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探す・エリカ(1)そうだ廃村行こう
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まずい。これはやばい。どうしよう。エリカは頭を抱えていた。
立花エリカ、高校1年生。心霊研究部部長になるほどオカルト好きなのに、霊感ゼロ。憧れの心霊写真もそう。小学校の修学旅行は広島で、前年の集合写真ではバックの原爆ドームにいっぱい幽霊がいたのに、エリカの年はまるっきりだった。凄くガッカリした。ひとつ下の子が翌年撮ると、またガッツリ映っていた。もう心の底からガッカリして、怒り、写真を投げ捨てた。どんな幽霊スポットに行っても、どうしても見えないし、映らないし、障りも何にもない。
まあそれでも、諦めたら負けだ。心霊研究部を立ち上げたというのに。時々見えるというユキとか、ガチで見えて会話して祓えるという怜とか、人脈が異様に広くて幽霊までいるんじゃないかという直を引きずり込むのに成功したというのに。マジすぎて発表できないとか、写真が残ってないとかで、活動報告をするべき文化祭に、報告できるネタがないのである。このままでは廃部だ!
そうだ、廃村行こう。
心霊写真が例え自分に撮れなくても、他のメンバーが撮ってるかも知れない。それを使えばいい!
というわけで、ネットで募集をかけていた「心霊スポット廃村ツアー」に申し込む事にした。
細い山道を、マイクロバスが進む。運転手以外のメンバーは5人だが、何か、陰気に黙り込んでいる。
ああ、仲良くなってアドレス交換しとかないと、心霊写真を融通してもらえないのに。そう内心で焦るエリカをあざ笑うが如く、話しかけようとするたびに、口ゲンカが始まったりするのだ。
部の皆で行ければ良かったのだが、本命の怜は兄と墓参り、次点のユキは風邪をひいたらしく、控えの直は家族で田舎に帰省。エリカだけしか都合がつかなかったのである。
しばらくすると、昭和初期の匂いのする村に到着した。いかにも廃村、いかにも出るという感じのところで、興奮が抑えきれない。
マイクロバスを降りると、運転手は
「では夕方5時に迎えに来ます。どうか、お気をつけて」
と言って、戻って行った。
さて、と、エリカは他の4人を見廻した。
眼鏡男子の田中。幽霊に興味があるとは思えないような見かけの通り、幽霊否定派で、霊現象を科学で暴くと息巻いている。
オタクっぽい山中。カメラを大事そうにぶら下げており、心霊云々より、廃墟、廃村に惹かれるそうだ。
気がきつそうな女子は村田。何でも科学で解明できると思ったら大間違いだと、なんだかんだとすぐに田中とケンカ腰になる。
気が弱そうでどこか病んでる感じの女子が林。気配も薄く、この子こそが幽霊なんじゃないかと、最初エリカは思った。
「自由行動でいいわよね」
村田が言うのに、
「そうだな。何でもかんでも霊だ何だとキャーキャー騒がれたんじゃたまらないからな」
と田中が受け、
「僕もそれでいいよ。時間決めて、集合すれば」
と、山中がそわそわとして言い、
「はい」
と、林が短く応じる。
「いいわね」
村田に睨むように言われてエリカは反射的に
「はい」
と答えてしまい、しまった、と思った時には遅かった。
それぞれが別々の方向に行ってしまい、誰に声をかけようかとオロオロしているうちに、1人になってしまっていたのである。
呆然として、次いで、仕方ないと、エリカも廃村探検を始めたのだった。
立花エリカ、高校1年生。心霊研究部部長になるほどオカルト好きなのに、霊感ゼロ。憧れの心霊写真もそう。小学校の修学旅行は広島で、前年の集合写真ではバックの原爆ドームにいっぱい幽霊がいたのに、エリカの年はまるっきりだった。凄くガッカリした。ひとつ下の子が翌年撮ると、またガッツリ映っていた。もう心の底からガッカリして、怒り、写真を投げ捨てた。どんな幽霊スポットに行っても、どうしても見えないし、映らないし、障りも何にもない。
まあそれでも、諦めたら負けだ。心霊研究部を立ち上げたというのに。時々見えるというユキとか、ガチで見えて会話して祓えるという怜とか、人脈が異様に広くて幽霊までいるんじゃないかという直を引きずり込むのに成功したというのに。マジすぎて発表できないとか、写真が残ってないとかで、活動報告をするべき文化祭に、報告できるネタがないのである。このままでは廃部だ!
そうだ、廃村行こう。
心霊写真が例え自分に撮れなくても、他のメンバーが撮ってるかも知れない。それを使えばいい!
というわけで、ネットで募集をかけていた「心霊スポット廃村ツアー」に申し込む事にした。
細い山道を、マイクロバスが進む。運転手以外のメンバーは5人だが、何か、陰気に黙り込んでいる。
ああ、仲良くなってアドレス交換しとかないと、心霊写真を融通してもらえないのに。そう内心で焦るエリカをあざ笑うが如く、話しかけようとするたびに、口ゲンカが始まったりするのだ。
部の皆で行ければ良かったのだが、本命の怜は兄と墓参り、次点のユキは風邪をひいたらしく、控えの直は家族で田舎に帰省。エリカだけしか都合がつかなかったのである。
しばらくすると、昭和初期の匂いのする村に到着した。いかにも廃村、いかにも出るという感じのところで、興奮が抑えきれない。
マイクロバスを降りると、運転手は
「では夕方5時に迎えに来ます。どうか、お気をつけて」
と言って、戻って行った。
さて、と、エリカは他の4人を見廻した。
眼鏡男子の田中。幽霊に興味があるとは思えないような見かけの通り、幽霊否定派で、霊現象を科学で暴くと息巻いている。
オタクっぽい山中。カメラを大事そうにぶら下げており、心霊云々より、廃墟、廃村に惹かれるそうだ。
気がきつそうな女子は村田。何でも科学で解明できると思ったら大間違いだと、なんだかんだとすぐに田中とケンカ腰になる。
気が弱そうでどこか病んでる感じの女子が林。気配も薄く、この子こそが幽霊なんじゃないかと、最初エリカは思った。
「自由行動でいいわよね」
村田が言うのに、
「そうだな。何でもかんでも霊だ何だとキャーキャー騒がれたんじゃたまらないからな」
と田中が受け、
「僕もそれでいいよ。時間決めて、集合すれば」
と、山中がそわそわとして言い、
「はい」
と、林が短く応じる。
「いいわね」
村田に睨むように言われてエリカは反射的に
「はい」
と答えてしまい、しまった、と思った時には遅かった。
それぞれが別々の方向に行ってしまい、誰に声をかけようかとオロオロしているうちに、1人になってしまっていたのである。
呆然として、次いで、仕方ないと、エリカも廃村探検を始めたのだった。
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