論が行くのか。何を言われても答えようとせず頑なに口を閉ざし続ける私に、フェルディナンは言葉通りにその激情を直接ぶつけてきた。
フェルディナンは腰の動きを再開させると、私の腰に回している手に力を入れて自身のものを強く突き上げた。ぐちっと秘所から音がして、ぬるっとした熱すぎるフェルディナンの肉棒が私の中を貫く衝撃に、私は思わず息を止めて身体を固くしてしまう。
「ひっ! ぁっやぁぁあっ! やだぁっフェルディナンぃやぁっ」
絶叫を上げながら、私は必死にフェルディナンの背中に手を回して抱きついた。ギュッと抱きついた彼の身体の鍛え抜かれた力強い筋肉の感触。その熱すぎる身体から感じるのは、私を愛することだけに専念しているような強い衝動だけで。その激しさに私は拠り所を求めて彷徨う迷子の子供のように、ヒシッとその背中に腕をからめて更に強く抱きついた。フェルディナンを求めるようにして自身の方へと引き寄せる。
「フェル、ディナン……やぁっ……ぁっ……あっ……やぁあっ……」
泣きながらフェルディナンの巨大なモノを全部受け入れるために、花弁を最大まで大きく開かせてそこへ必死に受け入れる。一杯一杯まで押し広げられてみっちりと一物を収めている局部を大量の愛液で濡らしながら、私は愛しい人の名前を呼んだ。
「フェルディナン、あっ……まっ、て……」
「月瑠そんなにピッタリと抱きつかれたら動けないぞ?」
涙で濡れた私の頬をフェルディナンは優しく指で拭ってから、私の頬に自身の頬を摺り寄せてきた。少し動きを止めて間近で、緩やかで穏やかな愛しい互いの視線を交錯させる。
「んっ、だってフェルディナンが好きなの。愛しているから。一緒にいたいのは本当なの。だから私――」
貴方を先に失うことを考えると怖くなる。だから逃げてしまうのは許して欲しい。
そう思っても、そんなことはやっぱり言えなくて。私はフェルディナンの顔を見つめることしか出来なかった。
「そうか……とりあえず当面はその答えだけでいいことにする。だが、いずれ必ず答えてもらうぞ?」
フェルディナンはそう言って私の中にある雄の印を擦り上げてきた。
「それは……――んんっ!」
フェルディナンは私の両手を彼の背中から引き剥がすと、ベッドに押さえつけてからパンパンと音が鳴るほど強く股間に衝撃を加えて、ベッドがギシギシと軋むほど強く激しい出し入れを繰り返し始めた。
「ひっ……あぁっ! ……まっ、て、まって……ひぅっ……あぁっ」
「何時も言っていることだが、待たない」
「……ああっ……やぁっそ、んな激しっあっ……壊れ……る、から……まっ」
「悪いが待たないし遠慮もしない。今度こそ君との子供を成すことに躊躇はしない」
「ふぁっ……や……ぁ……あっ……あっ……ぃやぁっ」
ぐちっぐちっと液体音が部屋の中に響いていて。繋がっている部分からは絶えず白く濁った液体が零れ落ちてベッドを汚していく。ベッドがギシギシと軋む音が絶え間なく続く程の激しさで、フェルディナンは自身のモノを私の中へ激しく出し入れするのを繰り返して。言葉の通り全く容赦無く抱き続けた。
そうして何度目かの射精を繰り返し、私の中を激しく突き上げながら、フェルディナンは愛おしい者を見る目で私を覘き込むようにして見つめてくる。
「……月瑠、愛してる……」
身体を強制的に押さえつけられて、秘所に彼を無理やり受け入れるような状況。でもそうでもしないと私がフェルディナンから逃げたがることを彼は知っている。何度も逃げないといって逃げ続けてきた実績はとても重い。けれど私がフェルディナンを愛していて、最終的には彼を受入れる事も彼は熟知していた。
「ぁっ……フェル、ディナ……ンって……ずるぃっ」
私が最終的には受け入れるって知っている癖に……
言葉に出せなかった部分を読みとったのか。フェルディナンは楽しそうに笑った。
「そうだな……俺は月瑠が俺に甘い事もよく分かっている。だから止めない」
すまない――そう言ってフェルディナンは私の中を強く突き上げながらこの後も長時間に渡ってずっと私の中で動き続けた。
雄の匂いを全身に漂わせて私を攻め続けているフェルディナンは、彼のモノを受入れた衝撃にピンと張り詰めた私の足を肩口に抱え上げると、私の秘所に彼の巨大で熱い肉棒を突き入れながら、激しく膣内を掻きまわして精液を私の中に注ぎ続ける。
恒例となりつつある私が泣いて許しを乞う事態を何度も繰り返しながら、それでもフェルディナンは私を抱く事を止めることなく、その彫刻のように均整の取れた綺麗な肉体を激しく動かして私を愛し続けた。
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――あれから、子作りの期間である一週間が丁度経っても私は未だにフェルディナンと床を共にしていた。離してくれないどころかますます酷くなる執着に目眩すら覚えて。国営は大丈夫なのかとか政治的な話を振っかけてもフェルディナンは平気だとしか答えてくれないし(多分本当に平気なのだろうけど)で、私はほとほと困り果てていた。
というか、前々から皆揃いも揃って。私とフェルディナンとの子供を切望している節があり、今回の件についても回りの人達が全員一緒にグルになっている気がしていた……
「どうして君はそんなに不機嫌なんだ?」
「だからっ! もういい加減わたしをベッドから下ろしてほしいの!」
「断る」
「こ、ことわるじゃないの――っ!」
行為が終わった後もずっとフェルディナンは服も着させてくれない。していないときは仕方なくシーツに包まっているか、身体に巻いてだらけているか。はたまたフェルディナンの腕の中で眠っているか。そんな現実的ではない生活が事実、ここ一週間が経過した今も続いている。
それも何もしていないときはお気に入りの場所と言わんばかりに、フェルディナンは私のお腹に頭を乗せて気持ちよさそうにひっついて離れないし。現に今もその体勢を維持してフェルディナンは私のお腹を枕に一緒にベッドの上で横になっていた。
本を読んでいる時ですら片時も回している腕を離してはくれないし。今まで以上の執着を見せられて本当に本気で私は困っていた。
そしてそんな夫婦喧嘩が繰り広げられる中で幸いなことと言えば、私の姿と言葉が元に戻ったことだった。
獣人化してしまうお酢、獣酢を飲用してから白いふわふわの毛を持つ猫の獣人になってしまった私は、同じ個体の精子を定期的に一週間摂取し続けなければならず。それも摂取する時間帯も決まっていて朝と昼と夜の三回に分けて行わなければ効果はない。とフェルディナンにいわれていた。しかもそれは異邦人との子作り期間とほとんど同じ要領のもので――つまり、獣人化を直す方法を了承するということは子供を作ると言うことでもある。
他にも獣人化を直すマタタビという植物をツェザーリから貰うことになっているので、それをもらってから直すことも出来た。けれど、私は子作り期間と同じ方法で直す方を選んだ。
そうしてようやく私は意地を張るのを止めて子供を作ることを承諾したわけだが……
「だからね? わたしの不機嫌はフェルディナンが手を離してくれれば解決するんだってばぁっ!」
あまりにもエッチをしている期間が長すぎる。それも子作り期間が終わった後もエッチするのが終わらないってどういうこと!? というか、いつまでする気なのっ!?
フェルディナンとのエッチは嫌じゃないしむしろ気持ちいいから好きだけど。あんまり長すぎると人間として何かがダメになりそうな気がして不安になるのを少しは分かって欲しかった。
私の感覚はお妃になったいまでも庶民的というか一般的だと分かってほしい。フェルディナンのようにモテて快楽が続く環境を当たり前としてきた人と違って私は生まれてからずっとモブキャラだった。だからこうしてずっと長く気持ちいいことを続けていると、その感覚に慣れていない分どうしても不安が伴うものなのだ。
「……俺の不機嫌は君を抱かせてくれれば解決するんだがな」
「なぁっっ!? ……というか、あの、ふ、不機嫌だったの? 分からなかった……」
だってフェルディナンは始終私の身体をふにふに触ってご機嫌な様子だったのに。まさかまだ抱き足りないのをそれで我慢していた何て言わないでしょうね? とギョッとしていたらフェルディナンがくすくす笑い出した。
「冗談だ……」
「……フェルディナンなんか嫌い。最近は嘘ばっかりつくんだもの。それに……」
「それに?」
「フェルディナンいつもエッチなことばかりするし」
「悪かった」
そう私が言うとフェルディナンは毎回謝罪こそするものの。少しも悪びれた様子もなく言葉だけで反省する気はないし、ちっとも懲りてはいなかった。というかエッチなことを止めるつもりはサラサラなさそうだ。
「そう言えば! ツェザーリ様と一緒にいた人! 確かフェルディナンの昔の婚約者? エレン様だっけ? 綺麗な人だからフェルディナンの趣味ってやっぱりそういう綺麗な人なのかなって思ってるんだけど……」
「急に何の話をしているんだ?」
「えっとね。何か急に思い出しちゃったから言ってみたの。というか聞いてみたかったの」
「……まあいい、君の話が突拍子もないのは何時もの事だ。気にしていても埒が明かないからな。それにその話は同じベッドの中にいる時にするような話じゃない」
「えっ? あ、あのっちょっとまっ……」
「君がどんなに逃げ出そうとしても、拒否して居直られても、捕まえて強制的に抱くだけだ。諦めてくれ」
私の話を聞いてフェルディナンは今度こそ本当に冗談ではなく不機嫌になってしまった。ツーンと素っ気ない態度で拗ねた子供のように返事を返されてしまう。
そして、その僅かに細められた紫混じった青い瞳はまるで獲物を前にした肉食獣のように鋭く光っている。明らかに私に欲情しているフェルディナンから、あまりにも強く雄の部分を感じて少し身体が震えてしまう。
「な、なにいって……フェルディナン……?」
またとんでもない台詞を吐き出して迫ってくる夫に、私がどうしても逃げ腰になってしまうのをフェルディナンは知っている。私が逃げ出す前にフェルディナンは私の腰に手を回すとそのまま身体を重ねてベッドの上に押し倒してしまった。
「あっ……」
私が身体に巻き付けていたシーツ取り払って、あっという間に一糸纏わぬ姿にさせられてしまう。
「フェルディナンまって! 私そういう気分じゃない!」
「君が気分じゃないのも何時もの事だな」
「な、なにを悟りきったようなこといってるの!? それに子作り期間ももう終わったんだから。妊娠してるかは分からないけど。いい加減もうそろそろ終わりに……」
「しない」
「し、しないじゃないの――っ!」
やっぱりフェルディナンはちっとも反省していなかった。
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