あなたは嘘をついています

JUN

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友人

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 柳沢の事件は、日本中を揺るがすニュースとして報じられた。久保や被害届を取り下げた警察官も、処分を受けた。
 被害者遺族として、女子高生の家族や萌葱達はマスコミの格好の餌食とされかけたが、蘇芳が毅然とした対応をして、追いかけ回されたりする事は避けられた。
 だが、約束通り、送った音声を録画していたファイルを今川も小鳥遊も開けず、そのまま警察に提出した。
 後からそれが何かわかって、「コピーしておけばよかった」とか今川が冗談を言っていたが。
 今川は、萌葱のBL疑惑を真剣に受け止めて悩んでいるふしがあったので、うそがわかる事を打ち明けた。気持ちが悪いなら、もう自分から近寄らないので、この事は出来るなら秘密にして欲しい。そう言ったら、「バカにするな」と言って怒った。
 なので、萌葱と今川は、今でも友人だ。いや、親友と言ってもいいだろう。
 それらを、萌葱達は墓前に報告した。
「萌葱もやっと友達ができたもんな。初めてのお友達?」
 浅葱がからかってくるのを、萌葱は嫌そうにするが、顔は緩んでいて、蘇芳と浅葱は笑いが我慢できない。
「なかなか、いい奴じゃないか。素直そうで」
「うちに呼んでいいぞ。
 あ。誕生会しよう」
「蘇芳兄。幼稚園児じゃないんだから」
「だって、やった事ないじゃないか、萌葱」
「いいよぉ」
 萌葱は流石にそれは恥ずかしいと思うのだが、蘇芳はかなり本気である。
 そんな事を言っていると、高山から急ぎで頼みたいとの電話が入った。切羽詰まった様子なので急いで待ち合わせの場所に行くと、高山はヘラヘラ笑う被疑者を前に、目を吊り上げているところだった。
「ああ、助かる。
 こいつ、爆弾をどこかに仕掛けたらしいんだが、場所を吐かないんだよ。頼む。爆発すれば、半径3キロが灰になる爆薬の量でな」
 萌葱は、その被疑者の前に座り、顔を見た。
「爆弾を仕掛けたのは、駅ですか」
「違うね」
「空港ですか」
「違うさ」
 うその反応があった。
「あなたはうそをついています」


 
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