上 下
30 / 56
アクロ編

第29話 水宮のダンジョンの事前考察

しおりを挟む
 Bランク冒険者になってからだいぶゆっくりして休めたな。そろそろダンジョンに行ってみようかな。
 こないだ考えていた水宮のダンジョン。みずちがどれくらいの強さなのか。試してみないと駄目だな。

 ミカと相談してみるか。ミカはリビングでゆったりしている。

「ミカ、水宮のダンジョンに挑戦してみたいんだけど」

「お、アキくんもやっと動き出しますか」

「まぁね。ダンジョン探索は嫌いじゃないよ。作業になると嫌になってくるけどさ」

「水宮のダンジョンならみずちね。口から吐く水流対策が大事ね」

「ミカの防壁の魔法だとどうなるかな?」

「私の使う魔法は金属性だから水とは相性は悪くないわよ。たぶん強度は大丈夫だと思うけど水流の攻撃スピードがどうなるかでしょうね」

「【昇龍の盾】だとどうなるかな?」

「【昇龍の盾】は水属性の装備だから相性は普通ね。試してみないと分からないけどね」

「硬い尻尾の叩き付けと巻き付きは近寄らなければ大丈夫だよね。ダンジョンが広ければ良いんだけど」

「B級ダンジョンからはギルドでもMAP売ってないからね」

「え、そうなの?」

「1階層くらいならデータがあるけどそれ以上は探索した人が少ないからね。挑戦するのは跳ねっ返りの命知らずの冒険者くらい。ここ何年も水宮のダンジョンに挑戦した人は皆んな帰ってきてないわ。挑戦する人もほとんどいないけど」

「了解。結局は行って見ないと分からないって事だね。早速明日行ってみようか?」

「分かったわ。準備しておくわね」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 水宮のダンジョンはアクロの東門を抜けて6キロルほどにある。また自宅は西門の近くで東門まで距離がある。行くまでに時間がかかる。

 実は冒険者ギルドで貸し馬をやっている。それを使う事にした。貸し馬はギルドの施設のためBランク冒険者は無料だ。

 残念ながら僕は乗馬ができない。実家ではいないものとして扱われていたため誰も教えてくれなかった。ミカはカンダス帝国の騎士だったため乗馬はお手の物だ。

 気が付いた人もいるとは思うけど僕はミカの後ろに乗せてもらうことになった。また水宮のダンジョンまでもう一人ギルド職員が付き添ってくれる。ダンジョン探索中の馬の世話をするためだ。
Bランク冒険者になると本当にサポートが手厚い。

 貸し馬の施設は冒険者ギルドの裏にある。行ってみたら既に2頭の馬が用意されていた。大きめの馬の方には2人乗り用の鞍が装着されていた。

 今日はこの馬に乗るのかなっと思っていると若い男性に声をかけられた。

「初めまして、冒険者ギルド職員のクラドルです。本日はよろしくお願いします」

 とても丁寧な男性だった。年齢は20歳くらいで髪色は僕と似ていて青色を薄くした感じ。全体的に柔らかい印象を受けた。

「あ、こちらこそよろしくお願いします。アキと申します。馬に乗るのは初めてなので緊張しています」

「そうですか。あんまり緊張するとそれが馬に伝わりますから自然体でリラックスすると良いですね。今日乗る馬は気性が穏やかで安全ですよ」

 初めての馬の上は目線が相当高くそこそこ怖かった。僕はミカの腰にしっかりと捕まっていた。
 慣れてくると馬の上も良いもんだなぁ。僕も乗馬の練習をしようとこの時決めた。

 冒険者ギルドから東門を通り水宮のダンジョンまでは半刻1時間と少しかかった。やっぱり馬は早いな。
 馬から降り、少しずつ強張った身体をほぐすため一回身体を伸ばす。

 ダンジョン入り口近くにある木に馬を繋げる。
 装備をもう一度点検して準備万端。よし頑張るぞ。

「それではクラドルさん、行ってきます。今日は軽い下見ですからそんなに遅くはなりません。よろしくお願いします」

「気をつけて行ってきてくださいね」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

やり直し悪女は転生者のヒロインと敵対する

光子
恋愛
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう…… 断頭台を登る足が震える。こんなところで死にたくないと、心の中で叫んでいる。 「《シルラ》、君は皇妃に相応しくない! その罪を悔い、死で償え!」 私に無情にも死を告げるのは、私の夫である《キッサリナ帝国》の皇帝陛下 《グラレゴン》で、その隣にいるのは、私の代わりに皇妃の座に収まった、《美里(みさと)》と呼ばれる、異世界から来た転生者だった。 「さようならシルラ、また、来世で会えたら会いましょうね。その時には、仲良くしてくれたら嬉しいな!」 純粋無垢な笑顔を浮かべ、私にお別れを告げる美里。 今の人生、後悔しかない。 もしやり直せるなら……今度こそ間違えない! 私は、私を大切に思う人達と、自分の幸せのために生きる! だから、お願いです女神様、私の人生、もう一度やり直させて……! 転生者という、未来が分かる美里に対抗して、抗ってみせるから! 幸せになってみせるから! 大切な人を、今度こそ間違えたりしないから! 私の一度目の人生は幕を閉じ―――― ――――次に目を覚ました時には、私は生家の自分の部屋にいた。女神様の気まぐれか、女神様は、私の願いを叶えて下さったのだ。 不定期更新。 この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

「好きなんでしょ?」「え?」「魔術が」~新人魔術師の身分差婚~

神田柊子
恋愛
ミックは王立魔術院の新人研究員。専門高等学校魔術科を卒業して就職一年目の、平民出身の魔術師だった。 魔術院の主任エイプリル伯爵から演劇のチケットを譲ってもらい出かけると、隣の席にはチェルシーがいた。 彼女は魔術師を多く輩出する魔術師貴族の令嬢で、本当は伯爵とお見合いする予定だった。 気まずい空気で別れ、二度と会うこともないと思っていたミックだったけれど、後日、別の場所でチェルシーと再会して・・・。 ----- 西洋風異世界。電気はないけど魔道具があるって感じの世界観。 魔術あり。政治的な話なし。戦いなし。転移・転生なし。 三人称。視点は予告なく変わります。 ※本作は2022年11月から2024年12月まで公開していた作品を修正したものです。旧題「新人魔術師の身分差婚」 ----- 「魔術師○○の契約結婚」シリーズ5作目になります。 1作目の「魔術師令嬢の契約結婚」の約10年前です。 ※小説家になろう様にも掲載中。

処理中です...