46 / 117
第二章~恋人扱編~
♂035 女性でもありですか?
しおりを挟む
結局私はフェルディナンに押し切られる形で彼の女体化につき合わされる事態に陥った。けれど心の準備なんて出来るものではなかった。
好きな人とはいえ見た目はGLになるわけだし。どんなものなのか正直なところ想像もつかない。
「……分かりました。とりあえず明日は女体化したフェルディナンをちゃんと面倒見ますから、もう寝させてください」
何だか物凄く疲れた……
「まあ月瑠がそう言うなら俺はこれ以上何も言わないけど。じゃあ俺はもう行くよ?」
少しだけ大丈夫? と私の様子を窺っているイリヤに私は目を瞑って力なく頷いた。
「はい、もうそう言うことにしておいてください」
「生殖時期を迎えて女体化したフェルディナンの相手は月瑠に任せるけど一応様子は見に来るからさ。そんなに不安な顔しないでよ」
優しいお兄さんの顔をしてイリヤは仕方ないなと言うように腰に手を当てて苦笑している。
「……うん」
「じゃあ、お休み」
退出するイリヤに私は「お休みなさい」と呟きながら、ぐったりとした様子で手を振った。私の部屋から出て行くイリヤを、フェルディナンの頭を胸元に抱えながらベッドの上で見送って。それから私は小さく溜息を付いた。
「そう言うことなので、フェルディナンももう今夜は寝て下さい。私ももう寝ますから」
「そうだな……」
胸元に抱えているフェルディナンの顔に視線を落として、フェルディナンの顔を見ると「待て」と言われて大人しく待っている子犬のように、物欲しげな少し不安そうな顔をしていることに気が付いた。私は思わず困ったような表情を浮かべて笑ってしまった。
「……おやすみなさい」
そう言って私は胸元に抱えているフェルディナンの額に軽く口づけてから、ようやくフェルディナンを胸元から解放した。そうして全ての話を終わらせて布団に入ろうとしたところで、フェルディナンの手が伸びてきた。私を抱き締めるようにして腰へと手を回されてしまう。
「フェルディナン?」
どうしたのかと思わず声を掛けながらも、少しだけ恋人同士の抱擁を交わしてそのまま大人しく退出するものだとそう思っていたら――そのままヒョイッと抱き上げられた。
「……え?」
その行動の是非を問う暇もなくフェルディナンは私を抱き上げたまま素早くベッドから降りてしまった。不意打ちのようなフェルディナンの行動に、私が間抜けな声を出して抱き上げられたまま茫然している間も、フェルディナンは私の部屋を出て行く方向へと足を進めている。
「ど、どこに行くんですかっ!?」
何とか我に返って慌ててフェルディナンの胸元の服を掴んで注意を引いた。
「明日にも生殖時期を迎えて女体化する時に、君と離れる何て出来る訳がないだろう」
「あのっ! それって、まさか、……今からフェルディナンの部屋に行くなんて言わないですよね?」
フェルディナンは紫混じった青い瞳を楽しそうに細めている。
「そうやって止めようとしても無駄だぞ? 力ではどう足掻いても君は俺に敵わない」
「――っ!」
「大丈夫だ。言っただろう? 理性が飛ぶような時期に君を無理やり抱いたりはしない。だが、それなりに手は出させてもらうが」
「それなりに手を出すって……」
それってほぼほぼ抱くようなエッチなことするってことですよねっ!? 冷静じゃない! 絶対に今フェルディナン冷静じゃないですよねっ!?
「フェルディナン、あのちょっとまってほし……」
「悪いが逃がすつもりはない」
「あの、でも……」
「もうそろそろ黙らないと無理やりその口を塞ぐことも出来るんだが。君は今此処でそれをしてほしいのか? 俺は一向に構わないが」
「~~っ!」
反射的に手を口元に当てて駄目と首を振るとフェルディナンは少しだけ残念そうな顔をして、唇の代わりに私の頬に軽く口づけてから歩みを再開してしまう。そうして私はあっさりとフェルディナンの部屋に連れて行かれてしまった。
フェルディナンの部屋に付いた後、一緒のベッドに入ってから私は彼の方を見る事が出来なかった。布団の中で縮こまりながら耳を押さえて外界の音を完全に遮断して、全てなかったことにしたいと思いながら丸まって過ごしていた。と言ってもフェルディナンの両腕は私の腰にガッチリと回っていて、おかげで私は一睡も出来ずについに翌朝をむかえてしまった。
*******
朝の日差しがカーテンを通して室内に明るくふりそそいでいる。目覚まし時計のないこの乙女ゲーム世界では何時もならそれが起きる合図になるのに。私はまだ布団の中で丸くなって起き出せないでいた。
私と一緒にベッドで眠っているフェルディナンの方へと目を向けるのが恐ろしくてたまらない。私の腰に回されているフェルディナンの両腕が心なしか何時もよりほっそりとしているように感じるのは気のせいだろうか?
女体化しているかもしれない恋人を見る勇気がどうしても出てこない。そうして頭までスッポリと布団の中に入れて引っ込んでいると、隣で寝ている筈のフェルディナンがもぞもぞと動き出した。
「……ん」
フェルディナンの声に驚いて思わずビクッと肩を震わせてしまう。
何っ!? 今の色っぽい声は!?
今聞こえてきたのは確かに女性の声。それも偉くエロっぽいというかアダルトというか……私は昨日に引き続きまた涙目になっている自分のこれからを想像して、やっぱり逃亡をはかろうかと考えだしていた。
今ならまだ遅くない筈……だよね?
「……おはよう月瑠」
どうやら遅かったらしい。私は布団の中に頭までスッポリと入って包まっていたから、フェルディナンが今どうなっているのかを見てはいない。けれど聞こえてくる甘く透き通るような美声だけで、事態がどうなっているのか何となくは分かった。
「……お、おはようございます?」
「何故疑問形なんだ?」
私は相変わらず布団の中に引きこもったまま、次第に早くなっていく鼓動が耳にまでドクドクと響き出して半ばパニックに陥る寸前になっていた。
「…………」
どうしようっ!? どうすればいいのっ!?
「月瑠? 出ておいで」
そんな私の状態など露知らずフェルディナンは女の声で優しく話しかけてくる。
「…………」
それでも一向に布団の中から出ようとしない私に、フェルディナンはついに行動に出た。
「仕方ないな……ほらっ」
「わきゃっ!」
バサッという音が室内に反響した。ついに毛布を引っぺがされて私は目を瞑ってプルプルと体を震わせながら、フェルディナンの前で何故か正座して俯いてしまう。反省でもしているような恰好で対面してはいるものの、どうしてもフェルディナンを見れない。
「月瑠こっちを見なさい」
フルフルと頭を振って頑なに目を閉ざしてしまう。
「む、ムリです~」
泣きそうな声を出して私は少しだけフェルディナンから後退した。緊張し過ぎて心臓に悪い。フェルディナンからもっと離れようと体を更に後方へ動かそうとして、逆にフェルディナンに捕まってしまった。スルッと私の腰を掴んで有無を言わせず強引に引き寄せられてしまう。
そしてフェルディナンは私の顎を掴んでクイッと自分の方を見るように上向かせた。そうされても目を開けようとしない私の瞼にフェルディナンは優しく唇を押し当ててきた。
「月瑠……」
優しく名前を呼ばれて。私は遂に目を開けてしまった。
視界に入って来たのは何時ものフェルディナンではなかった。金の髪に紫が混じった青い瞳、そして眉尻の古傷は変わらずそこにあるものの、彼は線の細い女性らしい華やかな雰囲気を纏った女の顔をしていた。それも絶世の美女といわれても可笑しくないほどの。
出るところが出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。豊満な丸みのある体つきは何処からどう見ても女性の肉体そのもの。男性の時も完璧な肉体美を誇っていたのにその完璧さは女性になっても健在だった。私は自分の顔が更に赤くなっていくのを止められなかった。
どうしよう、まともにフェルディナンの顔が見れない……
フェルディナンが余りにも綺麗な女性になり過ぎて私は固まって動けなくなってしまった。男性の時も他を圧倒する迫力ある美丈夫だったけれど、女性のフェルディナンは女神のような美しさだ。声も女性のものにすっかり変わってしまっている。そしてやはり外見年齢は45歳にはとても見えなかった。目の前にいるのはどうみても30代前半か半ばといったところの綺麗な女性だった。
――が、ここで一つだけ問題が発生していた。フェルディナンが男性の時に着用していた服は大きすぎて、女体化したフェルディナンの上半身からすっかりずり落ちてしまっている。
「お願いですから、少しは危機管理と言うことを覚えて下さい……」
私は危険極まりないフェルディナンの丸見えの上半身にずり落ちてしまった服を引き上げてなんとか着せ直した。大人しく服を着せられながらフェルディナンは不満そうな顔をしている。
「それは君の方がよっぽどだと思うが」
「私はちゃんと洋服着てますよ?」
「……そう言う意味じゃない」
前にもしたことがある同じような会話を繰り返しながら、私はそっとフェルディナンから視線を外した。まさかフェルディナンの女性版の上半身剥き出しの姿を拝めるとは思ってもいなかった。完璧な女性の肉体を見せつけられて、今は同じ女同士なのに何故だかいつにも増して動悸が早くなる。胸元を押さえて頭の中で回っている色んな感情に耐えていると、その内の一つが抑えきれず飛び出した。
――女性でもありですか? はい、ありですね。
何て受け答えをしている言葉が頭を過る。どうしてだろう。綺麗過ぎるともはや性別何てもどうでもよくなる位にありだと思えてくるなんて。私はフェルディナンの美貌に魅了されて完全に流されそうになっていた。
うわ――っ! だめなんだってばっ! 流されちゃダメ――っ! やっぱり逃げる! 逃げるしかない~っ!
「あの……フェルディナン? 私ちょっとお手洗いに……」
逃げ出そうとした私の腰を掴んでいるフェルディナンの腕から半身を捩らせて私は逃げようとした。今なら少し大柄だけど女性だしなんとか逃げられるかも……と思っていた私の読みは甘かった。
女体化したフェルディナンはその女性の細腕で、逃げ出そうとしている私の腕と腰を掴み直すと、あっさりとその胸元へと引き戻してしまった。
反則だ……女体化してもフェルディナンって力強いじゃないかっ!
そして引き寄せられた先にあったのは、思いもよらない感触だった。何時もは固く力強い胸元が、柔らかくてふんわりした触り心地でなんだかとっても気持ちいい。そのまま女性のものになったフェルディナンの胸元に頭を埋めてモフモフしてしまいたくなる。
――って、犬でも猫でもないんだから! モフモフ禁止! これ女性の胸! 同性の胸を揉んでどうするのっ!?
最早、頭の中は大混乱の混沌渦巻く地獄絵図と化していた。恐るべし美形。もう訳が分からない。そうして混乱する大量の感情の放出に一人戸惑っていると、フェルディナンがその可憐な唇から更に追い打ちを掛けるような言葉を発した。
「――逃がすと思っているのか?」
「でもですね、これは……」
「俺の相手を君がしてくれるんだろう? 昨日君は確かにそう言っていた筈だが」
そう言ってフェルディナンは女の顔でふっと綺麗に笑って私の唇に唇を重ねてきた。
「……んっ……ちょっ、まって!」
口の中に舌を入れられる寸でのところで私は急いでフェルディナンを引き離す。
「お、お話し相手なら喜んで……」
何とかギリギリの距離を保ちながらそう言うと、フェルディナンは一瞬キョトンとした顔をして私を一瞥するとはぁっと溜息をついた。そして眉を顰めて綺麗な顔を私に近づけてくる。
「イリヤも言っていたが、俺は君と御飯事をする気はないんだが」
「えっと、では何をする気なんですか……? あっ、ごめんなさい今の質問なしっ! 間違えましたっ!」
口調は何時も通りなのに姿だけが女性。その違和感にどうにも慣れなくて四苦八苦していたら選ぶ言葉を私は確実に間違えた。
「――何をするか何て決まっている」
フェルディナンは強い目をしてそう言い放つと、ギシッとベッドを軋ませながらそのままの勢いで私を更に強く抱き寄せて奪うように唇を重ねてきた。深く唇を重ねようとしているフェルディナンの唇と舌に誘導されて大きく口を開けさせられてしまう。
「……ふあっ……」
何時ものフェルディナンの唇とは違う感触。今のフェルディナンの唇は小さく可憐で儚げな印象なのに、触れている部分から伝わってくる事は何時もと変わらない。私を執拗に求めるフェルディナンの情欲に圧倒されてしまう。
私の口腔内を刺激する女体化したフェルディナンの舌は何時もより少し小さくて細くて繊細な造りをしている。その分私の舌に蛇のように絡みついて離れない。私が逃げようともがけばもがくだけ絡みついて強引に深く舌を吸われてしまう。
「……っん……あ、……っ」
互いの舌の大きさが近いせいなのか、何時もより互いの唾液が混ざり合って一つになる感覚をより強く感じる。いま発している熱が自分のものなのかフェルディナンのものなのか境目が分からなくなって、自分でも口を上手く開くことが出来ない。上手にフェルディナンと唇を合わせることが出来なくて、空いた唇の隙間から唾液が漏れ落ちてしまう。普段交わしている口づけとあまりにも勝手が違う心細さに、思わずフェルディナンの背中に手を回してキュッと力を入れて抱きついてしまった。
クチュッと音がしてフェルディナンが私の中から出てきた時、彼は女性の顔をしている筈なのになんだかとっても危険な捕食動物の顔をしていた。
「……どうした? 今日はあまり抵抗しないんだな」
少し唇を離してフェルディナンが小さく笑った。私はフェルディナンから与えられる熱に一方的に翻弄され過ぎてしまっていた。痺れるような感覚と熱さに目眩さえ覚え始めて唇が麻痺して動きが鈍くなる。
「だっ……て、いつもと、ちがう……」
舌がもつれて呂律が回らない。舌足らずな子供の様に答えて潤んだ瞳でフェルディナンを見返すと、フェルディナンは愛おしむように見下ろしながら軽く口づけて顔を擦り寄せてくる。
「普段は挑発的な物言いで俺を煽る君が――今度は大人しく従順な姿で俺を煽るんだな……」
「……フェル、ディナン、もしかして、発情しちゃってる、の……? 私に? 一応私も女なんだけど……」
確かに私が相手するしかないとイリヤはいっていたけれど、一応私はあなたの恋人ですけど女ですよ!? フェルディナンにそういう性的趣向があるとは思えない。見境がなくなるとは聞いていたけれどそういうことだったのかと納得しかけたところで、フェルディナンから純粋な告白をされて私はその考えを改めることになる。
「俺は君がいい」
私の腰に腕を巻き付けてまだまだ物足りないという顔をしてフェルディナンは私を見た。
「でも……」
「俺は君以外とこういう事をするつもりはない。だから性別何てどうでもいい。周りにどう見られようと君が相手ならどうでもいい事だ」
「……フェルディナン」
どれだけフェルディナンに愛されているのかをあまりに純粋な言葉で表現されて赤面してしまう。耳まで赤くしながら私は熱っぽい目でフェルディナンを見返した。フェルディナンと熱く視線を絡め合いながら、そのまま身体を投げ出して応えてもいいような気持ちになる。
「あのっ、でも、やっぱりちょっとまって! それにまだ朝なんですけど……」
「それは関係ないな」
くすっと笑ってフェルディナンは楽しそうに答えた。その様子は何故だか面白がっているようにも見える。始めは女神のように清らかな印象の美女に見えていたのに、私に触れて興奮した今のフェルディナンは妖艶な雰囲気を漂わせている。男を誘う事に長けたインキュバスのようにしか見えない。そして元が男だとはとても思えなかった。
「関係ないって……」
絶句してしまう。
……ですよね発情している人には昼だろうが夜だろうが関係ないですよね。
何時もよりも大きく見開かれたフェルディナンの紫が混じった青い瞳は、興奮で赤く潤んでいた。それも物凄くものほしそうな眼差しで私を見つめてくる。
うっ、可愛い。
ちょこんとベッドの上に座って私を抱きしめているフェルディナンにどうにか流されない方法はないものかと必死に頭を巡らせながらも、やはり私は逃げる方法を探し始めていた。
好きな人とはいえ見た目はGLになるわけだし。どんなものなのか正直なところ想像もつかない。
「……分かりました。とりあえず明日は女体化したフェルディナンをちゃんと面倒見ますから、もう寝させてください」
何だか物凄く疲れた……
「まあ月瑠がそう言うなら俺はこれ以上何も言わないけど。じゃあ俺はもう行くよ?」
少しだけ大丈夫? と私の様子を窺っているイリヤに私は目を瞑って力なく頷いた。
「はい、もうそう言うことにしておいてください」
「生殖時期を迎えて女体化したフェルディナンの相手は月瑠に任せるけど一応様子は見に来るからさ。そんなに不安な顔しないでよ」
優しいお兄さんの顔をしてイリヤは仕方ないなと言うように腰に手を当てて苦笑している。
「……うん」
「じゃあ、お休み」
退出するイリヤに私は「お休みなさい」と呟きながら、ぐったりとした様子で手を振った。私の部屋から出て行くイリヤを、フェルディナンの頭を胸元に抱えながらベッドの上で見送って。それから私は小さく溜息を付いた。
「そう言うことなので、フェルディナンももう今夜は寝て下さい。私ももう寝ますから」
「そうだな……」
胸元に抱えているフェルディナンの顔に視線を落として、フェルディナンの顔を見ると「待て」と言われて大人しく待っている子犬のように、物欲しげな少し不安そうな顔をしていることに気が付いた。私は思わず困ったような表情を浮かべて笑ってしまった。
「……おやすみなさい」
そう言って私は胸元に抱えているフェルディナンの額に軽く口づけてから、ようやくフェルディナンを胸元から解放した。そうして全ての話を終わらせて布団に入ろうとしたところで、フェルディナンの手が伸びてきた。私を抱き締めるようにして腰へと手を回されてしまう。
「フェルディナン?」
どうしたのかと思わず声を掛けながらも、少しだけ恋人同士の抱擁を交わしてそのまま大人しく退出するものだとそう思っていたら――そのままヒョイッと抱き上げられた。
「……え?」
その行動の是非を問う暇もなくフェルディナンは私を抱き上げたまま素早くベッドから降りてしまった。不意打ちのようなフェルディナンの行動に、私が間抜けな声を出して抱き上げられたまま茫然している間も、フェルディナンは私の部屋を出て行く方向へと足を進めている。
「ど、どこに行くんですかっ!?」
何とか我に返って慌ててフェルディナンの胸元の服を掴んで注意を引いた。
「明日にも生殖時期を迎えて女体化する時に、君と離れる何て出来る訳がないだろう」
「あのっ! それって、まさか、……今からフェルディナンの部屋に行くなんて言わないですよね?」
フェルディナンは紫混じった青い瞳を楽しそうに細めている。
「そうやって止めようとしても無駄だぞ? 力ではどう足掻いても君は俺に敵わない」
「――っ!」
「大丈夫だ。言っただろう? 理性が飛ぶような時期に君を無理やり抱いたりはしない。だが、それなりに手は出させてもらうが」
「それなりに手を出すって……」
それってほぼほぼ抱くようなエッチなことするってことですよねっ!? 冷静じゃない! 絶対に今フェルディナン冷静じゃないですよねっ!?
「フェルディナン、あのちょっとまってほし……」
「悪いが逃がすつもりはない」
「あの、でも……」
「もうそろそろ黙らないと無理やりその口を塞ぐことも出来るんだが。君は今此処でそれをしてほしいのか? 俺は一向に構わないが」
「~~っ!」
反射的に手を口元に当てて駄目と首を振るとフェルディナンは少しだけ残念そうな顔をして、唇の代わりに私の頬に軽く口づけてから歩みを再開してしまう。そうして私はあっさりとフェルディナンの部屋に連れて行かれてしまった。
フェルディナンの部屋に付いた後、一緒のベッドに入ってから私は彼の方を見る事が出来なかった。布団の中で縮こまりながら耳を押さえて外界の音を完全に遮断して、全てなかったことにしたいと思いながら丸まって過ごしていた。と言ってもフェルディナンの両腕は私の腰にガッチリと回っていて、おかげで私は一睡も出来ずについに翌朝をむかえてしまった。
*******
朝の日差しがカーテンを通して室内に明るくふりそそいでいる。目覚まし時計のないこの乙女ゲーム世界では何時もならそれが起きる合図になるのに。私はまだ布団の中で丸くなって起き出せないでいた。
私と一緒にベッドで眠っているフェルディナンの方へと目を向けるのが恐ろしくてたまらない。私の腰に回されているフェルディナンの両腕が心なしか何時もよりほっそりとしているように感じるのは気のせいだろうか?
女体化しているかもしれない恋人を見る勇気がどうしても出てこない。そうして頭までスッポリと布団の中に入れて引っ込んでいると、隣で寝ている筈のフェルディナンがもぞもぞと動き出した。
「……ん」
フェルディナンの声に驚いて思わずビクッと肩を震わせてしまう。
何っ!? 今の色っぽい声は!?
今聞こえてきたのは確かに女性の声。それも偉くエロっぽいというかアダルトというか……私は昨日に引き続きまた涙目になっている自分のこれからを想像して、やっぱり逃亡をはかろうかと考えだしていた。
今ならまだ遅くない筈……だよね?
「……おはよう月瑠」
どうやら遅かったらしい。私は布団の中に頭までスッポリと入って包まっていたから、フェルディナンが今どうなっているのかを見てはいない。けれど聞こえてくる甘く透き通るような美声だけで、事態がどうなっているのか何となくは分かった。
「……お、おはようございます?」
「何故疑問形なんだ?」
私は相変わらず布団の中に引きこもったまま、次第に早くなっていく鼓動が耳にまでドクドクと響き出して半ばパニックに陥る寸前になっていた。
「…………」
どうしようっ!? どうすればいいのっ!?
「月瑠? 出ておいで」
そんな私の状態など露知らずフェルディナンは女の声で優しく話しかけてくる。
「…………」
それでも一向に布団の中から出ようとしない私に、フェルディナンはついに行動に出た。
「仕方ないな……ほらっ」
「わきゃっ!」
バサッという音が室内に反響した。ついに毛布を引っぺがされて私は目を瞑ってプルプルと体を震わせながら、フェルディナンの前で何故か正座して俯いてしまう。反省でもしているような恰好で対面してはいるものの、どうしてもフェルディナンを見れない。
「月瑠こっちを見なさい」
フルフルと頭を振って頑なに目を閉ざしてしまう。
「む、ムリです~」
泣きそうな声を出して私は少しだけフェルディナンから後退した。緊張し過ぎて心臓に悪い。フェルディナンからもっと離れようと体を更に後方へ動かそうとして、逆にフェルディナンに捕まってしまった。スルッと私の腰を掴んで有無を言わせず強引に引き寄せられてしまう。
そしてフェルディナンは私の顎を掴んでクイッと自分の方を見るように上向かせた。そうされても目を開けようとしない私の瞼にフェルディナンは優しく唇を押し当ててきた。
「月瑠……」
優しく名前を呼ばれて。私は遂に目を開けてしまった。
視界に入って来たのは何時ものフェルディナンではなかった。金の髪に紫が混じった青い瞳、そして眉尻の古傷は変わらずそこにあるものの、彼は線の細い女性らしい華やかな雰囲気を纏った女の顔をしていた。それも絶世の美女といわれても可笑しくないほどの。
出るところが出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。豊満な丸みのある体つきは何処からどう見ても女性の肉体そのもの。男性の時も完璧な肉体美を誇っていたのにその完璧さは女性になっても健在だった。私は自分の顔が更に赤くなっていくのを止められなかった。
どうしよう、まともにフェルディナンの顔が見れない……
フェルディナンが余りにも綺麗な女性になり過ぎて私は固まって動けなくなってしまった。男性の時も他を圧倒する迫力ある美丈夫だったけれど、女性のフェルディナンは女神のような美しさだ。声も女性のものにすっかり変わってしまっている。そしてやはり外見年齢は45歳にはとても見えなかった。目の前にいるのはどうみても30代前半か半ばといったところの綺麗な女性だった。
――が、ここで一つだけ問題が発生していた。フェルディナンが男性の時に着用していた服は大きすぎて、女体化したフェルディナンの上半身からすっかりずり落ちてしまっている。
「お願いですから、少しは危機管理と言うことを覚えて下さい……」
私は危険極まりないフェルディナンの丸見えの上半身にずり落ちてしまった服を引き上げてなんとか着せ直した。大人しく服を着せられながらフェルディナンは不満そうな顔をしている。
「それは君の方がよっぽどだと思うが」
「私はちゃんと洋服着てますよ?」
「……そう言う意味じゃない」
前にもしたことがある同じような会話を繰り返しながら、私はそっとフェルディナンから視線を外した。まさかフェルディナンの女性版の上半身剥き出しの姿を拝めるとは思ってもいなかった。完璧な女性の肉体を見せつけられて、今は同じ女同士なのに何故だかいつにも増して動悸が早くなる。胸元を押さえて頭の中で回っている色んな感情に耐えていると、その内の一つが抑えきれず飛び出した。
――女性でもありですか? はい、ありですね。
何て受け答えをしている言葉が頭を過る。どうしてだろう。綺麗過ぎるともはや性別何てもどうでもよくなる位にありだと思えてくるなんて。私はフェルディナンの美貌に魅了されて完全に流されそうになっていた。
うわ――っ! だめなんだってばっ! 流されちゃダメ――っ! やっぱり逃げる! 逃げるしかない~っ!
「あの……フェルディナン? 私ちょっとお手洗いに……」
逃げ出そうとした私の腰を掴んでいるフェルディナンの腕から半身を捩らせて私は逃げようとした。今なら少し大柄だけど女性だしなんとか逃げられるかも……と思っていた私の読みは甘かった。
女体化したフェルディナンはその女性の細腕で、逃げ出そうとしている私の腕と腰を掴み直すと、あっさりとその胸元へと引き戻してしまった。
反則だ……女体化してもフェルディナンって力強いじゃないかっ!
そして引き寄せられた先にあったのは、思いもよらない感触だった。何時もは固く力強い胸元が、柔らかくてふんわりした触り心地でなんだかとっても気持ちいい。そのまま女性のものになったフェルディナンの胸元に頭を埋めてモフモフしてしまいたくなる。
――って、犬でも猫でもないんだから! モフモフ禁止! これ女性の胸! 同性の胸を揉んでどうするのっ!?
最早、頭の中は大混乱の混沌渦巻く地獄絵図と化していた。恐るべし美形。もう訳が分からない。そうして混乱する大量の感情の放出に一人戸惑っていると、フェルディナンがその可憐な唇から更に追い打ちを掛けるような言葉を発した。
「――逃がすと思っているのか?」
「でもですね、これは……」
「俺の相手を君がしてくれるんだろう? 昨日君は確かにそう言っていた筈だが」
そう言ってフェルディナンは女の顔でふっと綺麗に笑って私の唇に唇を重ねてきた。
「……んっ……ちょっ、まって!」
口の中に舌を入れられる寸でのところで私は急いでフェルディナンを引き離す。
「お、お話し相手なら喜んで……」
何とかギリギリの距離を保ちながらそう言うと、フェルディナンは一瞬キョトンとした顔をして私を一瞥するとはぁっと溜息をついた。そして眉を顰めて綺麗な顔を私に近づけてくる。
「イリヤも言っていたが、俺は君と御飯事をする気はないんだが」
「えっと、では何をする気なんですか……? あっ、ごめんなさい今の質問なしっ! 間違えましたっ!」
口調は何時も通りなのに姿だけが女性。その違和感にどうにも慣れなくて四苦八苦していたら選ぶ言葉を私は確実に間違えた。
「――何をするか何て決まっている」
フェルディナンは強い目をしてそう言い放つと、ギシッとベッドを軋ませながらそのままの勢いで私を更に強く抱き寄せて奪うように唇を重ねてきた。深く唇を重ねようとしているフェルディナンの唇と舌に誘導されて大きく口を開けさせられてしまう。
「……ふあっ……」
何時ものフェルディナンの唇とは違う感触。今のフェルディナンの唇は小さく可憐で儚げな印象なのに、触れている部分から伝わってくる事は何時もと変わらない。私を執拗に求めるフェルディナンの情欲に圧倒されてしまう。
私の口腔内を刺激する女体化したフェルディナンの舌は何時もより少し小さくて細くて繊細な造りをしている。その分私の舌に蛇のように絡みついて離れない。私が逃げようともがけばもがくだけ絡みついて強引に深く舌を吸われてしまう。
「……っん……あ、……っ」
互いの舌の大きさが近いせいなのか、何時もより互いの唾液が混ざり合って一つになる感覚をより強く感じる。いま発している熱が自分のものなのかフェルディナンのものなのか境目が分からなくなって、自分でも口を上手く開くことが出来ない。上手にフェルディナンと唇を合わせることが出来なくて、空いた唇の隙間から唾液が漏れ落ちてしまう。普段交わしている口づけとあまりにも勝手が違う心細さに、思わずフェルディナンの背中に手を回してキュッと力を入れて抱きついてしまった。
クチュッと音がしてフェルディナンが私の中から出てきた時、彼は女性の顔をしている筈なのになんだかとっても危険な捕食動物の顔をしていた。
「……どうした? 今日はあまり抵抗しないんだな」
少し唇を離してフェルディナンが小さく笑った。私はフェルディナンから与えられる熱に一方的に翻弄され過ぎてしまっていた。痺れるような感覚と熱さに目眩さえ覚え始めて唇が麻痺して動きが鈍くなる。
「だっ……て、いつもと、ちがう……」
舌がもつれて呂律が回らない。舌足らずな子供の様に答えて潤んだ瞳でフェルディナンを見返すと、フェルディナンは愛おしむように見下ろしながら軽く口づけて顔を擦り寄せてくる。
「普段は挑発的な物言いで俺を煽る君が――今度は大人しく従順な姿で俺を煽るんだな……」
「……フェル、ディナン、もしかして、発情しちゃってる、の……? 私に? 一応私も女なんだけど……」
確かに私が相手するしかないとイリヤはいっていたけれど、一応私はあなたの恋人ですけど女ですよ!? フェルディナンにそういう性的趣向があるとは思えない。見境がなくなるとは聞いていたけれどそういうことだったのかと納得しかけたところで、フェルディナンから純粋な告白をされて私はその考えを改めることになる。
「俺は君がいい」
私の腰に腕を巻き付けてまだまだ物足りないという顔をしてフェルディナンは私を見た。
「でも……」
「俺は君以外とこういう事をするつもりはない。だから性別何てどうでもいい。周りにどう見られようと君が相手ならどうでもいい事だ」
「……フェルディナン」
どれだけフェルディナンに愛されているのかをあまりに純粋な言葉で表現されて赤面してしまう。耳まで赤くしながら私は熱っぽい目でフェルディナンを見返した。フェルディナンと熱く視線を絡め合いながら、そのまま身体を投げ出して応えてもいいような気持ちになる。
「あのっ、でも、やっぱりちょっとまって! それにまだ朝なんですけど……」
「それは関係ないな」
くすっと笑ってフェルディナンは楽しそうに答えた。その様子は何故だか面白がっているようにも見える。始めは女神のように清らかな印象の美女に見えていたのに、私に触れて興奮した今のフェルディナンは妖艶な雰囲気を漂わせている。男を誘う事に長けたインキュバスのようにしか見えない。そして元が男だとはとても思えなかった。
「関係ないって……」
絶句してしまう。
……ですよね発情している人には昼だろうが夜だろうが関係ないですよね。
何時もよりも大きく見開かれたフェルディナンの紫が混じった青い瞳は、興奮で赤く潤んでいた。それも物凄くものほしそうな眼差しで私を見つめてくる。
うっ、可愛い。
ちょこんとベッドの上に座って私を抱きしめているフェルディナンにどうにか流されない方法はないものかと必死に頭を巡らせながらも、やはり私は逃げる方法を探し始めていた。
0
お気に入りに追加
3,442
あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる