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だるまさんがころんだ(2)迫る足音
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中学の時の友達と久しぶりに映画を観に行く約束をしていたので、楓太郎は友人に会いに行った。この夏お勧めのアクション映画という事だったが、合宿などで怜と直のコンビネーションを見ている楓太郎にとっては、先輩達の方がかっこいいな、という感じだった。
「ああ、腹減ったぁ」
ファミレスに入ると、席に案内され、メニューを考えている間に、水を持って来てくれる。
と、1つ多い。
「あ……失礼しました」
アルバイトのウエイトレスはそう言いながらも、腑に落ちないという顔をしていた。
「俺、ジャンバラヤのAセット」
「ぼくは、シーフードスパゲティのサラダバー付き」
「俺は、オムカレーのサラダバー付きで」
「え、ぼくは、ええっと、スパニッシュオムレツ、Bセット」
楓太郎は、合宿の時のスパニッシュオムレツを思い出して、つい頼んでしまった。あれは美味しかった。今までオムレツとは具の混ざった卵焼きだと思っていたのに、オムレツとは、オムレツというちゃんとした料理だったのだと初めて知ったのだ。
ウエイトレスが歩き去ると、早速友人達は、楓太郎の近況を聞きたがった。入学式直前に事故に遭ったり、合宿で怖い目に遭ったり、この中で1番色々あるのが楓太郎だ。
「なあなあ、確か楓太郎の学校にいたよな、霊能師の第一期生。最年少のプロ」
「うん、いるよ。同じクラブの先輩でね」
微かに感じた不安は、話し始めると、どこかに行ってしまったのだった。
久しぶりに会った友人との話が弾んで、帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
急いで、祖父母の家に向かう。
と、背後で足音がした。昨日と同じ靴の音で、ただし、昨日よりも少し大きい。
「誰?」
振り返ったが、1本道には自分以外誰もいない。
「……今、確かに……」
首を傾げながら、前を向き、歩き出す。
ひた、ひた、ひた。
足を止める――と、それも止まる。
走ると、それも走る。
「何で……」
何度も何度も振り返って、その度に誰もいないことを確認する。
「どこかに音が反響してるのかな。何でもかんでもすぐにオカルトに結び付けるなって、怜先輩と直先輩も言ってたしな」
口に出して言いながら、それらしいのはないかと辺りを見廻すが、これと言って、見当たらない。
ひた、ひた、ひた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
だんだん足が速くなり、ほぼ駆け足で家まで辿り着く。
それでも同じ速さで、足音はついてくる。
「た、ただいま」
「どうしたの、楓太郎。息をきらせて。それに、青い顔をして」
「いや、何でも」
背後に何もいない事を確認して、ますます怖くなりながら、楓太郎は笑った。
「ああ、腹減ったぁ」
ファミレスに入ると、席に案内され、メニューを考えている間に、水を持って来てくれる。
と、1つ多い。
「あ……失礼しました」
アルバイトのウエイトレスはそう言いながらも、腑に落ちないという顔をしていた。
「俺、ジャンバラヤのAセット」
「ぼくは、シーフードスパゲティのサラダバー付き」
「俺は、オムカレーのサラダバー付きで」
「え、ぼくは、ええっと、スパニッシュオムレツ、Bセット」
楓太郎は、合宿の時のスパニッシュオムレツを思い出して、つい頼んでしまった。あれは美味しかった。今までオムレツとは具の混ざった卵焼きだと思っていたのに、オムレツとは、オムレツというちゃんとした料理だったのだと初めて知ったのだ。
ウエイトレスが歩き去ると、早速友人達は、楓太郎の近況を聞きたがった。入学式直前に事故に遭ったり、合宿で怖い目に遭ったり、この中で1番色々あるのが楓太郎だ。
「なあなあ、確か楓太郎の学校にいたよな、霊能師の第一期生。最年少のプロ」
「うん、いるよ。同じクラブの先輩でね」
微かに感じた不安は、話し始めると、どこかに行ってしまったのだった。
久しぶりに会った友人との話が弾んで、帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
急いで、祖父母の家に向かう。
と、背後で足音がした。昨日と同じ靴の音で、ただし、昨日よりも少し大きい。
「誰?」
振り返ったが、1本道には自分以外誰もいない。
「……今、確かに……」
首を傾げながら、前を向き、歩き出す。
ひた、ひた、ひた。
足を止める――と、それも止まる。
走ると、それも走る。
「何で……」
何度も何度も振り返って、その度に誰もいないことを確認する。
「どこかに音が反響してるのかな。何でもかんでもすぐにオカルトに結び付けるなって、怜先輩と直先輩も言ってたしな」
口に出して言いながら、それらしいのはないかと辺りを見廻すが、これと言って、見当たらない。
ひた、ひた、ひた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
だんだん足が速くなり、ほぼ駆け足で家まで辿り着く。
それでも同じ速さで、足音はついてくる。
「た、ただいま」
「どうしたの、楓太郎。息をきらせて。それに、青い顔をして」
「いや、何でも」
背後に何もいない事を確認して、ますます怖くなりながら、楓太郎は笑った。
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