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プロローグ
第1話 プロローグ
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リンカイ王国南方Gランクダンジョン。
正面には3匹のゴブリン。距離は30メトル程度。身長は90セチルほどで小さな子供程度。汚い布切れを身体に巻いている。まだこちらの存在に気がつかれていない。先手必勝、魔法が使えるか試してやる。
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
直径20セチルほどの蒼い炎玉が左手より発射され、真ん中にいるゴブリンの胸に命中した。真ん中のゴブリンは白い灰になり崩れ落ちる。両隣にいたゴブリンは余波を受けて黒焦げになった。
魔法の威力に呆然となった。完全にオーバーキルだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はアキ・ファイアール。リンカイ王国のファイアール公爵の長男として生まれた。
しかし産まれた瞬間から後継からは外され、いないものとして育てられてきた。
その理由はただ一つ。水色の髪色のせいだ。
魔力には色があり、ファイアールは火を司る家。火の適性があればあるほど髪の色は真っ赤になる。父親のシンギ・ファイアール、母親のスミ・ファイアール、共に真紅の髪だ。
ファイアール公爵家はリンカイ王国の南の封印守護者としての任を代々受け継いでいる。南の封印は火を司る。火の適性が無い嫡男には何の価値もない。
一応10歳の時に火魔法を習ったが全く発動しなかった。
現在ファイアールの後継は2歳年下の弟であるガンギ・ファイアールが擁立されている。家族と最後に会話したのがいつかはもう覚えていない。
強い魔法は血を選別してきた貴族しか使えない。冒険者のほとんどは平民だ。冒険者になる上で魔法が使えないのはそれほどマイナスではない。
小さいころ絵本を読んだ。冒険者が主人公で仲間と共に活躍する話。僕は冒険者に憧れた。
僕は冒険者になって世界各地のダンジョンを巡りたいと強く思っている。自由にこの世界を楽しみたい。成人の18歳になったら冒険者になる予定だった。あの出来事が起こるまで…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その日は15歳の誕生日だった。何故か動悸が激しく寝付けなかった。何かが僕を呼んでいる気がする。その時気が付いた。カーテンの隙間から青白い光が漏れてきている。
僕は本館ではなく離れに一人で住んでいる。離れの裏には大木があり、その下には祠が祀られている。その祠が光っているようだ。上着を着て祠を確認に行く。
この祠はいつからあるのか誰も知らない。公爵家の歴史書にも記録がない。相当に強い結界が張ってあり、だれも祠に近づくこともできないものだった。
その祠の扉が現在開いている。恐る恐る近づいていくと祠の中のものが青白く光っている。
結界が解けている!?
魅入られたように祠の中を覗き込む。
そこにはカードが1枚光り輝いていた。手を伸ばしカードに触ると青白い光が身体に流れこみ、呪文が頭に流れてくる。
既にカードは光を放っておらず僕は数分ほど呆然と立ちすくんでいた。
離れの自分の部屋に戻りカードを確認すると文字が記載されていた。
【名前】アキ・ファイアール
【年齢】15歳
【性別】男性
【レベル】5
【HP】35/35
【MP】26/26
【力 】15
【魔力】18
【速さ】13
【体力】12
【魔法】蒼炎
ステータスカード!?
国宝レベルの希少カードじゃないか!
魔法に蒼炎ってある!
もしかしたら魔法が使えるようになった!?
呪文は先程頭に流れ込んできたものなのか?
魔法が使えず散々冷遇されてきた。
それが魔法が使えるようになったかもしれない。嬉しさで身体が震えてくる。
取り敢えず朝になったらダンジョンに入って確認してみよう。
ステータスカードと魔法が使えるならば冒険者活動には最適だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
魔法の実験は予想を遥かに超える結果だった。火の魔法のファイアーボールは20セチルほどの赤い玉を打ち出すもの。ゴブリンに当たった場合、火傷を負わす程度だ。それに比べて蒼炎はゴブリンを消し炭にしてしまった。破壊力が違いすぎる。
18歳から家を出て冒険者になる予定だったが、僕が火の魔法を使えることが分かったらどうなる? 通常の火の魔法を超えている蒼炎の魔法。無理矢理ファイアールの封印守護者にさせられるかもしれない。
家族に愛情は全くない。今更ファイアールの封印守護者になるつもりもない。魔法が使えるとバレる前に家を出るか。
成人前に放逐するとファイアール家の体裁が悪い。父親が赦すわけがない。それなら家出だな。
15歳になった3日後、僕は貯めていたお金と希望を胸に、リンカイ王国南方守護地域の中央都市ボムズのファイアール家を家出した。
正面には3匹のゴブリン。距離は30メトル程度。身長は90セチルほどで小さな子供程度。汚い布切れを身体に巻いている。まだこちらの存在に気がつかれていない。先手必勝、魔法が使えるか試してやる。
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
直径20セチルほどの蒼い炎玉が左手より発射され、真ん中にいるゴブリンの胸に命中した。真ん中のゴブリンは白い灰になり崩れ落ちる。両隣にいたゴブリンは余波を受けて黒焦げになった。
魔法の威力に呆然となった。完全にオーバーキルだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はアキ・ファイアール。リンカイ王国のファイアール公爵の長男として生まれた。
しかし産まれた瞬間から後継からは外され、いないものとして育てられてきた。
その理由はただ一つ。水色の髪色のせいだ。
魔力には色があり、ファイアールは火を司る家。火の適性があればあるほど髪の色は真っ赤になる。父親のシンギ・ファイアール、母親のスミ・ファイアール、共に真紅の髪だ。
ファイアール公爵家はリンカイ王国の南の封印守護者としての任を代々受け継いでいる。南の封印は火を司る。火の適性が無い嫡男には何の価値もない。
一応10歳の時に火魔法を習ったが全く発動しなかった。
現在ファイアールの後継は2歳年下の弟であるガンギ・ファイアールが擁立されている。家族と最後に会話したのがいつかはもう覚えていない。
強い魔法は血を選別してきた貴族しか使えない。冒険者のほとんどは平民だ。冒険者になる上で魔法が使えないのはそれほどマイナスではない。
小さいころ絵本を読んだ。冒険者が主人公で仲間と共に活躍する話。僕は冒険者に憧れた。
僕は冒険者になって世界各地のダンジョンを巡りたいと強く思っている。自由にこの世界を楽しみたい。成人の18歳になったら冒険者になる予定だった。あの出来事が起こるまで…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その日は15歳の誕生日だった。何故か動悸が激しく寝付けなかった。何かが僕を呼んでいる気がする。その時気が付いた。カーテンの隙間から青白い光が漏れてきている。
僕は本館ではなく離れに一人で住んでいる。離れの裏には大木があり、その下には祠が祀られている。その祠が光っているようだ。上着を着て祠を確認に行く。
この祠はいつからあるのか誰も知らない。公爵家の歴史書にも記録がない。相当に強い結界が張ってあり、だれも祠に近づくこともできないものだった。
その祠の扉が現在開いている。恐る恐る近づいていくと祠の中のものが青白く光っている。
結界が解けている!?
魅入られたように祠の中を覗き込む。
そこにはカードが1枚光り輝いていた。手を伸ばしカードに触ると青白い光が身体に流れこみ、呪文が頭に流れてくる。
既にカードは光を放っておらず僕は数分ほど呆然と立ちすくんでいた。
離れの自分の部屋に戻りカードを確認すると文字が記載されていた。
【名前】アキ・ファイアール
【年齢】15歳
【性別】男性
【レベル】5
【HP】35/35
【MP】26/26
【力 】15
【魔力】18
【速さ】13
【体力】12
【魔法】蒼炎
ステータスカード!?
国宝レベルの希少カードじゃないか!
魔法に蒼炎ってある!
もしかしたら魔法が使えるようになった!?
呪文は先程頭に流れ込んできたものなのか?
魔法が使えず散々冷遇されてきた。
それが魔法が使えるようになったかもしれない。嬉しさで身体が震えてくる。
取り敢えず朝になったらダンジョンに入って確認してみよう。
ステータスカードと魔法が使えるならば冒険者活動には最適だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
魔法の実験は予想を遥かに超える結果だった。火の魔法のファイアーボールは20セチルほどの赤い玉を打ち出すもの。ゴブリンに当たった場合、火傷を負わす程度だ。それに比べて蒼炎はゴブリンを消し炭にしてしまった。破壊力が違いすぎる。
18歳から家を出て冒険者になる予定だったが、僕が火の魔法を使えることが分かったらどうなる? 通常の火の魔法を超えている蒼炎の魔法。無理矢理ファイアールの封印守護者にさせられるかもしれない。
家族に愛情は全くない。今更ファイアールの封印守護者になるつもりもない。魔法が使えるとバレる前に家を出るか。
成人前に放逐するとファイアール家の体裁が悪い。父親が赦すわけがない。それなら家出だな。
15歳になった3日後、僕は貯めていたお金と希望を胸に、リンカイ王国南方守護地域の中央都市ボムズのファイアール家を家出した。
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