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欲しい物(4)元カレ
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幸恵が働くのを視界の隅に入れながら、湊達は小声でミーティングをしていた。
「西川ですけど、カジノを運営する暴力団のやってるソープランドと、どうも話をつけているようです」
悠花は怒りながらそう言う。
「そこはかなり質が悪くて、これという従業員には、薬物を覚えさせてやめられないようにするとか」
雅美も、怒りを抑えようとしながら言った。
「警察は、検挙する気はないのかな」
涼真がイライラと言うのに、
「証拠固めかな。薬物事案は、中途半端にやると厄介だからな。こっちの都合に合わせて踏み込んではくれないか」
と湊は言って、考える。
「西川をどうにかするしかないですかね」
悠花はうんうんと唸りながら言った。
「でも、どう何とかしよう?」
涼真が言い、皆で考え込んだ。
「ちょっと、お手洗い」
悠花は席を立った。
「あの、こ、近藤さん」
トイレに行こうとした悠花が足を止めたのは、曲がり角の向こうからそんな緊張しきった声が聞こえたからだった。
(これはあの、純情くん!)
朴訥な彼を、皆で「純情くん」と勝手に呼んでいたのだ。
「あら、和田さん」
近藤がにこやかに答える声がする。
「その、今度、映画に行きませんか」
「まあ、楽しそう!
でも、お店のお客様と特別なお付き合いは……。誤解を招くといけませんから。すみません」
「あの!お、俺は、その――」
「あ、いらっしゃいませ!」
幸恵は明るい声と顔で、スッとそこを離れて行った。それを、純情くんこと和田と悠花は、がっかりした顔付きで見送った。
幸恵は勤務が終わると、買い物をして帰りたいとスーパーに寄った。
ピタリと雅美と悠花が近くで見ている。
今回、近寄って来たらこれ幸いとどうにかできるように、警護している事を露わにしない形で警護する事にしていた。
と、スーパーを出たところで、バッタリと和田とあった。
「あ、近藤さん!」
「まあ、和田さん。こんにちは」
和田は緊張しまくっている。
「お買い物ですか」
「はははい!今日は、豆腐が特売で!あ……」
そして、恥ずかしそうにした。
「ここは安くて助かりますよね」
幸恵も和田相手には、それほどいいカッコはしないようだ。結婚相手候補でないので、見栄を張る必要がないらしい。
その時、もう1人が加わった。西川だった。
「よお、幸恵」
幸恵の目が吊り上がり、顔が強張る。それで和田も、幸恵が迷惑している相手だとわかったようだ。スッと、幸恵をかばうように前に出た。
「なんだ、手前は」
西川は威圧するように和田をジロジロと見る。
「いいから、どいてろ。
幸恵、行くぞ」
「関係ないでしょ!帰って!」
「俺とお前だろ。お前、俺を助けてくれよ。な?やっぱりお前がいねえとさ、困るじゃねえか」
幸恵は、キッと西川を睨む。
「お金を貢いでくれる相手としてよね。嫌よ。お断り。無関係でしょ、帰って!」
「何言ってやがるんだ?大人しくしてりゃあつけ上がりやがって。また、教育しねえとわからねえみたいだな。ああ?」
言いながら、幸恵の髪を掴もうとする。それを和田が遮ると、西川は和田をいきなり殴り飛ばした。
「関係ねえ奴はすっこんでろ!」
「やめて!」
幸恵が慌てて、和田を蹴ろうとするのを止めると、今度は幸恵を睨みつける。
「ふざけるんじゃねえぞ、このあま!」
言い、髪をガッと鷲掴みにすると、殴ろうと拳を構えた。
それを、ついて来ていたもう1人が止めた。
「待て待て。傷つけるな。商品だぞ」
「ああ、すいません」
そこまで見て、湊達は割って入った。
「西川ですけど、カジノを運営する暴力団のやってるソープランドと、どうも話をつけているようです」
悠花は怒りながらそう言う。
「そこはかなり質が悪くて、これという従業員には、薬物を覚えさせてやめられないようにするとか」
雅美も、怒りを抑えようとしながら言った。
「警察は、検挙する気はないのかな」
涼真がイライラと言うのに、
「証拠固めかな。薬物事案は、中途半端にやると厄介だからな。こっちの都合に合わせて踏み込んではくれないか」
と湊は言って、考える。
「西川をどうにかするしかないですかね」
悠花はうんうんと唸りながら言った。
「でも、どう何とかしよう?」
涼真が言い、皆で考え込んだ。
「ちょっと、お手洗い」
悠花は席を立った。
「あの、こ、近藤さん」
トイレに行こうとした悠花が足を止めたのは、曲がり角の向こうからそんな緊張しきった声が聞こえたからだった。
(これはあの、純情くん!)
朴訥な彼を、皆で「純情くん」と勝手に呼んでいたのだ。
「あら、和田さん」
近藤がにこやかに答える声がする。
「その、今度、映画に行きませんか」
「まあ、楽しそう!
でも、お店のお客様と特別なお付き合いは……。誤解を招くといけませんから。すみません」
「あの!お、俺は、その――」
「あ、いらっしゃいませ!」
幸恵は明るい声と顔で、スッとそこを離れて行った。それを、純情くんこと和田と悠花は、がっかりした顔付きで見送った。
幸恵は勤務が終わると、買い物をして帰りたいとスーパーに寄った。
ピタリと雅美と悠花が近くで見ている。
今回、近寄って来たらこれ幸いとどうにかできるように、警護している事を露わにしない形で警護する事にしていた。
と、スーパーを出たところで、バッタリと和田とあった。
「あ、近藤さん!」
「まあ、和田さん。こんにちは」
和田は緊張しまくっている。
「お買い物ですか」
「はははい!今日は、豆腐が特売で!あ……」
そして、恥ずかしそうにした。
「ここは安くて助かりますよね」
幸恵も和田相手には、それほどいいカッコはしないようだ。結婚相手候補でないので、見栄を張る必要がないらしい。
その時、もう1人が加わった。西川だった。
「よお、幸恵」
幸恵の目が吊り上がり、顔が強張る。それで和田も、幸恵が迷惑している相手だとわかったようだ。スッと、幸恵をかばうように前に出た。
「なんだ、手前は」
西川は威圧するように和田をジロジロと見る。
「いいから、どいてろ。
幸恵、行くぞ」
「関係ないでしょ!帰って!」
「俺とお前だろ。お前、俺を助けてくれよ。な?やっぱりお前がいねえとさ、困るじゃねえか」
幸恵は、キッと西川を睨む。
「お金を貢いでくれる相手としてよね。嫌よ。お断り。無関係でしょ、帰って!」
「何言ってやがるんだ?大人しくしてりゃあつけ上がりやがって。また、教育しねえとわからねえみたいだな。ああ?」
言いながら、幸恵の髪を掴もうとする。それを和田が遮ると、西川は和田をいきなり殴り飛ばした。
「関係ねえ奴はすっこんでろ!」
「やめて!」
幸恵が慌てて、和田を蹴ろうとするのを止めると、今度は幸恵を睨みつける。
「ふざけるんじゃねえぞ、このあま!」
言い、髪をガッと鷲掴みにすると、殴ろうと拳を構えた。
それを、ついて来ていたもう1人が止めた。
「待て待て。傷つけるな。商品だぞ」
「ああ、すいません」
そこまで見て、湊達は割って入った。
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