体質が変わったので

JUN

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探す・直(3)相棒

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 社長はシャベルを構えていた。
「忘れ物ですかあ」
「ああ。ライターと、目撃者を消すことだがね」
「目撃……ボク!?」
「お前は電話のヤツだな。強請ろうったって、そうはいかん」
<強請った?>
<いいや>
 油断なく、社長から距離を保つ。
<最悪、時間稼ぎすればいいよ。今、怜に電話したから、すぐに司さん――お兄さんで刑事なんだよ――に連絡して、来てくれるよ>
 すごく遠いけどね。
「強請りはしてませんけどねえ。
 この2人を殺して、埋めて、横領して逃げ出したと思わせるつもりなんでしょう?セコイなあ」
「ほお、よく事情まで知ってるようだな。お前、一体誰だ」
「さあ?」
 シャベルを持つ手に力が入り、社長はシャベルを振りかぶると、鬼気迫る形相で突っ込んで来た。

 空が、高い。
 視線を下ろすと、失神した社長と2体の遺体が並んでいた。
 凄い眺めだけど、何があったんだっけ。
 首をひねると、チャンネルが合うように、男の声がした。
<色々助かったよ。ありがとう>
<いや、なんか、記憶が飛んでるんだけど……>
<俺の体も動かすので、ちょっと加減が難しくてな。意識が飛んでたみたいだ。
 社長は、ゾンビとか怨霊とか喚いてたけど、失神したよ>
<初めまして。俺とこいつが随分世話になったみたいだな。ありがとう>
 先に亡くなった、親友の方らしい。
<いえ、初めまして。あの……大変な目に遭われましたね>
<これも運命かな。仕方ないよ。まあ、こいつがいるから、あの世でも楽しくやれるさ>
<君も、親友は大事にしろよ>
 また、代わったようだ。
<うん>
<じゃあな>
 それで、2人の霊は逝ってしまったらしい。
 なんか、寂しくなってしまった。無性に、怜の顔が見たい――と思ったら、パトカーのサイレンが近付いて来ていた。
 
 司さんと駆けつけて来てくれた怜は、地元の警察署のドアを蹴破る勢いで飛び込んできて、ボクを上から下まで眺めたあと、無表情のまま、
「ん、そうか」
と言った。
 表情に出にくいけど、長い付き合いだからわかる。あれは、無事を喜んでいる。
「へへへっ。心配かけちゃって」
「全く、面倒臭い。
 まあ、ちゃんと逝ってるみたいだし、大丈夫だな」
「ああ、うん。それがねえ……」
「?」
 てへ、と笑う。
「後遺症というか、これがきっかけというか、見えるままになっちゃったみたいだよ」
 怜と司さんは少し沈黙し、
「大丈夫。僕も通った道だから」
と、言った。
「よろしく、怜」
 見てるかなあ、あの2人。これがボクの相棒だよ。




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