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海外出張(4)襲撃
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モトが顔を腫らし、体中にアザを作って、イス諸共倒れて失神するように眠りについていた夜中。ふと、その目が開いた。
スッと音もなくドアが開き、足音を殺して何者かがモトの近くに忍び寄る。そして、ナイフをモトに近付けた。
「何時だ」
侵入者は低い声で、
「午前3時」
と言い、モトを拘束していたロープを切った。
侵入者――セレはモトが体を起こして手首をさするのを見て、動けることを確認して、街中でチンピラからいただいて来た拳銃をモトに持たせた。
どこからか横流しされた正規品らしい。暴発の危険性は低い。
マリカを殺すのが仕事だが、モトはどうしても及川を殺さなくては気が済まなかったし、日本の警察が逮捕できるとも思えない。マリカ殺害の邪魔をするなら手下達は殺す事になってもいいので、積極的に殺そうとモトは思っていた。
「上手く潜入できたな」
「この辺の子供のフリをして、庭の草引きのバイトに混ざった」
おかげで腰が痛いと、セレは顔をしかめ、モトは笑いを堪えた。
「マリカと幹部は2階だ。ほかの手下は1階。
セレの獲物は?」
「銃は1丁しかなかったんだ。これから手に入れる。それまでは、まあ、これでいい」
セレはボールペンを振って見せ、
「行くか」
とドアノブを握った。
足音も気配も消して、まず2階へ上がって行く事にした。
屋敷と言う程でもないが、日本の一般家屋よりは断然大きい家だ。庭は広くて、夜間は塀の上に電流が流れるようになっているし、窓やドアにもセンサーが仕掛けられているが、どちらも解除済みだ。
大きな階段は中二階から左右に分かれ、右側には主寝室と私室、書斎があり、左側は個室が4つ並んでいる。右がマリカの部屋で、左が幹部の部屋だ。
階段を上がり、まずは右側から片付けようと右へ進む。
と、どこかでリリリと音が鳴った。
「センサーか。バレたな、モト」
「じゃあ、もういい。走れ」
2人は物音も気にせずに走り、主寝室のドアノブに手をかけた。
鍵がかかっている。なので、モトが思い切りノブを蹴ってドアを蹴破った。
天蓋付きの大きなベッドには、マリカと青年が飛び起きたばかりのような顔付きで寄り添っていた。2人共全裸だ。
「何!?」
マリカが言うのに、答えの代わりにモトが拳銃を向けた。
額に穴を開け、マリカは後ろに倒れ込んだ。
青年はすぐに飛びのいて逃げ出そうとしたが、セレが前からぶつかって行き、首にボールペンを差し込む。
ペンの中が真っ赤に染まり、青年は白目をむいて倒れた。
この青年は、結婚詐欺を76回繰り返して刑務所に送られる事になったが、護送中に逃亡し、その顔をマリカに気に入られてマリカの愛人としてここで優雅に暮らしていた。
FBIも手出しできずに悔しがっていた男だった。
向こう側から、こちらに向かって来る気配がする。
「仕事は済んだ」
「あとは成り行きだな」
モトは拳銃を手に、セレはそこにあったペーパーナイフを手に、頷き合った。
階段の上には、重量感知式のセンサーが仕掛けられたマットが仕掛けられている。それが反応し、手下達は飛び起きた。
及川は
「ん?まさかあの刑事か?」
と目を軽く見張ってから部屋を出た。
トビーは目を覚まし、その音が夢ではなく現実のものとわかると、ニマリと笑った。
「タフガイだとは思ってたが、まさかロープを抜け出たのか?奴は忍者か」
ナッツは目を開けると、寝起きとは思えない様子でベッドを飛び降りた。
「まさかあのボーイが、仲間を助けに忍び込んで来たのか?フフフ!活きのいい子は好きだな!」
そして、各々が部屋を飛び出して来た。
まずはトビーが、主寝室の半開きのドアから入って来る。
その首に、ドアのすぐ脇に隠れていたセレがペーパーナイフを突き立て、引く。
血しぶきを上げる傷口を押さえ、口をパクパクとさせながら、トビーがその場で倒れ込む。
その体を踏みつけて飛び込んで来た及川は、同時に拳銃を乱射した。
しかし予測していたため、セレはそこから位置を変えている。
反対側かと腕を大きく振った及川の肩を、反対側にいたモトが撃つ。
「ぐわあ!貴様!」
及川がモトに銃を向けようとするが、モトは及川の腹部にも銃弾を撃ち込み、左手首を掴んで捻り上げると、肩を外した。
「ギャアア!!」
「痛いか」
撃った腹部を踏み、肩を蹴り、頭を蹴る。それで及川は失神した。
それと同時に飛び込んで来たナッツは、セレに向かって嬉しそうに突進して行く。
「よく来たねえボーイ!」
そして、拳銃を撃った。
スッと音もなくドアが開き、足音を殺して何者かがモトの近くに忍び寄る。そして、ナイフをモトに近付けた。
「何時だ」
侵入者は低い声で、
「午前3時」
と言い、モトを拘束していたロープを切った。
侵入者――セレはモトが体を起こして手首をさするのを見て、動けることを確認して、街中でチンピラからいただいて来た拳銃をモトに持たせた。
どこからか横流しされた正規品らしい。暴発の危険性は低い。
マリカを殺すのが仕事だが、モトはどうしても及川を殺さなくては気が済まなかったし、日本の警察が逮捕できるとも思えない。マリカ殺害の邪魔をするなら手下達は殺す事になってもいいので、積極的に殺そうとモトは思っていた。
「上手く潜入できたな」
「この辺の子供のフリをして、庭の草引きのバイトに混ざった」
おかげで腰が痛いと、セレは顔をしかめ、モトは笑いを堪えた。
「マリカと幹部は2階だ。ほかの手下は1階。
セレの獲物は?」
「銃は1丁しかなかったんだ。これから手に入れる。それまでは、まあ、これでいい」
セレはボールペンを振って見せ、
「行くか」
とドアノブを握った。
足音も気配も消して、まず2階へ上がって行く事にした。
屋敷と言う程でもないが、日本の一般家屋よりは断然大きい家だ。庭は広くて、夜間は塀の上に電流が流れるようになっているし、窓やドアにもセンサーが仕掛けられているが、どちらも解除済みだ。
大きな階段は中二階から左右に分かれ、右側には主寝室と私室、書斎があり、左側は個室が4つ並んでいる。右がマリカの部屋で、左が幹部の部屋だ。
階段を上がり、まずは右側から片付けようと右へ進む。
と、どこかでリリリと音が鳴った。
「センサーか。バレたな、モト」
「じゃあ、もういい。走れ」
2人は物音も気にせずに走り、主寝室のドアノブに手をかけた。
鍵がかかっている。なので、モトが思い切りノブを蹴ってドアを蹴破った。
天蓋付きの大きなベッドには、マリカと青年が飛び起きたばかりのような顔付きで寄り添っていた。2人共全裸だ。
「何!?」
マリカが言うのに、答えの代わりにモトが拳銃を向けた。
額に穴を開け、マリカは後ろに倒れ込んだ。
青年はすぐに飛びのいて逃げ出そうとしたが、セレが前からぶつかって行き、首にボールペンを差し込む。
ペンの中が真っ赤に染まり、青年は白目をむいて倒れた。
この青年は、結婚詐欺を76回繰り返して刑務所に送られる事になったが、護送中に逃亡し、その顔をマリカに気に入られてマリカの愛人としてここで優雅に暮らしていた。
FBIも手出しできずに悔しがっていた男だった。
向こう側から、こちらに向かって来る気配がする。
「仕事は済んだ」
「あとは成り行きだな」
モトは拳銃を手に、セレはそこにあったペーパーナイフを手に、頷き合った。
階段の上には、重量感知式のセンサーが仕掛けられたマットが仕掛けられている。それが反応し、手下達は飛び起きた。
及川は
「ん?まさかあの刑事か?」
と目を軽く見張ってから部屋を出た。
トビーは目を覚まし、その音が夢ではなく現実のものとわかると、ニマリと笑った。
「タフガイだとは思ってたが、まさかロープを抜け出たのか?奴は忍者か」
ナッツは目を開けると、寝起きとは思えない様子でベッドを飛び降りた。
「まさかあのボーイが、仲間を助けに忍び込んで来たのか?フフフ!活きのいい子は好きだな!」
そして、各々が部屋を飛び出して来た。
まずはトビーが、主寝室の半開きのドアから入って来る。
その首に、ドアのすぐ脇に隠れていたセレがペーパーナイフを突き立て、引く。
血しぶきを上げる傷口を押さえ、口をパクパクとさせながら、トビーがその場で倒れ込む。
その体を踏みつけて飛び込んで来た及川は、同時に拳銃を乱射した。
しかし予測していたため、セレはそこから位置を変えている。
反対側かと腕を大きく振った及川の肩を、反対側にいたモトが撃つ。
「ぐわあ!貴様!」
及川がモトに銃を向けようとするが、モトは及川の腹部にも銃弾を撃ち込み、左手首を掴んで捻り上げると、肩を外した。
「ギャアア!!」
「痛いか」
撃った腹部を踏み、肩を蹴り、頭を蹴る。それで及川は失神した。
それと同時に飛び込んで来たナッツは、セレに向かって嬉しそうに突進して行く。
「よく来たねえボーイ!」
そして、拳銃を撃った。
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