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第二章~恋人扱編~
028 真夜中過ぎの訪問
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私はフェルディナンに片手で抱き上げられた状態で彼に抱きついてその首筋に顔を埋めていた。
「……月瑠?」
フェルディナンは私が抱いている不安な気持ちを無理やり切り取ったり誤魔化したりしない。否定することなく何時もその気持ちごと、丸ごと全部をいとも容易く包み込んで全て受け入れてしまう。
この人、どれだけ包容力があるの……
「フェルディナンが何で私を選んでくれたのか、やっぱりぜんっぜん分からない……」
そう小さく呟いて、一層フェルディナンの太く逞しい首筋に顔を埋め込んだ。フェルディナンの男としてのレベルが高すぎて何だか目眩を起こしそうになる。
彼ならどんな人でも選びたい放題。選り取り見取りだろうに。
女体化するとはいえ相手は全員男性だけど……
「月瑠?」
フェルディナンは私が何と言ったのか聞こえなくて、不思議そうに語尾を上げて私の名前を呼んだ。答えるにはまだ気持ちの整理がつかなくて何も言わずに静かにしていたら、今度は後頭部に軽く唇を押し当てられてしまった。
「――っ!」
思わず悲鳴のような声を上げそうになって寸でのところで止めたけれど、フェルディナンの唇が後頭部に当たっている柔らかな感触にビクッと身体が反応して震えてしまう。ゆっくりと顔を上げると穏やかな顔のフェルディナンと目が合った。そのまま顔を近づけて来るフェルディナンに流されて、本当にこのまま町中で唇を重ねてしまいそうになったところで、呆れた様な声が後方から飛んできた。
「――あのさぁ二人共、自分達だけだからってちょっと油断し過ぎじゃない?」
「イリヤっ!?」
「俺達から堂々と逃亡して挙句、こんな町のど真ん中でいちゃついてるなんて、いい度胸してるじゃないか」
長い銀髪に片手を埋め込みながら腰に手を当てて、宝石のような赤い瞳を細めてフェルディナンを睨みつけているイリヤは、肩が小刻みに揺れていて若干息も荒い。どうやらかなりあちこち動き回って探してくれていたようだ。
「本当ですよ! 姫様だけならともかく、クロス将軍まで一緒になって逃亡に手を貸すなんてどういうつもりですかっ!」
「えっ……あの、私だけならともかくってどういう意味ですかバートランドさん……」
そのイリヤの後ろでもっと息を乱してゼエゼエと肩を上下させているバートランドが、モフモフした口髭を頻りに動かして参戦した。
確かにフェルディナンと二人っきりになりたくて、あの手この手を使って逃亡をはかろうとはしていたけれど……全部失敗に終わった。それも実行前に色々と邪魔が入って。だから誰も私が逃亡を計画していたことは知らない筈だった。
「姫様が普段考えてることなんて何もおっしゃらなくてもバレバレですよ」
「――って、ことはバートランドさんが逃亡計画を全部妨害してたんですかっ!?」
「当たり前でしょう! 姫様がのほほんとした頭で立てた逃亡計画なんて俺達が許すと思っているんですか! 当然イリヤさんにもバレバレでしたよ!」
「の、のほほん……っ!?」
「月瑠は顔に出るからね。月瑠が失敗する姿を見るのはなかなか楽しかったけど」
「い、イリヤまで酷い……」
「でもクロス将軍が逃亡に手を貸すのは流石に想定外でした……」
イリヤとバートランドにやり込められて落ち込む私の頭をよしよしと撫でながら、それまで私達のやり取りを興味なさそうに傍観していたフェルディナンが口を開いた。
「お前達が始終一緒にいては気が休まらない。少しも遠慮しないし鬱陶しい事この上ない。だから月瑠に手を貸した」
悪いか? とフェルディナンが私を抱き上げたまま面倒臭そうに白い目でイリヤとバートランドを見やった。
「……まさかフェルディナンも知って――」
「イリヤやバートランドにも分かることが私に分からない訳ないだろうが。だが私と二人切りになりたいと思って逃亡しようとしていたのなら、怒る訳にもいかないからな。手を貸したくもなる」
そう言ってフェルディナンは紫混じった青い瞳を優し気に細めて、とんでもなく甘い顔をして笑った。
「フェルディナン!」
「クロス将軍!」
「それにこうもしつこく付きまとわれては息抜きしたくもなるというものだ。仕方ないだろう」
「「仕方なくないっ!」」
「何だ? いつも反発し合っているお前達にしては珍しく息が合っているな」
そう言って楽しそうにイリヤとバートランドを見やるフェルディナンはどうやら全く悪いと思ってなさそうだ。
「……つまらんな。見つけるまで一時間はかかったぞ? 退屈しのぎにはなりそうだが……お前達少し腕が鈍ったんじゃないか?」
「冗談言うなっ! 本気を出したフェルディナンに敵うはずないじゃないかっ!」
「昔から逃亡の常習犯だったクロス将軍を相手にそう簡単に捕まえることが出来たら苦労しませんよ!」
「そうか。ならばもう少し訓練するんだな」
「そんな訓練必要ないんだよ本当なら……」
恨みの籠った目でフェルディナンを見ながらイリヤはその矛先を別の方へと向けた。
「それよりも、シャノンは俺達より先に見つけていた筈なのにどうして報告してこないんだ!」
「……俺は獣王ツェザーリ・アークライトの王命により、二国間の親睦を深める為に月瑠の警護要員として派遣されたのであって、二人を見つけてお前達に差し出すことは二国間の特約にも含まれていない」
何処に隠れていたのか何時の間にか音もなく私達の背後にシャノンが立っていた。シャノンはイリヤの鋭い視線をものともせず淡々と答えている。
相変わらず青みがかった灰色の狼の耳がピンと立っていて、それを見ているとどうしても私は指先がうずうずしてくるのを止められない。狼の獣人であるシャノンが羽織った黒い外套の中にはフワフワの尻尾が隠れている筈なのだけれど、フェルディナンの目を盗んでそれを拝める機会がなく――最近の私の目標はフェルディナンに見付からないようにしてシャノンの尻尾を触ることになっていた。
う~触りたい! モフモフ~!
でもフェルディナンの前で触ったらきっとまた前回みたいに怒られちゃうし……
私が能天気に指先をうずうずさせている最中にも、シャノンとイリヤとの交戦は続いている。そして最終的には殺気立っているイリヤをバートランドがまあまあと両手を上げて宥めに掛かった。
「イリヤさん、シャノンさんの言うことはもっともですし、そもそも彼は姫様の言うことしか聞かないんですから仕方ないですよ」
「ったく、どいつもこいつも好き勝手してくれるな。俺もバートランドも月瑠の警護要員としてシャノンと同じように王命を受けているのにどうしてこうも違うんだ……」
あの半年前の獣人との騒動――そして”神の定めた禁忌”から世界が解放された事がきっかけとなり、今獣人と人間の間には少しだけ歩み寄りの姿勢が見えるようになっていた。その二国間の親睦を深める第一弾として獣王ツェザーリ・アークライトはシャノンを私の警護要員として派遣してきた。
二国間の橋渡しをした功労者として私は丁重に扱われることになるらしい――といっても今までも十分丁重に扱われてきたのだけれど。今となっては普段から姿こそ見せないものの、日夜問わずシャノンは付かず離れず陰ながら私の警護にあたっている。
そしてイリヤとバートランドもまたこの国の国王であるユーリー・テオドールに私の警護要員として王命を受けている。理由は私が異邦人であることと、半年前の件で少し有名になり過ぎて危険性が増した為のようだった。
もともと有名だったのが更に重ねてということで、より一層警護に余念がなくなっている――とはいえこの国では半年前の件で顔も名前も知れ渡ってしまい、今更外套で身元を隠すよりはあえて晒すことで注目させておく方が周りの目が監視となりかえって安全だろうということで、私は制服を着て堂々と町中をフェルディナンと歩けるようになった。
そして、王命を下した相手は違えどイリヤもバートランドもシャノンも同じように献身的に私の警護に付いてくれていて、今では三人揃ってフェルディナンの屋敷に部屋を借りて滞在している。つまり私は外でも内でも始終見張られっぱなしの状況に陥ったという訳だった。
――四六時中監視されてあんまり窮屈だったから逃亡したくなっちゃったんだよね……
「今ではあの半年前の出来事……”神解き”って言われているんですよね? そんな大事になるなんて……でも、あの、やっぱり私から王様に警護は必要ないって言う方がいいと思うんですよね。私はそこまで大した人間じゃないというか、やっぱりモブですし……」
本来の”神解き”の意味は落雷のことなのだが、この世界の人達にとっては正に言葉通りの意味と、落雷に打たれたような衝撃だったのだろう。次々に人々へと伝わって今ではすっかり定着してしまっている。
「月瑠!? 何言ってるのさっ!? ただでさえ危なっかしいのにそんなこと出来る訳ないじゃないかっ!」
「大した人間じゃない!? 姫様……冗談言うのも程々にして下さいっ!」
「いや、その、ですね……冗談じゃないというか、本気なのです、が……」
本気でそんなこと言うなとジーと方々から非難の視線を浴びてしまう。それもイリヤとバートランドだけではなく、シャノンもそしてフェルディナンもそれには同意見のようだった。
「なんで皆こんな時だけ結託しちゃうんですかっ!?」
――う~ん、ちょっと過保護過ぎじゃないかと思うのだけど、言っても誰も聞いてくれないし……
王命を廃するような選択肢などこの人達の中には端から微塵もないようだ。
「えっと、あっ! そう言えばフェルディナンが逃亡の常習犯ってどういうことですか?」
重苦しい空気を換えたくて話題を唐突に変えた私の振りに、今度はイリヤが複雑そうな顔をした。そして少ししてから重々しく神妙な面持ちで答えてくれた。
「……フェルディナンは今でこそ落ち着いているけど、昔は……会議はすっぽかすは鍛錬はサボるはで大変だったんだぞ? その度に何度捜索に狩り出されたことか……それなのに誰もフェルディナンに敵う奴がいないから余計に手に負えない問題児だったんだ将軍の癖にさっ。それもその理由っていうのが面倒だからっていう……」
「――イリヤ余計なことは言わなくていい」
疲れ切った様子のイリヤにフェルディナンが釘を刺したけれど私はそのまま質問を続けた。
「フェルディナンが問題児……? あの、私どちらかと言うとイリヤとフェルディナンが逆の立場なのかと思っていたのですが……」
「月瑠……今まで俺のこと一体どんな目で見てたのかな?」
「姫様、本来の人間関係図はこれが正解です」
私は目を白黒させて困惑していてしまう。それってどういうことですか……?
「えっと、……それって、昔はフェルディナンが問題児でイリヤとバートランドさんがお目付け役だったってこと?」
確かに今までにも大人のフェルディナンにしてはいきなりらしくないような、悪戯っ子のような衝動的な言動を見ることが度々あった。それも私と二人切りの時は特に多かった気がする。――それってもしかしてその時の名残、とか?
「クロス将軍はここ数年の間大人しくしていましたけど、本来はイリヤさんが言っていた通りです」
「……そ、そうなんですか?」
「何でもそつなくこなす天才肌だから余計に手に負えないんだよ! それもやっと大人しくなったと思っていたのにどうして今更元に戻るんだっ!」
「えーっと……」
「失礼な奴等だな。私が何時そんな我儘を通した?」
「今ですよ!」
「今だよ!」
ピッタリ息を合わせて言い返してきたバートランドとイリヤにフェルディナンは只々面倒臭そうなものを見るような目を向けている。
「……お前達本当に仲良いな」
「「良くないっ!」」
「…………」
仲良いじゃないかと言いたげなフェルディナンの上から目線の冷たい視線と、それに噛みつくイリヤとバートランドの視線が交錯してバチバチと火花を散らしている。
「あの……フェルディナン?」
「月瑠はこれ以上の戯言を聞かなくていい」
「フェルディナンっ! 君は本当に何考えてっ――」
「あーもうっ! クロス将軍はどうしてそう事態を悪化させることばかり言うんですかっ! とりあえずイリヤさんも落ち着いて! 落ち着いて下さいっ!」
戯言だと!? とイリヤが後方で非難の声を上げてバートランドがどうどうと制しているけれど、それも綺麗にスルーしてフェルディナンは視線を私だけに真っすぐ向けてきた。
楽しそうに笑いながらでもどこか切ない面差しに、思わず息を飲んでしまう程フェルディナンの表情は色々な思いを含んでいてハッとしてしまう。私の倍以上生きているその過去の道のり。その中に沢山の刹那を抱えて彼は生きてきたのかもしれない。だから私はこれ以上聞くことを躊躇った。
「――今はまだ難しいが必ず話すと約束する。だから今は気にしなくていい」
皆みたいに過去を知っている訳じゃない私が、恋人だからって踏み込んでもいい領域なのか分からない。そう思っていたらフェルディナンが思いがけずその過去の思い出にまで、私を受入れてくれると約束してくれた。
徐々にフェルディナンが私を懐深く受入れ始めたのが分かって何だか無性に嬉しくなる。
「……うん」
私は頷いてフェルディナンの首筋に回している手に力を入れて更にギュッと抱きしめると、それに応えてフェルディナンが私を抱き上げたまま強く抱きしめ返してくれた。
「まったく、本当に好き勝手にしてくれて心配するこっちの身にもなれっての……ったく、もういいよ好きにすればいいさ」
「イリヤさん……言われなくてもお二人は好きにしているようですが……」
聊か疲れた様子のバートランドがイリヤの言葉に首を傾げた。
「ふんっ、それにしても”神解き”とはね……時代が変わる、か……」
怒ったように鼻を鳴らしてからイリヤは声を落として、先程まで怒っていた人間とはまるで別人のような落ち着いた口調で静かに呟いた。
「俺も……俺の好きなようにさせてもらうさ」
私とフェルディナンが幸せな抱擁を交わしている最中の――イリヤの言葉に込められた思いにこの時の私達はまだ気づいていなかった。
*******
昼下がりの午後に町中でフェルディナン達と繰り広げた諸々の騒動からかなりの時間が経過して、いまは真夜中の十二時を過ぎたところ。
別世界から転移した異邦人で行くところがない私はフェルディナンの屋敷の一室を貸し与えられている。その部屋の窓から見える外の景色は、すっかり夜の闇と静寂に包まれているのに私は一向に眠ることが出来ずにいた。
私はベッドの上にワンピースタイプで肩が剥き出しになっている薄い素材の夜着を一枚纏っただけの恰好で、枕を胸に抱えて横になりながら今日あった町での会話を思い出していた。
「皆が知っている過去を私だけ知らない――この世界に来たばかりだし付き合いも長くないんだから当然といえば当然なんだけど……でもやっぱり少し寂しい、かな……」
来たばかりと言っても、もう八カ月は過ぎている。
「それに話してくれるってそれって何時のことなんだろう? ……って、どうしてこんなことですぐに揺らいじゃうかな……」
考えれば考えるだけ自分の不安定な立場と重なって一層怖さが増してくる。異邦人は何処にでも自由に行き来出来る自由人設定。でも逆に言うとそれは何処にでも自由に行けるけれど何処にも、これと断定出来るような居場所が無いに等しいということだった。
「フェルディナンとは恋人だけど、でも結婚している訳じゃないし……もし、フェルディナンの恋人でなくなってしまったら、その時私の居場所はこの世界の何処にあるの……?」
幾つも枝分かれしているその先にある未来。その複数存在する未来の不安定さにどうしようもなく心細さを感じて、私はフェルディナンに会いたくて仕方なくなってしまった。何時も私が不用意に抱えてしまった不安ごと優しく包み込んでくれるフェルディナンに会いたい。
「真夜中過ぎのこんな遅い時間に訪ねるなんてフェルディナンはやっぱり怒るよね?」
でもやっぱり会いたい……
私はどうしても我慢ができなくて、薄い夜着のまま枕を胸に抱きかかえて、ベッドから体を起こすとフェルディナンがいる部屋へと向かって歩き出していた。真夜中過ぎの突然の訪問にフェルディナンがどんな反応を示すか何て、この時の私は不安の方が先だって全く考えていなかった。
「……月瑠?」
フェルディナンは私が抱いている不安な気持ちを無理やり切り取ったり誤魔化したりしない。否定することなく何時もその気持ちごと、丸ごと全部をいとも容易く包み込んで全て受け入れてしまう。
この人、どれだけ包容力があるの……
「フェルディナンが何で私を選んでくれたのか、やっぱりぜんっぜん分からない……」
そう小さく呟いて、一層フェルディナンの太く逞しい首筋に顔を埋め込んだ。フェルディナンの男としてのレベルが高すぎて何だか目眩を起こしそうになる。
彼ならどんな人でも選びたい放題。選り取り見取りだろうに。
女体化するとはいえ相手は全員男性だけど……
「月瑠?」
フェルディナンは私が何と言ったのか聞こえなくて、不思議そうに語尾を上げて私の名前を呼んだ。答えるにはまだ気持ちの整理がつかなくて何も言わずに静かにしていたら、今度は後頭部に軽く唇を押し当てられてしまった。
「――っ!」
思わず悲鳴のような声を上げそうになって寸でのところで止めたけれど、フェルディナンの唇が後頭部に当たっている柔らかな感触にビクッと身体が反応して震えてしまう。ゆっくりと顔を上げると穏やかな顔のフェルディナンと目が合った。そのまま顔を近づけて来るフェルディナンに流されて、本当にこのまま町中で唇を重ねてしまいそうになったところで、呆れた様な声が後方から飛んできた。
「――あのさぁ二人共、自分達だけだからってちょっと油断し過ぎじゃない?」
「イリヤっ!?」
「俺達から堂々と逃亡して挙句、こんな町のど真ん中でいちゃついてるなんて、いい度胸してるじゃないか」
長い銀髪に片手を埋め込みながら腰に手を当てて、宝石のような赤い瞳を細めてフェルディナンを睨みつけているイリヤは、肩が小刻みに揺れていて若干息も荒い。どうやらかなりあちこち動き回って探してくれていたようだ。
「本当ですよ! 姫様だけならともかく、クロス将軍まで一緒になって逃亡に手を貸すなんてどういうつもりですかっ!」
「えっ……あの、私だけならともかくってどういう意味ですかバートランドさん……」
そのイリヤの後ろでもっと息を乱してゼエゼエと肩を上下させているバートランドが、モフモフした口髭を頻りに動かして参戦した。
確かにフェルディナンと二人っきりになりたくて、あの手この手を使って逃亡をはかろうとはしていたけれど……全部失敗に終わった。それも実行前に色々と邪魔が入って。だから誰も私が逃亡を計画していたことは知らない筈だった。
「姫様が普段考えてることなんて何もおっしゃらなくてもバレバレですよ」
「――って、ことはバートランドさんが逃亡計画を全部妨害してたんですかっ!?」
「当たり前でしょう! 姫様がのほほんとした頭で立てた逃亡計画なんて俺達が許すと思っているんですか! 当然イリヤさんにもバレバレでしたよ!」
「の、のほほん……っ!?」
「月瑠は顔に出るからね。月瑠が失敗する姿を見るのはなかなか楽しかったけど」
「い、イリヤまで酷い……」
「でもクロス将軍が逃亡に手を貸すのは流石に想定外でした……」
イリヤとバートランドにやり込められて落ち込む私の頭をよしよしと撫でながら、それまで私達のやり取りを興味なさそうに傍観していたフェルディナンが口を開いた。
「お前達が始終一緒にいては気が休まらない。少しも遠慮しないし鬱陶しい事この上ない。だから月瑠に手を貸した」
悪いか? とフェルディナンが私を抱き上げたまま面倒臭そうに白い目でイリヤとバートランドを見やった。
「……まさかフェルディナンも知って――」
「イリヤやバートランドにも分かることが私に分からない訳ないだろうが。だが私と二人切りになりたいと思って逃亡しようとしていたのなら、怒る訳にもいかないからな。手を貸したくもなる」
そう言ってフェルディナンは紫混じった青い瞳を優し気に細めて、とんでもなく甘い顔をして笑った。
「フェルディナン!」
「クロス将軍!」
「それにこうもしつこく付きまとわれては息抜きしたくもなるというものだ。仕方ないだろう」
「「仕方なくないっ!」」
「何だ? いつも反発し合っているお前達にしては珍しく息が合っているな」
そう言って楽しそうにイリヤとバートランドを見やるフェルディナンはどうやら全く悪いと思ってなさそうだ。
「……つまらんな。見つけるまで一時間はかかったぞ? 退屈しのぎにはなりそうだが……お前達少し腕が鈍ったんじゃないか?」
「冗談言うなっ! 本気を出したフェルディナンに敵うはずないじゃないかっ!」
「昔から逃亡の常習犯だったクロス将軍を相手にそう簡単に捕まえることが出来たら苦労しませんよ!」
「そうか。ならばもう少し訓練するんだな」
「そんな訓練必要ないんだよ本当なら……」
恨みの籠った目でフェルディナンを見ながらイリヤはその矛先を別の方へと向けた。
「それよりも、シャノンは俺達より先に見つけていた筈なのにどうして報告してこないんだ!」
「……俺は獣王ツェザーリ・アークライトの王命により、二国間の親睦を深める為に月瑠の警護要員として派遣されたのであって、二人を見つけてお前達に差し出すことは二国間の特約にも含まれていない」
何処に隠れていたのか何時の間にか音もなく私達の背後にシャノンが立っていた。シャノンはイリヤの鋭い視線をものともせず淡々と答えている。
相変わらず青みがかった灰色の狼の耳がピンと立っていて、それを見ているとどうしても私は指先がうずうずしてくるのを止められない。狼の獣人であるシャノンが羽織った黒い外套の中にはフワフワの尻尾が隠れている筈なのだけれど、フェルディナンの目を盗んでそれを拝める機会がなく――最近の私の目標はフェルディナンに見付からないようにしてシャノンの尻尾を触ることになっていた。
う~触りたい! モフモフ~!
でもフェルディナンの前で触ったらきっとまた前回みたいに怒られちゃうし……
私が能天気に指先をうずうずさせている最中にも、シャノンとイリヤとの交戦は続いている。そして最終的には殺気立っているイリヤをバートランドがまあまあと両手を上げて宥めに掛かった。
「イリヤさん、シャノンさんの言うことはもっともですし、そもそも彼は姫様の言うことしか聞かないんですから仕方ないですよ」
「ったく、どいつもこいつも好き勝手してくれるな。俺もバートランドも月瑠の警護要員としてシャノンと同じように王命を受けているのにどうしてこうも違うんだ……」
あの半年前の獣人との騒動――そして”神の定めた禁忌”から世界が解放された事がきっかけとなり、今獣人と人間の間には少しだけ歩み寄りの姿勢が見えるようになっていた。その二国間の親睦を深める第一弾として獣王ツェザーリ・アークライトはシャノンを私の警護要員として派遣してきた。
二国間の橋渡しをした功労者として私は丁重に扱われることになるらしい――といっても今までも十分丁重に扱われてきたのだけれど。今となっては普段から姿こそ見せないものの、日夜問わずシャノンは付かず離れず陰ながら私の警護にあたっている。
そしてイリヤとバートランドもまたこの国の国王であるユーリー・テオドールに私の警護要員として王命を受けている。理由は私が異邦人であることと、半年前の件で少し有名になり過ぎて危険性が増した為のようだった。
もともと有名だったのが更に重ねてということで、より一層警護に余念がなくなっている――とはいえこの国では半年前の件で顔も名前も知れ渡ってしまい、今更外套で身元を隠すよりはあえて晒すことで注目させておく方が周りの目が監視となりかえって安全だろうということで、私は制服を着て堂々と町中をフェルディナンと歩けるようになった。
そして、王命を下した相手は違えどイリヤもバートランドもシャノンも同じように献身的に私の警護に付いてくれていて、今では三人揃ってフェルディナンの屋敷に部屋を借りて滞在している。つまり私は外でも内でも始終見張られっぱなしの状況に陥ったという訳だった。
――四六時中監視されてあんまり窮屈だったから逃亡したくなっちゃったんだよね……
「今ではあの半年前の出来事……”神解き”って言われているんですよね? そんな大事になるなんて……でも、あの、やっぱり私から王様に警護は必要ないって言う方がいいと思うんですよね。私はそこまで大した人間じゃないというか、やっぱりモブですし……」
本来の”神解き”の意味は落雷のことなのだが、この世界の人達にとっては正に言葉通りの意味と、落雷に打たれたような衝撃だったのだろう。次々に人々へと伝わって今ではすっかり定着してしまっている。
「月瑠!? 何言ってるのさっ!? ただでさえ危なっかしいのにそんなこと出来る訳ないじゃないかっ!」
「大した人間じゃない!? 姫様……冗談言うのも程々にして下さいっ!」
「いや、その、ですね……冗談じゃないというか、本気なのです、が……」
本気でそんなこと言うなとジーと方々から非難の視線を浴びてしまう。それもイリヤとバートランドだけではなく、シャノンもそしてフェルディナンもそれには同意見のようだった。
「なんで皆こんな時だけ結託しちゃうんですかっ!?」
――う~ん、ちょっと過保護過ぎじゃないかと思うのだけど、言っても誰も聞いてくれないし……
王命を廃するような選択肢などこの人達の中には端から微塵もないようだ。
「えっと、あっ! そう言えばフェルディナンが逃亡の常習犯ってどういうことですか?」
重苦しい空気を換えたくて話題を唐突に変えた私の振りに、今度はイリヤが複雑そうな顔をした。そして少ししてから重々しく神妙な面持ちで答えてくれた。
「……フェルディナンは今でこそ落ち着いているけど、昔は……会議はすっぽかすは鍛錬はサボるはで大変だったんだぞ? その度に何度捜索に狩り出されたことか……それなのに誰もフェルディナンに敵う奴がいないから余計に手に負えない問題児だったんだ将軍の癖にさっ。それもその理由っていうのが面倒だからっていう……」
「――イリヤ余計なことは言わなくていい」
疲れ切った様子のイリヤにフェルディナンが釘を刺したけれど私はそのまま質問を続けた。
「フェルディナンが問題児……? あの、私どちらかと言うとイリヤとフェルディナンが逆の立場なのかと思っていたのですが……」
「月瑠……今まで俺のこと一体どんな目で見てたのかな?」
「姫様、本来の人間関係図はこれが正解です」
私は目を白黒させて困惑していてしまう。それってどういうことですか……?
「えっと、……それって、昔はフェルディナンが問題児でイリヤとバートランドさんがお目付け役だったってこと?」
確かに今までにも大人のフェルディナンにしてはいきなりらしくないような、悪戯っ子のような衝動的な言動を見ることが度々あった。それも私と二人切りの時は特に多かった気がする。――それってもしかしてその時の名残、とか?
「クロス将軍はここ数年の間大人しくしていましたけど、本来はイリヤさんが言っていた通りです」
「……そ、そうなんですか?」
「何でもそつなくこなす天才肌だから余計に手に負えないんだよ! それもやっと大人しくなったと思っていたのにどうして今更元に戻るんだっ!」
「えーっと……」
「失礼な奴等だな。私が何時そんな我儘を通した?」
「今ですよ!」
「今だよ!」
ピッタリ息を合わせて言い返してきたバートランドとイリヤにフェルディナンは只々面倒臭そうなものを見るような目を向けている。
「……お前達本当に仲良いな」
「「良くないっ!」」
「…………」
仲良いじゃないかと言いたげなフェルディナンの上から目線の冷たい視線と、それに噛みつくイリヤとバートランドの視線が交錯してバチバチと火花を散らしている。
「あの……フェルディナン?」
「月瑠はこれ以上の戯言を聞かなくていい」
「フェルディナンっ! 君は本当に何考えてっ――」
「あーもうっ! クロス将軍はどうしてそう事態を悪化させることばかり言うんですかっ! とりあえずイリヤさんも落ち着いて! 落ち着いて下さいっ!」
戯言だと!? とイリヤが後方で非難の声を上げてバートランドがどうどうと制しているけれど、それも綺麗にスルーしてフェルディナンは視線を私だけに真っすぐ向けてきた。
楽しそうに笑いながらでもどこか切ない面差しに、思わず息を飲んでしまう程フェルディナンの表情は色々な思いを含んでいてハッとしてしまう。私の倍以上生きているその過去の道のり。その中に沢山の刹那を抱えて彼は生きてきたのかもしれない。だから私はこれ以上聞くことを躊躇った。
「――今はまだ難しいが必ず話すと約束する。だから今は気にしなくていい」
皆みたいに過去を知っている訳じゃない私が、恋人だからって踏み込んでもいい領域なのか分からない。そう思っていたらフェルディナンが思いがけずその過去の思い出にまで、私を受入れてくれると約束してくれた。
徐々にフェルディナンが私を懐深く受入れ始めたのが分かって何だか無性に嬉しくなる。
「……うん」
私は頷いてフェルディナンの首筋に回している手に力を入れて更にギュッと抱きしめると、それに応えてフェルディナンが私を抱き上げたまま強く抱きしめ返してくれた。
「まったく、本当に好き勝手にしてくれて心配するこっちの身にもなれっての……ったく、もういいよ好きにすればいいさ」
「イリヤさん……言われなくてもお二人は好きにしているようですが……」
聊か疲れた様子のバートランドがイリヤの言葉に首を傾げた。
「ふんっ、それにしても”神解き”とはね……時代が変わる、か……」
怒ったように鼻を鳴らしてからイリヤは声を落として、先程まで怒っていた人間とはまるで別人のような落ち着いた口調で静かに呟いた。
「俺も……俺の好きなようにさせてもらうさ」
私とフェルディナンが幸せな抱擁を交わしている最中の――イリヤの言葉に込められた思いにこの時の私達はまだ気づいていなかった。
*******
昼下がりの午後に町中でフェルディナン達と繰り広げた諸々の騒動からかなりの時間が経過して、いまは真夜中の十二時を過ぎたところ。
別世界から転移した異邦人で行くところがない私はフェルディナンの屋敷の一室を貸し与えられている。その部屋の窓から見える外の景色は、すっかり夜の闇と静寂に包まれているのに私は一向に眠ることが出来ずにいた。
私はベッドの上にワンピースタイプで肩が剥き出しになっている薄い素材の夜着を一枚纏っただけの恰好で、枕を胸に抱えて横になりながら今日あった町での会話を思い出していた。
「皆が知っている過去を私だけ知らない――この世界に来たばかりだし付き合いも長くないんだから当然といえば当然なんだけど……でもやっぱり少し寂しい、かな……」
来たばかりと言っても、もう八カ月は過ぎている。
「それに話してくれるってそれって何時のことなんだろう? ……って、どうしてこんなことですぐに揺らいじゃうかな……」
考えれば考えるだけ自分の不安定な立場と重なって一層怖さが増してくる。異邦人は何処にでも自由に行き来出来る自由人設定。でも逆に言うとそれは何処にでも自由に行けるけれど何処にも、これと断定出来るような居場所が無いに等しいということだった。
「フェルディナンとは恋人だけど、でも結婚している訳じゃないし……もし、フェルディナンの恋人でなくなってしまったら、その時私の居場所はこの世界の何処にあるの……?」
幾つも枝分かれしているその先にある未来。その複数存在する未来の不安定さにどうしようもなく心細さを感じて、私はフェルディナンに会いたくて仕方なくなってしまった。何時も私が不用意に抱えてしまった不安ごと優しく包み込んでくれるフェルディナンに会いたい。
「真夜中過ぎのこんな遅い時間に訪ねるなんてフェルディナンはやっぱり怒るよね?」
でもやっぱり会いたい……
私はどうしても我慢ができなくて、薄い夜着のまま枕を胸に抱きかかえて、ベッドから体を起こすとフェルディナンがいる部屋へと向かって歩き出していた。真夜中過ぎの突然の訪問にフェルディナンがどんな反応を示すか何て、この時の私は不安の方が先だって全く考えていなかった。
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毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
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