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血族(2)狙われた同窓生
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オレンジケーキと紅茶を皆で囲み、色々と詳しく訊き直していた時だった。
気配がした。とはいえ、この中は結界で守られているので、大丈夫だ。ベランダに恨めし気に立つ霊を見た。
年齢は20台から30代半ばの男性。恨みとか執着という感情は感じられない。だから、理由がわからない。
ベランダを眺める僕と直に、兄は「いるんだな」とわかったらしが、美雪さんは不思議な顔をしていた。
「その亡くなった方、お知り合いじゃないんですよね」
「ええ。全くの初対面よ」
「……ちなみに、逃げた運転手の方は」
「知らない人よ」
警官は空になったケーキの皿を置いて、
「車は盗難車両でした」
と告げた。
1人で死ぬのが寂しかった?それも違うなあ。
「とにかく、霊の方は、僕達で何とかします。この家から出ない事、ドアや窓は開けない事。これを徹底して下さい」
「はい」
「明日の朝ご飯、どうしますか?もし何かいるようなら買い物して来ますよ。米と缶詰とレトルトと乾麺はありますけど」
美雪さんは消え入りそうな声で答えた。
「いつも、朝は食パンとコーヒー、昼は外食、夜はコンビニ弁当なの」
驚いた。
「わかりました」
僕と兄は、直と警官に後を任せて、近所の24時間スーパーへ行った。
食パンやら何やらを買い物カゴに入れながら、小声で話をする。
「美雪さんを襲う理由がわからないな。恨みとか、1人が寂しいとか、どうも違うし」
「人間の襲撃者は、ひき逃げ犯だろうがな」
「でも、ただのひき逃げじゃないんだよね?」
兄は苦笑した。
「まあ、否定したところでごまかしようがないから言うが、スパイ疑惑のある人物の遺留物が車内にあった。だから、外事が絡んで来てる」
「それはまた」
レジで精算して領収書を貰い、帰る。
マンションの前に、さっきの霊がいた。
「どうしてあの人を狙うんですか」
霊は悲し気な、でも決意を込めた目でこっちを見、消えた。
部屋へ戻り、食品を冷蔵庫へしまう。
それを手伝いながら何があるのか見ていた美雪さんだったが、ふと下を向いた拍子に、
「あ」
と言って手を止めた。
「どうかしましたか?」
美雪さんは少しためらうそぶりを見せてから、口を開いた。
「気のせいかも、とも思うし、やっぱりそうだった、とも思って、自信がないんだけど・・・。
お昼に転んで、膝を擦りむいた筈なのよね。間違いなく。だけど、事故の後気が付いたら何もなってなくて。
転んだけど実はたいした事が無かったのかしらね」
まじまじと、膝を見る。ケガをした様子は全くない。でも、スカートには少し血痕が付いている。
「スカートに少し血が付いていますね。裏ですけど、今のうちに洗っておかないと、シミになりますよ」
「えええーっ、うそぉ!」
「ぎゃああ、ここで脱がないで!」
「え、きゃあああ!!」
警官と兄がガックリと下を向き、直は笑いをかみ殺していた。
気配がした。とはいえ、この中は結界で守られているので、大丈夫だ。ベランダに恨めし気に立つ霊を見た。
年齢は20台から30代半ばの男性。恨みとか執着という感情は感じられない。だから、理由がわからない。
ベランダを眺める僕と直に、兄は「いるんだな」とわかったらしが、美雪さんは不思議な顔をしていた。
「その亡くなった方、お知り合いじゃないんですよね」
「ええ。全くの初対面よ」
「……ちなみに、逃げた運転手の方は」
「知らない人よ」
警官は空になったケーキの皿を置いて、
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と告げた。
1人で死ぬのが寂しかった?それも違うなあ。
「とにかく、霊の方は、僕達で何とかします。この家から出ない事、ドアや窓は開けない事。これを徹底して下さい」
「はい」
「明日の朝ご飯、どうしますか?もし何かいるようなら買い物して来ますよ。米と缶詰とレトルトと乾麺はありますけど」
美雪さんは消え入りそうな声で答えた。
「いつも、朝は食パンとコーヒー、昼は外食、夜はコンビニ弁当なの」
驚いた。
「わかりました」
僕と兄は、直と警官に後を任せて、近所の24時間スーパーへ行った。
食パンやら何やらを買い物カゴに入れながら、小声で話をする。
「美雪さんを襲う理由がわからないな。恨みとか、1人が寂しいとか、どうも違うし」
「人間の襲撃者は、ひき逃げ犯だろうがな」
「でも、ただのひき逃げじゃないんだよね?」
兄は苦笑した。
「まあ、否定したところでごまかしようがないから言うが、スパイ疑惑のある人物の遺留物が車内にあった。だから、外事が絡んで来てる」
「それはまた」
レジで精算して領収書を貰い、帰る。
マンションの前に、さっきの霊がいた。
「どうしてあの人を狙うんですか」
霊は悲し気な、でも決意を込めた目でこっちを見、消えた。
部屋へ戻り、食品を冷蔵庫へしまう。
それを手伝いながら何があるのか見ていた美雪さんだったが、ふと下を向いた拍子に、
「あ」
と言って手を止めた。
「どうかしましたか?」
美雪さんは少しためらうそぶりを見せてから、口を開いた。
「気のせいかも、とも思うし、やっぱりそうだった、とも思って、自信がないんだけど・・・。
お昼に転んで、膝を擦りむいた筈なのよね。間違いなく。だけど、事故の後気が付いたら何もなってなくて。
転んだけど実はたいした事が無かったのかしらね」
まじまじと、膝を見る。ケガをした様子は全くない。でも、スカートには少し血痕が付いている。
「スカートに少し血が付いていますね。裏ですけど、今のうちに洗っておかないと、シミになりますよ」
「えええーっ、うそぉ!」
「ぎゃああ、ここで脱がないで!」
「え、きゃあああ!!」
警官と兄がガックリと下を向き、直は笑いをかみ殺していた。
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