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チビッ子編 👻 なにかいる(1)人生初の怪談
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シャワーのお湯が頭からかかり、足元を流れて行く。
と、それが赤い色になり、ギョッと目を剥く。
「うわっ!?」
気付いた男は驚き、バスルームを飛び出そうとして、それに気付いた。
洗面台に付いた鏡の中に、自分が映っている。そしてその背後に、おかしな顔色の女が立っていた。
「ギャアアアア!!」
叫んで、転がるように部屋の方へ逃げる。
このマンションに越して来て1人暮らしを始めた日から、おかしな事が続いていた。気のせいかと思ってもいたが、間違いようがない。
「こ、ここ、幽霊が出るのか?事故物件?冗談じゃないぞ」
男はとにかく逃げようと、慌ててジーンズ足を突っ込み、Tシャツを頭から被って、慌てて玄関へ出た。
が、開かない。鍵はかかっていないのに、いくらドアノブを回しても開かないのだ。
「なんでだよう。おいおいおい、冗談だろ?」
その時、焦った男は、冷や水を浴びせられたようになった。
なにかが背中に貼りつくようにして、いる。そしてその何かは、ゆっくりと両手を男の肩から前へと回し、抱きしめるようにして、顔を覗き込んだ。
男は、強張った顔を、ゆっくりと横に向けて行く。
「逃がさないわよ」
幽霊がそう言ってニタアと笑い、男は絶叫した。
テレビを見ていた怜も、絶叫しそうだった。
テレビから目を離す事もできず、司にピタリとくっついて、瞬きもせずにテレビを見つめる。
司は、暑いと思ったが、そのままにしておいた。
先が丸わかりのストーリーではあるが、それでも怖いのが怪談だ。特に怜は、これが人生で初めて見る、怪談の再現ドラマだ。
あらすじそのものは単純だったが、演出やメイクで、とても怖い。本で読むよりも怖くて、怜は
「見たい。平気だから、見る」
と言ってこれを見た事を、後悔していた。
そしてドラマは終わり、ホッと一息ついた怜だった。
「怖かっただろ」
それに、少し強がって見せる。
「ちょっとだけだよ。平気だよ」
そして、後悔するのだ。
「そうか。じゃあ、お風呂に入っておいで。兄ちゃんは後でいいから」
「え」
言って、兄はお茶のグラスを片付けに立つ。
時計を見ると、何の偶然か、それともここまでがドラマの演出か。ドラマで男が入浴中に幽霊に襲われたのと同じ時刻になっていた。
「兄ちゃん、一緒に入る?」
司はグラスを洗い終わった所だったが、何か言いかけた時、携帯電話が震え出した。
怜は仕方なく、1人で入浴する事にした。
大丈夫だ。あれはテレビの中の話じゃないか。もう僕は小学生だもん。怖くないもん。
そう言い聞かせながら、怜は1人でバスルームへ行ったのだった。
と、それが赤い色になり、ギョッと目を剥く。
「うわっ!?」
気付いた男は驚き、バスルームを飛び出そうとして、それに気付いた。
洗面台に付いた鏡の中に、自分が映っている。そしてその背後に、おかしな顔色の女が立っていた。
「ギャアアアア!!」
叫んで、転がるように部屋の方へ逃げる。
このマンションに越して来て1人暮らしを始めた日から、おかしな事が続いていた。気のせいかと思ってもいたが、間違いようがない。
「こ、ここ、幽霊が出るのか?事故物件?冗談じゃないぞ」
男はとにかく逃げようと、慌ててジーンズ足を突っ込み、Tシャツを頭から被って、慌てて玄関へ出た。
が、開かない。鍵はかかっていないのに、いくらドアノブを回しても開かないのだ。
「なんでだよう。おいおいおい、冗談だろ?」
その時、焦った男は、冷や水を浴びせられたようになった。
なにかが背中に貼りつくようにして、いる。そしてその何かは、ゆっくりと両手を男の肩から前へと回し、抱きしめるようにして、顔を覗き込んだ。
男は、強張った顔を、ゆっくりと横に向けて行く。
「逃がさないわよ」
幽霊がそう言ってニタアと笑い、男は絶叫した。
テレビを見ていた怜も、絶叫しそうだった。
テレビから目を離す事もできず、司にピタリとくっついて、瞬きもせずにテレビを見つめる。
司は、暑いと思ったが、そのままにしておいた。
先が丸わかりのストーリーではあるが、それでも怖いのが怪談だ。特に怜は、これが人生で初めて見る、怪談の再現ドラマだ。
あらすじそのものは単純だったが、演出やメイクで、とても怖い。本で読むよりも怖くて、怜は
「見たい。平気だから、見る」
と言ってこれを見た事を、後悔していた。
そしてドラマは終わり、ホッと一息ついた怜だった。
「怖かっただろ」
それに、少し強がって見せる。
「ちょっとだけだよ。平気だよ」
そして、後悔するのだ。
「そうか。じゃあ、お風呂に入っておいで。兄ちゃんは後でいいから」
「え」
言って、兄はお茶のグラスを片付けに立つ。
時計を見ると、何の偶然か、それともここまでがドラマの演出か。ドラマで男が入浴中に幽霊に襲われたのと同じ時刻になっていた。
「兄ちゃん、一緒に入る?」
司はグラスを洗い終わった所だったが、何か言いかけた時、携帯電話が震え出した。
怜は仕方なく、1人で入浴する事にした。
大丈夫だ。あれはテレビの中の話じゃないか。もう僕は小学生だもん。怖くないもん。
そう言い聞かせながら、怜は1人でバスルームへ行ったのだった。
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