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再来の熱砂(1)招待主
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2日後、湊のいる部屋に男達が入って来ると、体を押さえつけた。
「今度は何だ」
「チクッとするだけだ」
言いながら、注射を打つ。それで湊は意識を失った。
そして本人は知らないまま、チェロケースに入れられて搬出され、間もなく着いた港から上陸すると空港に行き、プライベートジェットに搬入された。
そして、チェロケースから出されたところで湊は目を覚ました。
明らかに内装が違うし、飛行機のエンジン音がする。そして窓の外には、一面の空が広がっていた。
「海の上からいきなり空の上か。随分なサプライズだな」
そう言う湊は、舌がまだどこか自由に動かない事から、薬が完全に抜けきっていない事を察した。
(暴れても無駄だな)
そこにいたのは、チンピラとかストリートギャングとかいう言葉が似合いそうな数人だったが、持つ雰囲気と漂うものが、そんなものではないと主張している。
「こうして会うのは初めてだな。
初めまして。赤龍のリーダー、シェンだ」
「シェン?神とは、また。
知っているだろうが、篠杜 湊だ」
「狭いところで悪かったな。まずはシャワーでも浴びてスッキリしてくれ。その後は食事にしようぜ。
おい」
それで、手下の1人が湊に近付き、立たせる。
「では、快適な空の旅をお楽しみください」
シェンがニヤリと笑うのに、湊もニヤリと笑い返した。
せっかくなので、湊は、シャワーを浴びてスッキリする事にした。どうせ空の上から逃げ出す方法などない。
ざっとシャワーを浴びて外に出ると、今度は機内食のサービスだ。
食前酒に辛口の発砲ワイン。シュリンプカクテル、コンソメスープ、スズキのムニエル、洋梨のシャーベット、牛ステーキ温野菜添え、ミニタルトと桃のデザートとコーヒー。
驚いた事に、簡単ではあるがコースメニューだ。
そしてシェンも、それを意外と上品に食べていた。
仲間の方はテーブルが別だったが、横目で窺うと、マナーはいい加減だった。
(こいつはどういう人間だろう)
食べながら観察し、考える。
シェンも同じく、湊を観察していた。
(元はいい所のお坊ちゃんだったな。それがテロリストに連れ回されて図太くなったのか。体も鍛えてるようだし、やたらと勘もいいみたいだった。
こいつがオシリスに執着されてるのって、ただのペットってわけじゃねえな。何だこいつ)
コーヒーを飲んで、観察は終わる。
「なあ、湊。オシリスに随分かわいがられてるみたいじゃねえか」
「かわいがる、ねえ。かわいがるなら、普通は殺そうとはしないだろ」
「俺達の側につけよ」
「俺は真っ当な一般人だぞ。せっかくのヘッドハンティングだが、犯罪グループには入らない」
「そんなにオシリスの野郎がよかったのかよ」
下卑た嗤いをシェンは浮かべて見せたが、湊は肩を竦めた。
「10年苦労しかしなかったな。解放された時の状況まで酷かったし」
シェンは足を組み直した。
「でも、向こうはそうは思ってないみたいじゃねえか?」
「さあ。そんな事は知らないね。ストーカーで訴えようか」
(食えねえ奴)
シェンは内心でそう思い、
(おもしれえ奴)
と、笑った。
「まあ、考え直す事を勧めておくぜ。俺は、優しいけどな。思い通りにならない奴には厳しいぜ」
「DVの気があるな。気を付けろよ」
シェンは声を立てて笑うと、部下に手を振って合図を送った。
それで部下が湊を区切られた別の区画へ連れて行き、手錠をかける。
(さて。ここは一体どこだ?)
考え、窓の外にでもヒントはないかと目をやると、部下がきつい目をして言う。
「おかしなマネはするなよ」
湊は肩を竦めた。
「機内映画の上映はあるのかなと思ってね」
「今度は何だ」
「チクッとするだけだ」
言いながら、注射を打つ。それで湊は意識を失った。
そして本人は知らないまま、チェロケースに入れられて搬出され、間もなく着いた港から上陸すると空港に行き、プライベートジェットに搬入された。
そして、チェロケースから出されたところで湊は目を覚ました。
明らかに内装が違うし、飛行機のエンジン音がする。そして窓の外には、一面の空が広がっていた。
「海の上からいきなり空の上か。随分なサプライズだな」
そう言う湊は、舌がまだどこか自由に動かない事から、薬が完全に抜けきっていない事を察した。
(暴れても無駄だな)
そこにいたのは、チンピラとかストリートギャングとかいう言葉が似合いそうな数人だったが、持つ雰囲気と漂うものが、そんなものではないと主張している。
「こうして会うのは初めてだな。
初めまして。赤龍のリーダー、シェンだ」
「シェン?神とは、また。
知っているだろうが、篠杜 湊だ」
「狭いところで悪かったな。まずはシャワーでも浴びてスッキリしてくれ。その後は食事にしようぜ。
おい」
それで、手下の1人が湊に近付き、立たせる。
「では、快適な空の旅をお楽しみください」
シェンがニヤリと笑うのに、湊もニヤリと笑い返した。
せっかくなので、湊は、シャワーを浴びてスッキリする事にした。どうせ空の上から逃げ出す方法などない。
ざっとシャワーを浴びて外に出ると、今度は機内食のサービスだ。
食前酒に辛口の発砲ワイン。シュリンプカクテル、コンソメスープ、スズキのムニエル、洋梨のシャーベット、牛ステーキ温野菜添え、ミニタルトと桃のデザートとコーヒー。
驚いた事に、簡単ではあるがコースメニューだ。
そしてシェンも、それを意外と上品に食べていた。
仲間の方はテーブルが別だったが、横目で窺うと、マナーはいい加減だった。
(こいつはどういう人間だろう)
食べながら観察し、考える。
シェンも同じく、湊を観察していた。
(元はいい所のお坊ちゃんだったな。それがテロリストに連れ回されて図太くなったのか。体も鍛えてるようだし、やたらと勘もいいみたいだった。
こいつがオシリスに執着されてるのって、ただのペットってわけじゃねえな。何だこいつ)
コーヒーを飲んで、観察は終わる。
「なあ、湊。オシリスに随分かわいがられてるみたいじゃねえか」
「かわいがる、ねえ。かわいがるなら、普通は殺そうとはしないだろ」
「俺達の側につけよ」
「俺は真っ当な一般人だぞ。せっかくのヘッドハンティングだが、犯罪グループには入らない」
「そんなにオシリスの野郎がよかったのかよ」
下卑た嗤いをシェンは浮かべて見せたが、湊は肩を竦めた。
「10年苦労しかしなかったな。解放された時の状況まで酷かったし」
シェンは足を組み直した。
「でも、向こうはそうは思ってないみたいじゃねえか?」
「さあ。そんな事は知らないね。ストーカーで訴えようか」
(食えねえ奴)
シェンは内心でそう思い、
(おもしれえ奴)
と、笑った。
「まあ、考え直す事を勧めておくぜ。俺は、優しいけどな。思い通りにならない奴には厳しいぜ」
「DVの気があるな。気を付けろよ」
シェンは声を立てて笑うと、部下に手を振って合図を送った。
それで部下が湊を区切られた別の区画へ連れて行き、手錠をかける。
(さて。ここは一体どこだ?)
考え、窓の外にでもヒントはないかと目をやると、部下がきつい目をして言う。
「おかしなマネはするなよ」
湊は肩を竦めた。
「機内映画の上映はあるのかなと思ってね」
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