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サンタクロース大作戦(3)ラスボス登場
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ドアが開いて、彼が姿を現す。
途端に、空気が凍り付いた。
「マ、ママァ」
親の陰に隠れる子も続出だ。
「こんにちは。サンタクロースです」
真っ赤な衣装に白いひげのお爺さんが挨拶したが、べそをかく声がした。
敬は、初めて見るその姿に興味津々だ。
「うらちまたろう?箱から、煙出たの?」
「あの人はサンタクロース」
「しゃんたろくーす?」
惜しい!惜しいぞ、敬!
「サンタさん」
「しゃんたしゃん!」
サンタクロースは笑って敬の頭に手を置き、
「やあ、こんにちは」
と言った。
「去年はわしに化けた悪い奴が皆を怖がらせたと聞いたから、今年はわしが、早めに来たぞ」
「しゃんたしゃん、どこから来たの?」
「遠い国じゃよ。1年に1度、クリスマスの夜には、世界中の子供達にプレゼントを配っているんじゃよ。クリスマスを楽しみにして、待っていてくれるかな」
泣きはしないが、警戒を解かない子もいる。
「君は何が欲しいのかな?」
「うんとねえ、プリン!怜と半分こする!」
「OK、OK。楽しみにして、良い子で待っていてくれよ」
「しゃんたしゃんは何が欲しいの?」
敬の質問に、事件に巻き込まれた子がビクーッとする。
「サンタさんは、皆が笑顔でいてくれるのが一番うれしいんだよ。だから、サンタさんのプレゼントは、皆の笑顔さ!」
敬は、にぱーっと笑った。
何の打ち合わせもしていないが、敬が上手い質問をしている。奇蹟だ。
このやり取りで、去年のあれは、本体がサンタなのではなく本体が鬼だったのだと皆思ったらしい。
そして、鬼はここまでで攻略済だ。
「くりしゅましゅって、いつ?今度しゃんたしゃんは、いつ来るの?」
「ふっふっふっ。そんな君達にお土産を持って来たよ」
巨大な袋から――とはいかず、ドアの外からダンボールを引きずって持って来る。
「アドベンド・カレンダーと言ってね、毎日1つ、順番に窓を開けるんだ」
家の形の箱を取り出す。これも皆で用意したもので、飴やラムネ、ツリーの飾りなどを入れてある。
「窓1つに小さなプレゼントが1つ入っているよ。そして、ここまできたら、クリスマスだ!」
「おおお……!」
全員の目が、輝いている。
「受け取ってくれるかな?」
「あいがと、しゃんたしゃん!」
うわあ、と子供達がサンタクロースの周りに詰めかけ、アドベンド・カレンダーを手渡される。
「怜、怜、見て!」
「怜君、お母さん!明日から?今日は?」
「明日からよ」
「もう、寝る!」
「まだ明るいでしょ」
サンタクロースはそんな子供達に目を細め、そうっと退場する。
そして、僕と直は、仕込みの発動だ。
「あ、サンタクロースが帰って行く!」
楓太郎が窓の外を指さすと、皆が窓に集まる。
トナカイとソリとサンタクロースの人形を借り、そこに直の札を貼り付けている。それで、きらきらと輝く光を振りまく仕掛けになっていた。そしてそこにはフラカンが乗っており、可動式のサンタクロースの腕を、さも振っているかのように動かすのだ。そしてそれを、僕が風を送って空に飛ばす。
フラカンが腕を動かすので精一杯なので、こういう役割分担になった。
「しゃんたしゃん、バイバーイ!」
「また来てねーっ」
純真な子供達は騙されてくれた。
親子連れが返って行くと、僕達は、劇をしてくれたメンバーと一緒にジュースを飲んでから後片付けだ。
「いやあ、上手くいったなあ」
「子供を騙すのは気が引けたけど、これなら、ねえ」
「サンタさんが怖いとか、この先困りますよ」
「クリスマスにおねしょする子続出とかねえ」
ガヤガヤ言いながら、残りものをつまむ。
「皆、ありがとう。助かったよ」
「やめて下さいよ、怜先輩」
「楽しかったし。な」
「ボランティアだよ」
「それにしても、あのサンタクロースも熱演だったな」
「あれ、誰やの?」
「知り合いのか――会社員」
「?ふうん」
僕と直は、そっと目を合わせた。十二神将の1人だったとは言いづらい。
のりのりで、「やる」と手を上げたのだ。
「まあ、これでトラウマもなく何とかなったらいいな」
しかし、まだわかっていなかった。トラウマにはならなかったが、何も知らない通行人がサンタを目撃してネットにアップしてしまう事も、今後この付近の子供達に「でん」が流行る事も。
途端に、空気が凍り付いた。
「マ、ママァ」
親の陰に隠れる子も続出だ。
「こんにちは。サンタクロースです」
真っ赤な衣装に白いひげのお爺さんが挨拶したが、べそをかく声がした。
敬は、初めて見るその姿に興味津々だ。
「うらちまたろう?箱から、煙出たの?」
「あの人はサンタクロース」
「しゃんたろくーす?」
惜しい!惜しいぞ、敬!
「サンタさん」
「しゃんたしゃん!」
サンタクロースは笑って敬の頭に手を置き、
「やあ、こんにちは」
と言った。
「去年はわしに化けた悪い奴が皆を怖がらせたと聞いたから、今年はわしが、早めに来たぞ」
「しゃんたしゃん、どこから来たの?」
「遠い国じゃよ。1年に1度、クリスマスの夜には、世界中の子供達にプレゼントを配っているんじゃよ。クリスマスを楽しみにして、待っていてくれるかな」
泣きはしないが、警戒を解かない子もいる。
「君は何が欲しいのかな?」
「うんとねえ、プリン!怜と半分こする!」
「OK、OK。楽しみにして、良い子で待っていてくれよ」
「しゃんたしゃんは何が欲しいの?」
敬の質問に、事件に巻き込まれた子がビクーッとする。
「サンタさんは、皆が笑顔でいてくれるのが一番うれしいんだよ。だから、サンタさんのプレゼントは、皆の笑顔さ!」
敬は、にぱーっと笑った。
何の打ち合わせもしていないが、敬が上手い質問をしている。奇蹟だ。
このやり取りで、去年のあれは、本体がサンタなのではなく本体が鬼だったのだと皆思ったらしい。
そして、鬼はここまでで攻略済だ。
「くりしゅましゅって、いつ?今度しゃんたしゃんは、いつ来るの?」
「ふっふっふっ。そんな君達にお土産を持って来たよ」
巨大な袋から――とはいかず、ドアの外からダンボールを引きずって持って来る。
「アドベンド・カレンダーと言ってね、毎日1つ、順番に窓を開けるんだ」
家の形の箱を取り出す。これも皆で用意したもので、飴やラムネ、ツリーの飾りなどを入れてある。
「窓1つに小さなプレゼントが1つ入っているよ。そして、ここまできたら、クリスマスだ!」
「おおお……!」
全員の目が、輝いている。
「受け取ってくれるかな?」
「あいがと、しゃんたしゃん!」
うわあ、と子供達がサンタクロースの周りに詰めかけ、アドベンド・カレンダーを手渡される。
「怜、怜、見て!」
「怜君、お母さん!明日から?今日は?」
「明日からよ」
「もう、寝る!」
「まだ明るいでしょ」
サンタクロースはそんな子供達に目を細め、そうっと退場する。
そして、僕と直は、仕込みの発動だ。
「あ、サンタクロースが帰って行く!」
楓太郎が窓の外を指さすと、皆が窓に集まる。
トナカイとソリとサンタクロースの人形を借り、そこに直の札を貼り付けている。それで、きらきらと輝く光を振りまく仕掛けになっていた。そしてそこにはフラカンが乗っており、可動式のサンタクロースの腕を、さも振っているかのように動かすのだ。そしてそれを、僕が風を送って空に飛ばす。
フラカンが腕を動かすので精一杯なので、こういう役割分担になった。
「しゃんたしゃん、バイバーイ!」
「また来てねーっ」
純真な子供達は騙されてくれた。
親子連れが返って行くと、僕達は、劇をしてくれたメンバーと一緒にジュースを飲んでから後片付けだ。
「いやあ、上手くいったなあ」
「子供を騙すのは気が引けたけど、これなら、ねえ」
「サンタさんが怖いとか、この先困りますよ」
「クリスマスにおねしょする子続出とかねえ」
ガヤガヤ言いながら、残りものをつまむ。
「皆、ありがとう。助かったよ」
「やめて下さいよ、怜先輩」
「楽しかったし。な」
「ボランティアだよ」
「それにしても、あのサンタクロースも熱演だったな」
「あれ、誰やの?」
「知り合いのか――会社員」
「?ふうん」
僕と直は、そっと目を合わせた。十二神将の1人だったとは言いづらい。
のりのりで、「やる」と手を上げたのだ。
「まあ、これでトラウマもなく何とかなったらいいな」
しかし、まだわかっていなかった。トラウマにはならなかったが、何も知らない通行人がサンタを目撃してネットにアップしてしまう事も、今後この付近の子供達に「でん」が流行る事も。
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