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14(アベル視点)

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仕事量が急激に増えたおかげで慣れない間は昼休憩を取る時間も惜しくて、昼御飯は食べずにいた。

カインは仕事量は増えたのか解らないけど、いつも通りの時間配分だった。僕の仕事量を見て、出来る事があれば手伝うと言ってはくれたけど、僕だってやらなきゃ出来る様にならないからと思い断った。

カインは昼御飯を食べない僕を気にはかけてくれていた。
そんなある日。


「体力落とす。食べさせてやるから、仕事しながらでも食べろ」

カインが昼休憩に行ったかと思ったけど、重箱を持ち戻ってきた。

「カインが食べさせてくれるの?」

僕は書類仕事をする手を止めずに聞き返した。

「嫌か?私が作ったから毒はないと言いたいが、気になるなら半分私も食べる」

「嫌じゃないよ。え?それよりもカインが作ったの?」

「嫌じゃないなら安心した。そうだ。前世の知識で作ったから、食べ慣れないかもしれないが。食べてくれるか?」

つまりは、カインが作ったのをカインが食べさせてくれるんだよね?ここは、手休めして僕が食べるでもいいけど、食べさせて貰いたいから、お願いしちゃっていいんだよね?

「そうだね。食べさせてくれるなら、食べれそうかな?」

そう言ったら、僕の隣に椅子を持って来てくれて腰かけて、僕一人では食べきれない程の量だったけど、美味しそうで…何故か可愛い感じに盛付けられていた。

僕が、適度に仕事をしながら食べさせてくれるのを待っていると、本当に僕に食べさせてくれた。
口元は運ぶ際に書類に落ちない様に手を添えてくれていて、些細な気づかいがカインらしくて嬉しくなっていた。もちろん食べたのも美味しかった。

カインは僕が食べれない限界まで食べさせてくれた。

「結構食べたな。まだ忙しいようなら食べさせてやるから、仕事しながらでも食べろ」

そう言いながら、少しばかり残してしまった重箱をしまっていた。
そんな、カインの視線が僕を見て止まり、何かあったかな?と思い見返すと。

「ついてる」

うん。食べ残しがついてたんだよね?それは、わかったけど。どうして舐めとるのかな?仕事中でそんな事されると、可愛いくて押し倒したくなるんだけど。早く終わらせたくて、急ぎ終わらせようと手を動かした。

「食べたらやる気でたな。無理せず頑張れよ」

カインはそう言うと、片付け執務室を出ていった。
そうだね。やる気満々だよ、だから早く終わらせるから楽しみにしててね?
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