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呼ばう(1)遠足
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手をひかれて、よたよたとしながらも、1歩1歩を踏みしめるようにして、凜と累が歩く。それがやがて、尻もちをつくように座り込む。
「最長記録だよ!がんばったねえ、凜、累!」
凜の手をひいていた敬が笑い、
「成長してるんだなあ」
と累の手をひいていた康介が感心すると、褒められたとわかったかのように、凜と累は笑って顔を見合わせた。
「おやつができたぞ」
僕は蒸して粗熱の取れた粽と柏餅を、リビングのローテーブルに運んだ。
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった。その上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった霊能師であり、キャリア警察官でもある。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。
「ああ。いい香りがするねえ」
町田 直、幼稚園からの親友だ。要領が良くて人懐っこく、脅威の人脈を持っている。高1の夏以降、直も、霊が見え、会話ができる体質になったので本当に心強い。だがその前から、僕の事情にも精通し、いつも無条件で助けてくれた大切な相棒だ。霊能師としては、祓えないが、屈指の札使いであり、インコ使いである。そして、キャリア警察官でもある。
「何とも爽やかだな」
御崎 司。頭脳明晰でスポーツも得意。クールなハンサムで、弟から見てもカッコいい、ひと回り年上の頼れる自慢の兄である。両親が事故死してからは親代わりとして僕を育ててくれ、感謝してもしきれない。警察庁キャリアで、警視正だ。
「お茶、こぼさないようにね」
冴子姉と京香さんがお茶を運ぶ。
御崎冴子。姉御肌のさっぱりとした気性の兄嫁だ。母子家庭で育つが母親は既に亡い。
「新茶?こっちもいい香りよ」
双龍院京香。僕と直の師匠で、隣に住んでいる。大雑把でアルコール好きな残念な美人だが、面倒見のいい、頼れる存在だ。
「プロデューサーがお土産にくれたの。ドラマの話を持って来て」
御崎美里、旧姓及び芸名、霜月美里。演技力のある美人で気が強く、遠慮をしない発言から、美里様と呼ばれており、トップ女優の一人に挙げられている。そして、僕の妻である。
「じゃあ、いよいよ仕事に復帰?」
美里が凜を抱き上げて言うと、同じく累を抱き上げた千穂さんがワクワクという感じで言った。
町田千穂、交通課の警察官だ。仕事ではミニパトで安全且つ大人しい運転をしなければいけないストレスからなのか、オフでハンドルを握ると別人のようになってしまうスピード狂だったが、執事の運転する車に乗ってから、安全性と滑らかさを追求するようになった。直よりも1つ年上の姉さん女房だ。
「まだ返事はしてないわ」
敬と康介と優維ちゃんは、柏餅とちまきに手を出したくてうずうずした様子を見せている。
お預けもかわいそうだ。
いただきますをして、おやつに手を出す。
「凜と累はこっちな」
僕は凜を膝に乗せて、別のおやつを食べさせる。
「来年は食べていいからねえ」
累は直が食べさせている。
「ああ、美味しい。何とも贅沢な気分になるわあ。
で、どんな役?」
冴子姉が訊く。
「高校教師ですって。そこの、氷のような教師。
それで思い出したわ。敬君、学校はどう?」
敬は目を輝かせて答えた。
「楽しい!担任の沢渡先生は、優しくて、授業もわかりやすいんだよ。今度の遠足で、先生も一緒にお弁当食べて、だるまさんがころんだするんだ!」
「敬達は市の端の大きな公園に行くんだったよな。康介はどこに行くんだ?」
「バスで水族館だよ。楽しみだなあ。
あ、敬。おやつ、チョコレートは溶けるからやめた方がいいぞ」
「わかった、康君」
「私も行きたい!」
「優維ちゃんはもうちょっとしてからね。だからその日は、おばちゃん達とお弁当にしようか」
冴子姉に言われて、優維ちゃんは途端に嬉しそうになった。
「学校、楽しそうで良かった」
「ああ。幼稚園で仲の良かった子達も同じクラスになったしな」
「康介もすっかりお兄ちゃんだねえ」
皆で成長に目を細めていたが、その担任の先生と、仕事絡みで会う事になるとは、想像もしていなかったのである。
「最長記録だよ!がんばったねえ、凜、累!」
凜の手をひいていた敬が笑い、
「成長してるんだなあ」
と累の手をひいていた康介が感心すると、褒められたとわかったかのように、凜と累は笑って顔を見合わせた。
「おやつができたぞ」
僕は蒸して粗熱の取れた粽と柏餅を、リビングのローテーブルに運んだ。
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった。その上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった霊能師であり、キャリア警察官でもある。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。
「ああ。いい香りがするねえ」
町田 直、幼稚園からの親友だ。要領が良くて人懐っこく、脅威の人脈を持っている。高1の夏以降、直も、霊が見え、会話ができる体質になったので本当に心強い。だがその前から、僕の事情にも精通し、いつも無条件で助けてくれた大切な相棒だ。霊能師としては、祓えないが、屈指の札使いであり、インコ使いである。そして、キャリア警察官でもある。
「何とも爽やかだな」
御崎 司。頭脳明晰でスポーツも得意。クールなハンサムで、弟から見てもカッコいい、ひと回り年上の頼れる自慢の兄である。両親が事故死してからは親代わりとして僕を育ててくれ、感謝してもしきれない。警察庁キャリアで、警視正だ。
「お茶、こぼさないようにね」
冴子姉と京香さんがお茶を運ぶ。
御崎冴子。姉御肌のさっぱりとした気性の兄嫁だ。母子家庭で育つが母親は既に亡い。
「新茶?こっちもいい香りよ」
双龍院京香。僕と直の師匠で、隣に住んでいる。大雑把でアルコール好きな残念な美人だが、面倒見のいい、頼れる存在だ。
「プロデューサーがお土産にくれたの。ドラマの話を持って来て」
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「じゃあ、いよいよ仕事に復帰?」
美里が凜を抱き上げて言うと、同じく累を抱き上げた千穂さんがワクワクという感じで言った。
町田千穂、交通課の警察官だ。仕事ではミニパトで安全且つ大人しい運転をしなければいけないストレスからなのか、オフでハンドルを握ると別人のようになってしまうスピード狂だったが、執事の運転する車に乗ってから、安全性と滑らかさを追求するようになった。直よりも1つ年上の姉さん女房だ。
「まだ返事はしてないわ」
敬と康介と優維ちゃんは、柏餅とちまきに手を出したくてうずうずした様子を見せている。
お預けもかわいそうだ。
いただきますをして、おやつに手を出す。
「凜と累はこっちな」
僕は凜を膝に乗せて、別のおやつを食べさせる。
「来年は食べていいからねえ」
累は直が食べさせている。
「ああ、美味しい。何とも贅沢な気分になるわあ。
で、どんな役?」
冴子姉が訊く。
「高校教師ですって。そこの、氷のような教師。
それで思い出したわ。敬君、学校はどう?」
敬は目を輝かせて答えた。
「楽しい!担任の沢渡先生は、優しくて、授業もわかりやすいんだよ。今度の遠足で、先生も一緒にお弁当食べて、だるまさんがころんだするんだ!」
「敬達は市の端の大きな公園に行くんだったよな。康介はどこに行くんだ?」
「バスで水族館だよ。楽しみだなあ。
あ、敬。おやつ、チョコレートは溶けるからやめた方がいいぞ」
「わかった、康君」
「私も行きたい!」
「優維ちゃんはもうちょっとしてからね。だからその日は、おばちゃん達とお弁当にしようか」
冴子姉に言われて、優維ちゃんは途端に嬉しそうになった。
「学校、楽しそうで良かった」
「ああ。幼稚園で仲の良かった子達も同じクラスになったしな」
「康介もすっかりお兄ちゃんだねえ」
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