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チビッ子編 👻 はじめてのおつかい(3)ミッションクリア
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四苦八苦する幼児に気付いた店の店員が扉を開けてくれ、怜は店内に入る事ができた。
そして家を出る前に練習した内容を思い出し、大きな声でハッキリと言う。
「こんにちは!」
「はい、こんにちは」
「食パンくらさい!」
「はい。赤いのかな。青いのかな」
これがまあ一般の売れ筋だ。赤いのが6枚切り、青いのが12枚切り。言えば8枚もある。
それに何より、店員は御崎家が赤い食パンをいつも買っているのを承知している。
そして怜は、思い出して、金魚の財布をグイッと差し出し、それを見付けた。
金色の食パン。一番高い、生食パン。
「はい、怜君。
ん?どうしたの?」
お姉さんがしゃがみ込んで訊く。
「あの金色の、にいたんが美味しいって言ってた。だから、あっちがいい!」
そう言って、金の生食パンを指さす。
店員は困った。金魚の財布には赤いパンの分しか入っていない。第一、勝手に高いパンを売ると、お使いに出した親に迷惑だろう。
チラッと外に目をやると、司が大きくバッテンを腕で作り、赤い食パンを指で指している。
「だめ?」
さっき泣いたところで、目がうるうるしている。そんな目でじっと見上げて来る怜に、店員は心の底から困っていた。
「どうした?」
奥の工房から、オーナー兼パン職人が出て来た。
「あ、おじさん!あのね、にいたんが、こっちのパンがやわらかあくて美味しいって。だから、こっちのくらさい!」
オーナーは笑顔のまま、チラッと外を見た。
司がぶんぶんと首を横に振っている。
「だめ?」
オーナーは、追い詰められた。
しかし、亀の甲より年の功。
「ちょっと待っててね」
オーナーは、試食で配った時のあまりの袋を探し出すと、そこに生食パンを4枚入れた。そして、それと赤い食パンの両方をきつねのリュックにしまった。
「はい、ありがとう。お兄ちゃんによろしくね」
「あい!ありがと!」
怜はやり遂げた感いっぱいで返事をして、悠々と――ドアは開けてもらったが――店を出たのだった。
そして司はどうするべきか迷いながらも、怜が
「にいたーん!金色のパンー!」
とよたよた走って行くのを、慌てて追いかけた。
そしてそれを、司も気付いていなかったが、御崎夫婦が変装しながらビデオで録画しつつ追いかけて行ったのだった。
「店長。怜君をこっそり司君が見守って、それを御崎さんが見守っているんですか?」
「そうみたいだね」
「仲がいいですねえ」
「全くだねえ」
こうして怜の初めてのお使い、そして司の初めての尾行のミッションは終了したのだった。
そして家を出る前に練習した内容を思い出し、大きな声でハッキリと言う。
「こんにちは!」
「はい、こんにちは」
「食パンくらさい!」
「はい。赤いのかな。青いのかな」
これがまあ一般の売れ筋だ。赤いのが6枚切り、青いのが12枚切り。言えば8枚もある。
それに何より、店員は御崎家が赤い食パンをいつも買っているのを承知している。
そして怜は、思い出して、金魚の財布をグイッと差し出し、それを見付けた。
金色の食パン。一番高い、生食パン。
「はい、怜君。
ん?どうしたの?」
お姉さんがしゃがみ込んで訊く。
「あの金色の、にいたんが美味しいって言ってた。だから、あっちがいい!」
そう言って、金の生食パンを指さす。
店員は困った。金魚の財布には赤いパンの分しか入っていない。第一、勝手に高いパンを売ると、お使いに出した親に迷惑だろう。
チラッと外に目をやると、司が大きくバッテンを腕で作り、赤い食パンを指で指している。
「だめ?」
さっき泣いたところで、目がうるうるしている。そんな目でじっと見上げて来る怜に、店員は心の底から困っていた。
「どうした?」
奥の工房から、オーナー兼パン職人が出て来た。
「あ、おじさん!あのね、にいたんが、こっちのパンがやわらかあくて美味しいって。だから、こっちのくらさい!」
オーナーは笑顔のまま、チラッと外を見た。
司がぶんぶんと首を横に振っている。
「だめ?」
オーナーは、追い詰められた。
しかし、亀の甲より年の功。
「ちょっと待っててね」
オーナーは、試食で配った時のあまりの袋を探し出すと、そこに生食パンを4枚入れた。そして、それと赤い食パンの両方をきつねのリュックにしまった。
「はい、ありがとう。お兄ちゃんによろしくね」
「あい!ありがと!」
怜はやり遂げた感いっぱいで返事をして、悠々と――ドアは開けてもらったが――店を出たのだった。
そして司はどうするべきか迷いながらも、怜が
「にいたーん!金色のパンー!」
とよたよた走って行くのを、慌てて追いかけた。
そしてそれを、司も気付いていなかったが、御崎夫婦が変装しながらビデオで録画しつつ追いかけて行ったのだった。
「店長。怜君をこっそり司君が見守って、それを御崎さんが見守っているんですか?」
「そうみたいだね」
「仲がいいですねえ」
「全くだねえ」
こうして怜の初めてのお使い、そして司の初めての尾行のミッションは終了したのだった。
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