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みみ(3)奪われた耳
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香芝達は、真っ青になった。
「ブレーキもハンドルも効かないんだよう!」
「うわあ、車の外!!」
外の景色が見えないくらいビッシリと、耳の無い青い顔の落ち武者が全ての窓に貼りついて中を覗き込んでいた。
そして、耳は益々痛くなる。
「あああああ!!」
耳の奥で、異様な音と感じた事のない痛みがした時、車がガクンと何かにぶつかった。
僕は、車に群がる霊達に、刀を振るった。
こそげ取るように霊が消えて行く。
中が見えて来た所でチラッと確認したら、中の4人は、生きていた。そして、霊が減ったせいか、車に干渉する力が途切れ、車はエンストして止まっていた。
ナニモノダ
ジャマヲスルナ
残った霊が、合わさって行く。
「殺させるわけには行かないんでな。
さあ、逝こうか」
シネェ!!
刀を振り上げて来た霊だったが、何という事もなく、斬る。
オノレエェ
ミミ みみ、が……
彼らは、さらさらとこぼれるように形を崩し、消えて行った。
病院に搬送された4人は、全員が片耳の鼓膜が破れていた。
しかし幸いにも、中耳炎の治療で穴を開けるより多少大きい程度で大したこともなく、おそらく自然に穴が塞がるだろうとの見立てだった。
そして香芝君にとっては幸いな事に、どうも霊の声が、聞こえなくなったようだった。
彼は、泣いて喜んだ。
「耳塚ねえ」
「首塚だったら、首を取られてたのかな」
言うと、彼らは青い顔で、ピタリと口を閉じて震えあがった。
「心霊スポットには、面白半分で行かないように。あと1分追いつくのが遅かったら、君達死んでたからな」
彼らは口々に、もう行かないと誓った。
僕と直は、とんだ追加業務に遅くなりながら、帰途に就いた。
「耳は治るっていうし、まあ、間に合って良かったよ。直の運転と結界のおかげだな」
「いやあ、へへへ。もうあんな運転はごめんだねえ。
あれ。思い出したら、何か、気持ち悪くなって……」
「おかしい。僕も、何か……」
僕達は車を道端に止め、窓を開けて空を見上げた。
「運転は、安全が一番だな」
「だねえ」
どこかの執事が頷いた気がした。
「ブレーキもハンドルも効かないんだよう!」
「うわあ、車の外!!」
外の景色が見えないくらいビッシリと、耳の無い青い顔の落ち武者が全ての窓に貼りついて中を覗き込んでいた。
そして、耳は益々痛くなる。
「あああああ!!」
耳の奥で、異様な音と感じた事のない痛みがした時、車がガクンと何かにぶつかった。
僕は、車に群がる霊達に、刀を振るった。
こそげ取るように霊が消えて行く。
中が見えて来た所でチラッと確認したら、中の4人は、生きていた。そして、霊が減ったせいか、車に干渉する力が途切れ、車はエンストして止まっていた。
ナニモノダ
ジャマヲスルナ
残った霊が、合わさって行く。
「殺させるわけには行かないんでな。
さあ、逝こうか」
シネェ!!
刀を振り上げて来た霊だったが、何という事もなく、斬る。
オノレエェ
ミミ みみ、が……
彼らは、さらさらとこぼれるように形を崩し、消えて行った。
病院に搬送された4人は、全員が片耳の鼓膜が破れていた。
しかし幸いにも、中耳炎の治療で穴を開けるより多少大きい程度で大したこともなく、おそらく自然に穴が塞がるだろうとの見立てだった。
そして香芝君にとっては幸いな事に、どうも霊の声が、聞こえなくなったようだった。
彼は、泣いて喜んだ。
「耳塚ねえ」
「首塚だったら、首を取られてたのかな」
言うと、彼らは青い顔で、ピタリと口を閉じて震えあがった。
「心霊スポットには、面白半分で行かないように。あと1分追いつくのが遅かったら、君達死んでたからな」
彼らは口々に、もう行かないと誓った。
僕と直は、とんだ追加業務に遅くなりながら、帰途に就いた。
「耳は治るっていうし、まあ、間に合って良かったよ。直の運転と結界のおかげだな」
「いやあ、へへへ。もうあんな運転はごめんだねえ。
あれ。思い出したら、何か、気持ち悪くなって……」
「おかしい。僕も、何か……」
僕達は車を道端に止め、窓を開けて空を見上げた。
「運転は、安全が一番だな」
「だねえ」
どこかの執事が頷いた気がした。
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