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9(グレン視点)

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学園行事で忙しかったのも落ち着いて、疲れ過ぎてたのもあって早目に寝てたんだけどな。学園寮だったから、就寝後には人が来る事何て今まではなかった。

疲れて寝てるけど、誰かが部屋に来たら起きるよ、眠いのに刺客か?
殺気もないけど、気配も極力消してるから、何かしに来たのは確実だよな。俺は寝る時には、いつも置いてある剣に手を伸ばして射程距離に来るまで寢たふりをしていた。

よし。射程範囲内に入ったから、起き上がり攻撃を、って!えっ?ちょっと、待って。止めないと傷つけちゃう!
俺は部屋に入って来た人物を目視し、驚いて焦り咄嗟に傷つけない様に、剣を投げ捨てた。

ふー、ギリギリ。危なかったけど、押し倒すように覆いかぶさったのは仕方ないよな。

「こんな時間に何しに来たの?声くらいかけてくれないと危ないからな?」

俺は傷つけていない事を確認して安心した。立ち上がり剣を鞘にしまっていると、部屋に入って来てからやっと声を出してくれたけど、予想外の答えだった。

「夜這い?眠れなかったから来た。寝てるみたいで声かけるか悩んでいた」

「は?」

何言ってんの?眠れなくて俺の所に来たって事だよな?
うん。そう言ってるから、そうだよな。でも、普通に考えたら寝てて誰か侵入されたら、身を守るのに攻撃されるとかって考えないのかよ!
瞬時に止めた、俺を褒めて欲しいんだけどな。

「邪魔なら部屋に戻る」

あー、もう。何でそんな寂しそうにしてんの!疲れて眠いんだけど。つい、腕を掴み引き止めてた。

「邪魔じゃない。でも、寝てる時は危ないから近づかないで?」

俺の言葉理解してんのか、解らないんだけど。考え込んでんだよな?

「…何故?危ないんだ?グレンが私を傷つけてしまうからか?私が傷ついたらグレンが悲しむのはわかっているから、回避はするから問題はない」

解っている様で解ってないよな?たまにカインはどういう教育されてたんだ?って、思う時かある。

「まあ、俺の剣ならカインは回避出来ると思うけどな。カイン相手に斬り捨てるつもりで剣向けたくないんだけど、わかる?」

「理解してる。一つ疑問なんだが、何故寝るのに剣を持っていたんだ?」

うん。解っているかもだけど、解っていないな?

「身を守る為になんだけどな。カインは剣よりも魔法だから、剣は手元におかないってことか?」

「身を守るなら。部屋に入れなければいいだけだろう?確かに私は基本的には剣よりも魔法だが。そういえば、何故部屋に結界を張っていない?」

あー、うん。これだな。また、根本的に違う。説明すんのはいいけど、流石に少し眠いんだよな。

ベッドに横になってカインを手招きした。

「わからないなら、説明はする。でも、少し眠いから寝ながら話そうな?途中で寝ちゃったらごめんな?」

追い出されない事が嬉しかったのか、俺のベッドに俺を腕の中に抱きしめ軽く口づけられた。

「無理はするな。グレンがここにいるだけでいい。安心して眠れる様に結界は張るから安心していい」

俺、眠いって言ったのに。人肌に心地よくて背中ポンポン優しく叩くなよ。寝ちゃうだろ。

「…結界何て、張って寝る人はマレだからな?カインは普段どんな結界張って寝てるんだ?」

「学園寮での普段の事だったら。基本的には、グレン以外の入室不可だ。アベルは学園寮にいないから不可の対象だ」

「寝てるカインの部屋に入れるのは俺だけ?」

「そうなるな。刺客対応等睡眠の邪魔だから入れなければいいだけだろ」

言ってることは、当たり前なんだけど。眠い頭だと、俺だけ特別って言葉だけが嬉しくて抱きしめるカインの胸元の暖かさにすり寄った。

「…嬉しいな。眠い、カインもここで寝よ……」

俺の意識はそこで夢の中へと吸い込まれた。

眠れなかった、カインが服さえ着てたら見えない位置にキスマークを多数つけていた事に気づくのは、抱きしめられたまま目覚める翌朝だった。
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