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12(カイン視点)

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最近忙しいが、出来ない程ではなく山のような書類を片付け終える日々が数日つづいた。

いつもよりも、忙しいがそれほどではないはずなのに、アベルの様子がおかしいというか、いつもなら私が終わると、アベルでなくても出来る書類を手伝っていたのだが、ここ数日は手伝わなくていいと言われやる事もない。

時間的に、騎士団の午後の訓練はまだ終えていないから、鍛錬にでも行こうかと立ち上がり、一言アベルに伝え執務室出て鍛錬場へと向かった。

鍛錬場に着くと、基礎訓練を終え休憩中だった為にグレンに話しかけた。

アベルの様子がおかしい事、私には話してくれない事を話すと、グレンもおかしいということには気づいていた様だが理由も解らないかった。

グレンと少し打ち合いをして、執務室へと戻った。

普段のアベルなら終えているはずの仕事量なのだが、半分以上残っているのが目についた。拒絶されても理由を聞いて補助するのが私の仕事だ。
決意し、アベルの前に立った。

「私がアベルに何か嫌な事をしたか?」

視線をこちらに一瞬向けるも書類に戻し手元動かし続け、首を横に振った。
違うならば、他にはもいくつか問いかけたが全て横に振られた。

「グレンと何かあったか?」
「妹と喧嘩でもしたか?」


違う様で安心したが、理由が解らないと何も出来ないから、聞くしか出来ないのがもどかしく思い聞き続けた。

「私がいると仕事進まないなら、しばらく違う部屋でするが?言いたくない事は聞かないから、安心しろ」

「…違うよ。カインこそ僕の事が嫌になったんじゃないの?」

寂しげに小さな声で聞いてきた。本当に弱々しくて、何かそう思われることをしただろうかと首を傾げ考えたが見に覚えなく困惑していた。

「何で、噛み跡を治癒してるの?僕に噛まれるの…僕が嫌になったんだよね?」

些細な事に私は安心し、説明をした。

「嫌なら最初から噛ませたりはしない。治癒したのは婚姻したから、他者に見られる事が多くなったからだ。関係を続けるのは問題はないがリスクはない方がいいからだ」

「噛んでもいいの?でも、治癒しちゃうんだよね?」

寂しそうな表情をされお互いの立場もある為思案した。

「朝に噛めばいい、帰宅までは治さない!それでは駄目か?」

「毎朝一杯噛んでもいいって事かな?」

「かまわない。それで、アベルがいつも通りに仕事が出来るなら」


話は解決したが。朝はグレンも執務室での仕事に来ることもあったので、グレンが来ても気にせずに噛み跡をしばらく付ける日々が続いた。

つけたはずの噛み跡がないだけで、落ち込むほど噛む事が好きだとは知らなかったなと、私は思いながらも好きなだけ噛ませた。
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