勇者召喚されて召喚先で人生終えたら、召喚前の人生に勇者能力引き継いでたんだけど!?

にゃんこ

文字の大きさ
上 下
41 / 60
異世界再び

明かされていく真実

しおりを挟む
勇者が野宿でカゲと食事をしている光景を眺めていた。

そういえば、勇者の時にカゲの食ってた飯が気になってたのを思い出してていた。
確か……カゲの飯と交換しようとしてた気がするんだよな?断られて…どうしたっけ?

そんな事を思い返していたら、勇者がカゲの腕を引っ張っていたのを見て、衝動的に隠し持っていた短剣を勇者目がけて投擲していた。

勇者は相変わらず、俺の気配には気づかなくて投擲にも気づくことなく……。
カゲが勇者に悟られない様に弾いていた。

カゲは投擲の位置から俺の居場所を把握して、勇者に気づかれない様に視線で諭された。

カゲの護衛対象に嫉妬して攻撃したなんて嫌われたって、慌ててその場から姿を消した。


カゲは勇者の護衛任務があるから追いかけては来ないって理解はしていたけど……。
過去の勇者に嫉妬して攻撃なんて、カゲの側にいたいなんて言えないなと…。俺はカゲから離れて隠密だけは忘れずに落ち込んでいた。


近づく気配には気づいたけど、悪意ないから気にする必要もなく膝を抱え込んで俯いていた。

「……誰かいるかと思ったらお前か何してんだ?」

優しく声かけられて顔をあげたらゴウキだった。優しく声かけられて涙零れたのは仕方ないって思う……。

「お、おい?どうした……」

ゴウキは狼狽えながらも俺が落ち着くまで頭撫でてくれた。

「……あの、ゴウキ様は好きな人が他の人に触れるのは平気ですか?」

泣きやみ落ち着いた俺にゴウキの羽織っていたマントを羽織らせてくれた。

「そうだな…理由によるな?」

「……理由ですか。じゃあ、片思いしている相手の護衛対象に攻撃したら嫌われますよね?」

「理由によるだろ?護衛対象は守りはするが、関係性によったら理由は聞くな」

俺は、勇者の行動と心情は覚えているから嫌で嫉妬したって……そんな説明したらカゲは勇者とどうするんだろうって思うと怖かったから、説明なんて出来ないって蒼白な表情で首を振った。

「……言えない理由か?気持ちの整理が着くまで距離置くとかはどうだ?」

距離?と言われて首傾げた。行く場所なんて居場所なんてないから、どうしたらいいか回らない思考で考えた。

「帰る場所とかないのか?……少し待て、聞いてみるから…………」


ゴウキは誰かに連絡をしている様で、連絡を終えると俺の頭撫でてくれた。

「俺の家に好きなだけいていいぜ。一緒に住んでる奴にも許可は得たから。俺達は任務で家にいることは少ないから好きなだけいろよ」

ゴウキの突然の言葉に驚いていると、「気にすんな」としか言われず混乱していたら急に近づいて来る気配を感じた。


「……ちょっと、説明不足だよね?俺とゴウキの家だから好きなだけいていいからな?あ~…なぁ、ゴウキは伝えてるのか?」

「何がだ?言わなくてもわかんねえか??」

「伝えた方がわかると思うよ。ほら、言って居場所作ってあげような」

俺はヒカルとゴウキの会話に混乱していた。

「俺も転生してる……あの勇者は魔王様が執着してるからカゲも口説く事はねえから。勇者を攻撃されて怪我させられるのは俺らも困るからカゲと距離置くなら俺らの家にいていいからな」

俺はヒカルだけじゃなくてゴウキまで転生している事に驚いて、2人が話しやすくて居心地良かった理由がわかった気がした。

「……えっと、魔王様に執着されてる勇者?私は魔王様と面識ないからわからないんですけど…魔王様がどうして??」

「ゴウキは気づいてないから、お前…イチも伝えてくれると話は早いと思う」

「そうなんですか?……えっと、私も転生してます。でも…転生前の私もココにいます」

「……??双子か?分身?」

俺の説明にゴウキ混乱していた。ヒカルが笑いながらゴウキに説明してくれていた。


「……理解はした。勇者はいるけど橋本は転生したって事だな?なあ、聞いていいか?カゲを好きっていつからだ?」

ゴウキはヒカルの説明で理解をして、カゲへの想いについて聞いてきた。
いつだと問われ伏し目がちに視線落として答えた。

「……勇者として召喚されて、ずっと見守ってくれてたって知って…魔王様に会うまでずっと側にいてくれたのは嬉しかったんです。でも……強くならなきゃって思いもあったから、勇者の時は気づかなくて魔王様に出会って魔王様に惹かれたというか……支えなきゃとも思ったけどカゲに会えなくなって寂しかったんです」

「マジか……」

「そうなんだ。……それなら魔王様にはイチは会わない方がいいな?カゲが勇者といるのを見るのは辛いよな?俺らの家で過ごしていいから、少しカゲから離れたらいいんじゃないかな?」

ゴウキとヒカルの提案に俺は悩んだ。カゲの側にはいたいとは思うけど、カゲが勇者の側にいる姿は見たくなかった。
今の俺なら勇者を暗殺する事も出来るけど、過去の自分を暗殺してもいいのかという葛藤もあったから。

「よし、決まりだな。勇者は怪我させられても四天王として困るから!」

「ゴウキが決定するなよな?なぁ、後どれくらいの期間だ?勇者が魔王様と会えるまで……俺達も勇者の強さの予測でもう少ししたら会えるとは思うけど?」

俺は前世を思い返して、旅立ってからの年数と状況の記憶を掘り起こしていた。

「……後、半年くらいです」

「そっか。半年ならカゲと離れるのは我慢出来るか?」

俺は頷いた。ゴウキとヒカルは視線合わせて頷き合い、俺を二人の家へと案内してくれた。



二人の家について、色々考えていた。

転生していると、伝えるのは本人からってヒカルが言ってたのを思い返して。
魔王に会うなって事は魔王は転生してるとだけ聞いてたけど、魔王の前世って考えると会わない方がいいなと心に決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

ポンコツアルファを拾いました。

おもちDX
BL
オメガのほうが優秀な世界。会社を立ち上げたばかりの渚は、しくしく泣いているアルファを拾った。すぐにラットを起こす梨杜は、社員に馬鹿にされながらも渚のそばで一生懸命働く。渚はそんな梨杜が可愛くなってきて…… ポンコツアルファをエリートオメガがヨシヨシする話です。 オメガバースのアルファが『優秀』という部分を、オメガにあげたい!と思いついた世界観。 ※特殊設定の現代オメガバースです

【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は? 最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか? 人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。 よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。 ハッピーエンド確定 ※は性的描写あり 【完結】2021/10/31 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ 2021/10/03  エブリスタ、BLカテゴリー 1位

処理中です...