34 / 34
友人
しおりを挟む
柳沢の事件は、日本中を揺るがすニュースとして報じられた。久保や被害届を取り下げた警察官も、処分を受けた。
被害者遺族として、女子高生の家族や萌葱達はマスコミの格好の餌食とされかけたが、蘇芳が毅然とした対応をして、追いかけ回されたりする事は避けられた。
だが、約束通り、送った音声を録画していたファイルを今川も小鳥遊も開けず、そのまま警察に提出した。
後からそれが何かわかって、「コピーしておけばよかった」とか今川が冗談を言っていたが。
今川は、萌葱のBL疑惑を真剣に受け止めて悩んでいるふしがあったので、うそがわかる事を打ち明けた。気持ちが悪いなら、もう自分から近寄らないので、この事は出来るなら秘密にして欲しい。そう言ったら、「バカにするな」と言って怒った。
なので、萌葱と今川は、今でも友人だ。いや、親友と言ってもいいだろう。
それらを、萌葱達は墓前に報告した。
「萌葱もやっと友達ができたもんな。初めてのお友達?」
浅葱がからかってくるのを、萌葱は嫌そうにするが、顔は緩んでいて、蘇芳と浅葱は笑いが我慢できない。
「なかなか、いい奴じゃないか。素直そうで」
「うちに呼んでいいぞ。
あ。誕生会しよう」
「蘇芳兄。幼稚園児じゃないんだから」
「だって、やった事ないじゃないか、萌葱」
「いいよぉ」
萌葱は流石にそれは恥ずかしいと思うのだが、蘇芳はかなり本気である。
そんな事を言っていると、高山から急ぎで頼みたいとの電話が入った。切羽詰まった様子なので急いで待ち合わせの場所に行くと、高山はヘラヘラ笑う被疑者を前に、目を吊り上げているところだった。
「ああ、助かる。
こいつ、爆弾をどこかに仕掛けたらしいんだが、場所を吐かないんだよ。頼む。爆発すれば、半径3キロが灰になる爆薬の量でな」
萌葱は、その被疑者の前に座り、顔を見た。
「爆弾を仕掛けたのは、駅ですか」
「違うね」
「空港ですか」
「違うさ」
うその反応があった。
「あなたはうそをついています」
被害者遺族として、女子高生の家族や萌葱達はマスコミの格好の餌食とされかけたが、蘇芳が毅然とした対応をして、追いかけ回されたりする事は避けられた。
だが、約束通り、送った音声を録画していたファイルを今川も小鳥遊も開けず、そのまま警察に提出した。
後からそれが何かわかって、「コピーしておけばよかった」とか今川が冗談を言っていたが。
今川は、萌葱のBL疑惑を真剣に受け止めて悩んでいるふしがあったので、うそがわかる事を打ち明けた。気持ちが悪いなら、もう自分から近寄らないので、この事は出来るなら秘密にして欲しい。そう言ったら、「バカにするな」と言って怒った。
なので、萌葱と今川は、今でも友人だ。いや、親友と言ってもいいだろう。
それらを、萌葱達は墓前に報告した。
「萌葱もやっと友達ができたもんな。初めてのお友達?」
浅葱がからかってくるのを、萌葱は嫌そうにするが、顔は緩んでいて、蘇芳と浅葱は笑いが我慢できない。
「なかなか、いい奴じゃないか。素直そうで」
「うちに呼んでいいぞ。
あ。誕生会しよう」
「蘇芳兄。幼稚園児じゃないんだから」
「だって、やった事ないじゃないか、萌葱」
「いいよぉ」
萌葱は流石にそれは恥ずかしいと思うのだが、蘇芳はかなり本気である。
そんな事を言っていると、高山から急ぎで頼みたいとの電話が入った。切羽詰まった様子なので急いで待ち合わせの場所に行くと、高山はヘラヘラ笑う被疑者を前に、目を吊り上げているところだった。
「ああ、助かる。
こいつ、爆弾をどこかに仕掛けたらしいんだが、場所を吐かないんだよ。頼む。爆発すれば、半径3キロが灰になる爆薬の量でな」
萌葱は、その被疑者の前に座り、顔を見た。
「爆弾を仕掛けたのは、駅ですか」
「違うね」
「空港ですか」
「違うさ」
うその反応があった。
「あなたはうそをついています」
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符
washusatomi
キャラ文芸
西域の女商人白蘭は、董王朝の皇太后の護符の行方を追う。皇帝に自分の有能さを認めさせ、後宮出入りの女商人として生きていくために――。 そして奮闘する白蘭は、無骨な禁軍将軍と心を通わせるようになり……。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる