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無事に結婚式を終え、直と千穂さんは新婚旅行へと旅立って行った。アジア周遊の旅だそうだ。
「それにしても、準備から当日まで、随分と大変なんだなあ」
僕は改めて、面倒臭いと思った。
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった、霊能師であり、キャリア警察官でもある。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。
「まあね。人生における一大イベントであるのは間違いないわよ」
そう言うのはエリカだ。
立花エリカ、高校で同じ心霊研究部を創部した仲間だ。オカルト好きで、日々、心霊写真が撮りたいと熱望している。食品会社に勤めている。
「今ようやく、ホッとしてるかもね」
天野優希、高校で同じ心霊研究部を創設した仲間だ。お菓子作りが好きな大人しいタイプで、慣れるまでは人見知りをする。病院で事務をしている。
「可愛い感じの人でしたね」
高槻楓太郎。高校、大学時代の1年下の後輩で、同じクラブの後輩でもあった。小柄で表情が豊かな、マメシバを連想させるようなタイプだ。春から、大手保険会社に勤めている。
僕は心の中で、
「ハンドルを握らなければな」
と言った。
「でも警察官なんですよね。しっかりしてるんでしょうね」
水無瀬宗。高校、大学時代の1年下の後輩で、同じクラブの後輩でもあった。霊除けの札が無ければ撮った写真が悉く心霊写真になってしまうという変わった体質の持ち主だ。背が高くてガタイが良くて無口。迫力があるが、心優しく面倒見のいい男だ。この春から、高校で教師をしている。
「そうやなあ。交通課やそうやから、駐禁の言い訳とかに慣れてるんやろ?ごまかしとか通らへんで、直」
郷田智史。いつも髪をキレイにセットし、モテたい、彼女が欲しいと言っている。実家は滋賀でホテルを経営しており、兄は経営面、智史は法律面からそれをサポートしようと、弁護士になった。
「姉さん女房は金のわらじを履いてでも探せって言うしね。うん。直にぴったりの人かもね」
南雲 真。1つ年上の先輩で、父親は推理作家の南雲 豊氏、母親は不動産会社社長だ。おっとりとした感じのする人で、母親の経営する不動産会社で働いている。
「ほかの皆は、どやねん?怜も、美里様と付き合うとるんやろ?」
「まあ。でも、具体的な話はしてないしな」
言うと、エリカとユキが厳しい顔で見て来た。
「怜君。あんまりのんびりしてちゃだめよ」
「そうです。男の子と女の子は違うし、美里ちゃんだって、自分からは言いにくいんだもの」
「そんなものかなあ」
「鈍い。あかん。あかんでぇ。大事な事は、女に言わせたらあかんねん。ビシッと決めな」
「でも、怜先輩も大変そうですね。美里様は有名芸能人だから、招待客が更にいっぱいですよね」
「……式はしない方向でいきたいな。面倒臭い」
ワクワクと言う感じで楓太郎が言うのに答えると、
「あかん!あかんがな!」
と智史が力を入れて訴え、ふと気付いたように宗が言う。
「でも、最近の芸能人って、入籍だけとか多いですよね、そう言えば」
「そうだよね。
まあ、新居に関しては相談に乗るからね」
「その時はお願いします」
そんな話をして駅で別れると、僕も家へ帰った。
翌日は、直から預かったアオと一緒に出勤する。
そして、レタスをやったり、
「今、どのへんかなあ」
「チチィ」
などと会話していると、依頼が入った。交番に連日幽霊が現れ、困っているという。
早速、僕とアオで行く事になった。他の2チームは受け持っている仕事があるので、単独だが僕が行く事にしたのだ。
問題の交番は、住宅街の中にあった。
「ああ、いるな」
若い女性が、交番の入り口にボーッと立っている。
若い巡査は困ったように言う。
「晩に、入り口や奥の休憩室に現れて、皆ビクビクしてるんです」
「まあ、驚いて休憩どころじゃないかな。でも、何か危害を加える気は無いみたいだが」
「いえ、そういう問題じゃないです」
別の巡査にも言われ、僕はその霊に近付いた。
「こんにちは。何か御用ですか」
後ろで巡査が、
「幽霊の用ってのも怖い……」
とか言い合っている。
「落とし物をしてしまって……」
蚊の鳴くような声で彼女が言う。
「落とし物ですか。一体何を?」
「左腕を探してるんです」
持ち上げた左腕は、肘から先が無かった。
「それにしても、準備から当日まで、随分と大変なんだなあ」
僕は改めて、面倒臭いと思った。
御崎 怜。元々、感情が表情に出難いというのと、世界でも数人の、週に3時間程度しか睡眠を必要としない無眠者という体質があるのに、高校入学直前、突然、霊が見え、会話ができる体質になった上、神殺し、神喰い、神生み等の新体質までもが加わった、霊能師であり、キャリア警察官でもある。面倒臭い事はなるべく避け、安全な毎日を送りたいのに、危ない、どうかすれば死にそうな目に、何度も遭っている。
「まあね。人生における一大イベントであるのは間違いないわよ」
そう言うのはエリカだ。
立花エリカ、高校で同じ心霊研究部を創部した仲間だ。オカルト好きで、日々、心霊写真が撮りたいと熱望している。食品会社に勤めている。
「今ようやく、ホッとしてるかもね」
天野優希、高校で同じ心霊研究部を創設した仲間だ。お菓子作りが好きな大人しいタイプで、慣れるまでは人見知りをする。病院で事務をしている。
「可愛い感じの人でしたね」
高槻楓太郎。高校、大学時代の1年下の後輩で、同じクラブの後輩でもあった。小柄で表情が豊かな、マメシバを連想させるようなタイプだ。春から、大手保険会社に勤めている。
僕は心の中で、
「ハンドルを握らなければな」
と言った。
「でも警察官なんですよね。しっかりしてるんでしょうね」
水無瀬宗。高校、大学時代の1年下の後輩で、同じクラブの後輩でもあった。霊除けの札が無ければ撮った写真が悉く心霊写真になってしまうという変わった体質の持ち主だ。背が高くてガタイが良くて無口。迫力があるが、心優しく面倒見のいい男だ。この春から、高校で教師をしている。
「そうやなあ。交通課やそうやから、駐禁の言い訳とかに慣れてるんやろ?ごまかしとか通らへんで、直」
郷田智史。いつも髪をキレイにセットし、モテたい、彼女が欲しいと言っている。実家は滋賀でホテルを経営しており、兄は経営面、智史は法律面からそれをサポートしようと、弁護士になった。
「姉さん女房は金のわらじを履いてでも探せって言うしね。うん。直にぴったりの人かもね」
南雲 真。1つ年上の先輩で、父親は推理作家の南雲 豊氏、母親は不動産会社社長だ。おっとりとした感じのする人で、母親の経営する不動産会社で働いている。
「ほかの皆は、どやねん?怜も、美里様と付き合うとるんやろ?」
「まあ。でも、具体的な話はしてないしな」
言うと、エリカとユキが厳しい顔で見て来た。
「怜君。あんまりのんびりしてちゃだめよ」
「そうです。男の子と女の子は違うし、美里ちゃんだって、自分からは言いにくいんだもの」
「そんなものかなあ」
「鈍い。あかん。あかんでぇ。大事な事は、女に言わせたらあかんねん。ビシッと決めな」
「でも、怜先輩も大変そうですね。美里様は有名芸能人だから、招待客が更にいっぱいですよね」
「……式はしない方向でいきたいな。面倒臭い」
ワクワクと言う感じで楓太郎が言うのに答えると、
「あかん!あかんがな!」
と智史が力を入れて訴え、ふと気付いたように宗が言う。
「でも、最近の芸能人って、入籍だけとか多いですよね、そう言えば」
「そうだよね。
まあ、新居に関しては相談に乗るからね」
「その時はお願いします」
そんな話をして駅で別れると、僕も家へ帰った。
翌日は、直から預かったアオと一緒に出勤する。
そして、レタスをやったり、
「今、どのへんかなあ」
「チチィ」
などと会話していると、依頼が入った。交番に連日幽霊が現れ、困っているという。
早速、僕とアオで行く事になった。他の2チームは受け持っている仕事があるので、単独だが僕が行く事にしたのだ。
問題の交番は、住宅街の中にあった。
「ああ、いるな」
若い女性が、交番の入り口にボーッと立っている。
若い巡査は困ったように言う。
「晩に、入り口や奥の休憩室に現れて、皆ビクビクしてるんです」
「まあ、驚いて休憩どころじゃないかな。でも、何か危害を加える気は無いみたいだが」
「いえ、そういう問題じゃないです」
別の巡査にも言われ、僕はその霊に近付いた。
「こんにちは。何か御用ですか」
後ろで巡査が、
「幽霊の用ってのも怖い……」
とか言い合っている。
「落とし物をしてしまって……」
蚊の鳴くような声で彼女が言う。
「落とし物ですか。一体何を?」
「左腕を探してるんです」
持ち上げた左腕は、肘から先が無かった。
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