体質が変わったので

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探す・エリカ(2)エリカと殺人鬼

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 とにかく写真を撮りまくり、締めくくりに、村の外れにある古井戸の傍に来た。暗くて、湿っぽくて、陰気で、これで出なかったらどこに出るのかと言いたいくらいの井戸だった。
 ふと見ると、血痕だ。しかも新しい。
 ゾクリとして、シャッターをきりまくる。
 満足して振り返ると、目と鼻の先に林がいて、エリカは心臓が止まりそうになった。
「あ、あら、林さん」
「どうも。さっきから村田さんが見当たらないんだけど、見なかったですか」
「さ、さあ。気が付かなかったわ」
「そうですか……」
 林は言ってすぅーっと、歩き去った。
「ああ、びっくりした」
 エリカは気を取り直して、村の外の風景も撮っておく事にした。村の外の川に幽霊とか、あるかも知れない。
 雑草が高く生い茂る中に、納屋のようなものがあった。
「昔納屋で首を吊った人がいたりして……」
 ウキウキと近付いて、戸に手をかけた。だが、開かない。
「あれ」
 ガタガタと揺すり、浮かせ、叩き、外して開ける。
「あら?」
 打ち捨てられた狭い廃屋に、鍋、血の付いたらしき鎌、古いシミの付いた布団セット、縄がある。これではまるで、誰かが住んでいるようではないか。誰が?もしや、殺人鬼か?
 エリカは慌てて外へ出、村の中に引き返した。
 そう。この村は、昔警察に追われた殺人犯が逃げ込み、村人を皆殺しにしたとネットに書かれていたのだ。まさかそいつが、甦ったのではないだろうか。
 エリカはドキドキする胸を押さえて、家屋の裏を覗き込んだ。
「ひいっ!?」
 山中と鉢合わせし、山中はモゴモゴと何か口の中で言った。
「あ、あの、どうも」
「いえ」
 裏も一応カメラに収め、表に回る。
 いつの間にか、時間だ。エリカは集合場所へと急いで戻った。
「あら?田中君と村田さんは?」
 遅れそうなタイプではないのに、姿が見えない。
 山中はオドオドとしながら、
「し、知らないなあ」
と答え、林は
「どうしたのかしらねえ」
とうっすら笑う。
 待っても2人は現れず、バスが来てしまった。
「あの、田中君と村田さんがいないんですけど」
 エリカが不安になりながら運転手に言うと、運転手はニヤリという笑いを浮かべ、
「大丈夫ですよ、その2人なら。連絡がありましたので、心配いりません」
と答えた。
 エリカは、ゾッとした。
 おかしい。こんな山中の廃村で、2人が消えたなんて。
 あの古井戸の血痕は何だろう。納屋の鎌は凶器なのでは。
 山中も林も挙動不審に思えるし、運転手も何か怪しい。
 本当に、ここにはまだ殺人犯がいるのか。
 殺された村人が新たな殺人鬼となって、彷徨っているのではないか。
 エリカは、
「ギャーッ、殺される!」と叫んで走り出した。

 




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