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第2幕

それぞれの選択

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アベルとグレンはどうやってカインの魅了解呪に行動するか、カインの意思を尊重しようと思い、
ディアンナと対面し声だけしか認めないか、ヒロインと対面し認識している事を正常に戻すか尋ねた。


「ディアを悲しませたくないから、ヒロインと対面する」

「だよな。カインなら、そう言うと思ってた。対面している間、俺の魔力をカインに流し込むから、ディアンナと俺の魔力性質は似てるからディアンナの魔力を思い出して欲しいって思ってる」

「その間、僕があの女をカインに近づけさせない様にするね」


ヒロイン、クラウディアを空き教室に待機させ、逃げない様にアベルは騎士団員に警備してもらっていた。


アベル、グレン、カインの順に入った。

「ディア!」

クラウディアを認識し、カインはアベルとグレンを押し退け駆け寄りクラウディアを
抱きしめた。

「カインは私のこと好きなの?」

クラウディアは拘束された状態で、駆け寄り心配し抱きしめてくれるカインに尋ねた。

アベルとグレンは扉を閉め、しばらく観察することにしていた。

「好きだ。私が守るから安心していい」

「アベルとグレンが怖い顔で睨んでるけど?」

「震えた声だな…声、違う?触感が違う…ディア?」

声色と触れている手触りに違和感感じカインはクラウディアを抱きしめながらも首を傾げていた。

「その愛称で呼ぶと、アベルとグレンが怖い顔で睨んでるからクラウディアって呼んで欲しいんだけど、ダメ?」

「私の最愛が望むなら…私の、ディア………クラウディア?誰だ、違う?」

カインはクラウディアから離れ頭を抱え悩み出した。

アベルとグレンは動いて、アベルはクラウディアの前に立ち、グレンはカインの頭を撫で両手を包むように握り魔力流し込み始めた。

「カイン、落ち着いて。俺の魔力わかる?ディアンナも俺と似てるから、ディアンナはどこにいるかわかるか?」


カインはクラウディアのいる方に顔を向けていた。


「カインをここまで魅了してるのに、それでも魅了はしてないって言うつもりかな?」

「魅了なんて知らない。でも、カインが辛そうなのは見てるのも辛いなと思うよ」

「そんなにカインを心配してくれてるんだね?ありがとう」

「お礼言ってるのに怖いよ」

クラウディアはガタガタ震えると、カインは心配そうに声をかけていた。

「大丈夫かディア?」

「カイン、落ち着いて。カインが好きなのはディア、ディアンナだよな。あそこにいるのは、あの女はクラウディアだから、カインのディアじゃないよ。魔力性質違うのわかるか?」

アベルはカインの事はグレンに任せる事にしていた為、クラウディアに冷たい視線で見下ろし。

「君、馬鹿だよね。魅了を無意識に使って、代償は何にしてるのかな?」

「…私が、カイン苦しめてるの?」

「そうだよ。カインの心を解放してあげて。君は、何がしたいの?攻略対象達を婚約者や恋人から奪いたいのかな?そんなにしたいなら、カインの心を解放して、僕の婚約者を思う気持ちを奪うかい?1人になりたくないなら王族なら1人じゃないよ?周りには常に護衛がいるから。ほら、早く僕の想いを奪わないの?カインを解放して欲しいな」


「えっ?えっ?代償も意味わかんないけど。カインを解放したら、アベルが側にいてくれるの?解放…どうやるのか、わかんないだけど?」

アベルがクラウディアに話しかけている間に、グレンはカインに魔力を流し続け「ディアンナはどこ?」と尋ね続けていた。


「早くして欲しいな?ほら、カインじゃなくて…他の男やめて僕にしてくれないのかな?僕の婚約者への想いを君にね」

「やり方が、わかんない…」

「無意識に僕よりもカインを求めてるのかな?僕の事は怖い?大丈夫、優しくしてあげるから」

「う、うん。頑張る」

滅多にみない、アベルの優しさに満ちた笑みをクラウディアは向けられ揺れ動いていた。


グレンは同じ言葉を繰り返し尋ね続けていた。

「中庭…誰かといる、一緒にいる人も知ってる人だと思う?」

「なるほどね」

カインの言葉にグレンは中庭にディアンナとキャンディスにいてもらっていた為、安心し魔力流し込むのをやめ、魔力量がカインと比べると少なすぎる為、安心と共に力抜けカインに持たれかかった。

カインが中庭と言ったと、同時に魅了対象がアベルへと移り、アベルは理解した。魔王とカインの婚約者への想い奪った事、奪う対象が必要なのかは解らないが、あえてアベルは婚約者への想いを奪ってと、クラウディアに告げていた為に理解してカインとほぼ同時に呟いていた。


「アベルは大丈夫か?グレンは魔力不足なだけなんだが」

カインが心配そうにアベルに見ながらもグレンに少しでも魔力不足補う為に魔力流していた。

「僕なら大丈夫だよ」
アベルはカインに答え、クラウディアに先程とは違う柔らかい笑みを向け

「本当、君は馬鹿だね。僕にとって婚約者は必要か不必要かのどちらかしかないんだよ。僕が魅了対象なら、代償にも影響ないと思うから。とりあえずは処罰決まるまで、王宮の牢にいてもらうよ。僕の住む王宮に入れるなら幸せだよね?」

アベルは、騎士団員達に連れて行ってもらった。

「グレンは大丈夫かい?」

アベルに問われ、足元フラつきながらも立ち上がり。ディアンナのいる中庭に行こうと3人は向かった。
グレンはアベルとカインに両肩支えられ歩いて向かった。

「アベルは大丈夫なの?その、キャンディス嬢への想いは?ディアンナと一緒に待っててくれてるから、会っても大丈夫なの?」

「僕なら大丈夫だよ。僕は恋愛感情がわからないから、キャンディス嬢に対する想いは家族愛的な感じだから。…僕にとっての家族は必要か不必要かだから、キャンディス嬢は僕には必要な人だから変わらないよ、あの女は僕には不必要ないらないだけだよ」

「は?えっ、どういう事??」

「グレンは落ち着け。恋愛感情がわからないってアベルも言ってたから、そういう事だと思えば納得出来る」

「カインなら理解してくれると思っていたよ」

アベルは嬉しそうに笑み浮かべ、グレンは1人解らず支えながら騒いでいた。

「だが、キャシーを悲しませるような事は許さないからな」

カインも変わらずに話し、3人で笑った。


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